KORGの電子ピアノLiano(型番L1SP)についてくる、キーボードスタンド(JamStandsのJS-XS300)の調整方法をご紹介します。
JamStandsは簡素なつくりの安いスタンドで、演奏時の揺れが激しいです。
またピアノ本体を固定する初期位置が高めに設定されているので、昇降式のスツールやデスクチェアがないと弾きにくそうです。
座高低めのダイニングチェアに合わせるため、結束バンドを使ってスタンドの高さを下げてみました。
スタンドを低くすると、そのぶん重心が下がって揺れも減るという副次効果を得られました。
※スタンドの改造は危険をともなうので、自己責任でお願いします。
JamStandsの特徴
コルグのLianoは88鍵にしては価格が安く、コンパクトで重量も軽いのが特徴です。
鍵盤のタッチも軽めなので、「フルサイズは欲しいがピアノの重い鍵盤が苦手」というニッチな需要に対応したユニークな製品です。
さらに「3万円台の格安電子ピアノにスタンドまで付いてくる」というメリットに惹かれて購入しました。
付属のスタンドはUltimate SupportのJamStands(JS-XS300)という製品で、実は単体でも販売されています。
Amazonの実売価格は3,200円くらいなので(2025年2月現在)、それほど豪華なおまけというわけでもありません。
支柱が細くて揺れる
Lianoに付いてくるキーボードスタンドは、はじめて使うX型タイプでした。
見た目はすっきりしていますがトリッキーな構造なので、強度や調整方法にくせがあります。
X型の支柱は長方形断面のスチール製で、構造的な強度はLianoを載せるのに必要最小限という印象です。
スペック上の耐荷重は45.4kgもありますが、大型キーボードを載せるのはちょっと不安な気もします。
ふつうに弾いていても結構ぐらついて、特に前後方向に大きく揺れます。
脚のパイプは長さがあるので、演奏中に倒れてきたことはさすがにありません。
そもそも折りたたみ式で完全に揺れないキーボードスタンドというのは、存在しないのかもしれません。
スタンドの重さと安定性はトレードオフなので、軽くして可搬性を上げれば、ある程度ぐらつくのは仕方ないといえます。
JamStandsのなかでも軽量タイプのJS-XS300は、Lianoの製品コンセプトと予定価格に合わせた選ばれたのでしょう。
軽さ・安さというメリットと引き換えに、多少の不安定さは許容すべきかもしれません。
組立が難しい
スタンドの組み立て方法について、日本語の説明書もちゃんとついています。
ただXバーの端部につけるパイプは、長さと向きに微妙な差があります。
何も考えずに取り付けると、前後の長さがずれたりします。
説明書をよく読むと、パイプのねじ止め部分から前後の長さが違うとわかります。
何度か組立・分解をやり直して、やっとマニュアルどおりの形に仕上がりました。
イケアの家具を組み立てるのより手間取った気がします。
スタンドは完成したものの、設計上、前後のパイプ長さに微妙なずれがあるのは気持ち悪いです。
スタンドを壁にぴったりつけると、ピアノが斜めになってしまいます。
ピアノ本体を壁と平行にセットするには、パイプの一端を壁から離す必要があります。
Xバーの幅のぶんだけ前後にずれている感じですが、端部をそろえるデザインにはできなかったのでしょうか。
X型の支柱から同じ長さだけ脚パイプが伸びているほうが、安定することは間違いないです。
ただし前後に数センチ長さを変えたとしても、強度に問題はないと思います。
X型スタンドの欠点
椅子に座ってLianoを弾いてみると、X型スタンドが足に当たって収まりが悪いと気づきました。
演奏不可能ではないですが、鍵盤からやや離して椅子をセットするか、股を開いて座る必要あります。
似た構造のZ型やH型のキーボードスタンドもX型と同様、横材が足に干渉するおそれがあります。
オットマンに足を乗せて、だらけた姿勢で弾いたりする自由度はありません。
その点では、昔持っていたコの字型スタンドのほうが便利でした。
スタンドの幅も足の長さも個別に調整できて、さまざまな鍵盤数に対応することもできます。
自宅で椅子に座って弾くことが多いなら、多少値が張っても「コの字型スタンド」をおすすめします。
同じくUltimateのJamStandsシリーズから選ぶなら、型番JS-MPS1という製品が販売されています。
Lianoに付いてきたX型スタンドも使えないことはないとはいえ、せいぜい3千円程度のおまけです。
もしスタンドなしのモデル(L1)を安く買えるなら、使い勝手のいい別の製品と組み合わせるのもありです。
高さ調整できない?
JS-XS300のカタログによると、高さの調整範囲は640~959mmとされています。
スタンドの中央部に連結バーがあり、ここの大型ノブを回せして外せば、工具なしで高さを調整できます。
ただスタンドはLianoの底面と金具で連結するようになっています。
そしてLiano側のネジ穴が一組ずつしかないため、実質的には「高さ固定」で使う設計になっています。
このデフォルト設定だと、床から鍵盤の上面まで約76.5cmの高さになります。
日本向けのテーブル、デスクは、天板の高さがだいたい70cmになっているので、それよりかなり高いです。
座面の高さ43cm程度のダイニングチェアを合わせると、鍵盤が高すぎてきゅうくつでした。
作業面との差尺が短いせいか、長時間弾いていると肩が疲れたり、お腹が痛くなったりします。
また76.5cmの鍵盤高さだと、大人が立って弾くにも低すぎる感じです。
普通の椅子にも立奏にも合わせにくい、中途半端な高さという印象です。
ピアノに合わせる椅子
Lianoにあわせて椅子の上にクッションを重ねれば、シートの高さを調整できます。
ただ座面がフワフワしていると、安定した姿勢を保てず演奏しにくい気がします。
安価なLianoには高級ピアノのように、高さ調整できる椅子までは付いてきません。
中途半端な高さのスタンドに合わせるため、昇降機能のついたデスクチェアもしくはスツールを使うという手もあります。
昇降スツールの使用感
ピアノの練習用も兼ねて、サンワサプライのコンパクトなスツール(型番 SNC-T134BKN)を買ってみました。
これで座面を上げて、リラックスした姿勢で弾けるようになりました。
ただクッションが厚くて快適な反面、演奏するにはやや不安定な椅子です。
またキャスター付きなので演奏中、弾いているパートに合わせて左右に動けるのは便利です。
しかし椅子がぐらぐらするという点では、かえって落ち着かない気がします。
ためしに大型のデスクチェアをピアノに合わせてみました。
イトーキのActというそこそこ高級なメッシュチェアで、ひじ掛けの可動範囲が大きいため、演奏のさまたげになりにくいです。
快適性は抜群ですが、弾いているときは背もたれやアームを使わず邪魔なだけです。
また座面のクッションが厚く、キャスター付きで動くという面では、昇降スツールと同様に不安定な印象を受けました。
ピアノ専用椅子の利点
やはりピアノやエレクトーンに付いてくる幅広の固定椅子が、楽器演奏には最適なのだろうと思います。
座面が広いので座る場所の自由度が高く、普通の固定脚でぶれずに安定します。
快適性と作業性を両立させるなら、はじめからピアノ専用の椅子を買ったほうが早かったかもしれません。
ピアノ椅子にもX型で高さ調整できるタイプが存在します。
4本足の普通のチェアより価格も安いです。