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スタンド高さを変える方法
とはいえ狭い賃貸マンションで、ピアノにしか使わない椅子を置くのも気が進みません。
なんとか普通の椅子を兼用できないかと考え、スタンドのほうを改良してみました。
ピアノの固定金具を外す
Liano本体の固定さえあきらめれば、スタンドの高さは調整可能です。
ピアノの裏面にある固定金具を外して、スタンドにぽんと載せるだけのかたちになります。
付属の固定金具を外しても、パイプにかぶせたプラスチックの輪っかが若干のすべり止めにはなります。
ただ地震の際など、ピアノ本体がスタンドからずり落ちてくる危険があります。
安全対策としては、不要になったピアノのネジ穴を利用して、脱落防止のワイヤーをスタンドにくくりつけたりしてもよいかと思います。
スタンドの連結バーに開けられた穴のうち、Lianoの固定穴に対応しているのは「低いほうから2番目」です。
ネジをいったん外して、いちばん端の低い位置でノブを締めると、鍵盤の高さは74cmまで下げられました。
これで少し快適になりますが、一般的な椅子の高さに合わせるなら、もっと下げたいところです。
ただ連結バーの穴はもう限界なので、ふつうのやり方ではこれ以上下げることができません。
結束バンドで無段階調整
そこで付属のノブネジは使わず、離れた穴どうしを結束バンド(タイラップ、インシュロック)で固定してみました。
バンドの代わりに、針金やワイヤーで穴を結んでもよいかと思います。
いずれも金具にドリルで穴を開けるなど不可逆的なやり方ではなく、気が変わったら簡単に外して元に戻せます。
将来ピアノごと中古で売却する際にも好都合です。
結束バンドでスタンドのバーを固定しても、強度に問題はなさそうでした。
念のためバンドを二重三重に巻いて、強度をアップしてもいいかと思います。
X型スタンドの構造からして、連結バーは開く方向に力が加わります。
結束バンドに対しても常にテンションがかかった状態になるので、思いのほかしっかり安定するようです。
結束バンドの長さが限度になりますが、思い切り下げて鍵盤の高さを68cmにしてみました。
この高さなら普通のダイニングチェアでも、違和感なくピアノを弾けました。
合わせてみたのはナガノインテリアのDC-355という椅子で、シートハイは標準の43cmです。
バンドの固定位置を変えれば、スタンドの高さを無段階調整できるのもメリットです。
椅子の座面高さに応じて、鍵盤の高さもこまめに変えられます。
ためしに飛騨産業のPiaveという、少し座面が高めの椅子もセットしてみました。
やはりピアノを弾くときはクッションが柔らかすぎない椅子か、むしろ固い板座のほうが安定した姿勢を保ちやすいです。
高さを下げると揺れが減る
ピアノ本体の位置を下げると全体の重心も下がり、地面との距離が近くなります。
X型スタンドの脚も広がるせいか、「演奏時の揺れが小さくなる」という副次的な効果も得られました。
結束バンドは柔軟性があるので、この部分がわずかながら振動を吸収しているのかもしれません。
ネジでがっちり固定(剛接合)するよりも、ピン接合で曲げモーメントを逃がせるため、揺れが伝わりにくくなった可能性があります。
KHSの小径車に搭載されている、ゴム製ソフトテールのような感じです。
JamStandsが揺れて困るというかたは、上記の方法で高さを下げれば改善されると思います。
改造の注意点
結束バンドの取り付けなどで、いくつか気になる点があったのでご報告します。
作業中のケガに注意
スタンドの幅固定ノブを外す際は、上に載せたピアノを「必ず」どけてから作業してください。
先にLiano本体の固定金具を外して、ピアノを安全な場所に退避してから高さの調整を行います。
X型スタンドを寝かせて作業すれば、さらに安全です。
横着してピアノ本体を載せたままネジを外したら、ものすごい力で押しつぶされ、金具の隙間に指を挟んでケガしそうになりました…
JS-XS300は薄い金属バーがギロチンのように指に食い込んでくるという、危険な構造になっています。
1年前に同じ罠にはまったのを忘れていて、今回もやってしまいました。
Liano本体は軽いとはいえ6kgあります。
片手で連結バーを押さえてネジを付け替えるのは、握力の強いかたでも難しいです。
手が滑ってスタンドが開き、X支柱と連結バーの隙間に指を挟む羽目になります。
ほかのX型スタンドは、支柱の交差部で高さ調整するものが多いです。
このほうが見た目がすっきりして、材料費も減らせるメリットがありそうですが、「指を挟む事故を防ぐ」という目的もあるのかもしれません。
ネジの外し忘れに注意
Lianoの固定金具を外した際、ネジをなくさないよう、ピアノ本体のネジ穴に再び取り付けておきました。
スタンドに載せている際は問題ないのですが、たまたま気分転換しようと机のうえに置いた際、トラブルが生じました。
演奏時にピアノがぐらぐらしておかしいと思ったのですが、底面にネジを付けたままなのをすっかり忘れていました。
ネジの頭が四方のゴム脚より出っ張っていたので、気づくとテーブルの天板に派手な傷がついていました…
個人的なミスですが、こうしたヒューマンエラーを防ぐため、ピアノ底面のゴム脚はもっと高さがあってもよかったと思います。
あるいは固定用のネジ穴を掘り下げた位置にセットしておくなど、改善方法はいくつか思いつきます。
Lianoは価格が安いので、見えない部分までは細かく配慮されていないのもしれません。
ネジの外し忘れで家具に傷をつけるのはレアケースだと思いますが、念のためお気をつけください。
まとめ
LianoのJamStandsは構造・強度に不安な面もありますが、実用上は問題ない範囲といえます。
スタンドの高さを下げたらついでに揺れも減らせて、だいぶ使いやすくなりました。
昇降式のデスクを持っているので、その上にピアノを載せて、机のほうで高さを調整しながら使っていた時期もあります。
ただフルサイズのLianoは幅1.2m以上あるので、演奏時に上げ下ろしするのが面倒でした。
結局、デスクに載せるのはあきらめて、元のJamStandsに戻しています。
コの字型スタンドに買い替えようか迷うときもありますが、お金がもったいないので今もそのままです。
Lianoのスペックはあくまでピアノ入門用、付属のスタンドも初心者用の簡易版といえます。
そう割り切って付きあえば、消費者の間口を広げてくれて親切な製品だと思います。