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島村楽器のBORA
Amazonや島村楽器のオンラインストアを検索していると、国内五大ブランドではない海外製の電子ピアノも出てきます。
なかでも最安クラスなのが、BORA SBX2という製品です。
1万円台の88鍵
BORA SBX2は島村楽器のオリジナルモデルです。
実売価格1万円台で購入できて、88鍵の電子ピアノとしてはLianoを超える最安商品といえます。
ネット通販なら楽天市場の島村楽器店か、Amazonでも購入できます。
さすがに見た目はしょぼそうですが、イヤホンとペダル、譜面台、キャリングバッグまで付いてくるなど付属品が豪華です。
日本語の説明書もちゃんとあり、1年保証とうたわれています。
気になる鍵盤は「強弱表現ができる」とだけ書かれています。
構造的な説明がないので、おそらく安価なバネ式スイッチかと思われます。
またスピーカーが付いているのはもちろんのこと、音色が128、デモソングも21曲内蔵されています。
さらに鍵盤を1つ押すと和音が再生される自動伴奏機能や、録音機能までそなえています。
おまけに入出力端子も豊富で、L/Rステレオ出力できるほか、「MP3」と書かれた音声入力端子が存在します。
文字通りMP3のフォーマットにしか対応しないのか謎ですが、鍵盤の音と重ねて練習できるなら便利です。
バッテリー内蔵で4.5kg
変わった機能として、ピアノ本体にバッテリーが内蔵されています。
そのため乾電池なしで野外演奏できるうえ、電池交換せず充電も簡単に済ませられます。
電子ピアノを動かすほど大容量のバッテリー(1750mAh)を載せていたら重くなりそうですが、本体重量はわずか4.5kgしかありません。
スペック表の誤植でなければ、Lianoの6kgを下まわる驚異的な軽量製品といえます。
スタンドが付いていない以外は、すべての機能がコルグLianoを超えています。
もしLianoより先にBORA SBX2を見つけていたら、こちらを買っていたと思います。
BORAといえばカンパニョーロのカーボンホイール、30万円以上する憧れのパーツを連想します。
電子ピアノのボーラは反対の格安路線ですが、88鍵多機能ピアノとしては史上最強のコスパを誇るユニークな商品です。
わりと安いMEDELI
88鍵かつハンマーアクションを搭載しながら、3万円台で売られているMEDELI SP201も格安ピアノのひとつです。
台湾の自転車メーカー「メリダ(MERIDA)」と名前が似ているせいか、なんとなくリーズナブルな印象を受けます。
3万円台のMEDELI SP201
音色は30、同時発音数は192もあり、リズム40、デモソング100曲と内蔵機能は豊富で、レイヤー/スプリットもできます。
Bluetoothは非対応ながら、USB type-B端子でオーディオ/MIDIに対応し、AUX INもそなえています。
低価格商品ながら拡張性もあり、ST430という別売り専用スタンドも用意されています。
3本ペダルを追加できるうえ、見た目が据え置き型のようにすっきり安定するのもメリットです。
鍵盤の「ウェイテッド・グランデッド・ハンマーアクション」というのが、他社に比べてどの程度の品質なのかは気になります。
ちなみにタッチレスポンスは5段階で調整できます。
価格と機能が好バランス
メデリがおもしろいのは、「日本の電子楽器メーカー出身の製品企画担当者がプロデュース」したという背景です。
さすがに日本製ではなさそうですが、国内の電子ピアノ市場を意識して練り込まれたスペックといえます。
日本語のウェブサイトもちゃんと準備されています。
(2025年2月現在、MEDELIの製品情報にはデジタルドラムとアンプの紹介しかありません)
参考
MEDELI 電子ピアノ SP201 は、外観、機能、操作性や音質に至る全ての工程を、日本の電子楽器メーカー出身の製品企画担当者がプロデュース。MEDELI
Bluetooth以外の「あったら便利」という機能をすべて盛り込んで、3万円強という低価格に落とし込んだところは評価できます。
Lianoを買う前だったら、BORAとMEDELIで悩んだかもしれません。
Studiologicの沼
海外メーカーでやや高級なスタジオロジックのステージピアノ、Numa Compact 2も比較的リーズナブルに購入できます。
88鍵で6万円台の製品ですが、気になる鍵盤仕様は「TP/9 Piano semi weighted」と書かれています。
この価格帯と「Dual Switch Detection System、アフタータッチ」という説明からして、さすがにハンマーアクション機構ではないかと想像できます。
音色は88、同時発音数は128と標準的ですが、エフェクトはコーラス、リバーブ以外にフェイザー、フランジャー、ロータリーやトレモロと多彩に用意されています。
ファームウェアの更新で音色を増やせるというのも魅力的なオプションです。
スピーカー内蔵ながら7.1kgと軽量なので、ライブや練習に持ち運びやすいのもメリットといえます。
Bluetoothこそ付いていませんが、USBやMIDIの入出力は可能です。
Numa SEとXの違い
Numa Compactの上位モデルSEも、ぎりぎり10万円以内で購入できます。
SEは通常版と同じ重量7.1kgながら、おもに音源が強化されているようです(音色は148)。
SEの鍵盤は「TP-9P」で、Numa Compactの「TP/9」とは微妙に違うようです。
性能は不明ですが、鍵盤がアイボリー色になっているのがわかりやすい特徴です。
日にあたって退色したプラスチックのようで、見た目がヴィンテージ感のある鍵盤です。
蛍光灯のブルーライトを反射しにくそうなので、夜間の練習にも適しているかと思います。
Numa Compactのシリーズで「2x」「X SE」とつく機種は、パネルにドローバーが搭載されています。
上位機種のNuma X Pianoとまぎらわしいですが、音色も若干増えていたりします(Numa Compact 2xで100音色)。
ハモンドオルガンのドローバーというよりは、スライダー式のスイッチのようで、狭い上部パネルにコンパクトに収まっています。
電子ピアノの細身のボディで、オルガンサウンドもリアルタイムに制御できる魅力的な設計です。
高価で場所をとる上下2段の鍵盤よりも、88鍵ですっきりさせたいオルガニストに適しているかもしれません。
ピアノもオルガンもシンセも弾きこなしたいという、欲張りな人に向いています。
オルガン沼
もっともスタジオロジックにはNuma Organ 2というオルガン専用機もあり、こちらのほうがドローバーのつくりは本格的です。
ただし61+12=73鍵と鍵盤の数が少ないうえ、ほとんどオルガンの音しか出せないようです。
その代わりトーンホイールやエフェクトの再現性はクオリティーが高そうで、レスリー・スピーカーに接続するための端子までついています。
鍵盤は「TP/8O (Organ Waterfall)」と明記されているので、オルガン向けの軽いバージョンと推測されます。
電子ピアノに比べて電子オルガンの選択肢は少ないので、Numa Organ 2もいつかどこかで試してみたい製品です。
鍵盤OEMのFATAR
スタジオロジックはイタリアのFATAR(ファタール)手がける独自ブランドです。
ファタールがどんな会社かというのは、イケベ楽器の関連サイトにある訪問レポートが参考になりました。
参考
イタリア・FATAR/Studiologic本社訪問レポートイケベ デジタルタワー
ファタールは鍵盤のOEMメーカーで、日本国内でもローランドやコルグ、カワイなどにパーツを提供しているそうです。
どのモデルやグレードなのかは不明ですが、上記のサイトによると樹脂製鍵盤をおもに扱っているようです。
自転車業界で「OEMメーカーの自社ブランド」といえば、台湾のNOVATECあたりを連想します。
私もここのホイールを愛用していていますが、知名度は低いながらスペックのわりに価格が安くてお得でした。
ノバテックと同様にスタジオロジックも、大手メーカーに比べて中間マージンやブランド代・広告代などを省いた分、価格が安く設定されている可能性はあります。
それなりの価格はするので、聞いたことのないブランドというのは不安ですが、実は知る人ぞ知る名門ブランドなのかもしれません。
Numaの語源
スタジオロジックのピアノ・オルガン製品にはNumaという名前がついています。
楽器沼を想起させる皮肉でおもしろいネーミングですが、ファタール社の近くにあるヌマーナ(Numana)というリゾート地が語源のようです。
ヌマーナはアマルフィやカプリ島ほど世界的に有名なビーチでもなく、Googleマップで見たかぎりは小さな町です。
イタリアの行楽地といえばほかにも、ポルトフィーノ(Portofino)がフェラーリやIWCの製品名に採用されています。
日本ではあまり知られていないリゾート地というのが、かえって海外セレブ御用達のラグジュアリー感を連想させておもしろいです。
静岡の楽器メーカーも、「Numazu(沼津)」といった地元の地名をネーミングに採用してはどうでしょうか?
マルニ木工のHiroshimaチェアのように、世界的に大ヒットするかもしれません。