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ピアノに強いカワイ
河合楽器はピアノ専門というイメージなので、あまりなじみがありませんでした。
オルガンを弾かない人が、鈴木楽器に興味がないのと同じかと思います。
シンプルなESシリーズ
カワイの電子ピアノでポータブルなのはESシリーズ、ES60、ES120 Filo、ES920の3つだけです。
ほかにステージピアノやMIDIキーボードといったコンパクトモデルもあります。
ES60にはBluetoothやLINE INの外部入力端子がないかわりに、同時発音数は192と多めです。
機能がシンプルなわりには重さも11kgあり、「レスポンシブ・ハンマー・アクション・ベーシック(RHB)」という鍵盤の構造が本格的なのかもしれません。
パネルの操作部はボタンが3つとボリューム用のスライドしかなく、極めてミニマムな外観です。
ES60とES120で音色を選ぶには、ボタンを押しながら対応する鍵盤を押さえる必要があります。
カワイの電子ピアノや消音ピアノは演奏に集中するため、ボタンや液晶画面をなるべく目立たなくしているようです。
デジタルなガジェット感をなくそうという、本物のピアノメーカーらしいこだわりといえます。
鍵盤も音源も品質はよさそうですが、最安のES60でも6万円近くするのがネックです。
同等スペックの他社製品と比べても、カワイはやや割高に感じられます。
ESシリーズのES120だけ「フィーロ」という愛称がついていて、特設サイトも公開されています。
実売価格は8万円以上しますが、Bluetoothも搭載していて値段とスペックのバランスがよさそうです。
他社に比べて際立った特徴はないですが、ESシリーズはデザインのシンプルさに好感を持てます。
多少価格が高くても、「カワイの音や鍵盤タッチが好き」というコアなファン層がいて、別室・別荘向けのサブ用途で買うのでは…と想像しています。
ヘッドフォン関連機能
カワイの電子ピアノにもヘッドフォン向けのエフェクトが2つ提供されています。
「ヘッドホンタイプ」というのはオープン、セミオープン、クローズ、インナーイヤー、カナルといった形状に応じて、音質を調整してくれる機能です。
ESシリーズではES120以上に搭載されています。
「スペイシャル・ヘッドホン・サウンド」はノーマル以外にワイド、フォワードのモードがあり、左右の音の広がりか前方への定位を強調してくれるそうです。
こちらはES920と、据置型のCA/CNシリーズに搭載されています。
他社の同等機能に比べて、カワイのヘッドフォン技術は説明が具体的でわかりやすいです。
特にヘッドフォンの種類で最適化してくれる機能はユニークといえます。
高価な電子ピアノにインナーイヤーやカナル型ヘッドフォンを合わせる人がいるのかわかりませんが、軽いので耳に着けても疲れにくいのはメリットです。
大型のヘッドフォンより場所もとらないので、カワイの「ヘッドホンタイプ」で音質改善できるならありかもしれません。
消音・静音ユニットの違い
カワイは電子ピアノよりも、グランドピアノやアップライトピアノの製品が豊富にそろっています。
響板スピーカーや音源と組み合わせた消音ユニットを販売しているところは、ヤマハと似ています。
カワイの場合は「ピアノマスク」という、物理的なパーツの開閉で音量を制御する静音・減音装置も開発していたりもします。
ヘッドフォンは使えませんが、本物のピアノをなんとか一般家庭にも普及させようというアイデア商品に思われます。
カワイのチャーチオルガン
生ピアノのイメージが強いカワイですが、実は家庭向けのコンパクトなチャーチオルガンも販売しています。
カワイが扱っているのはオランダのヨハネス、アメリカのロジャースという海外メーカーの製品です。
高級モデルでは3段鍵盤のものもあり、JOHANNUS ONEというポータブルタイプまでそろっています。
デモ映像が教会の映像や讃美歌の伴奏シーンだったりするので、明らかに宗教行事での利用をイメージしているようです。
操作部もハモンドオルガンのドローバーではなく、パイプオルガンらしいボタンやドローノブタイプのストップが中心です。
クラシックのなかでもバッハが好きで、フーガやコラールばかり弾きたい人には向いているかもしれません。
あえてピアノでなくパイプオルガンを使いこなすおじさんというのも、ネモ船長のように渋くてかっこいいと思います。