健康診断で洞性徐脈と診断され、精密検査を受けることになりました。
ホルター心電計を24時間装着して心電図をとってもらったところ、若干の期外収縮が認められましたが特に問題はなく、経過観察で済みました。
なかなかおもしろい体験だったので、今後のために検査の内容と結果をメモしておこうと思います。
心拍数40未満
今回の健康診断で測った心拍数は、1分間に40未満でした。
「高度な徐脈」という所見で、循環器内科の受診を勧められました。
15年くらい前からマラソンを始めて、徐々に心拍数が下がる傾向はあったのですが、さすがにここまで脈が遅くなったのは初めてです。
もともと低血圧で立ちくらみが多いこと以外、特に持病はありません。
親族で心臓病をわずらった人もおらず、先天性の心疾患や遺伝的要因の可能性は少ないと思います。
おそらく原因はスポーツ心臓で、持久系競技をやりすぎたせいと考えられます。
心臓の筋肉が鍛えられてポンプ機能が強化され、1拍あたりの血液循環量が多くなる現象です。
たまに運動中、気分が悪くなることはありますが、単なる疲労のせいなのか、心臓が原因なのかはわかりません。
レントゲン検査では異常がなかったため、スポーツ心臓だったとしても、心肥大や心拡大といわれるほど深刻ではなさそうです。
毎年、健康診断で徐脈といわれるのは気になっていたので、念のため精密検査を受けてみることにしました。
予約をとりやすい近所のクリニックを選びましたが、内科・循環器の医院ならどこでも不整脈の精密検査を受けられるようです。
12誘導心電図
内科の初診では、健康診断と同じく12誘導心電図というのを測ってもらいました。
計測時間は30秒程度なので、その間に異常が出なければ、深刻な不整脈を見逃してしまうおそれはあります。
ひとまず結果は心拍数44/分で、洞徐脈という診断になりました。
BNP測定
またBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)という数値を測るため、採血も受けました。
数日後に聞いた結果は10.4pg/mLと問題ない範囲でした。
BNPは主に心室から分泌されるホルモンで、血圧を下げて利尿作用をうながし、心臓の肥大や繊維化を抑える作用があるそうです。
心臓の機能が低下するとBNPが多く分泌されるため、心不全の判定に使われます。
ホルター心電図検査
次に受けたのはホルター心電図検査です。
胸に電極をつけたまま24時間過ごし、心電図を長時間記録する方法です。
さらに長く最長3年間、心電図を記録できる植え込み型の心電計もあります。
また運動負荷を与えながら心電図を記録したり、症状が出たときだけ胸に当てて測る、携帯型のイベント心電計も存在します。
今回はそこまでいかず、一般的なホルター心電計を使用することになりました。
ホルター心電計
胸の3か所に粘着テープで電極を貼りつけ、上部のテープ付近に装置本体を取り付けてぶら下げるかたちになります。
本体には現在時刻などを表示するディスプレイがあります。
首を曲げて目視することは難しいのですが、たまに鏡に映して動作確認することはできます。
今回使用したのはフクダ電子のFM-1300という機種で、メーカーの説明によると2020年10月時点でクラス最薄サイズとのことです。
テープの粘着力はかなり強く、体操したり自転車に乗ってもはがれませんでした。
ただ着替えのときは服に引っかけて電極が取れないよう、注意する必要があります。
テープで若干引っ張られる感触はしますが、装置自体はたいへん軽く、さほど違和感なく日常生活を過ごせました。
検査中の生活
ホルター心電計の装着中は入浴を控える以外、普段どおりに生活してよいと言われました。
その日は念のため、上半身を濡らさないよう半身浴だけで済ませました。
装置自体はIP68の防塵防水性能があるため、うっかり水没させても問題はないと思います。
普段どおりの生活とはいえ、安静にしているだけでは心拍数が変化しません。
心臓に負荷がかかったときの記録も見てみたいので、いつもよりやや激しめのトレーニングをしてみました。
- 日課のラジオ体操、ストレッチ
- ロードバイク30km(うち標高差200m、きつめのヒルクライム)
- 同じ山を歩いて登山(200m)
- ノルディックウォーキング30分
自転車で坂を上がっているときは、かなり汗をかいて心拍数も上げられました。
行動記録メモ
心電図の記録中は、計測結果との因果関係を調べるため、行動記録をつけるよう指示されました。
病院で渡された行動記録カードに、任意の時間間隔で行動と症状をメモしていきます。
行動項目は食事、休憩、歩行、運動など数種類あり、その間にめまいや息切れがあったらチェックを入れる方式です。
当日行った作業の内容や運動の種類など、なるべく細かく書き込みました。
また行動項目のなかに「飲酒」があったので、ためしに夜も普段より多めにお酒を飲んでみました。
翌日、病院でホルター心電計を外してもらいました。
検査結果は数日後と言われましたが、翌日、病院から電話があり結果を聞くことができました。
検査結果
ホルター心電図は特に問題なく、経過観察でよいとの診断でした。
心拍数
検査結果を見てみると、心拍数は最小39拍/分、明け方の寝ている時間帯に記録されていました。
最高は163拍/分で、これは自転車で坂をのぼっている時の数値でした。
心拍数の平均は68拍/分、総心拍数は8.8万回で、一般的には10万回程度あるそうです。
いつもよりきつめに運動した一日でしたが、安静時の心拍数が低い成果、総心拍数は平均以下でした。
医師のコメントとしては、おおむね徐脈ですが運動時にはちゃんと心拍が上がっているため、問題ないとのことでした。
期外収縮
期外収縮については、24時間で心室期外収縮が2回、上室期外収縮が22回、記録されていました。
数はそこそこありますが、いずれも単発で連続せず、この頻度なら支障はないとのことでした。
記録された波形を見ると、確かに心拍が一瞬飛んでいる個所があります。
しかし「脈が飛んだ」というような自覚症状はありませんでした。
『不整脈 最高の治し方大全』という本によれば、このくらいの期外収縮は年齢を問わず9割の人にみられるそうです。
また回数の多かった上室期外収縮についても、「健康な成人の93.7%」に観察されたと報告されています。
期外収縮は1日10万回ある拍動のうち、1000回(1%)発生するのもめずらしくないとのことです。
自分の発生頻度は0.025%だったので、ほとんど問題ない範囲かと思われます。
ちなみに期外収縮の三大原因は「睡眠不足、過労、精神的ストレス」で、体調が悪いときに起こりやすくなるらしいです。
検査当日は特に仕事も忙しくなく、睡眠もしっかりとれていました。
ポーズ
心拍が2秒以上止まる、「ポーズ」という現象も測定されませんでした。
ポーズとは心室の興奮を表すQRS波の最上部、R-R間隔を意味するようです。
少なくとも計測した24時間で洞不全や房室ブロックの深刻な兆候はみられなかったと考えられます。
将来的にはペースメーカー
現時点では問題ないですが、「将来老化で心臓の働きが弱まったときに、徐脈が進んでペースメーカーが必要になるかもしれない」と医師から言われました。
心拍数を上げる薬もあるそうですが、徐脈対策としては一般的でないようです。
ほかの不整脈とは異なり、徐脈の治療法は基本的にペースメーカーの植え込みとのことでした。
ちなみに今回のホルター心電図とBNP検査にかかった費用は、保険適用の3割負担で総額税込8,210円でした。
MRIやPETのように数万円もかかる検査ではなかったので、その点はよかったです。
せっかくの機会を生かして、心臓の病気について知識を深めることもできました。
私は危険性の少ない徐脈でしたが、不整脈のなかには心室細動など突然死につながるものもあるようです。
ホルダー心電図は費用負担も少ない簡単な検査だったので、不安のある方は早めの精密検査をおすすめします。