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Lianoのサイズと鍵盤
通販サイトから届いたLianoの外箱を見ると、製造元はベトナムになっています。
コルグのRH3鍵盤搭載モデルは日本製なのが売りですが、廉価なLianoはさすがに海外製だったようです。
軽いが大きい
はじめて所有した88鍵盤の電子ピアノは、想像以上に横幅が大きかったです。
Lianoは幅1,282mmとコンパクトなほうらしいですが、賃貸マンションのリビングに置くとかなり圧迫感があります。
やはりピアノというのは広い戸建て住宅に住む、富裕層向けのレジャーなのだと思い知りました。
一方でLianoの重量自体は6kgと、そこまでヘビーではありません(スタンド込みだと8.4kg)。
MX49の3.8kgよりはさすがに重いですが、過去に持っていた鈴木楽器のハモンドオルガンXK-2(61鍵なのに18.5kgもあった…)に比べると余裕の軽さです。
ペダル・脚付きの高級電子ピアノになると、重さはたいてい30kg以上あります。
「ひとりでも運べるように…」といったニーズに合わせて、こうしたスタンド分離式のポータブル電子ピアノが販売されているのでしょう。
Lianoも軽いほうとはいえ、横幅1m以上あるので、ひんぱんに上げ下げするのは危険です。
「使うときだけ机のうえに出す」といった利用法は難しく、基本的にはスタンド上に固定設置することになります。
Liano付属のX型スタンドはUltimate SuportのJamStands、JS-XS300という製品です。
値段相応に簡素なスタンドでよく揺れますが、Lianoを載せるうえではそれほど問題ありません。
このスタンドは高さの調整方法にくせがあります。
試行錯誤したプロセスを別の記事にまとめました。
88鍵の使用感
購入前の期待どおり、どんな曲を弾いても鍵盤が足りなくなることはなく、ストレスが減りました。
低音域が拡張されるので、バンド用のスコアを見ながら、ベースのパートを左手で担当できたりします。
特にE.ORGANは低音の「ボスッ」という音がベースそっくりです。
少ない鍵盤数でもスプリット機能を使えば同じことができますが、曲ごとに設定を切り替えるのが面倒です。
88鍵なら、わずらわしい小細工なしに、いきなり極低音を出せるのが魅力といえます。
最低音~最高音のオクターブまで使う曲にはまだ出会っていないものの、ピアノやパイプオルガンの重低音と、高音のキラキラした音は気持ちいいです。
ただ選ぶ音色によっては、両端の鍵盤がほとんど判別不能なノイズにしか聞こえないものもあります。
ライトなLS鍵盤
LianoのLS鍵盤は、KORGのKRONOS LSというキーボード(価格25万円くらい)から引き継がれています。
KRONOS LS自体が従来機種より軽い鍵盤を採用していたらしく、Lianoも電子ピアノの分野では最軽量といえる打鍵感です。
ハンマーアクションではないものの、価格差10倍くらいある高級シンセKRONOSと鍵盤が共通なのは、なんとなくお得感があります。
バネ式鍵盤は製造コストがたいしてかからないのかもしれませんが…
鍵盤の見た目は箱型でピアノっぽく、タッチ・コントロールで強弱もつけられます。
指で押さえた感触はフワフワなので、オルガンのグリッサンドも楽にこなせるほどです。
エレクトーンやキーボードに慣れた人なら、違和感なく使えそうです。
フルサイズの極軽鍵盤というのも、案外めずらしい気がします。
逆にピアノの練習用としては感触が違いすぎるので、まったくおすすめしません。
廉価帯でも鍵盤にリアルな重みがある、ヤマハPシリーズ、ローランドFPシリーズなどを選んだほうが後悔しないと思います。
ストイックな練習機材
Lianoは機能や音色が少なく、人によっては物足りなく感じられそうです。
しかし個人的には余計なオプションがないことで、「練習に集中できる」という積極的なメリットを感じました。
音色選択もダイヤル式なので、前回の設定を見た目そのままに保持できます。
電源をオンオフして演奏を再開しても、すぐに弾きはじめられるのが便利です。
簡素な操作パネル
Lianoの操作パネルは値段相応に素っ気ないです。
LEDランプが点くのは電源ボタンのみで、液晶パネルもありません。
スイッチやダイヤルも安っぽいプラスチックで、明らかにコストを削った感があります。
見た目は貧相ですが、実際に触ってみると耐久性は問題なさそうです。
余計なボタンがなくパネル上の凹凸が少ないので、ほこりがたまりにくく掃除も楽です。
鍵盤メニューがない
Lianoでは「REVERBとMETRONOMEボタンの同時押し」がファンクションキーに相当します。
しかし物理ボタンを組み合わせて使う、鍵盤上部の機能表示が大胆に省略されています。
そのため2つのボタンを押したあと、次にどの鍵盤を押せば目的の設定が変更できるのかは、説明書を見なければわかりません。
あまりに不親切すぎて、ユーザーインタフェースとしてはかなり割り切った設計です。
パソコン用キーボードのHHKBでも、キートップに印字がない「無刻印」もモデルが販売されています。
こちらは「ブラインドタッチを完璧にこなせるプロ用製品」という位置づけですが、Lianoも初心者向けといいつつ、玄人好みの無記名仕様になっています。
とはいえ実際はタッチ強度やピッチ調整など、初期設定で満足ならわざわざいじる必要はありません。
トランスポーズやメトロノームも自分は使わないですし、デモソングも一度聴けば十分です。
「余計な機能は使わず、とにかく演奏に集中したい」というユーザーのために、あえてメニューの印字まで省いたように思われます。
見た目がすっきりしてパネルへの印刷費用もかからず、一石二鳥といえます。
音色選択がダイヤル式
ボリュームだけでなく、音色選択もダイヤル式のキーボードは初めて見ました。
見た目は武骨ですが、ダイヤルが大きくてつかみやすく、非常に実用的だと感じます。
音色が無数にあるキーボードは、ボタンをいくつか組み合わせて選ぶタイプが主流です。
目的の音色にたどりつくまえ上下ボタンを押し続ける必要があったりして、必ずしも便利とはいえません。
ヤマハのP-145、カワイのES60といったシンプルな電子ピアノは、FUNCTIONやSOUNDボタンを押しながら鍵盤で音色を選ぶ方式です。
これも両手で操作する必要があり、ダイヤル式の簡便さにはかないません。
Lianoのダイヤルは「音色が8つしかない」という制約を逆手に取った、すばらしいデザインだと思います。
音色の名前もパネルに直接プリントされているので、迷うことなく操作できます。
ほかの家族やゲストに演奏してもらう場合も、説明なしで選んでもらえるメリットがあります。
強いて欠点を挙げるとしたら、ピアノからストリングスに切り替える場合などは、ダイヤルを端から端まで思い切り回さなければなりません。
あまりぐりぐりと負荷をかけると壊れないか心配ですが、今のところ不具合は出ていません。
厳選された8音色
Lianoに搭載された音源は、ピアノとエレピが2種類、オルガンもチャーチとハモンドっぽい音色の2種類、そしてハープシコードとストリングスという厳選された8種類です。
ピアノ系は派手めとおとなしめの2種類が対になっているので、曲に合わせて雰囲気を変えられます。
エレピもオルガンもよく聴く代表的な音色が選ばれていて、数は少なくても融通が効きそうです。
個人的にはハープシコードとストリングスを省いて、オルガンの音色を増やしてほしかったです。
スマホのアプリから自由に音色を選択したうえ、物理ダイヤルにプリセットできたりすれば、さらによかったと思います。
リバーブとコーラス
リバーブとコーラスは細かいパラメーターや段階調整ができず、オン/オフの切り替えしかありません。
デフォルトでは全音色のリバーブが有効化されているようです。
残響を消したければ、明示的にREVERBボタンを押す必要があります。
パイプオルガンなどは、リバーブを切ると劇的に地味な雰囲気に変わります。
唯一搭載されたエフェクトのコーラスは、「リバーブ・メトロノーム同時押し→鍵盤押下」の二段階操作で切り替えできます。
コーラスのオンオフは面倒ですが、もともと各音色の最適な設定にプリセットされているそうです。
よほど音質にこだわりがなければ、わざわざ変更しなくてよいかと思います。
いろいろ試してみたところ、ピアノの2音色はデフォルトでコーラスが無効化されているようです。
有効化するとビブラートが効いて、若干エレピのような音に変わります。
ピアノについてはたまの気分転換に、コーラスをかけて音色をアレンジしてみるのもよさそうです。