「88鍵のフルサイズで、スタンド付き3万円台」という破格の電子ピアノLianoを買ってみました。
音色は8つだけで余計な機能もないため、練習に集中できます。
サイズはコンパクトで重量も6kgと控えめ、鍵盤はキーボードやシンセサイザー並みに軽いのが特徴です。
88鍵にしては、とにかく価格が安いので、「電子ピアノに興味があるけど、長続きするかわからない…」という自信のないかたに向いていると思います。
ヤマハMX49の反省
Lianoを買う前は、ヤマハのMX49というシンセサイザーを使っていました。
機能満載で音色やエフェクトも多いうえ、コンパクトで軽いところが気に入って購入したものです。
購入したのは今から8年ほど前ですが、中古で3万円くらいと安く手に入りました。
当時は都心の狭い賃貸住宅に住んでいたので、サイズが小さいキーボードは重宝しました。
普段は押入れにしまっておいて、使うときだけ机のうえに出すという感じで利用していました。
49鍵は少なすぎる
省スペースなのはよかったのですが、いかんせん鍵盤数が49というは少なすぎました。
ちょっとした曲を弾こうとすると、すぐに鍵盤が足りなくなってストレスがたまります。
MX49はピアノの練習用というよりは、コンパクトな音づくりの道具…
せいぜい片手で弾く、ライブ用のサブキーボードという位置づけだったのかもしれません。
多機能は使いこなせない
MX49には本格的なシンセサイザーらしく、音色やエフェクトがたくさん用意されていました。
つまみやボタンはたくさんあるのですが、そもそも音づくりの原理がわかっていないので、適当にいじっても狙った効果を出せなかったのが残念です。
高級シンセを使いこなすには、それなりに勉強が必要そうです。
自分は別にライブで演奏するとか、作曲に興味があるわけでもありません。
単に趣味でピアノを弾きたいだけなら、高機能のMX49はオーバースペックなうえ、鍵盤が足りず中途半端でした。
自転車やロードバイクも趣味のひとつですが、パーツの改造にこだわるより、早く外に漕ぎに行きたいという性格…
キーボードも同様に、DTMではなくあくまで演奏を楽しみたいなら、複雑な機能は必要ない気がしました。
音色は少なくてよい
ふだん弾くのはピアノやオルガンが中心です。
練習に専念するならエフェクトもリバーブも必要なく、シンプルで聞き取りやすい音色がいちばんと思います。
安いカシオトーンでも100以上の音色があったりしますが、ギターやバイオリン、木管・金管楽器など使う機会はまれです。
ましてやパーカッションやドラムキットなど、何に使ったらいいのかわからないくらいです。
下手に音色が多すぎると、いろんな音を出すので遊んでしまい、演奏に集中できなくなります。
レイヤーやスプリット機能までいじりはじめると、泥沼にはまります。
あくまで練習目的でピアノを選ぶなら、音色の数は最低限でいいと思います。
基本のピアノ、それからエレクトリックピアノとオルガンがそれぞれ数種類選べたら十分です。
高度な機能を使いこなせなかったMX49は、あきらかに宝の持ち腐れでした…
そのうちほとんど使わなくなってしまったので、引っ越しを機に中古で売ってしまいました。
とりあえずコンパクトな49鍵を試してみるだけなら、1万円以下で買える通常サイズ鍵盤の最安製品、CTK-240あたりで十分だった気がします。
Lianoを買った理由
MX49の前はヤマハのPSRシリーズや、鈴木楽器のハモンドオルガンを使っていました。
いずれも鍵盤の数は61でしたが、さほど困ることはなかった記憶があります。
ただ49鍵で苦労した反動か、次は88鍵を試してみたくなりました。
地方に引っ越して家が広くなり、「フルサイズの鍵盤でも置ける余裕ができた」という事情もあります。
ピアノは鍵盤が重い
88鍵のキーボードは「電子ピアノ」というカテゴリーが中心になります。
ピアノは子どものレッスン向けに手堅い需要があるのか、入門用からハイエンドまで、各メーカーからさまざまな製品が販売されています。
キーボードやシンセサイザーより種類も機能も豊富で、鍵盤や音源のグレードもまちまちです。
楽器店で実機を触らせてもらうと、5万円以上の製品からは鍵盤のタッチがピアノに似ているとわかりました。
価格が高くなるほど鍵盤の構造が複雑かつ大型になって、よりリアルなピアノの感触に近づくようです。
エスケープメントのクリック感などもおもしろいですが、重すぎる鍵盤は指が疲れそうに感じました。
昔は鍵盤の軽いエレクトーンを弾いていたので、ピアノの重い鍵盤やタッチレスポンスに抵抗感があります。
MX49の反省もふまえて「88鍵、単純機能、軽い鍵盤」…と条件を絞っていったら、候補の製品が見えてきました。
予算3万円のピアノ選び
せっかく高いのを買ってもまたすぐ飽きるかもしれないので、予算は3万円程度とかなり控えめに設定してみました。
この価格帯で88鍵となると、候補はローランドのGO:PIANO88か、コルグのLianoあたりに絞られます。
さらに4万円台まで出せるなら、カシオのCDP-S110やS160といったピアノタッチの廉価機種も選択肢に入ります。
CDPシリーズはハンマーアクション機構搭載の最安価格帯ですが、音源など他のスペックはかなり削られています。
重い鍵盤も興味はあるのですが、違和感なく弾けそうな軽めの打鍵感を優先してCDPは候補から外しました。
ローランドは鍵盤が重い
GO:PIANO88は重量7kgとフルサイズにしては軽めの部類で、Bluetooth機能が付いているのが特徴です。
ただし音色数は4種類と本当に最低限で、「ピアノ、Eピアノ、オルガン、ストリングス」の各1音色ずつしかありません。
かなり尖った設計でおもしろいですが、GO:PIANOは鍵盤のバネが重く感じました。
ヤマハのピアジェーロも個人的には鍵盤がヘビーに感じるのですが、ローランドはそれ以上です。
GO:PIANOとLianoと比べれば、パソコン用キーボードの黒軸と赤軸(チェリーMXスイッチ)くらいの違いがあるように思います。
最低限の音色数
コルグのLianoも88鍵あり、重量はGO:PIANO88よりさらに軽く6kgです。
Bluetooth機能は省略されていますが、USB端子は付いています。
音色は決して多くはないものの、GO:PIANOの2倍となる8種類内蔵されています。
ピアノ、エレピ、オルガンがそれぞれ2種類ずつ用意されていて、特にパイプオルガンと電子オルガンの音色が両方入っているのはうれしいです。
「音色は少なくてよい」と思っていたのですが、さすがにGO:PIANOの4種類は少なすぎました。
Lianoの8音色はメリハリの効いたセレクションで、せめてこのくらいは欲しかったという理想形です。
スタンド込みが決め手
またLiano購入の決め手となったのは、3万円台の実売価格でスタンドも含まれているという点です。
Lianoは型番L1が本体のみ、L1SPがスタンド込みという設定になっています。
MX49は軽くコンパクトだったので専用スタンドを買わず、使うときだけ机のうえに乗せて弾いていました。
しかし88鍵の特大サイズだと、それほど重くないLianoとはいえ、毎回テーブルに上げ下げするのは大変そうです。
どのみちスタンドを買い足すならピアノとセットのほうが手間も省けて、「他社製品だと相性が悪いかも…」といった懸念も回避できそうです。
Bluetoothがないのは妥協しましたが、「適度な音色数、スタンド付き」といった魅力にひかれてLianoを選びました。
最大同時発音数も120(※音色によって異なります)とそこそこ多いので、演奏中に困ることはなさそうです。
2023年に楽天市場の最安店舗で注文した際は、3.6万円くらいの価格でした。
ポイント10倍キャンペーンなどのタイミングで買うと、ポイント還元も含めて実質的には2万円台で手に入った感じです。