ヤマハの木製電子ピアノTORCHが気になる

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椅子のこだわり

TORCHの椅子も本体と同じく板材と金属棒の構造になっていて、統一感があります。
KIYOLAでカリモクが製造する椅子と違い、こちらは昇降機能が付いているのが特徴です。

内部の金物や高さ調整用のダイヤルは、本体と同じカラーで仕上げられています。
木製かプラスチックかわかりませんが、大型のノブもつい触ってみたくなりそうな魅力をそなえています。

TORCHの前身とおぼしき「サステナブルキーボード」のプロトタイプは、ヤマハが1930年代に作っていた折りたたみ式の山葉文化椅子を参照しているようです。

文化椅子と同じくX型の木製フレームで構成されたピアノ椅子のスケッチも公開されていますが、製品版ではよりシンプルな構造が採用されています。
椅子もピアノ本体と似通った外観にして、昇降メカの部分を横材で隠したかったのかもしれません。

ヒノキ由来の材料

椅子の座面には「ヒノキ由来の材料を使用」と書かれています。

写真を拡大してみると、椅子のシートはクッション入りの茶色い革張りに見えます。
説明がないので、本革か人工皮革か、ビニールレザーのような安い素材かはわかりません。

座面内部のクッションにヒノキのチップやおが屑、かんな屑が使われているのか…
それともヒノキの精油で香りがつけられているだけなのか…

「ヒノキ由来」という表現から、ヒノキそのものではなく二次的な副原料、間接的な用法と想像されますが、詳細は不明です。

ともかくヒノキを使っているということで、フィトンチッドのアロマ成分を感じられるのではないかと期待できます。
森林浴のように、森のなかでピアノを演奏しているような気分になれれば素晴らしいです。

TORCHのコンセプト動画も、森のなかにピアノがたたずんでいるラストシーンは印象に残りました。
まさに『ピアノの森』です。

抽選について

これだけスペシャルな仕様のTORCHは、わずか20台の限定発売というきわめて希少な商品です。

高倍率を予想

セーラーの創業周年万年筆などもレアですが、さすがに大手メーカーの商品として100本以上はリリースされます。
たった20台しかないコンセプトモデルなら、最初からオークションにかけたほうがよさそうな気もします。

これだけ知名度のあるメーカーで、商品に話題性もあり、さらにユーザーが全世界にいることを考えると、抽選販売は相当な倍率になりそうな予感がします。
本気で欲しい人は、家族や知り合いもエントリーに動員して勝率を上げてくるのではないでしょうか。

ターゲット顧客

メインのターゲットはピアノや木管楽器の演奏者というよりも、インテリアやオブジェとしてピアノを愛でたいコレクター的な人種かもしれません。

北欧テイストの木製家具が好きな人や、野原工芸・工房楔など木軸ペンの愛好家にも興味をもってもらえそうです。

ボフオ
ボフオ

しーさーさんにレビューしてほしい

TORCHの鍵盤は木粉を練り込んだ特殊素材なので、木製とはいえ普通のピアノの鍵盤とは質感が異なる可能性があります。
ピアノのレッスンを受けていて、自宅での練習用に生ピアノと同等の使用感を求めているなら、避けたほうがよいかもしれません。

ある意味、まともなピアニストからはキワモノ扱いされそうな、珍商品とも考えられます。
希少で高価とはいえ中身は電子ピアノなので、アコースティックピアノとは別種の楽器です。

ただし見た目のインパクトは絶大なので、実際に演奏するより展示目的で購入されるかたが多いかもしれません。
高級マンションのショールームや住宅展示場、おしゃれなオフィスの演出用としても需要がありそうです。

予算100万円

TORCHの価格は99万と、誰でも買える金額ではありません。
送料も含めると100万円を超えるかもしれません。

材料代も製造原価も不明な一点物というイメージなので、適正価格なのかどうかわからないです。
定価はぎりぎり100万以下というきりのいい金額ですが、その2~3倍しても違和感のない圧倒的な存在感があります。

とはいえ同等スペックのクラビノーバやアリウスなら、TORCHの半額以下で買えるというのも事実…
本物のアコースティックピアノと同様の木製鍵盤を搭載した上位のアバングランドシリーズも、N1XNU1XAなら予算100万以下で手に入ります。

もう数十万追加すれば、グランドピアノの最安GB1Kや、アップライトピアノのミドルグレードYU33も視野に入るレベルです。
ピアノを演奏のための道具と考えれば、外見より中身に投資したほうが有意義かもしれません。

初心者がおいそれと手を出せる価格でもないですが、素材の特殊性と限定品の希少さもあいまって、有無を言わさぬ魅力があるのも事実といえます。

保証期間は1年

冷静に考えればTORCHはかなり趣味性の高いアイテムです。

木の粉を練って固めた鍵盤というのもまだ実験段階で、10年、20年…と長く使える耐久性が実証されているわけではありません。

保証期間はヤマハの他製品と同じく、購入から1年間です。
内部は精密機器で、鍵盤や操作ボタンといった可動部もあるので仕方ないですが、高価な木製家具としては保証が薄く感じます。
(たとえば飛騨高山の大手家具メーカーは10年保証)

経年変化が楽しみな素材とはいいつつも故障がこわく、観賞用のオブジェとして邸宅に飾っておくほうが無難な気もします。

会員登録が必要

応募条件としてはヤマハミュージックメンバーズの会員登録が必須で、対象者は日本国内在住、納入先も国内のみとなっています。
商品価格とは別に、運送費もかかります。

いちおう転売目的の購入は禁止されていますが、使い込まれた中古品でも将来プレミアム価格で取引されそうな気がします。
ただ数も少ない特殊な商品なので相場もわからず、買取業者に適正価格で引き取ってもらえるかは不明です。

これだけ語りどころのあるレア商品なので、できれば長年愛用してもらえるヤマハファンの手元に届いてほしいと思います。

店頭展示もあり

ひとまず抽選に申し込む前に、鍵盤に触ったりして全体の質感を確かめてみたいです。
TORCHはレア商品ながら、ヤマハ店舗と蔦屋書店を含めた以下の6店舗に展示されているようです。

  • ヤマハ銀座店
  • Yamaha Sound Crossing Shibuya
  • ヤマハミュージック 横浜みなとみらい
  • ヤマハミュージック 名古屋店
  • ヤマハミュージック 大阪なんば店
  • 代官山 蔦屋書店

このうち代官山のツタヤのみ3月1日からの公開なのでご注意ください。

名古屋店では2/5~3/24に「楽器の木」展が行われていて、先代のサステナブルキーボードも試奏できるようです。

参考 「楽器の木」展ヤマハミュージック 名古屋店

銀座店の展示も好評だったようで、3/30まで会期延長されています。
両店舗でTORCHとサステナブルキーボードの弾き比べができたら、おもしろそうです。

首都圏・名古屋・大阪の大都市でしか見られないのが残念ですが、もし近くに出張できるタイミングがあったら、実機を体験してみたいと思います。

続編に期待

趣のあるインテリアピアノは、無機質な型番ではなく愛称(ペットネーム)があればいいと考えていました。

ローランドのKIYOLA(きよら)が好例でしたが、ヤマハの新商品もTORCH(トーチ)という印象的なブランド名がつけられています。
「松明、灯(ともしび)」といった意味あいのとおり、なにか今後の鍵盤楽器が向かっていく方向性のようなものを感じられます。

型番はT01(ティーゼロワン)と、今後の続編も期待できそうなナンバリングになっています。
T02、T03…と、グラナディラ以外の樹種やデザインを変えて、新商品も出してくれるとおもしろいです。
マルニ木工のジャスパー・モリソン設計T&O(T1チェア、T2バースツール…)のように、シリーズ化できそうな可能性を感じます。

ウッディーな外観は電子ピアノ以外のキーボード製品、特にオルガンとの相性がよさそうです。
ステージキーボードのYCシリーズや、エレクトーンにもグラナディラの黒鍵盤バージョンが出たら、爆売れするのではないでしょうか。

もともと木製のグランドタッチ鍵盤でなければ、グラナディラ材への換装は難しいかもしれませんが…
ドローバーが売りのシンセなら、パネルがMDFのオイル仕上げになるだけでもレトロなハモンドオルガンみたいに見えて、雰囲気がぐっと良くなる予感がします。

まとめ

YAMAHAの新製品、TORCH(トーチ)の特徴について調べてみました。

これまでは外観や木の素材感にこだわったインテリアピアノといえば、チッペンデール様式の猫足仕様が主流でした。
ヤマハもアップライトピアノのbシリーズや、サイレントピアノのYFシリーズなどで、クラシカルな外観の別バージョンを展開しています。

ピアノを弾く犬 ローランドのKIYOLAとインテリアピアノ

KIYOLAのライバル

そんななか2015年に発売されたローランド&カリモクのKIYOLAは、直線的なモダンデザインでオークやウォールナットの無垢材を多用した、革新的な電子ピアノでした。
北欧インテリアの流行など、家具業界のトレンドをおさえた興味深い製品といえます。

今回ヤマハが打ち出したTORCHという新製品は、KIYOLAを意識しつつも素材や製法に工夫を加えたライバル機種といえそうです。
しかしTORCHは価格が2倍以上する少量生産のプロトタイプで、楽器というより工芸品に近い印象です。

TORCHが話題になったら、ぜひ廉価版の量産シリーズも展開してほしいです。
さすがにグラナディラは高そうなので、圧縮した国産杉材や間伐材を有効活用すればコストダウンを図れるうえ、環境への配慮をさらにアピールできると思います。

高山ウッドワークスの椅子のように、「白鍵=オーク、黒鍵=ウォールナット」の2トーンにしたら、おしゃれなピアノに仕上がりそうですね。
さらに自分で樹種を選んで鍵盤をカスタムできたら、めちゃくちゃうれしいです

歴史に残る名機

TORCHは電子ピアノの名機として、すでに各種デザイン賞やMOMA収蔵品の候補にも挙がっているのではないでしょうか。

見た目だけでなく、端材のリサイクルという観点からも社会的意義の大きい製品です。
KIYOLAと同じく、審査に応募していればグッドデザイン賞&ウッドデザイン賞のダブル受賞は固いと思います。

  • 果たして4月までに100万円の購入資金を用意できるか…
  • 相当な高倍率が予想される抽選に当たることができるか…

ハードルは高いですが、もし幸運にも手に入れることができたら、孫の代まで長年使い続けてエイジングを味わってみたいと思います。
抽選販売の新品以外に展示中古品でもかまわないので、モニターキャンペーンなどで実際に触れられる機会があれば、ぜひ検討してみたいです。

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