コルグの安い電子ピアノLianoを使っていると「もっと音色の数が欲しい」「重い鍵盤も試してみたい」と物足りなく感じるときがあります。
88鍵のLianoを使いこなせるようになったら、さらなる上位機種にアップグレードすることも考えています。
- 本格的なハンマーアクション鍵盤
…本物のピアノに近い打鍵感 - Bluetoothでスマホと無線接続できる
…練習曲に合わせて弾いたり、外部スピーカーとしても活用できる - スタンドと分離可能なポータブルタイプ
…引っ越しや模様替えの際に、ひとりで運べる - 予算は10万円くらいまで
…高級モデルの違いを実感できるかわからない
といった観点から、候補のピアノを考えてみました。
メーカーはコルグとカシオの10万円以下、そして海外メーカーの廉価商品が中心です。
鍵盤がピアノタッチではありませんが、Liano購入時に検討した格安モデルもいちおう取り上げました。
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コスパで選ぶKORG
コルグの電子ピアノは「高くてもせいぜい10万円台」という、リーズナブルな品ぞろえが売りです(高機能のステージピアノを除く)。
今持っているLianoも88鍵、スタンド付きにもかかわらず3万円台で買えて、ずいぶんリーズナブルに感じました。
品質・機能はもとより価格最優先で電子ピアノを選ぶなら、コルグは真っ先に検討すべきメーカーです。
カラバリに特徴あり
コルグのピアノは機種によってカラーバリエーションが充実しています。
特に売れ筋らしきC1 Airはカラフルで、標準のブラック以外に木目調の黒や茶色、ホワイトやレッドと、奇抜な色が用意されています。
据え置き型で白いピアノは他にもありますが、真っ赤な筐体は唯一無二の存在です。
Lianoもいつの間にかブラック以外に、ブルー、レッド、シルバー、グレー、ホワイトと5種類も色が増えていました。
白以外はメタリック塗装で、バンドのライブやステージでの見栄えを意識したカラーリングかもしれません。
88鍵にしては6kgと軽いLianoなら、外に持ち運んで人前で演奏することも可能だと思います。
コルグは過去にもLP-380という機種で、135通りのカラーバリエーションというカスタムサービスを提供していました。
基本カラーは8つですが、パーツごとに色を選んで組み合わせられるというアイデアは、ピアノ業界でほかに見たことがありません。
参考
LP-380に135のカラー・バリエーションから選べる「Custom Color Order System」新登場。KORG
新製品のPoetryでは反対に「ウォールナット風のミドルブラウン1種類のみ」という、硬派な設定になっています。
ショパンを意識したコンセプトにレトロな茶色は似合っていますが、ツヤありブラックという高級ピアノの定番カラーを排したのは潔いといえます。
他社製品でもローランドGO:KEYSやカシオCT-S1のように、ポータブル型ならカラフルなキーボードは存在します。
カシオはPX-S7000という最上位機種で、「ハーモニアマスタード」という、くすんだ黄色を用意しているところが、コルグとちょっと似ています。
ピアノにはインテリアとしての側面もあるので、好きな色を選べてよろこぶユーザー層も多いと思います。
自分も設置スペースがあって大型のピアノを買えるなら、黒ではなくナチュラルな木の色を選びたいと思っています。
予算度外視、見た目だけで据置型ピアノを選ぶなら、ローランドのKIYOLAとヤマハのTORCHを候補に考えています。
この2製品は数あるインテリアピアノのなかでも、デザイン性と素材・製法へのこだわりが異次元です。
KORGの鍵盤は3種類
Lianoの上位機種にはB2シリーズ、C1 Air、G1B Airなどがあります。
音源はステージピアノ以外すべてステレオPCMとシンプルなわりに、鍵盤は以下の3種類が用意されています。
- NT(ナチュラル・タッチ)鍵盤…B2N
- NH(ナチュラル・ウェイテッド・ハンマー・アクション)鍵盤…B2、B2SPなど
- RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)鍵盤…C1 Air、G1B Airなど
NT鍵盤はB2シリーズの廉価版B2Nにだけ搭載されていて、B2のNH鍵盤より軽いというのが気になります。
どちらも「低音から高音に向けて鍵盤が軽くなるハンマーアクション」という説明だけで、具体的な構造の違いがわかりません。
もし価格相応にLianoのLS鍵盤と同レベルなら、強いてB2シリーズに買い替える必要性はなさそうです。

LianoのLS鍵盤
RH3はコルグの最高級鍵盤で、高級シンセのKRONOSに採用されているものと同じです。
「下手なアコースティックピアノより上質」という評判もあり、せっかく買うならC1 Air以上、RH3鍵盤とBluetooth搭載モデルを選びたい気がします。
ステージピアノのSV-2もRH3鍵盤で、さらに「ベロシティ・センシティブ」と書かれています。
普通のRH3より進化したバージョンなのかもしれませんが、情報が少なく詳細はわかりません。
美山町の日本製
RH3鍵盤を搭載したコルグの上位機種は、「日本製」というのも売りです。
京都の美山町という茅葺きで有名なエリアにある、宇治電器工業の工場で生産されています。
美山町は自転車のイベントでも有名な町なので、いつか行ってみたいと思っています。
日本製にしては価格もそれほど高くないのが不思議ですが、なんとなく品質に安心感を持てます。
水や空気のきれいな場所でつくられたピアノは、音もよさそうなイメージがあります。
製品のクオリティーだけでなく、地方の経済活性や雇用促進に興味があるなら、コルグを選ぶ理由になりそうです。
Bluetooth搭載は希少
コルグ製品で名前に「Air」とつくのは、Bluetooth搭載という意味のようです。
今のところコルグの電子ピアノでBluetooth対応なのはC1 Air、G1B Airと新発売のPoetryのみになります。
B2シリーズやD1、SV-2、Grandstage Xといった高価格帯の製品にも、残念ながらBluetoothはついていません。
ポータブルタイプでBluetooth付きの機種がないのはコルグの弱点です。
B2シリーズには代わりに3.5mmジャックのAUDIO INがそなわっています。
LianoやLP-380UにもUSBの入力端子は付いています。
古いMP3プレーヤーを持っていたりして、「有線接続のほうが手軽で安心」というかたには向いているかもしれません。
変換ケーブルを用意すれば、iPhoneからUSB経由で音声を入力することもできそうです。
外部入力にはあまり関係なさそうですが、Bluetoothの無線通信には遅延が生じるデメリットもあります。
有線接続の手軽さとコストダウンの観点から、コルグはあえてミドルレンジ製品にもBluetoothを採用していないのかもしれません。
最安B2シリーズ
価格とスペックのバランスからすると、B2とC1 Airが売れ筋かと思われます。
据え置き型でLP-380U、LP-180といった機種もありますが、スペックの違いがいまいちわかりにくいです。
B2シリーズの共通スペックとして、音色数は12と少なめながらLianoの1.5倍用意されています。
Lianoと違ってAUDIO IN端子も付いています。
またB2にSTB1という別売りの専用スタンドを付ければ、据え置き固定型のように変更できます。
STB1はLiano付属JamStandsのような、見た目の安っぽさがなく、安定感もよさそうです。
B2SPの場合は、最初からスタンドと3本ペダルが付いています。
専用スタンドが別売りで、汎用のキーボードスタンドも選べるというのは親切な設定に思われます。
据置型と違って鍵盤の蓋こそないですが、見た目はすっきりしてインテリアになじみそうです。
BluetoothなしのB2は不人気なのか、Lianoとたいして変わらない3万円台まで値下がりしていました。
さらに鍵盤スペックが中途半端なB2Nは、上位モデルなのにLianoより安く売られていたりします。
いちおうハンマーアクションでピアノらしい鍵盤をそなえたB2シリーズは、電子ピアノのなかでも最安価格帯です。
ぎりぎり10万円以下でRH3鍵盤やBluetooth搭載のC1 Airも手に入りますが、価格最重視でピアノを選ぶならB2もありだと思います。
種類豊富なCASIO
カシオのキーボードといえば、「家電屋に並んでいる安いカシオトーン」というイメージでした。
しかし電子ピアノの製品ラインナップを調べてみると、実は50万円近くする木製鍵盤の本格モデルも販売していたりします。
腕時計もカシオといえば、定価2,200円のチープカシオやG-SHOCKを連想します。
しかしG-SHOCKも最近はMR-Gの登場で高価格化が進み、特別仕様の限定モデルでは100万円以上するものまであります。
なんとなく安っぽい印象だが、実は中身がすごい…
高級電子ピアノでも老舗の楽器メーカーではなく、あえてカシオを選ぶというのは通好みのチョイスといえそうです。
カシオは鍵盤も多様
カシオの電子ピアノ用鍵盤は、最安のCDPシリーズから最高級のCELVIANO Grand Hybridまで6種類に細分化されています。
ヤマハ、カワイ、ローランドといった大手楽器メーカーに匹敵するバリエーションです。
上から安い順に並べると、
- スケーリングハンマーアクション鍵盤II
- スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤
- 3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II
- スマートハイブリッドハンマーアクション鍵盤
- スケーリングハンマーアクション鍵盤 CELVIANO Edition
- ナチュラルグランドハンマーアクション
おおむね名前が長いほど高級で、本体価格も鍵盤スペックに応じて上がっていきます。
「スケーリングハンマーアクション」はバージョン2のものもあり、上位の鍵盤よりすごそうに見えたりして、まぎらわしいです。
「スマートハイブリッドハンマーアクション」から上は、鍵盤の一部に木材(スプルース材と樹脂のハイブリッド)が使われています。
最高級のGP-510BPに搭載される「ナチュラルグランドハンマーアクション」になると、白鍵・黒鍵・土台がすべて木材で、さらにグランドピアノと同じアクリル、フェノールでコーティングされています。
カワイのCAシリーズは「白鍵・黒鍵とも100%木製」を売りにしていますが、カシオはそれ以上かもしれません。
ヤマハやカワイのように生ピアノを製造していないぶん、カシオとローランドは電子ピアノの分野で、とてつもないハイエンドの製品をリリースしています。
他社より軽く、凹凸のある鍵盤
鍵盤素材の違いやセンサー数という指標はわかりやすいものの、体感的な弾き心地がどこまで違うのかは実際に触ってみないとわかりません。
店頭で弾いてみたカシオの電子ピアノは、CDPもPriviaもCelvianoも他社製品より鍵盤が軽く感じられました。
価格帯により鍵盤構造はまちまちですが、総じてローランドが一番重く、ヤマハとカワイは同じくらい…カシオだけやけに軽めのタッチに感じられました。
生ピアノの鍵盤を使ったヤマハAvantGrandもローランド並みに重かったので、本物に近づけるならこのくらいの抵抗感が必要なのかもしれません。
本格的にピアノを習った経験がないと、強弱の表現もふくめて使いこなすのは難しそうです。
カシオの鍵盤が軽いのは、カシオトーンの安価なバネ式キーボードから買い替える顧客層をターゲットにしているためと思われます。
ピアノらしくないという批判もありそうですが、「鍵盤の軽さ」でコルグLianoを選んだ身としては共感できるポイントです。
またカシオの鍵盤は表面に滑り止め用の立体的な模様が刻まれているのも、他社にはない特徴です。
メーカー側が「微細なシボ加工」と表現しているとおり、素材はプラスチックながら革製品のような凹凸があります。
ザラザラした質感で指先に汗をかいても滑りにくく、案外効果的な加工だと思いました。
「ピアノかくあるべし」という規制の概念にとらわれないカシオの開発アイデアは、個人的に評価したいです。
音源不明なCDP
カシオの電子ピアノはわかりやすい松竹梅のラインナップになっていて、「竹」ランクのPriviaが売れ筋と思われます。
「梅」に相当するCDPはピアノタッチでの88鍵あるものの、ほかの部分はかなりコストを削っている感があります。
価格のみで選ぶ顧客層をターゲットにした戦略的製品という印象です。
CDPシリーズで気になるのは音源の品質で、スペック表に具体的な記載がありません。
カシオトーンのCT-S1以上に搭載されているAiX音源でもないようです。
「カタログに説明がない」という共通点から察すると、1万円前後の最安キーボードに搭載されている謎音源と同等に思われます。
CDPは88鍵でハンマーアクションなのに、音源がカシオトーン以下?の可能性もある、ずいぶん割り切った設計です。
もっとも安いCDP-S110は3万円台から購入できて、ピアノ鍵盤としては最安ランクのコルグB2と競合します。
ただ最大同時発音数が電子ピアノにしては64と低く、コルグのLiano(発音数120)にすら劣ります。
CDP-S100、CDP-S105という亜種があって迷いますが、S100は旧製品、S105はAmazon限定品で中身は大差ないようです。
販売価格に違いがなければ、最新のS110を選べば間違いないと思われます。
CDP-S160は3本ペダルの接続端子やデュエット機能が追加されただけで、基本性能はS110と同じです。
上位モデルのCDP-S300は島村楽器の限定モデルなので、カシオの公式サイトには商品説明がありません。
ただしメーカーのサポートページから説明書はダウンロードできます。
CDP-S300は価格相応に、音色の数がS110の10から700へと大幅にアップしています。同時発音数も64から128に倍増していて、WU-BT10のBluetoothアダプタが付いてくるのも特徴です。
WU-BT10単体でも5,000円以上することを考えると、S110/160より数千円アップで手に入るS300はお買い得です。
CDPは音源に不安を感じるものの、「まともに音が出れば十分」という人には十分かと思います。
とにかく88鍵のピアノ鍵盤を壊れるまでがんがん使い倒したいという、ヘビーデューティーな練習マシンのようです。
バランスのよいPrivia
コスパ重視のCDPに比べ、プリヴィアはポータブルタイプの優等生です。
モデルによっては予算10万円以内から買えて、スペックも手頃でデザイン性もよく、専用スタンドも後付け可能と、バランスのよい設定になっています。
音源は「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR」で、特にピアノの音質がよさそうです。
PX-S1100から上の機種は、CDP-S300と同じくUSB端子のBluetoothアダプタが付いてきます。
PX-S3100は音色数がS1100の12から700へと格段にアップします。
CDP-S300と同じく、カシオの電子ピアノは機種による音色の増減が極端です。
PX-S5000以上は鍵盤が木製になるので、さすがに10万円を超えます。
最上位のPX-S7000はスタンド・ペダル一体型で、ほかにはないユニークな形状とカラーリングが特徴です。
海外のデザイン賞なども受賞しており、見た目に惹かれてPX-S7000を指名買いする人も多そうです。
外観重視のPX-S7000については、専用のスツールも別途販売されています。
インテリアピアノの一種と考えられ、こちらの記事で情報をまとめてみました。
予算5万円~でそこそこよさげな電子ピアノを選ぶなら、PX-S1100で十分かと思います。
Bluetooth搭載で別売りスタンドもあり、今どきのスペックは網羅されているので、買ってから後悔することもなさそうです。
ヘッドホンモードとは
プリヴィアのPX-S6000、S7000、据置型の上位PX-870とセルヴィアーノ全機種には「ヘッドホンモード」という特殊機能が搭載されています。
設置場所によって内蔵スピーカーの音響設定を変更できる、「ピアノポジション」機能のヘッドフォン版と考えられます。
カタログによると、ヘッドフォン使用時に音質を補正し、「グランドピアノを弾いているかのような自然な音の広がり方を再現」と説明されています。
具体的なテクノロジーは不明ですが、ヤマハの「ステレオフォニックオプティマイザー」と似たバイノーラル録音の再現機能かと思われます。
ピアノ以外の音にも有効なのか不明ですが、長時間ヘッドフォンを着けて練習する際に、疲れにくくなるメリットが期待できるかもしれません。
カシオトーンを見直す
カシオトーンはピアノ鍵盤でなく、88鍵のバージョンもありません(CT-S1-76の76鍵が最大)。
しかし他シリーズとスペックを比べると、案外捨てたものではないと再発見しました。
ミニ鍵盤ではない通常サイズで61鍵の最安CT-S200は、実売価格1万円ちょっと買えます。
しかし音色は400もあり、さらにステレオミニジャックのAUDIO IN端子を備えています。
最安価格帯のキーボードでも、音色数や拡張性がコルグLianoより上なのは驚きです。
鍵盤の数にさえこだわらなければ、初心者には1万円のカシオトーンで十分だったかもしれません。
上位のCT-S1になると、別売りのワイヤレスMIDI & AUDIOアダプタを付けてBluetoothにも対応できます。
CT-S500以上の高級カシオトーンになると、プリヴィアと同じくBluetoothアダプタが同梱されます。
CT-S1はデザイン性やカラーリングのセンスが秀逸です。
2025年1月16日にはFRAGMENTのコラボモデルも登場しました。
参考
カシオの電子キーボードとFRAGMENTによるコラボモデル「Casiotone CT-S1 × FRAGMENT」を「V.A.」にて1/16(木)に発売PR TIMES
価格71,500円と強気の設定ですが、V.A.のオンラインストアでは早々に売り切れたようです。
希少なブランド品なので、転売目的で買い占められてしまったのかもしれません。
(2025年2月20日現在、在庫は復活しています)
昨年は76鍵モデルのCT-S1-76も追加され、廉価キーボードの選択肢が広がりました。
「キーボード以上、電子ピアノ未満」というニッチな需要に対応した製品と思われます。
予算的にCDPで妥協せざるをえないというかたは、思い切ってカシオトーンも検討してみてはいかがでしょうか。
鍵盤の数と構造を除けば、スペックも拡張性もカシオトーン(CT-S1以上)のほうがCDPを上まわっています。
島村楽器のBORA
Amazonや島村楽器のオンラインストアを検索していると、国内五大ブランドではない海外製の電子ピアノも出てきます。
なかでも最安クラスなのが、BORA SBX2という製品です。
1万円台の88鍵
BORA SBX2は島村楽器のオリジナルモデルです。
実売価格1万円台で購入できて、88鍵の電子ピアノとしてはLianoを超える最安商品といえます。
ネット通販なら楽天市場の島村楽器店か、Amazonでも購入できます。
さすがに見た目はしょぼそうですが、イヤホンとペダル、譜面台、キャリングバッグまで付いてくるなど付属品が豪華です。
日本語の説明書もちゃんとあり、1年保証とうたわれています。
気になる鍵盤は「強弱表現ができる」とだけ書かれています。
構造的な説明がないので、おそらく安価なバネ式スイッチかと思われます。
またスピーカーが付いているのはもちろんのこと、音色が128、デモソングも21曲内蔵されています。
さらに鍵盤を1つ押すと和音が再生される自動伴奏機能や、録音機能までそなえています。
おまけに入出力端子も豊富で、L/Rステレオ出力できるほか、「MP3」と書かれた音声入力端子が存在します。
文字通りMP3のフォーマットにしか対応しないのか謎ですが、鍵盤の音と重ねて練習できるなら便利です。
バッテリー内蔵で4.5kg
変わった機能として、ピアノ本体にバッテリーが内蔵されています。
そのため乾電池なしで野外演奏できるうえ、電池交換せず充電も簡単に済ませられます。
電子ピアノを動かすほど大容量のバッテリー(1750mAh)を載せていたら重くなりそうですが、本体重量はわずか4.5kgしかありません。
スペック表の誤植でなければ、Lianoの6kgを下まわる驚異的な軽量製品といえます。
スタンドが付いていない以外は、すべての機能がコルグLianoを超えています。
もしLianoより先にBORA SBX2を見つけていたら、こちらを買っていたと思います。
BORAといえばカンパニョーロのカーボンホイール、30万円以上する憧れのパーツを連想します。
電子ピアノのボーラは反対の格安路線ですが、88鍵多機能ピアノとしては史上最強のコスパを誇るユニークな商品です。
わりと安いMEDELI
88鍵かつハンマーアクションを搭載しながら、3万円台で売られているMEDELI SP201も格安ピアノのひとつです。
台湾の自転車メーカー「メリダ(MERIDA)」と名前が似ているせいか、なんとなくリーズナブルな印象を受けます。
3万円台のMEDELI SP201
音色は30、同時発音数は192もあり、リズム40、デモソング100曲と内蔵機能は豊富で、レイヤー/スプリットもできます。
Bluetoothは非対応ながら、USB type-B端子でオーディオ/MIDIに対応し、AUX INもそなえています。
低価格商品ながら拡張性もあり、ST430という別売り専用スタンドも用意されています。
3本ペダルを追加できるうえ、見た目が据え置き型のようにすっきり安定するのもメリットです。
鍵盤の「ウェイテッド・グランデッド・ハンマーアクション」というのが、他社に比べてどの程度の品質なのかは気になります。
ちなみにタッチレスポンスは5段階で調整できます。
価格と機能が好バランス
メデリがおもしろいのは、「日本の電子楽器メーカー出身の製品企画担当者がプロデュース」したという背景です。
さすがに日本製ではなさそうですが、国内の電子ピアノ市場を意識して練り込まれたスペックといえます。
日本語のウェブサイトもちゃんと準備されています。
(2025年2月現在、MEDELIの製品情報にはデジタルドラムとアンプの紹介しかありません)
参考
MEDELI 電子ピアノ SP201 は、外観、機能、操作性や音質に至る全ての工程を、日本の電子楽器メーカー出身の製品企画担当者がプロデュース。MEDELI
Bluetooth以外の「あったら便利」という機能をすべて盛り込んで、3万円強という低価格に落とし込んだところは評価できます。
Lianoを買う前だったら、BORAとMEDELIで悩んだかもしれません。
Studiologicの沼
海外メーカーでやや高級なスタジオロジックのステージピアノ、Numa Compact 2も比較的リーズナブルに購入できます。
88鍵で6万円台の製品ですが、気になる鍵盤仕様は「TP/9 Piano semi weighted」と書かれています。
この価格帯と「Dual Switch Detection System、アフタータッチ」という説明からして、さすがにハンマーアクション機構ではないかと想像できます。
音色は88、同時発音数は128と標準的ですが、エフェクトはコーラス、リバーブ以外にフェイザー、フランジャー、ロータリーやトレモロと多彩に用意されています。
ファームウェアの更新で音色を増やせるというのも魅力的なオプションです。
スピーカー内蔵ながら7.1kgと軽量なので、ライブや練習に持ち運びやすいのもメリットといえます。
Bluetoothこそ付いていませんが、USBやMIDIの入出力は可能です。
Numa SEとXの違い
Numa Compactの上位モデルSEも、ぎりぎり10万円以内で購入できます。
SEは通常版と同じ重量7.1kgながら、おもに音源が強化されているようです(音色は148)。
SEの鍵盤は「TP-9P」で、Numa Compactの「TP/9」とは微妙に違うようです。
性能は不明ですが、鍵盤がアイボリー色になっているのがわかりやすい特徴です。
日にあたって退色したプラスチックのようで、見た目がヴィンテージ感のある鍵盤です。
蛍光灯のブルーライトを反射しにくそうなので、夜間の練習にも適しているかと思います。
Numa Compactのシリーズで「2x」「X SE」とつく機種は、パネルにドローバーが搭載されています。
上位機種のNuma X Pianoとまぎらわしいですが、音色も若干増えていたりします(Numa Compact 2xで100音色)。
ハモンドオルガンのドローバーというよりは、スライダー式のスイッチのようで、狭い上部パネルにコンパクトに収まっています。
電子ピアノの細身のボディで、オルガンサウンドもリアルタイムに制御できる魅力的な設計です。
高価で場所をとる上下2段の鍵盤よりも、88鍵ですっきりさせたいオルガニストに適しているかもしれません。
ピアノもオルガンもシンセも弾きこなしたいという、欲張りな人に向いています。
オルガン沼
もっともスタジオロジックにはNuma Organ 2というオルガン専用機もあり、こちらのほうがドローバーのつくりは本格的です。
ただし61+12=73鍵と鍵盤の数が少ないうえ、ほとんどオルガンの音しか出せないようです。
その代わりトーンホイールやエフェクトの再現性はクオリティーが高そうで、レスリー・スピーカーに接続するための端子までついています。
鍵盤は「TP/8O (Organ Waterfall)」と明記されているので、オルガン向けの軽いバージョンと推測されます。
電子ピアノに比べて電子オルガンの選択肢は少ないので、Numa Organ 2もいつかどこかで試してみたい製品です。
鍵盤OEMのFATAR
スタジオロジックはイタリアのFATAR(ファタール)手がける独自ブランドです。
ファタールがどんな会社かというのは、イケベ楽器の関連サイトにある訪問レポートが参考になりました。
参考
イタリア・FATAR/Studiologic本社訪問レポートイケベ デジタルタワー
ファタールは鍵盤のOEMメーカーで、日本国内でもローランドやコルグ、カワイなどにパーツを提供しているそうです。
どのモデルやグレードなのかは不明ですが、上記のサイトによると樹脂製鍵盤をおもに扱っているようです。
自転車業界で「OEMメーカーの自社ブランド」といえば、台湾のNOVATECあたりを連想します。
私もここのホイールを愛用していていますが、知名度は低いながらスペックのわりに価格が安くてお得でした。

ノバテックと同様にスタジオロジックも、大手メーカーに比べて中間マージンやブランド代・広告代などを省いた分、価格が安く設定されている可能性はあります。
それなりの価格はするので、聞いたことのないブランドというのは不安ですが、実は知る人ぞ知る名門ブランドなのかもしれません。
Numaの語源
スタジオロジックのピアノ・オルガン製品にはNumaという名前がついています。
楽器沼を想起させる皮肉でおもしろいネーミングですが、ファタール社の近くにあるヌマーナ(Numana)というリゾート地が語源のようです。
ヌマーナはアマルフィやカプリ島ほど世界的に有名なビーチでもなく、Googleマップで見たかぎりは小さな町です。
イタリアの行楽地といえばほかにも、ポルトフィーノ(Portofino)がフェラーリやIWCの製品名に採用されています。
日本ではあまり知られていないリゾート地というのが、かえって海外セレブ御用達のラグジュアリー感を連想させておもしろいです。
静岡の楽器メーカーも、「Numazu(沼津)」といった地元の地名をネーミングに採用してはどうでしょうか?
マルニ木工のHiroshimaチェアのように、世界的に大ヒットするかもしれません。
まとめ
コルグLianoに代わるピアノタッチの上位製品として、予算10万円までの電子ピアノ(コルグ、カシオ、その他海外ブランド)をご紹介しました。
御三家 vs 新興勢力
世界の三大ピアノは一般的に「スタインウェイ&サンズ」「ベーゼンドルファー」「ベヒシュタイン」といわれています。
国内メーカーなら社歴の長いヤマハとカワイがツートップで、ローランドが三番手、カシオとコルグは新規参入のチャレンジャーというイメージです。
アコースティックピアノも手がけているヤマハとカワイは別格という感じがします。
ローランドも200万円近くするデジタル・グランドピアノを作っていたりして、高価格帯の製品ラインナップが豊富です。
「電子ピアノ」のジャンルにおいては、この3社を御三家と呼んでもいいかもしれません。
カシオは楽器というよりも、時計や電卓のメーカーとして一般的に認知されていると思います。
コルグも今まではシーケンサーやシンセサイザーが主力だと思っていて、ピアノを作っているのは初めて知りました。
ヤマハやカワイの音楽教室ではなく、廉価キーボードの独学でピアノを始めた層には、むしろカシオやコルグのほうが親しみやすいかもしれません。
ピアノでなくシンセサイザーの分野なら、コルグとローランドの知名度も高いです。
王道のピアノらしいスタイルではなく、変わったカラーリングやデザインも選べるというのもカシオとコルグの特徴です。
デザイン重視でこれらの製品を購入する人もいると思います。
安いだけではない
カシオとコルグは価格・性能的にユニークな製品で差別化を図り、新たなユーザー層を開拓しようとしているように見受けられます。
どちらも実売価格3万円台から手に入る、ピアノタッチ鍵盤の廉価モデルをリリースしているのが特徴です。
最安ランクであるカシオのCDPとコルグのB2シリーズは、価格最優先で極限までコストダウンされた割り切り商品と思われます。
楽器店でもこれらをよく見かけるので、「安いメーカー」という印象を抱きがちですが、実は両社とも10万円を超える据え置き型ピアノも作っています。
カシオもコルグもBluetooth対応でそれなりの音源や機能をそなえたモデルは5万円以上します。
同等スペックで比べれば、実はヤマハのPシリーズやローランドのFPシリーズとたいして変わらない値段です。
あらためて製品スペックを調べてみると、カシオとコルグのピアノは決して安物ではなく、価格相応で良心的という印象を受けました。
激安商品も用意して消費者の選択肢を増やしてくれるという意味では、ありがたい存在です。
掘り出し物か人柱か
ネット上で見かけたBORAやMEDELIの廉価製品も興味深いです。
ボーラは「1万円台の88鍵」、メデリは「3万円台のハンマーアクション鍵盤」といったわかりやすい特徴があります。
店頭で実機を目にする機会もなく、レビューも少ないので不安を覚えますが、価格最重視なら手を出してみるのもありです。
もとが安いので、仮に失敗しても後悔は少ないといえます。
FATARのStudiologicはそれなりに定評のあるブランドだと思いますが、5万円以上出すならやはり国内メーカーのピアノのほうが安心かもしれません。
ステージピアノらしい尖った機能をそなえているので、収集家のかたならコレクションに加えてみてもよさそうです。
こうした海外メーカーは情報が少ないぶん、個人ブログやSNSでレビューする意義は大きいと考えられます。
たとえ欠陥だらけで使い物にならなかったとしても、それはそれでおもしろい話のネタになりえます。
先に国産ピアノを試して実力を把握できたら、比較のためメデリやスタジオロジックを試してみるのも一興です。
Numaシリーズはまさにそうした楽器沼にはまった人向けのアトラクションなのかと思います。
語源であるイタリアのヌマーナにも、いつか行ってみたいです。






















