ボフオレビューhttps://bofuo.netMon, 18 Aug 2025 04:09:36 +0000jahourly1https://bofuo.net/wp-content/uploads/2024/05/cropped-bofuo_1024x1024_2-32x32.jpgボフオレビューhttps://bofuo.net3232 夜間券でも満喫できた大阪・関西万博レポートhttps://bofuo.net/expo/Mon, 18 Aug 2025 02:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2278

大阪・関西万博を「夜間券」で訪れた体験レポートです。 最安に見えるナイトパスは実質的に割高ながら、20時以降は会場が空いてきて、人気パビリオンもいくつか見学できました。予約なしでも見学できた各施設の見どころや、会場内で手 ... ]]>

大阪・関西万博を「夜間券」で訪れた体験レポートです。

最安に見えるナイトパスは実質的に割高ながら、20時以降は会場が空いてきて、人気パビリオンもいくつか見学できました。
予約なしでも見学できた各施設の見どころや、会場内で手に入る値段の安い飲食物などをご紹介します。

ミャクミャク

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万博FOMOで夜間券

始まるまでは、たいして行く気がなかった大阪・関西万博…
たまたま知り合いがはまって「もう5回も行った!」という話を聞いて、にわかに興味を持ちました。

さえない前評判と裏腹に、意外と盛り上がっているらしいという報道を聞くたび、万博に取り残される恐怖(FOMO:Fear Of Missing Out)をひしひし感じていたのも事実です。

ミャクミャク

わざわざお金を払って行列に並ぶのも嫌ですが、期間限定のイベントなので、行っておかないと後から後悔しそうな不安もあります。
万博自体たいして楽しめなかったとしても、後学のため、パビリオンや会場の様子は視察しておきたい気持ちもあります。

万博会場

とはいえ個人的な優先度は低いので、用事がひと段落してから万博に行こうと思っていたら会期も半分終わってしまいました。
今年は近畿地方が早めに梅雨明けして連日猛暑日ですが、涼しくなるのを待っていたら終盤の駆け込み需要と重なってしまいそうです。

天気予報を見ながら思い切って3日後の万博チケットを購入し、当日のホテルも大阪市内に予約しました。
2日目の予定はフリーとして、1泊2日で大阪万博をチラ見してくる弾丸ツアーで訪問してきました。

夢洲駅

夜間券は本当にお得なのか?

「昼間は暑そうだし、どうせ1日で全部は見切れないから、ナイトパスでいいか?」と考え、17時以降に入場できる夜間券(3,700円)を購入しました。

夜間券

あとから考えると、夜間券には平日/休日の区別がありません
フルタイムでいられる平日券(6,000円)に比べて、休日もOKな一日券は7,500円で、価格が25%もアップします。

夜間券

また開場時間9~22時(13時間)のうち、夜間券でいられるのは17~22時の5時間です。
しかもパビリオンや大屋根リングは21時で閉まるので、現地で遊べるのは実質4時間くらいということになります。
(実は後述のトワイライトキャンペーンで5時間いられます)

夜間券

一見、最安でお得そうに見える夜間券ですが、時間単価で見ると割高です。
しかも平日に使うのはもったいないとわかりました。

通期パスを買うか否か

当日の昼間は心斎橋で暇をつぶしてから万博に行ったのですが、時間に余裕があるならチケット代をケチらず平日券を買えばよかったと後悔しています。
話のネタの下見程度という気持ちだったので、料金最安を目指して初日は夜間パスを選んでしまいました。

夕方から行ってみて予想以上に万博がおもしろければ、翌日は一日券か通期パスを購入して再訪問する計画を立てました。
夜だけ見て十分満足したら、2日目は普通に大阪観光して帰る予定です。

夢洲駅

万博の評判はよさそうですが、さすがに3万円もする通期パスをいきなり買う度胸はありません。
元をとるには平日5回も行かなければならず、旅費や食費も馬鹿にならないです。

知られざるトワイライトキャンペーン

当日は地下鉄中央線の夢洲駅で降りて、東ゲートから万博会場に入りました。
電車はそこそこ混んでいて、駅にも人がたくさんいます。

夢洲駅

17時よりちょっと早めの15分前には東ゲートに到着したのですが、予想していた行列もなくがら空きで拍子抜けしました。
夜間券の入場時間まで、外で待っているのももったいないので、試しに荷物検査を受けてゲートをくぐってみました。

東ゲート

スマホ画面のQRコードはエラーで弾かれると思ったのですが、特に何事もなく通過できてしまいました。
不思議に思ってスタッフのかたに聞いてみたところ、今はナイトパスでも1時間早く、16時から入場できたとのことです。

あらためて調べてみると、万博公式ページに「トワイライトキャンペーン」のお知らせが出ていました。
だいぶ前の5月7日から、夜間券の入場時間が1時間前倒しされていたようです。

購入時に告知がない理由

チケット種類の説明画面や、夜間券の購入プロセスを振り返ると、トワイライトキャンペーンの情報はなかった気がします。
かなりお得なルールなのに、購入者に対して告知がないのは不親切に思います。

ただし、自分のようにキャンペーンの存在を知らないまま定時に来てしまう人もいることで、夜間組の入場時間がばらけるメリットはありそうです。

東ゲート

そもそもそれが運営側の狙いだったのかもしれません。
公表する情報を意図的にコントロールしている節もあり、万博を効率よく攻略するには運営の裏をかいた綿密なリサーチが必要そうです。

いずれにしても、ゲートでまったく並ばずに入れたのはラッキーでした。
時間延長キャンペーンを逃して悔しい反面、余裕をもってストレスなく入場できました。

東ゲート

パビリオン予約はほぼ不可能

ほとんど思いつきで入場チケットを直前購入したため、「パビリオンの予約」という難関ポイントに考えがおよびませんでした。

結論からいうと、公式混雑予想カレンダーで「余裕あり」表示の平日中日であっても、飛び入り参加でパビリオンの予約は不可能でした。

予約日時の3日前からオープンしていたらしい「空き枠先着予約」はすでに完売。
一縷の望みをかけてトライした「当日登録」という制度も、17時入場ではまったく使いものになりません。

当日登録

万博公式サイトも予約が殺到している時間帯は頻繁にフリーズします。
エラーが出てページが正しく表示されません。

万博公式サイト接続エラー

混雑時にうまくつながったとしても、サイトアクセスまで30分待ちという状況はざらです。

予約のプロではない一般人としては、おそらく前もって計画を立てて「2か月/7日前抽選」に参加しないと、パビリオンの予約は難しいと思います。
週間天気予報を見ながら、天気のよさそうな日を直前で選ぶとしたら、空き枠と当日登録は当てにならないと覚悟したほうがいいです。

当日登録も厳しい

無計画なひとでも万博を楽しめる救済措置とおぼしき当日登録は、入場10分後から操作可能になります。

当日登録

とりあえずゲートをくぐった17時前後にスマホで確認してみたところ、予約可能なパビリオンやイベントはゼロでした。
あまり噂を聞かないマイナーなパビリオンでさえ、すべての時間帯で予約不可の×マークがついています。

当日登録

しばらく間を置いて19時頃、当日登録の画面を見ると、「やや混雑」の△マークが出ているパビリオンが出現していました。
速攻で希望の時間帯を選んで申し込んでみたところ、「予約が確保できませんでした」画面が出ました。

当日登録

ほかのパビリオンや時間帯の△マークを選んで何度か繰り返しましたが、すべて同じエラーが表示されて、先に進めませんでした。

当日登録

しばらく観察していると、やや混雑の△マークは稀に出るものの、ページをリロードするとすぐ消えてしまうとわかりました。
つまり空き表示が画面に出た瞬間、おそらく数秒以内に、他の人が予約を押さえてしまうのではないかと推測されます。

空きが出てもすぐ埋まる

パビリオンの行列待ちや食事中に、何千人もの人が当日予約を狙ってページの再表示を繰り返している状況がイメージできます。
あるいは万博ヘビーユーザーで職人級の人がいたり、端末を何台も用意して予約枠を転売するようなプロもまぎれているのかもしれません。

平日夜7時以降の比較的空いている時間帯でもこれだったので、日中や休日の当日登録はさらにハードルが高いと思われます。
わざわざ万博会場に来て、スマホばかり見ているのももったいないので、パビリオンの予約は早々に諦めて会場散策に向かいました。

万博公式サイト接続待ち時間

どうしても中に入ってみたいパビリオンがあるなら、前もって抽選に申し込むか、当日行列枠があるなら素直に並ぶしかないと思います。
空き枠や当日登録の先着系で予約をゲットするのは、素人にはハードルが高すぎる気がします。

ちなみに自分のiPhone、Safariブラウザでは、個別パビリオンの予約画面を別タブで開けない仕様になっていました。
そのため前の画面に戻るたび、パビリオンの検索リストのトップに戻ってしまい、下にスクロールして項目を追加表示するのが面倒でした。

このあたりも慣れている人なら、もっとうまい検索・予約方法があったのかもしれません。

パビリオンの待ち時間目安

東ゲートを入ってすぐの人気パビリオン、たとえばパナソニックや電力館は予約でしか入れません。

当日予約終了

ためしに前を通ってみましたが、当日枠の案内はありませんでした。
入り口に並んでいたとしても、それはあらかじめ予約した時間を待っている人たちです。

null2は完全予約制

根性で並べば見られる

住友館や当日枠の行列もありましたが、すでに人が並びすぎているせいか新規参加をストップしていました。
近くにある日本館も予約なしで入れたものの、数百人待ちとおぼしき大行列だったのでスキップしました。

パビリオンの行列

およその待ち時間を表示してくれている親切なパビリオンもあります。
たとえば海外パビリオンのカナダ館で90分待ちでした。

カナダ館の待ち時間

万博リピーターで暇つぶしグッズも準備してあるなら、のんびり並んでみるのもありかと思います。
今回は夜間パスの突貫ツアーだったので、なるべく行列の少ないパビリオンに絞って見学しました。

夜8時以降は空く

日が沈んで暗くなると、徐々に会場内の人が減ってくる気配がしました。
帰りのゲートや電車混雑を避けて、早めに帰る人がいるのかもしれません。

パビリオンの予約

特に夜8時を過ぎると、先ほどまでかなり並んでいたオーストラリアやスペインのパビリオンが、がら空きになっていました。
この時間帯は大屋根リングの北側にいたので、モナコパビリオンや「夜の地球」もスムーズに入れました。

夜の万博会場

しっかり定点観測したわけではないですが、終了1時間前くらいになると海外パビリオンはかなり空いてくるようです。
本当に終わり間際になると、建物の前で海外スタッフの人が「すぐ見られるよ~」と日本語で呼び込みをやっている光景も見られました。

下調べしていない未知のパビリオンは、展示に当たり外れがあります。
せっかく長時間並んだのに、展示があっけなかった…という失敗を避けるため、海外系のパビリオンは夜間のボーナスタイムにまとめて見るのが効率よいと思います。

パビリオンの待ち時間

企業系もチャンスあり

今回見たかったパビリオンのひとつ、飯田グループ×大阪公立大学は18時の時点で20分待ちでした。
ほかに比べればマシとはいえ、まだ会場内で未踏破のエリアがたくさんあったので一旦スキップしました。

飯田グループ×大阪公立大学パビリオン

その後、大屋根リングの下をぐるぐる回りながら再訪すると、20:30には「待ち時間1分」の表示に変わっていました。

たまたま入れ替えのタイミングに出くわしたのかわかりません。
競争率の高い企業パビリオンで、ほとんど待たずに入れたのはラッキーでした。

見学できたパビリオン紹介

夜間チケットの短い時間で、予約もなく体験できたパビリオンをご紹介します。
海外パビリオンや企業パビリオンも、短縮ルートや閉館間際ならスムーズに入れたところがありました。

行列のないコモンズ館もすべては行けなかったので、夜間券の持ち時間であれば「見られるパビリオンがひとつもない!」という事態には陥らないと思われます。

UAE(アラブ首長国連邦)

東ゲートにほど近く、日本館の大屋根リングを挟んで向かいにある海外パビリオンです。
隣のカタールやカナダが激込みで行列しているなか、17時台にさくっと入館できました。

建物は単純な形状で、ガラスの箱のなかに天然素材で覆われた柱がランダムに林立しています。
天井は高く、太い柱が冗長に配置されているので、シンプルな構成ながら新鮮味があります。

UAEパビリオン

万博ゲートの建築のように、「いかに柱を少なくして、屋根を薄く見せるか」というチャレンジの逆で、UAEパビリオンは宗教的な静謐さを感じさせるような空間でした。
エジプトの神殿や、イスタンブールの地下貯水池と似ているかもしれません。

柱は葦のような植物か細い木材で覆われて、金具で締められています。

UAEパビリオン

カーペットもアースカラーで、刺激の多い万博会場のなかではめずらしく落ち着いてくつろげる場所です。
地べたに座って映像を見ながら、チルアウトしている人々がたくさんいました。

UAEパビリオン

レストランもあるのですが、入口はパビリオンの外で別になっており、こちらは行列ができていました。

お土産ショップはスムーズに入れます。
現地のスカーフや置物など、そこそこいい値段で販売されていました。

UAEパビリオン

モナコ

日が暮れた19:30頃の時間帯に、モナコ館はかなり空いていました。

メインの円筒形タワーのほか、敷地内に分散された展示スペースがあり、そちらは並ばず自由に入れます。
メインタワーから各展示スペースを巡回する一方通行の見学ルートになっていますが、ルートの途中から乱入できる変則ルールになっています。

モナコパビリオン

先に見学した屋外展示スペースのひとつ、「海を守る」というテーマの建物です。

モナコパビリオン

リサイクルされたプラスチックで、海のなかの様子が抽象的に表現されています。
照明やBGMが穏やかで、瞑想的な空間でした。
冷房も効いているので気持ちよく、つい長居してしまいます。

モナコパビリオン

ほかにも敷地内の小展示スペースには、ミツバチの効用を説明するパネルや木の模型、映像がインタラクティブに動く本などがありました。

モナコパビリオン

ただし海中スペース以外の屋外ゾーンは空調が効いていないので、日中の暑い時間帯に見学するのは厳しいと思います。

モナコ館のメイン建物は少し並んでいましたが、2分待ちくらいですぐ入れました。

モナコパビリオン

建物は4階建てになっていて、3階のワインバーと4階展望ラウンジは入口が分けられています。
夜は展示スペースより、ワインバーのほうに長い行列ができていました。

モナコパビリオン

1階の体験型展示は触覚を重視したインタラクティブな仕掛けがあり、かなりおもしろかったです。

モナコパビリオン

ワイヤーが刺さった揺れる石ころを触ると、触った場所に応じて目の前の映像が変化します。

モナコパビリオン

ほかにもざらざらしたサンゴのようなテクスチャー、回せる球体、空気の出る穴、金属板などがあり、手で触れるとそれぞれ映像が反応します。

モナコパビリオン

映像自体は抽象的で意味がよくわかりませんでしたが、「自然に触れてみよう」的なコンセプトは実感できました。

モナコパビリオン

大人数をさばく必要のある万博パビリオンとしては、大画面のシアターやジオラマのほうが観客の回転効率を上げられると思います。

モナコ館はあえて狭い空間で、パーソナルな親密さを感じさせる触覚展示で勝負しているところが印象的でした。
全体的にデザイン性や展示物のクオリティーが高いと感じます。

モナコパビリオン

ただし2階の「ディスカバー・モナコ」は、望遠鏡型のデバイスでモナコのパノラマ映像が見られるだけです。
ポイントを注視すると場面が切り替わる機能はありますが、見ためのわりに退屈なので、並んでいたらスキップしてもよいかと思います。

モナコパビリオン

モナコ館の入口には高そうなロードバイクも展示されています。

モナコパビリオン

スペイン

スペイン館はライトアップされた巨大な階段に、沈む太陽のような円形の開口部が設けられた建築です。
思わず階段を上って穴に入ってみたくなるような魅力があります。

スペインパビリオン

入口ステージで行われていたフラメンコショーは満員で、通りがかりの観客は滞留・撮影も禁止でした。
ちょうど夜8時でしたが、フラメンコを見なければほぼ待たずに入れます。

スペインパビリオン

スペイン館の内部は前半が黒潮に関連する海の映像展示です。

スペインパビリオン

発電や材料工学?に関した細かい展示もあり、じっくり見ればそれなりに時間がかかります。

スペインパビリオン

後半は一転してオレンジ色の空間になり、スペインの魅力や観光地を紹介する映像、ポストカードが展示されています。

スペインパビリオン

展示内容は凡庸なのですが、床から天井までビビッドな橙色というのが刺激的です。
人によっては強迫的で気分が悪くなりそうな不安もあり、日本ではまず見かけないような空間といえます。

スペインパビリオン

こうした海外の常識(日本の非常識)や美的センスを垣間見れるのが、万博のおもしろいところでもあります。

スペイン館の最後にあるショップでは、高級なオリーブオイルや現地のミネラルウォーター、ビールやワインを購入できます。
ちょうど上階のフラメンコショーが終わったタイミングで、どっと人が押し寄せてきました。

ここの缶ビールは500円と案外安くておいしいのでおすすめです。

スペインパビリオン

併設の飲食スペースで頼むと、コーラやウーロン茶が660円もしてビールより高いです。
ドリンクは隣の売店でテイクアウトしたほうが、だいぶ安くあがります。

スペインパビリオン

スペイン館のレストランは夕方かなり並んでいましたが、20時過ぎはほぼ空いていました。
ほかのフードコートに比べると、料理のお値段は少々高いです。

万博グルメ

オーストラリア

夜8:30、スペイン館の2軒となりにあるオーストリア館も並ばずに入れました。

オーストラリアパビリオン

内部はまず木がニョキニョキ生えた森のようなスペースがあります。
壁が鏡張りになっているので、実際より広く大森林のなかにいるような雰囲気を味わえます。

オーストラリアパビリオン

後半はパネル上のディスプレイをいくつも組み合わせた、没入型のシアターです。
内容は宇宙や空、海の中などをCGで表現したパノラマ映像でした。

オーストラリアパビリオン

スクリーンに隙間も多く、臨場感満点というわけではないのですが、CGのクオリティーは高く、それなりに楽しめます。

オーストラリアパビリオン

スペイン館の展示はたったこれだけで、映像を全部見ても10分くらいで完了します。
必死に予約して見学するよりも、閉館間際にやってきてざっと見てまわれば十分かと思います。

オーストラリアパビリオン

ちなみにオーストラリア館もカフェスペースがあり、1,650円もしますが「ワニの切り身」などめずらしい料理を食べられます。
さすがにコアラやカンガルーの肉は販売されていませんでした。

オーストラリアパビリオン

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

飯田館は見た目の派手さで、一二を争うパビリオンと思われます。
花柄模様の西陣織で全体を包んでおり、日本館よりもダイレクトに「和」の要素を感じられる建物です。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

エントランスのひさしが巨大な扇子の形になっていて、建物本体と同じくギネス世界記録に認定されたそうです。
おそらく空からの撮影と映えを意識した造形のため、地上からは扇子がどれなのかよくわかりません。

18時の時点ではまだ20分待ちだったのでスキップしました。
ほかと比べて行列も短く、予約なしでも比較的入りやすい企業パビリオンです。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

万博敷地内を一巡してきて、20:30に再訪すると「予約なし待ち時間:1分」と表示されていました。
ちょうど観客入れ替えのタイミングに重なったのか、本当に1分程度で中に入れました。

館内では最初に大型スクリーンによる全体説明があり、扉を抜けるとあとは自由行動です。
館内体験時間20~45分とされていますが、ざっと見てまわるだけなら10分もかかりません。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

飯田パビリオンの特筆すべき点は、建物の設計から内部の展示まで、かなり建築色が強いということです。
スポンサーの飯田グループが「戸建て分譲住宅が得意な不動産会社」という背景もあると思います。

奇抜な外観はもとより、展示内容も未来の都市空間や住宅などで、「いかにも万博パビリオン」という王道の構成です。

外観デザインについて、コンセプトや設計者のメッセージが丁寧に展示されているパビリオンは初めて見ました。
ミスタードーナツのフレンチクルーラーのような形状ですが、中身は複雑な鉄骨構造になっています。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

パビリオンの外装に張られているのは特殊加工された西陣織で、生地のサンプルも展示されています。
西陣織は総延長5kmもあり、特殊コーティングされているそうです。

外観はあまり布っぽくなくて、普通のテント生地に模様をプリントしたように見えました。
仮設とはいえ十分な耐久性・耐候性をもたせるため、フッ素やシリコンでぶ厚く樹脂コーティングされているのかもしれません。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

室内中央に位置する未来都市ウエルネススマートシティのジオラマは、メビウス形状の空中庭園のまわりに高層ビルや住宅が配置されています。
コンセプトがWellness(広義の健康)であるせいか、革新的な新技術や交通・インフラといった印象は受けませんでした。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

パンフレットの説明を読むと、メガ人工光合成の施設と水素ショップが隣接していて、ここで各種のエネルギーを製造しているのかと思います。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

ジオラマ内の高層建築やホテル・スタジアムなどをよく見ると、パビリオン設計者の過去作品が登場しています。
外観デザインだけでなく展示物まで監修されていたのか、建築業界の詳しい人向けトリビアが散りばめられています。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

ジオラマは見ごたえあるのですが、外周部に配置されたスマートハウスが普通の家っぽいのは少々興ざめでした。
「これだけ技術の進んだ未来でも、庶民は今と変わらない庭付き一戸建てに住んでいるのか…」と、急に現実に引き戻される感覚です。

実際、100年後になっても都市景観は今とたいして変わらないのかもしれません。
インフラ更新の過程で電線が地中化されたりする可能性はありますが、土地所有の概念や不動産ビジネスが健在なら、戸建て住宅も似たようなものでしょう。

せっかくなら業界最大手の飯田グループとして、分譲住宅の進化系といったビジョンも提示してほしかったです。

個々の住宅の内容については、ジオラマと別に「ウエルネス・スマートハウス」の展示で説明されています。
パビリオン内にある実寸大の住宅模型で、キッチンや寝室もついています。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

とはいえインテリアに目新しさはなく、家具の提供元もカンディハウスでした。
広告とQRコードも添えられています。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

ソファやチェアは実際に座れるので、ほかの人の迷惑にならない範囲で多少は休憩できます。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

スマートハウスの目玉はメディカルトイレです。
糞便を採取して腸内細菌を分析し、未病の改善などに役立ててくれるそうです。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

便器に座ってモニターを操作すると、「採便システムの準備が整いました」と表示され、丸見えのトイレで本当に用を足すのかと一瞬焦りました。
さすがに映像とパネルの説明だけで、観客の便を採取するデモは行われていませんでした。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

体重や血圧などは今でも自分で測れますが、検尿・検便まで自宅のトイレで済ませられるのは便利かもしれません。
見た目の派手さはありませんが、こうした地道なところから住宅設備・サービスの改善が進んでいくのかと学べました。

パビリオンの内壁には超大型の16Kワイドスクリーンがあり、ジオラマの説明映像やAI美女を拝めます。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

出口付近に西陣織のギフトショップと、2階にはレストランもあります。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

カレーが2,800円、パスタは2,400円とフードはかなり高価ですが、コーヒーは600円でいただけます。
パビリオン内は特に時間制限もなさそうなので、日中の営業時間に空いていれば、落ち着いてくつろげる穴場といえそうです。

飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

大阪ヘルスケア

人気のありそうなパビリオンながら、意外とすんなり入れたのがNest for Rebornの大阪ヘルスケアです。

大阪ヘルスケアパビリオン

入口の左側に、行列を避けて短縮ルートで見学できるファストパスがあります。

大阪ヘルスケアパビリオン

リボーン体験やモンスターハンターは体験できないものの、館内中央のアトリウム空間でiPS細胞や人間洗濯機を見られます。
最後に協賛企業の飲食ブースも通過できて、ここにあるMetro KITCHENは価格が安いのでおすすめです。

大阪ヘルスケアパビリオン

iPS細胞からつくられた心筋シートは、本万博における主要展示物のひとつです。
まさか予約もなしであっさり見学できるとは思いませんでした。

大阪ヘルスケアパビリオン

心筋シートは3つ展示されているので、ある程度人がばらけてゆっくり見ることができます。
写真撮影も自由です。

大阪ヘルスケアパビリオン

直径3cmくらいの薄い膜がピクピク動いているのは、なかなか衝撃的な光景でした。
電気信号は外部から流しているのかと思いきや、培養液の糖分・酸素を消費することで、自律的に脈動しているそうです。

大阪ヘルスケアパビリオン

本来、心臓で電気信号を発生させている洞結節を置き換えるのか、心臓のどこにでも貼って使えるシートなのはわかりませんでした。

自分は洞性徐脈で精密検査を受けたこともあり、不整脈の持病を抱えています。
従来のペースメーカーでなく心筋シートを移植してもらえれば、電池交換の手間もなく便利そうです。

心筋シートの実用化は意外と早そうなので、自分が生きているうちにお世話になるかもしれないと思うとありがたく感じました。

運よくパソナ館のほうにも入れれば、さらに高度なiPSミニ心臓の展示も見られます。
こちらは予約か行列必至なので、サクッと見たいならヘルスケア館の心筋シートで十分かと思います。

パソナパビリオン

ヘルスケア館のショートコースでは、もうひとつの目玉展示物、人間洗濯機も見学できます。

大阪ヘルスケアパビリオン

あいにくデモ時間は終了していたので、実際に人が入る様子は見られませんでした。
観客がなかに入ることもできません。

大阪ヘルスケアパビリオン

「人間洗濯機」というネーミングからは、何となく人権侵害や虐待のようなイメージを連想します。
前回1970年の大阪万博にも登場した有名展示のひとつで、おじさんの万博ノスタルジーに訴えかける定番ネタといえます。

新型洗濯機の機能については、株式会社サイエンスのウェブページに詳しく記載されています。

装置の外観は55年前のオリジナルとそう変わっていないように見えますが、マイクロバブルによって洗浄力や温浴効果が向上しているそうです。
既存のバスタブに後付けするタイプなら、30万円台から導入できます。

石鹸不要で体がきれいになり、風呂掃除も不要になるとしたら、見た目は地味ながら画期的な技術といえるかもしれません。

1970年万博の人間洗濯機は、あくまで「未来感の演出」というエンターテイメントでしたが、今回の新型は介護や医療の現場で省力化に役立ちそうな実用性を感じさせます。
映画『老人Z』で描かれたような、全自動介護の要素技術として役立ちそうです。

コモンズD~E

万博予約難民の救いがコモンズ館です。
夜間券の持ち時間なら、コモンズをすべて見るだけでも終わってしまうくらい、展示のボリュームがあります。

コモンズパビリオン

AからDまで4棟ある詰め合わせ展示で、独立パビリオンを持たない国が共同でブースを構えています。

コモンズパビリオン

アフリカや中東の小国が多いようです、どういう基準でA~Dに分けられているのかわかりません。
自分が見学したのはコモンズD館だけですが、A~C館も似たような内容のようです。

コモンズパビリオン

コモンズE館だけは規模が小さく、よくわからない神輿やマンガの原画が展示されていました。

コモンズパビリオン

海外コモンズの中身はよくある展示会形式で、国ごとに展示区画が割り当てられています。
パキスタンのように、まわりを壁で覆って凝った展示を行っているブースは、コモンズ内でも行列ができていました。

コモンズパビリオン

大半の国はオープンなセットで、写真や映像を交えて民芸品や特産品を紹介しています。

コモンズパビリオン

観光誘致が目的と思いきや、コンゴのように鉱物資源を展示して投資や開発をアピールしている国もあります。

コモンズパビリオン

マリ、スーダンなど完全にお土産屋さんに振り切ったブースもあり、めずらしい民芸品やパワーストーンなどが販売されていました。
とはいえアフリカの現地価格ということはなく、革製品やアクセサリーなど、そこそこいい値段がつけられています。

コモンズパビリオン

スーダンの動物型ポーチなどは、日本国内であまり見たことのないデザインです。
普段は輸入販売されていないようなレア商品も見られるので、エスニック雑貨が好きな人は盛り上がると思います。

トルコ石やラピスラズリの販売コーナーには、人だかりができていて近づけませんでした。

コモンズパビリオン

夜の地球

モナコ館の隣にあり、ふらっと入れたのが「夜の地球 Earth at Night」です。
建物の周囲に大漁旗が掲げられていて、海鮮丼でも振る舞ってくれそうな雰囲気です。

夜の地球パビリオン

名前からして謎のパビリオンですが、輪島塗の巨大地球儀を中心に、能登半島地震の復興に向けて現地の伝統工芸を紹介するコーナーになっています。

夜の地球パビリオン

メインの地球儀は直径1m、重さ215kgもあり、黒い漆のうえに金で陸地が表現されています。

夜の地球パビリオン

同じ製法でつくられたと思しき、有名都市の地図パネルも展示されています。

夜の地球パビリオン

漆の地球儀は万博のために作られたのではなく、2017年に制作され、石川県の輪島漆芸美術館で展示されていたようです。
もともとこのパビリオンはイランが使う予定で建物も完成していたところ、途中で撤退したので、能登復興に転用されたとわかりました。

夜の地球パビリオン

せっかくなら伝統工芸だけでなく、北陸のグルメも楽しめる飲食コーナーがあればよかったと思います。

大屋根リング

とりあえず万博に来てよかったなと思えるのは、大屋根リングを見られたことです。

半径2km、世界最大の木造建築物としてギネスにも認定された代物で、間近で見ると想像以上に迫力がありました。
万博会場が広いので、それほど巨大には見えないですが、人の大きさと比べるとスケールを実感できます。

大屋根リング

高さは12~20mあり、4~5階建てのビルに相当します。

ちなみに『進撃の巨人』に出てくる壁は高さ50mで大屋根の2倍以上あります。
アニメやマンガのなかでしか見ないような超構造体といえます。

圧倒的な虚無空間

リングの内部は木の骨組みがあるだけで、圧倒的な虚無…
雨風しのぐ機能と歩行路・展望台、万博を象徴する円環シンボルである以外、ほとんど機能がない「無の空間」というのがとても日本的に思われます。

大屋根リング

1970年大阪万博におけるトラス構造の大屋根と同じく、「万博=巨大な屋根」というわかりやすいランドマークが求められたのかもしれません。
必要な機能に対して明らかにオーバースペックな印象を受けますが、広い会場ではこのくらいのスケール感がないと目立たなかったのでしょう。

大屋根リング

前万博を経験したシニア層がターゲットとして、方形を円形リングに、太陽の塔モニュメントを森に置き換えて中心性・象徴性をぼかしたのが、21世紀版大屋根のコンセプトと推測されます。

大屋根リング

構造はシンプルに柱と貫だけで合理的につくられており、挿肘木を多用した大仏様(天竺様)の木造建築をイメージさせます。
3次元グリッドのマトリックス空間は、東大寺南大門を下から見上げたかのようです。
少々コストをかけて肘木の木鼻に繰形を施せば、さらに和風なお寺感を演出できたかもしれません。

大屋根リング

万博が終わったあとの大屋根リングは、現状のまま、もしくは部分的なモニュメントとして保存が検討されているそうです。
個人的なアイデアとして、うめきたエリアの再開発に合わせ大阪駅を取り囲むようにリングを再配置したら、ユニークな都市景観になると思います。

リングの上は撮影スポット

会場に到着してすぐ、雷雲が接近しているとのことで、大屋根リングの上層部は立入禁止になってしまいました。
エスカレーターは下りだけ動いていて、警備員さんが見張っているので勝手に上ることもできません。

大屋根リング


天候状況によって大屋根は閉鎖されることも多いようです。
開いていたら早めに上ってみることをおすすめします。

1時間ほど経って立入制限解除のアナウンスが流れると、人々がエスカレーターに殺到しました。
この日は平日で問題ありませんでしたが、1.5万人くらい上がると安全のため入場制限が行われるそうです。

大屋根リング

屋根のうえは途中からスロープになって分岐するルートがあります。
スロープを上ると外周部まで歩ける芝生広場があり、撮影スポットとして人気でした。

大屋根リング

ちょうど夕日が沈む時間帯、大屋根リングの一番高い位置から写真を撮るときれいです。
がんばって海側まで歩けば、海までさえぎるもののない絶景を拝めたかもしれません。

大屋根リング

時間があればリングを1周してみたかったですが、人混みのなか撮影しながら2kmも歩くと30分くらいかかりそうです。
いくつかあるエスカレーターの間で、ひとまず1/3周歩いたところでやめておきました。

大屋根リング

大屋根リングのエレベーターは、順番待ちでかなり並ぶときがあります。

体力に余裕があれば、外周部に設置されている階段で上り下りするのもおすすめです。
木造構造体の中心付近からのぞきこめて、おもしろい写真も撮影できます。

大屋根リング

夜景も映える

日が沈んでから夜景を見るため、また大屋根リングのうえに上がってみました。
ライトアップされたリングや、各国パビリオンがきれいです。

大屋根リング

夜は日差しもなく涼しいので、パビリオン見学で疲れたらビールを片手にリング上の芝生で休むのもいいと思います。
みんな同じことを考えているのか、夜になっても大屋根は混雑していました。

大屋根リング

夜景スポットとして最高の大屋根リングですが、閉館はほかのパビリオンと同じ21時なのは残念です。
その時間を過ぎるとエスカレーターも下り一方通行になり、屋根上のスロープ通路も閉鎖されます。

しばらくうろうろしていても、警備員さんに早く降りるよう促されます。
閉館後の観客誘導は人力なので、毎日大変そうだなと思いました。

万博の名物建築

万博ではパビリオンの展示内容に加えて、建築のデザインにも見どころがあります。
大屋根リングのほかに、気になった建物やトイレ・休憩所をご紹介します。

ポーランドパビリオン

カーサ ブルータスで予習

万博建築の予習としては、カーサ ブルータスの6月号「万博と建築」特集が参考になりました。

建築・デザインの観点から各種パビリオン・付属施設を紹介している書籍として、ほかの一般的なガイド本より内容が充実しています。

抽選でも空き枠でもパビリオンに失敗した時点で、夜間券の滞在時間はとにかく会場を歩いて建築を見てまわろうと思いました。

ヌルヌルの謎

落合陽一とNOIZが手がけるパビリオン「null2」は、シグネチャーゾーンの海側に位置しています。

null2

建物の形状はわりと単純で、ヴォクセルをイメージした立方体の集積になっています。
しかし壁面が鏡面反射するステンレスのような材質で、かすかに振動することによって複雑な模様を映し出しています。

null2

壁面に触れることは禁止されていたのですが、見たところアルミホイルを強化したような膜で覆われている感じでした。

null2

こんな柔らかい素材を外壁に使って破れないのか心配ですが、独自開発とのことで強度や対候性は担保されていそうです。
飯田パビリオンの西陣織のように、樹脂やなにかで裏打ちして補強されているのかもしれません。

ヌルヌルの写真を見ると、外壁全体がディスプレイで映像が投影されていると勘違いしそうです。
実物を見ると丸い穴のなかにモニターがあって、ほかの壁面は鏡になっているだけだと気づきます。

null2

建物のどこかから重低音のBGMと連動した振動が発生していて、鏡面膜が微妙に揺れることによって反射した風景も動いているように見えるというトリックです。

音響も含めた建築の異質さとしては、万博でもトップレベルのインパクトがありました。

残念石トイレ

パビリオン以外にも、若手建築家20組が設計を担当したトイレや休憩所が会場内に散りばめられています。
いずれも小規模で予約も不要なため、待ち時間にふらっと訪れて暇つぶしや休憩に使えます。

トイレのなかで印象に残ったのは「残念石」です。
大阪城再建のために切り出されながら使われなかった巨石で、トイレの屋根を支えています。

残念石トイレ

5個ある石は1個1トン近くするらしく、京都の木津川から夢洲まで運んでくるのは大変だったのではないかと思います。
会期終了後はまた元の場所に石を戻すそうです。

残念石トイレ

短期間の展示ということで解体・撤収が容易な仮設構造物が多いなか、リアルな石材(しかも城の石垣に使われるような巨石)を採用しているのは異様です。
一般の人が見たら、ディズニーランドにあるようなフェイクの石と思われてしまうかもしれません。

残念石トイレ

経済的合理性を無視したアートのパフォーマンスとも言えそうな残念石は、万博終了後もレガシーとして夢洲に残せばいいのではないかと思います。

残念石トイレ

ただしトイレのなかは空調がないので、夏場は蒸し暑くて地獄でした。
残念石は眺めるだけにして、トイレは別の涼しいところを利用するのがおすすめです。

ナンセンスな石屋根

残念石と並ぶもうひとつの「リアルな石建築」が、宴外食パビリオンの隣にある休憩所です。
こちらは巨石ではないものの、そこそこ重量のありそうな石材にワイヤーを通して上から吊っています。

石屋根休憩所

石の間に隙間が多いので、テントのように雨風をしのげるわけでもありません。
ほんの気持ち程度の日よけにしかならないので、何のために苦労して石を浮かせているのか、理解に苦しむ建築といえます。

石屋根休憩所

残念石トイレが意味不明な巨石を持ち込んで話題性を狙ったとすれば、石吊り休憩所は非合理な素材と工法で用途不明な建築物を表現した感じです。
ナンセンス勝負としては後者のほうが上といえそうです。

石屋根休憩所

常識にとらわれないアートとして意味はあるかもしれませんが、少なからぬ公金が投じられている施設としては、倫理性が疑われる作品です。
そういうモヤモヤした気持ちも含めて、来場者の感情を逆なでするのが目的なのかもしれません。

石屋根休憩所

万博の食料事情

なんとなく予想はしていましたが、万博会場内のレストランはどこも高いです。
フードコートのような庶民向け飲食店でも、大阪の物価に比べて2倍くらいはかかります。

海鮮丼やラーメンなど、海外からの観光客にも人気がありそうなメニューは2,000円くらい。
定食やパスタは1,500円程度で、具なしのプレーンカレーならようやく1,000円切る価格帯です。

万博グルメ

なかには7,000円の伊勢海老うどんなど、インバウン丼みたいな超豪華メニューもあります。

万博グルメ

スパイ×ファミリーバーガー

万博とは関係ないですが、スパイファミリーのおまけ付き2,000円ハンバーガーも販売されています。

スパイ×ファミリー

ノベルティーとして、万博限定バッジとステッカーが付いてきます。

スパイ×ファミリー

シグネチャーゾーンのキッチンカーと、大阪ヘルスケアパビリオンのなかなど、複数の場所でスパイファミリーメニューを見かけました。

スパイ×ファミリー

ヘルスケアのフードコーナーでは、アニメのお皿がついてくるオムライスなども食べられます。

スパイ×ファミリー

西ゲートの果てに…

21時の閉館後に西ゲートの先のフューチャーライフゾーンまで歩いてみたところ、会場内で最安と思われるフードコートを見かけました。
海鮮丼880円~、たこ焼き900円~と、ほかに比べればだいぶ良心的な価格設定に思われます。

万博グルメ

ただし格安フードコートがあるのは、大屋根リングからもっとも離れた西側エリアなので、地下鉄&東ゲートから歩くには30分以上かかると思われます。
西ゲートから見てもメインエリアとは逆方向なので、食事のために行って帰ってくるだけでかなりの時間をロスします。

すでに閉まっていましたが、巨大なくら寿司パビリオンもあります。

万博グルメ

夜間券では持ち時間が貴重なので、少しでも食費を安くあげるためにフューチャーライフゾーンに向かうのは非合理です。
会場内の飲食店をまわって価格相場を調べると、中心に近い便利な立地ほど値段も高くなっているように感じました。

フューチャーライフゾーン

夢洲駅のローソン自販機

時間を優先して効率よくパビリオンを見てまわりたいなら、グルメの楽しみはあきらめてもよいと思います。

万博に飲食物の持ち込みは制限されておらず、ゲートでもボトルの中身くらいしかチェックされません。
事前にコンビニでおにぎりなど買っておいて、行列待ちのあいだにむしゃむしゃ立ち食いするのが早いです。

無印良品の不揃いバウム

その点で利用価値が高いのは、地下鉄夢洲駅の構内にあるローソンの自販機です。
ここではメロンパン140円、ランチパック150円~とまだ良心的な値段で菓子パンやエナジージェル、カロリーメイトを購入することができます。

自販機

隣にある実店舗はたいてい並んでいるので、入場前に自販機で非常食を買っておくのがおすすめです。

フードコートのパン屋

コンビニ以外で、さほど並ばずに買える安めの飲食店としては、リングサイドマーケットプレイス西にあるパン屋さんが挙げられます。

万博のパン

豪華なメロンパンやプレッツェルは480円もしますが、地味なパンなら1個200円台から手に入ります。
金額あたりの満足度、食べごたえというコスパを考えると、ここで菓子パンをいくつか買って食事を済ませるのもありです。

万博のパン

パン屋には巨大なフードコートが併設されていて、平日夜なら予約指定席でなくても普通に座れました。

万博のフードコート

海外レストランの相場

もしランチ2,000円~の予算を許せるなら、法外に高価なうどんやラーメンを食べるよりも海外レストランがおすすめです。
大屋根リング北側のリングサイドマーケットプライス(東西)には、韓国やインド料理に特化したレストランがいくつかあります。

万博グルメ

いずれも「日本で食べられない」ということはないですが、せっかくなら万博らしく多国籍料理を試してみたいです。

さらに時間とお金に余裕があるなら、海外パビリオン内の本格レストランという手もあります。
時間帯によってはかなり並ぶうえ、セットやコース料理は5,000円くらいかかります。

万博グルメ

自分が見たなかでは、スペイン館のピンチョス&タパスセット5,500円、ポーランドのテイスティングセット4,900円などがおいしそうでした。

水分補給のコツ

真夏の万博会場で水分補給は死活問題です。

マイボトルに水を入れられる給水機があるのですが、リング下のスポットは行列ができていました。
水をくむのに並ぶ時間も惜しいというかたは、給水をあてにせず、ペットボトル数本かついで持ち込むのがベターです。

万博の給水所

せっかくマイボトルを持ってきたのですが、「自販機でペットボトルを買ったほうが早い」という状況は本末転倒に思われました。

もし海外旅行気分を味わいたいなら、パビリオン内のショップでドリンクを買うのもありです。

スペイン館では、めずらしい硬水のミネラルウォーター「ソラン・デ・カプラス」が販売されていました。
330mlで300円近くしますが、変わった味でおもしろいです。

スペインのミネラルウォーター

ペットボトルの蓋が取れないので邪魔に感じましたが、よく見ると「わざと」分離できないデザインになっていました。

スペインのミネラルウォーター

缶ジュースのプルタブが一体型に変わったように、ヨーロッパではペットボトルの蓋もゴミにならないよう、外せない構造がスタンダードなのかもしれません。
こういう風習・文化の違いを体感できるのも、万博ならではの楽しみです。

スペインのミネラルウォーター

水分以外に糖分も補給したいと思ったら、アイスやスムージーも会場内で買うことができます。
値段が控えめでわりと満足度が高かったのは、、大阪ヘルスケアパビリオン内のメトロ・キッチンにあるフローズンスムージー(400円)です。

メトロキッチンのフローズンスムージー

お酒入りのフローズンスムージーカクテルでも600円、アサヒのスーパードライ生ビールは500円でした。
メトロ・キッチンは万博内の他の飲食店よりちょっと安いように感じます。

メトロキッチンのメニュー

アルコールはどこで?

せっかくなら海外のお酒も飲んでみたいと思いついたのがベルギービール。
パビリオンでも販売されていますが、ステラアルトワ、リーフマンスで1,200円~となかなか高価でした。

ベルギービール

マルタのラガービールも1,300円はします。

マルタパビリオンのレストランメニュー

運よく並ばず入れたモナコ館も、上階のワインバー「オテル・ド・パリ・モンテカルロ」には行列ができていました。

いろいろ探して見つけたのが、スペイン館の缶ビール「マオウ」です。

スペインのビール

330ml缶のセッションIPAだと500円、瓶入りだと600円でした。
冷蔵庫で冷やしたビールも手に入ります。

スペインのビール

スペインのビールはポップなデザインで、見た目も楽しませてくれます。
大屋根リングの下で、休憩を兼ねてビール休憩をとりました。

スペインのビール

会場内やフードコートでも、飲酒禁止の表示は特に見かけませんでした。
スペイン館のショップは穴場なのか、まわりで同じ缶ビールを飲んでいる人も数名いました。

万博の人間模様

万博会場をくまなく歩いて気づいたのは、大阪らしい(?)変な人がそこそこいるという事実です。
ともかく会場が広いので、通期パス利用者のなかにはウォーキングやエクササイズ目的で連訪れている人もいるかもしれません。

大屋根リング

変なおじさんに注意

ひたすらお酒を飲んでいる臭いおじさん。
ベンチを占有して寝ている迷惑おじさん。
パビリオンの映像からスタッフの説明まで、ずっと動画で撮影しているYouTuberおじさん…

万博おじさん

怪しい行動をしているのはたいてい40~50代くらいの中年男性で、何のために万博に来ているのか…もはや会場に住んでいるのか、というレベルの常連リラックス感をただよわせています。

普通の商業施設でGoPro・ジンバル撮影していたら注意されそうですが、万博では制御不能なのか無礼講となっているようです。
スマホ撮影で顔が写るのはお互い様という感じですが、動画撮影している人からはなるべく距離をおいて自分が写らないように気をつけました。

折りたたみ椅子

少しでも万博を快適に過ごすため、いろんな便利グッズを持ち込んでいる人がいて参考になります。

飯田パビリオン冒頭の映像コーナーで、折りたたみ式のスツールを使っている老夫婦を見かけました。
円筒形の脚部分が伸縮する構造で、収納時はかなりコンパクトになり、重さも1kgを切るようです。

折りたたみ椅子

見学したパビリオンのいくつかでは、椅子がなく地面に座って映像を眺めるコーナーがありました。
衛生上心配ということもありますが、膝や腰が悪くて地べたに座れない、足腰の負担が大きいというかたには、持ち運びできる軽量チェアが有効かもしれません。

安いプラスチック製のものなら、2,000円以下で手に入るようです。

閉館後の楽しみ方

万博全体の開場時間は夜10時までですが、パビリオンは夜9時でいっせいに閉まります。
ゲート前オフィシャルストアも最終入店時間が21:20までと早めに設定されているのでご注意ください。

住友館パビリオン

21時にパビリオンの営業時間が終わった直後、人々がいっせいに帰るため、東ゲートの地下鉄乗り場は混雑が予想されます。
せっかくあと1時間いられるので、会場内をぶらぶら歩いてタイミングをずらすことにしました。

ウズベキスタン館など、外から見るだけでも構造や照明の工夫を楽しめるパビリオンがあります。

ウズベキスタンパビリオン

リング内は立入禁止

最後に大屋根リングの上にのぼって夜景を撮影していたのですが、屋根上の遊歩道も21時で閉鎖され、警備員の人に下りるよう促されます。
エスカレーターも下り方向にしか動かなくなります。

大屋根リング

夜間ライトアップされたパビリオンも撮影したかったのですが、大屋根リングの内側も21時を過ぎると関係者以外立ち入り禁止になってしまうようです。
一般人が通過しようとすると、見張っている警備員に呼び止められます。

パビリオン閉鎖後に西ゲートから東ゲートに向かうには、若干遠まわりして大屋根リングの下をぐるぐる歩かなければならなくなります。

大屋根リング

パビリオンが屋外シアターに

さいわいリングに近いパビリオンの外観は見られるため、韓国パビリオンの大型ディスプレイなど鑑賞して時間を過ごすことができます。
営業時間が終わっても、外壁の照明や映像はついたままになっているところが多いです。

韓国パビリオン

壁面ディスプレイの巨大さは韓国が群を抜いていて、夜はさながら野外シアターのような雰囲気になっています。

韓国パビリオン

自分と同じく、凝ったCG映像をずっと眺めている人が数名いました。

韓国パビリオン

ただパビリオンの夜景を撮影したり、壁の映像を眺めていると、警備員の人から「早く帰れ」とプレッシャーをかけられるときもあります。
やはり22時の閉場までには、全員ゲートを出ないといけなそうな雰囲気です。

パビリオンの夜景

21:30は地下鉄がら空き

夜10時近くになってもリングのベンチでくつろいでいた人々は、本当に万博会場に住んでいて、空港のトランジット移民みたいな存在なのかもしれません。
最後までいなかったので未検証ですが、どこかに隠れて一夜を明かせば、翌日も入場料を払わず万博を楽しめるのかもしれません。

東ゲート

21:30を過ぎたあとの東ゲートはがらがらで、まったく並ぶことなく地下鉄に乗れました。

夢洲駅

人が少ないとはいえ、ゲートから地下鉄駅まで広大な空き地を迂回誘導させられるので疲れます。
夜はまだ涼しいのでましですが、最後まで歩きまくってへとへとになった今回の万博でした。

夢洲駅

まとめ、うめきた観光

滞在時間の限られた夜間チケットでも、平日ならそこそこ楽しめた印象です。
事前にパビリオンの予約が取れていればもっとよかったですが、予約なしの無計画訪問でも入れる施設はたくさんあります。

ミャクミャク

プチ海外旅行体験

万博の魅力のひとつは、今まで行ったこともない国の文化や食べ物に触れられることではないでしょうか。

海外パビリオンのスタッフのかたは基本的に現地人(留学生のアルバイトなど)なので、ちょっとした会話もできて、風習の違いを実感できます。
たとえばインドネシアなど、やけになれなれしく話しかけてくる外国人もいておもしろいです。

万博会場

パビリオン内の売店でも、商売っ気のあるなしにお国柄があらわれてのは興味深いです。
積極的に売り込んでくる人もいれば、やる気がない店番だけのスタッフもいます。

日本人も外国人も関係者の方々は総じて対応がフレンドリーなので、ディズニーランドのように完全なお客様気分を味わえました。
パビリオンの展示や建築以外にも、スタッフのサービス精神やおもてなしサプライズが好評で、万博の評判が上がってきているのかもしれません。

万博バス

今回はコスパ重視で地味な菓子パンを食べてしまいましたが、せっかくならある程度の予算を確保して海外料理も楽しんでみたかったです。
特にクオリティーの高そうな海外レストランをはしごすれば、軽くヨーロッパ周遊旅行したような気分を味わえるかと思います。

万博の旗

価格は決して安くないですが、大豆と米からできた、めずらしい「かるカツバーガー」も食べられます。
場所はパソナ館の前のキッチンカーです。

かるカツバーガー

話しネタに万博詣で

意外と話題になっている大阪万博が気になっているかたは、関西への出張ついでなど短時間でも入場してみてはいかがでしょうか。

行列の人気パビリオンには入れなくても、多国籍コモン棟やトイレ・休憩所、そして大屋根リングをぐるっと回るだけでも、雰囲気はつかめます。

万博の休憩所

特に予約や行列不要で、ガンダムの撮影もできます。

ガンダム

ご当地料理とお酒を楽しむだけのグルメツアーでも構わないと思います。
炎天下で長距離歩くのは確実なので、ダイエットと運動不足の解消にも役立ちます。

万博会場

泣いても笑ってもあと数十日しか体験できない大阪万博…
子孫への土産話や、取引先との雑談ネタとして、一度は訪れておく価値があるといえます。

うめきた見学もおすすめ

1泊2日の大阪ツアー、万博は夜間券でだいぶ楽しめたので、2日目のチケットは買いませんでした。
翌日は万博に行く代わりに、梅田駅周辺の再開発エリアを見学して帰りました。

大阪駅の北側では、SANAA設計のロートハートスクエアうめきた、安藤忠雄設計のギャラリーVS.など、有名建築家の作品を見られます。

ロートハートスクエアうめきた

パビリオン建築の見学目当てで万博を訪れるかたには、梅田の最新スポットを散策するのもおすすめです。

ミャクミャク
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ニトリのソファベッド、パーシーGYレビューhttps://bofuo.net/nitori-percy/Tue, 08 Apr 2025 04:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2195

ニトリのパーシーGYという、2Way仕様のソファベッドを購入しました。 ひとり用ソファとしてはゆとりのあるサイズ感で、体を伸ばしてくつろげます。展開したときの長さは188cm、幅も85cmあり、簡易ベッドとしては十分な大 ... ]]>

ニトリのパーシーGYという、2Way仕様のソファベッドを購入しました。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

ひとり用ソファとしてはゆとりのあるサイズ感で、体を伸ばしてくつろげます。
展開したときの長さは188cm、幅も85cmあり、簡易ベッドとしては十分な大きさです。

体型や用途に合わせて複数のクッションを組み合わせたり、継ぎ脚で座面の高さを上げたりすれば、さらに快適に使えます。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

税込29,990円(2025年4月現在)という廉価製品ながら、クッションも硬めで意外と高級感があります。
食事も休息も睡眠も、ソファ1台でいろいろ済ませたい」というミニマリストにおすすめの商品です。

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座面が広いソファ

パーシーは前後に伸ばすタイプのソファベッドで、ひじ掛けがありません。
シンプルな形状で見た目がすっきりしていて、横からも出入りしやすいというメリットがあります。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

ソファとしては1.5人用

ひじ掛けがないパーシーは「ソファ全体の幅=シートの幅」となり、85cmの広さをフル活用できます。

「1.5人掛けのソファ」というくらいのサイズ感が、意外と便利でした。
ひとりで座るには十分な広さで、体の横に本やスマホを置くこともできます。

クッションが硬めで安定しているので、お盆に乗せればコーヒーやおやつを置くことも可能です。
ソファから立ち上がるときは、ひじ掛けの代わりに座面に手をついて体を起こすこともできます。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

幅85cmのソファは、詰めれば二人で座ることも可能です。

体が密着するので、家族や男同士だと嫌がられるかもしれません。
しかしカップルや夫婦なら距離が近くなって、かえって円満にすごせそうです。

  • 普段は1.5人がけの広々ソファ
  • 来客時は予備のベッドになる
  • 必要になれば2人でも座れる

といったイレギュラーな用途に対応できるのが、パーシーの利点です。

大きすぎず小さすぎず、中途半端なサイズ感が、賃貸マンションの狭いリビングでは、わりと役に立ちます。

座面の奥行きが広い

パーシーの座面は奥行きが実測で60cmほどあります。
一人用のコンパクトなソファに比べると、シートの幅だけでなく前後の奥行きもゆったりした設計です。

実際に腰かけると座面が深く、背もたれが遠く感じられます。
腰を伸ばし、だらけたスタイルで座れるので、リラックス感は抜群です。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

ダイニングチェアのように姿勢よく座りたい場合は、クッションを1つか2つ追加して背中に挟めば、奥行きを調整できます。
クッションに背を当ててソファの前のほうに腰かければ、テーブルを合わせて食事をとることも可能です。

楽にあぐらを組める

ひじ掛けのないフラットな形状で、座面の奥行きも深いため、ソファの上であぐらをかくこともできます。
私は体がかたいほうですが、パーシーなら難なく脚を組めました。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

本を読むときや、姿勢を変えて体のこりをほぐしたいときは、よくソファであぐらをかいて座っています。
組んだ脚の上にクッションを置くと、本を支えるのにちょうどよい高さになります。

お尻にクッションを敷けば、ソファで座禅を組むことも可能です。
畳と座布団に比べてシートが柔らかく不安定とはいえ、リビングで気軽に脚を組んで瞑想できるのは便利です。

ベッドは適正サイズ

パーシーは背もたれを倒して引き出すだけで、簡単にベッド化できます。
幅は少々狭めですが、慣れれば大人ひとりで寝るのにちょうどいいサイズ感です。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

ソファ/ベッドの組立方法

パーシーの組立方法は簡単で、座面上部と背もたれのクッションカバーを裏からジッパーで連結するだけです。
一度済ませておけば、あとは背クッションを引き出しパタパタと展開するだけで、ワンタッチでベッドに変形できます。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

ジッパー結合部の断面が斜めにカットされているため、ソファ利用時に座面と背が隙間なくちょうどいい角度で接するようになっています。
斜めの面と隙間はベッド展開時に床側にくるため、寝ていても違和感がありません。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

このあたりの収まりは、ソファベッドとしてよく考えられていると思います。

ベッドの幅は85cm

パーシーの幅は85cmなので、一般的なシングルサイズの布団(幅100cm)よりもだいぶ狭く感じます。
家が広く寝室もあるのなら、普通のベッドを入れるか、布団を敷いた方が快適に寝られると思います。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

しかし非常用・ゲスト用の簡易ベッドとして、85cmの幅は十分な広さです。

たとえばコールマンの折りたたみ式コットなら、コンパクトタイプで幅68cm、通常サイズで幅87cmです。
アウトドア向けのキャンプ用品として軽量化・可搬性が重視された簡易ベッドなので、「人が寝るにはこのくらいで十分」という最低限の寸法になっています。

自分も以前よく車中泊をしていたときは、1BOXカーの荷台にキャンプ用コットを入れていました。
寝返りを打つとき多少きゅうくつに感じられますが、慣れれば問題なく寝られます。

普段からこうした狭いベッドで寝るように訓練しておけば、災害時の避難所生活でも、不便に感じることなく暮らせるかもしれません。

ベッドの長さは188cm

パーシーをベッド利用したときの長さについては、「背もたれの厚みを除き、長さは約188cm」とニトリの公式サイトで説明されています。

身長174cm程度の男性が寝てみても、特に頭が背もたれに当たったり、足がはみ出るといった不都合は感じませんでした。
やや狭めのベッド幅に比べて、長さは十分に確保されています。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

身長180cmを超えるような背の高い人だと、少々きゅうくつに感じられるかもしれません。
逆に身長160cm以下の平均的な女性なら、違和感なく使えると思います。

マットの厚さは14~16cm

ベッドとして使う際、マットレスになるクッションの厚みは14~16cmあります。

座面下側はバネが入っていて硬いため厚さ14cm。
座面上側と背もたれはウレタンのみのため、荷重をかけた際の沈み込みを計算してか16cmと、2cm厚めに設計されています。

ニトリのソファベッド、パーシーGY

一般的なコイル入りマットレスは厚さが20~30cmあるので、それに比べると薄めのコンパクト仕様です。
ゲスト用としてはこれでも十分な厚みだと思いますが、気になるならソファの上に、布団用の敷きパッドやベッドマットを追加すればよいと思います。

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GoogleのYMYL検閲とOfferwall広告の是非https://bofuo.net/adsense-ymyl/Wed, 12 Mar 2025 04:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2055

新しくつくったサイトで、GoogleのAdsense審査にようやく合格できました。何度目かの挑戦で受かった理由を考えると、YMYLコンテンツの除外が有効だったように思われます。 グーグルの方針なので仕方ないとはいえ、特定 ... ]]>

新しくつくったサイトで、GoogleのAdsense審査にようやく合格できました。
何度目かの挑戦で受かった理由を考えると、YMYLコンテンツの除外が有効だったように思われます。

グーグルの方針なので仕方ないとはいえ、特定分野の記事については良識のある内容でも無視されたりペナルティーを受けるというのは理不尽に感じます。

また最近のアドセンスではOfferwallを出せたりして、ウェブ広告の表現が多様化してきているようです。

アドセンスに関連して、近年のSEOとネット広告の傾向について考えてみました。
以下は売れない古参ブロガーの恨み節といった感じの雑談です。

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YMYLは無料ブログで書く

今回アドセンスに合格できた理由は、「医療系の記事を外す」という工夫が大きかったように思います。

ほかは微々たる改良ですし、記事数もボリュームもすでに十分だった可能性があります。
すると考えられる原因は、「なんらかの違反を犯してペナルティーを受けている」ということです。

せっかく時間をかけて執筆し、思い入れもある記事ですが、しぶしぶ削除したらあっさりアドセンスに合格できました。

YMYLの語源

YMYLといえば、ヴィッキーロビン、ジョー・ドミンゲスの『お金か人生か』(原題:Your Money or Your Life)が元ネタと思われます。

英語の原著は1992年に書かれたもので、かのRDPD…『金持ち父さん 貧乏父さん』(Rich Dad Poor Dad、1997年)より若干古いです。
ちなみに似たようなジャンルの『週4時間だけ働く』(The 4-Hour Workweek、2007年)という本も、4HWWと略されることがあります。

なにかこういう財テク・リタイア系の本は、4文字アルファベットに短縮して標語化されやすい傾向があるのかもしれません。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)というバズワードもまさにそうですね。

書籍のYMYLは個人的に好きだったのですが、2020年からグーグルのガイドラインに採用されたおかげで、別の文脈で広まってしまいました。
ちょうどこの頃、米国発のFIREムーブメントが日本でも広まりはじめた時期でもあり、『お金か人生か』という古典本が連想されやすかった背景もあるようです。

また個人的にはゲームの女神転生シリーズに出てくる唯一神、YHVHを連想します。
「みだりに名前を唱えてはならない(記事で触れてはいけない)、神(Google)の名前」という意味では、洒落が効いているように思います。

真女神転生2のYHVH

健康ネタは無理ゲー

YMYLのなかでも医療分野で個人ブロガーが活躍するのは、もう難しいでしょう。

検索上位に出るほどの権威性や信頼性(E-A-A-T)を獲得できるとしたら、よほど名の知られた専門家で、公的機関や大学などから外部リンクをもらう必要があると思います。
どんなに有益でおもしろい記事を書いたとしても、土俵にすら乗せてもらえない可能性が高いです。

数年前から病名や治療法などをグーグルで検索しても、厚生労働省や病院、製薬会社などのオフィシャルなページしか上位に出なくなりました。

「水虫やハゲ」といった下世話なテーマで検索しても、個人ブログのおもしろいネタにたどり着くことはありません。
見つかったとしても皮膚科やクリニックの営業用ブログといった、営業目的の記事ばかりです。

検閲が強化されてつまらなくなったとはいえ、怪しげな情報が出てきてうのみにする人が出てくるよりは、ましなのかもしれません。
ワクチン反対のトンデモ説や陰謀論にもエンタメ要素はありますが、グーグルとしては黙殺したほうが自社および社会の利益になると判断されたのでしょう。

こうしたパターナリズムの利点と検閲のデメリットは、どのあたりで線引きするのが有益か、議論のわかれるところだと思います。

お金の話はまだいける

YMYLの医療系は無理だとしても、金融や資産運用の話なら個人ブロガーにまだチャンスはありそうです。

「NISA 運用」といった検索語では金融庁、銀行、証券会社しか出てこないですが、「ブログ」というワードを追加すると、昔ながらの個人ブログも1ページ目にあらわれます。

以前から投資パフォーマンスの公開というのはブログの定番ネタでした。
昨年、新NISAが始まってからは、NISAの運用報告をコツコツ書く人が増えたようです。

NISAは基本的に投信積立てなので、テクニックや銘柄選択はほとんど関係ありません。
買っている商品もオルカンやS&P500のインデックスなら、運用成果も似たり寄ったりです。

これまで日陰の存在だったインデックスファンドが流行した背景には、個人のブログやSNSが一役買ったという説もあります。

手数料を削って広告も打たず、銀行や証券会社も利幅が薄いので積極的に宣伝しないという隠れた金融商品は、個人の草の根、情報発信と相性がよかったのでしょう。
これに金融庁が投資先として推奨している事情も重なり、インデックス投信がバズったように思われます。

国内の投資人口はまだ2割ほどらしくいので、新NISAが話題といっても微々たる影響にすぎません。
ただ10年前にNISAや確定拠出年金(DC、現iDeCo)をコツコツ始めたときは、今ほど多くのメディアで「インデックスファンド」という金融商品を見ることはなかったです。

グーグル八分の恐怖

あまりGoogleに批判的なことを書くと、そのこと自体、SEO的にネガティブな評価を受けてしまうかもしれません。
(反対にMicrosoftのBingには歓迎されそうです)

アドセンスの不可解な審査結果や、YMYLのペナルティーらしきものを経験すると、グーグルの隠れた方針について疑心暗鬼になってしまいます。
下手なことを書けば検索エンジンに無視される、というよりも「サイト全体がバンされてしまうのではないか」という恐怖におびえています。

アカウント凍結のおそれがある無料ブログと同様に、WordPressの独自ブログであってもグーグル八分を意識しないわけにはいきません。
ブログ全体に悪影響が及びそうなら、不穏な記事はまた取り下げて、無料ブログに移し替えようと思います。

トップページをサイト型に変えたことで、本題と関係ない裏話のような記事も盛り込めるようになったのはメリットと感じています。
読者に気づかれにくいところで、微妙な記事を出したり引っこめたりしても、たいして迷惑はかからないはずです。

もっとも、誰にも読まれず検索にもかからない話など、公開しても自己満足にしかならないとは言えますが…

無料ブログへ記事移行

YMYLに関連して自分の健康状態というのは、食レポと同じくらい素人でも書きやすい話題です。

ある程度の年齢をすぎると、日ごろの体調や健康法、通院や入院の経験談といったものが鉄板ネタになってきます。
初対面で共通の趣味もなく、政治的・宗教的バックグラウンドもわからないときに、天気のことなら無難に話せるような感じです。

こうした健康ネタをもうブログで書けないのか…と思うと寂しい気持ちになります。
しかしそもそも検索順位など気にしなければ、なんでも自由に書いて構わないはずです。

あえてWordPressでなく無料ブログを使えば、YMYLな話題や、たわいもない日記・雑記でも読んでもらえる可能性は高まります。

たとえばアメーバブログで「不整脈」や「変形性膝関節症」と検索すると、個人の闘病日記が多く出るほか、それぞれ病名のハッシュタグまで見つかります。
noteは病院や専門家の割合が多めですが、個人の治療レポートもまだ出てきます。

ためしに当サイトからYMYLな健康記事をアメブロに移したところ、短期間で予想以上のPVがつきました。
数年間WordPress上で放置したいたときよりも、反応がぜんぜん違うと感じます。

アメーバブログのアクセス数

もちろん初参加のユーザはブログ上で紹介されやすかったり、ビギナーズラックが寄与しているとは思います。
しかしこれまでは検索エンジンからほとんど流入がなかったので、それに比べれば特定ブログ内での話とはいえ、執筆のモチベーションも自然とあがってきます。

グーグルの検閲が強化されるにつれて、そこから逃れた人たちが別のエコシステムに移り、住み分けが進んできているのではないでしょうか。
おもなSNSの間で、ユーザの属性や使用目的が分かれているのと似たような状況です。

ウェブメディアの多様性

たとえひとつのSNSが独占的なシェアを占めたとしても、ユーザが高齢化するにつれて、話題の合わない若年層は別のSNSを求めると思います。
機能の優劣というより顧客層の相性といった感じで、ニッチなサービスにも必ず需要はあるといえます。

かつてはパソコン向けのOSでも、Windowsに比べてmacOSやLinuxは利用者が少ないため、ウイルス感染の標的になりにくいといった話もありました。
ビジネスの持続可能性を意識すると、使用するプラットフォームにも多様性をもたせたほうが安全といった考え方もできます。

もう20年前の流行だったmixiやSecond Lifeがいまだに存在して、しかも一部の人たちの間で盛り上がっているという理由もうなずけます。

近年Twitterの運営方針に反発して、mixiに移ったユーザ層がいるそうです。
Second Lifeも時代を先取りしすぎたメタバースですが、枯れたメディアにこだわるマニアックな人たちも存在するものです。

時代遅れのサービスでも、ユーザのコミュニティーに根強く支持される場合の思考実験としては、テッド・チャンの『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』というSF小説が参考になります。
ハヤカワ文庫SFの『息吹』という短編集に収録されている作品です。


こちらはロボット型アバターの育成に関するフィクションですが、SNSやメディアプラットフォームの栄枯盛衰にも通ずる要素があります。

はてなブログやアメブロも、テッド・チャンの描いた「ディジエント」のように、ユーザ主体で細々と維持されていくような気がします。
noteやWordPressなど競合サービスの失敗・衰退によっては、意外とまた盛り上がることがあるかもしれません。

近頃フィルムカメラや編み物が若者の間でブームになっているように、レトロな日記ブログが将来また流行る可能性もゼロではないと思います。

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Adsense合格要因の考察と消費税還付の罠https://bofuo.net/adsense-tax/Tue, 11 Mar 2025 03:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2150

こんにちは、ブログ歴20年のボフオです。趣味のブログや、専門的な情報サイトを合わせて5つほど運営しています。 近年、厳しさを増しているGoogleのAdsense審査ですが、新たにつくったこちらのウェブサイトが、3年がか ... ]]>

こんにちは、ブログ歴20年のボフオです。
趣味のブログや、専門的な情報サイトを合わせて5つほど運営しています。

近年、厳しさを増しているGoogleのAdsense審査ですが、新たにつくったこちらのウェブサイトが、3年がかりでやっと合格できました。
それまで「ポリシー違反…有用性の低いコンテンツ」の理由で10回ほど落ち続け、36記事も書いたうえ、いろいろ工夫してやっと…という感じです。

ご参考までに合格にいたった経緯をメモしておきたいと思います。

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アドセンス合格サイトの状況

2025年2月に合格したときの時のサイトの状況は、以下のとおりです。

アドセンス審査合格メール

サーバ、テーマなど

ConoHa WINGのレンタルサーバにWordPressを入れて、SANGOの有料テーマを適用しています。
もちろん独自ドメインです。

ConoHa WINGは最安の「ベーシック」を契約しています。
1年契約でかかる費用は現在13,068円です。
今後はまた値上がりするかもしれません。

ConoHa WINGの契約状況

ConoHaのWINGパックで「独自ドメインを2個まで無料で持てる」特典がありますが、無料期間中は移管できないのでご注意ください。
もしドメインの管理を他社に移すなら、サーバを解約してドメインを有料維持する必要があるようです。

SANGOテーマはConoHaのWINGパック優待で買ったので、定価より少し安く14,000円でした。

SANGOテーマ

はじめて購入した有料のWordPressテーマで、見た目や機能はまあまま気に入っています。
ただSEOやアドセンス審査に有利かというと、特に実感はありません。

これまで使っていた無料テーマのCocoonでも、機能的には十分すぐれていました。
最近のウェブサイトっぽいおしゃれな外観にしたくて、SANGOを選んでみた感じです。

このあたりのインフラ環境は、個人ブログとして一般的な状態かと思います。
さらにお金をかけて商用ツールを導入したり、ハイエンドのサーバを使うといった工夫はしていません。

記事数・文字数

審査時には36記事を公開済みでした。
それ以外に「自己紹介、サイトマップ、プライバシーポリシー、お問い合わせ」といった、よくある固定ページも配置しています。

記事の文字数は平均して8,000字くらいです。
3,000字の小ネタから、20,000字を超える長大レビューまでいろいろありました。

ブログ記事の例

あまり編集にこだわっていないせいもありますが、文章量は比較的多めかと思います。
記事によっては画像も多く使っていて、50枚以上入れたページもあります。

記事の内容

内容は個人の趣味的なブログで、商品レビューや旅行のレポートが中心です。
「特化型」か「雑記」かといわれれば、その中間かと思います。

ある程度ジャンルは絞っているつもりですが、レビュー対象はまちまちです。
本だったり靴だったり電子ピアノだったりして、カテゴリー同士の関連性はほとんどありません。

観光地やホテルの紹介といった旅行記はありますが、個人の日記的な日頃の雑談は極力排しています。
読まれるかたの問題解決に役立つよう、最低限の有用性は意識しながら執筆しています。

イラスト掲載

なんとなく独自性を出してみようと思って、記事のアイキャッチ画像に手描きのイラストを採用しています。

ブログのアイキャッチ画像

素人の描いた絵なのでクオリティーはいまいちですが、よく見るフリー素材よりは目立つかもしれません。
とはいえ記事の中身にそれほど関係があるわけでもなく、あくまでおまけの装飾といった感じです。

ブログ開始当初からイラストは掲載していましたが、アドセンスには何度も落選しました。
記事以外のコンテンツとして自作の絵を載せても、アドセンスの合否には影響がなかったと考えられます。

合格前に工夫した点

前回の不合格から再審査を申し込むまでに、改善した点を挙げてみます。

このうちどれかが決定的な要因なのか、それとも全体的な努力が認められたのかは、わからないままです。
アドセンスの審査基準に対して、なんらかのヒントは得られるかもしれません。

医療関連の記事を外す

近年SEO業界でタブーとされるYMYL(医療・金融ネタ)を排除してみました。

当ブログのなかでも2記事ほど、自分の健康状態や通院に関する話題を書いていました。
といっても健康診断とその精密検査という程度のライトな内容で、命にかかわるような話ではありません。

最近ではこういう健康ネタを書いても、検索上位に出てくることはまずありません。
サーチコンソールでURLをリクエストしてみると、インデックスに登録すらされないこともしばしばです。

それは承知で残していた医療関連記事ですが、ためしに下書きに戻してみました。
ついでに念のため、サーチコンソールで削除リクエストも出しておきました。

健康関連記事

この工夫によって、あっさりアドセンスに受かりました。
長年の経験からすると、これが合否の分かれ目だったように感じています。

ボフオ
ボフオ

YMYLなめてて、すみません…

もはや個人ブログにおいてYMYLというのは、触れてはいけない地雷なのかもしれません。

書いても無視される」という程度では済まされず、もはや「書くとマイナスになる」(ほかの記事も道連れにして、サイト全体の評価が下がる)という可能性もあります。

むやみに記事を増やそうと焦るあまり、健康とお金の話を不用意に盛り込むのは避けたほうがよさそうです。

どのみちグーグル検索にはかからないのですから、どうしても書きたければ自分のサイトではなく、別のブログサービスに書いたほうがいいと思います。
アメーバブログやnoteなら、サービス内での紹介やタグから流入があり、YMYL記事をWordPressで公開するよりPVが多くつく傾向があります。

真女神転生2のYHVH GoogleのYMYL検閲とOfferwall広告の是非

自己紹介とサイトマップ追加

固定ページで「プロフィール」と「サイトマップ」を追加しました。

これまで「プライバシーポリシー」と「問い合わせフォーム」(Contact Form7のプラグイン)は設置済みだったのですが、念のための追加という感じです。

自己紹介といっても簡単なもので、短めの著者略歴とサイトの趣旨を説明しているだけです。

サイトマップは「Simple Sitemap」のプラグインを使って自動生成しています。
固定ページ内では以下のように記述して、生成されるHTMLの見ためを整えています。

HTML
[simple-sitemap show_label="false"]
[simple-sitemap-group orderby="date" order="desc" show_label="false"]
※ブランケットは全角で表示しています

show_labelのオプションはどちらもfalseに設定しておいたほうがいいです。
そうでないと「固定ページ」「投稿」といった見出しが表示されて、不格好になってしまいます。

以上の固定ページ4点セットは、実は以前から用意してありました。
しかしそれでもアドセンスに受からなかったので、簡単のため下書きに戻していた経緯があります。

利用規約と問い合わせ先の重要性に比べれば、自己紹介とサイトマップなど、あってもなくても変わらない気がします。
しかしアドセンスの審査に万全を期すなら、コンテンツを増やすという意味でも設置しておいて損はないかと思います。

プライバシーポリシーの更新

利用規約の適切な文言は、時代によって変わってきます。
こちらも念のため、最新とおぼしき文言に変更しておきました。

いくつか調べたなかで、今回はエックスサーバーさんのひな型を参考にさせてもらいました。

  • 個人情報の利用目的
  • 広告(GoogleアドセンスとAmazonアソシエイト)
  • クッキーの無効化
  • アクセス解析(Googleアナリティクス)
  • 免責事項
  • 著作権・肖像権
  • リンクの注意点

といった典型的な項目が網羅されているので、必要な部分だけ選んで記載すればいいかと思います。

XMLサイトマップをプラグイン化

昔はプラグインでXMLサイトマップを生成していましたが、最近はWordPress本体の機能でサポートされています。

WordPressデフォルトのXMLサイトマップは、「ドメイン名/wp-sitemap.xml」で参照できます。
サーチコンソールへの登録も可能です。

しかしこの標準サイトマップは性能がいまいちらしいので、やはりプラグインの「XML Sitemap & Google News」を導入してみました。
このプラグインには細かい設定項目がたくさんありますが、ほぼ初期状態のまま、生成されたsitemap.xmlをサーチコンソールに送信しています。

サーチコンソールでのサイトマップ登録

できれば余計なプラグインは増やしたくないとはいえ、XMLサイトマップの差し替えも、アドセンス合格に貢献したかもしれません。

記事数増加30→36

前回のアドセンスに落選した状態から、新たに6記事ほど追加しました。
いずれの記事も1万字を超える、ヘビーな文章量です。

これまで10記事、15記事…とボリュームが増えるたびにアドセンス審査に挑んでも、却下され続けました。
理由もわからず「有用性の低い…」といわれると、会社の面接に落とされたようで落ち込みます…

アドセンス審査不合格メール

やる気をなくしてブログを放置した時期もありましたが、少しずつ更新を続けてここまで記事を増やせました。

昔のアドセンス審査基準であれば、ここまで記事を増やさなくてもとっくに合格していたと思います。
それでも量が足りないのか、あるいは中身が貧弱なのか…
それとも記事の内容以外で、なんらかの足切り条件に引っかかっているのか…

やはり原因は不明ですが、とりあえず「36記事×平均1万文字」というのが今回合格できた時点のコンテンツ量です。

ステマ規制対策の文言復活

2023年10月1日に始まったステマ規制に対応して、「本記事のリンクには広告が含まれています」といった趣旨の文言を記事に追加してみました。

この「アフィリエイト広告の景品表示法」開始当初は、ほかのサイトにならって記事の上に大きくPR表示を追加していました。
しかし「グーグルやアマゾンから指示を受けていないリンクは対象外」という説もあり、不自然で見苦しいPR表示は外していた時期もあります。

日本国内のローカルルールなので、アドセンス審査には直接関係なさそうな気がします。
しかしリスク回避の保険と思って、記事中のどこかに「広告・PR」の表記は入れておいたほうが無難な気もします。

アドセンスの審査時点では、記事ページの目次下に注意書きが表示されるよう、ウィジェットを追加しておきました。
広告表示はセオリーどおりに目立たせたほうがいいとはいえ、サイト全体のデザインに響かないよう、設置場所は冒頭リード文のすぐ下あたりを選びました。

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トップページをサイト型に

これまではSANGOテーマ初期状態の日記風レイアウトでしたが、ブロックエディタを駆使してサイト型のトップページに変えてみました。

アドセンス審査に直接影響はなさそうですが、ユーザーの回遊性や滞在時間を高めるという意味では、間接的な効果を見込めるかもしれません。

別に個人ブログなら日記型で問題ないとはいえ、扱うテーマがバラバラだと、互いに興味のない読者には違和感を与えてしまいます。
カテゴリーごとに記事一覧を分けたり、ヘッダーの下に分野別のメニューを追加することで、目的のジャンルにたどり着きやすくなるよう工夫しました。

サイト型トップページ

現在表示している分野と別のカテゴリーは、読者の視界にまったく入らないほうが親切な気がします。
検索意図と関係のないジャンルの記事などノイズにすぎないばかりか、専門性が薄れて見えるデメリットすらあります。

しかしトップページには各カテゴリーへの動線を設置するため、別ジャンルの記事を並置する必要が出てきます。
ここで記事が時系列に並んだ日記型だと、カテゴリーごとの飛躍があまりに大きすぎて、印象がよくない気がします。

トップをサイト型にして記事をカテゴリーごとに整理したら、見た目の違和感が多少は薄れたように感じます。
純粋な特化サイトにはかなわないですが、興味のあるカテゴリーにたどり着きやすくできたと思います。

ちなみにSANGOのアップデートで、「人気記事」の中身を現在表示中のカテゴリーに限定できるようになっています。
別分野の記事が人気記事の上位として目に入るのは微妙だったので、この新機能はさっそく使わせてもらっています。

外部リンクを増やした

若干のSEO効果を期待して、外部リンクを増やす工夫をしてみました。

自作自演でつくれる外部リンクはそもそもグーグルからの評価も低く、焼け石に水かもしれません。
検索順位を上げるSEOのメリットがないどころか、悪くするとペナルティーを受けてしまうおそれもあります。

今回は「アドセンス合格のために、できることは何でもやってみる」という覚悟だったので、お金のかからない範囲で怪しげな外部リンクもいろいろ増やしてみました。

具体的には…

  • ブログ村などランキング系サイト
  • Lit.Linkのようなプロフィールツール
  • Pinterestなど、まだ使っていなかったソーシャルサービス
  • ペライチのような無料のサイト作成サービス
  • はてなブログやアメーバブログなどの無料ブログ

いずれもnofollow属性のリンクが多いので、本当にやる意味があったかというと微妙です。
しばらく経ってからサーチコンソールで外部リンクを確認しても、新たに設けたリンクはほとんど反映されていませんでした。

たとえ検索順位への貢献はなかったとしても、外部サイトからブログに流入してくれるお客さんがゼロではないかもしれません。
しかし他サイトのコンテンツを充実させるよりや、ブログ本体の更新に時間をかけたほうが有意義ではないか?…というジレンマもあります。

複数サイトを長年運営してきた経験上、いくつかのブログに労力を分散させるよりは、ひとつのブログに集中したほうが成果は大きかったです。
SEOの評価基準もしばしば変更されるので、ヘタな小細工で外部リンクを獲得できたとしても、労力のわりに見返りは少ない気がします。

同意メッセージを作成

アドセンスの再審査申請後、「サイトの同意メッセージを作成する」という画面が出たので、ついでに対応しておきました。

サイトの同意メッセージを作成する

「同意管理プラットフォーム(CMP)」は欧州・英国・スイスが対象なので、日本国内のユーザーには直接影響がないはずです。
しかし広告表示に関連する機能で、アドセンスの審査画面にわざわざ出てくるということは、対応が必須なのかもしれません。

3つある同意メッセージの選択肢から、今回はとりあえず「グーグルのCMPを使用、2つの選択肢」を選びました。
またメッセージはデフォルトの英語でなく日本語で表示されるよう、設定を変えておきました。
ほかのデザインはとくにいじっていません。

同意メッセージ

欧州向けなら英語のままでもよかった気はしますが、サイト全体の使用言語は日本語です。
「EU圏に住む、日本語を読める人」のアクセスを想定して、メッセージも日本語にしてみました。

(補足)米国向けも作成

アドセンス合格後の話ですが、ヨーロッパだけでなくアメリカ各州向けのメッセージも追加しておきました。
米国向けのメッセージは設定していなくても審査に受かったので、必須というわけではなさそうです。

同意メッセージ(米国版)

欧州向けは日本語に設定しましたが、米国版は若干仕様が違って英語かスペイン語しか選べなくなっています。

欧州・米国とも実際のサイトで同意メッセージが出るのを見たことはないので、どんな風に使われているのかわかりません。
しかし久々にアドセンス設定画面から「欧州の規制」を確認してみたところ、3件のメッセージ表示履歴が記録されていました。

同意メッセージ表示履歴

全体のPVからするとごくわずかですが、海外からのアクセスの一部に設定が反映されていると推測されます。
こうしたケースがある以上、グーグルのCMPを有効化しておいたことも、アドセンス審査に多少は影響したのではないかと考えられます。

以上、アドセンス合格の要因とおぼしき改善点を、ひととおり整理してみました。
相変わらず採点基準は不明ですが、当サイトも合格例のひとつとして、審査に向けた準備の参考にしていたければ幸いです。

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MUFGで法人口座開設、ネット銀行との比較https://bofuo.net/mufg-netbank/Sun, 09 Mar 2025 00:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2121

おもに節税目的で運営している一人会社では、ゆうちょ銀行のほか、三菱UFJ銀行にも法人口座をもっています。 メガバンクとしては審査もゆるく便利な反面、地方に引っ越すと支店どころかATMも存在しません。唯一経営セーフティ共済 ... ]]>

おもに節税目的で運営している一人会社では、ゆうちょ銀行のほか、三菱UFJ銀行にも法人口座をもっています。

メガバンクとしては審査もゆるく便利な反面、地方に引っ越すと支店どころかATMも存在しません
唯一経営セーフティ共済の掛金振替で利用する以外は、まったく使わなくなってしまいました。

MUFGはBizSTATION(Light)の送金方法がやたらと煩雑なのもデメリットです。
久々にログインしようと思ったら、パスワードロックや電子証明書の期限切れで書類申請が必要になってしまいました。

MUFG法人口座の使いどころを整理したうえで、最近サービスがよくなってきたネット銀行についてもいくつかご紹介したいと思います。

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MUFGの法人口座開設

三菱UFJ銀行に法人口座を開設したのは、会社設立から約1年後です。
審査のためには多少の取引実績を積んでからのほうがいいかと思い、少し時間をおいてから申し込みました。

MUFGの審査もわりとゆるい

大手都市銀行のなかで、MUFGは口座開設のハードルが低いと、昔から言われています。
会社や組合を設立するたび何度かお世話になりましたが、口座開設の審査に落ちたことは今まで一度もありません。

MUFGの通帳

そのせいか、MUFGをかたるフィッシングメールが多く届きます。
安易に口座開設できてメガバンクとして社会的信用もあるせいか、詐欺に利用されやすい傾向があるように思われます。

MUFGの通帳

MUFGは過去にも金融庁から不祥事の多さを指摘されていました。
昨年ニュースになった行員による貸金庫窃盗事件も、やはり舞台は三菱UFJでした。

社会保険と共済加入が目的

MUFGに口座をつくった目的は、社会保険料を毎月自動で引き落とし、節税用の共済に加入するためです。

保険料口座振替納付(変更)申出書

給与振込など当面の取引はゆうちょ銀行で間に合っていたのですが、当時はまだ保険料の振替にネット銀行が対応していませんでした。
今ならゆうちょ銀行やイオン銀行、GMOあおぞらネット銀行も保対応しているため、わざわざ手数料の高いメガバンクに申し込む必要はありません。

地方には支店もATMもない

その後、地方に移住したら、MUFGの拠点がまわりにひとつもないと気づきました。
支店はおろか、大型モールや駅構内など、どこを探してもATMが見つかりません。

ネットバンキングだけなら問題ないですが、窓口で手続きしたり現金を引き出したいときは、わざわざ電車に乗って他県や中核都市まで出かける必要があります。
さすがに不便なので残高をすべて引き出し、せっかくつくった法人口座も使わなくなってしまいました。

あらためて調べてみると、地方には県庁所在地にしかメガバンクの支店がなかったり、そもそもATMすら存在しない県が多数あるとわかりました。

長年東京に住んでいると気づかなかった事実で、ちょっとしたカルチャーショックでした。
都市銀行とはその名のとおり、大都市にしか存在しないのです。

三菱UFJ銀行は2006年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して生まれた銀行で、2017年までは三菱東京UFJ銀行という長い名前でした。
かつては名前に「東京」と入っていたとおり、首都圏を拠点とするローカルな銀行なのかもしれません。

三菱東京UFJ銀行

Neil Denari設計のMUFGプラザ

MUFGを選んだのは、アメリカ人建築家のニール・ディナーリが設計した渋谷支店を利用したいという、ミーハーな目的もありました。

銀行のサービス内容とは直接関係なく、あくまで個人的な趣味です。
世の中には建築やインテリアの好みで取引銀行を選ぶ人もいるという、レアな事例としてご紹介します。

ニール・ディナーリは1980年代末に提案した、ウエストコースト・ゲートウェイや東京国際フォーラムのコンペ設計案が有名です。
ガンダムのモビルスーツみたいにメカメカしいドローイングで、はじめて見たときは衝撃を受けました。

日本ではピーチ・アビエーションの機体をデザインしたことでも知られています。
彼の数少ない日本国内での実現作品のひとつが、渋谷のMUFGプラザです。

東京に出てきて真っ先に、ニール設計の渋谷支店で個人口座をつくりました。
法人口座は登記住所の最寄り支店で開設しましたが、たまに渋谷の店舗を訪れては、サイバーな内装デザインを堪能していました。

渋谷MUFGプラザ
渋谷のMTFGプラザ(2005年撮影)

こちらは今から20年前に撮影した外観写真で、当時はまだUFJとの合併前だったので「東京三菱銀行」でした。
MUFGではなくMTFG PLAZAと表示されています。

渋谷MUFGプラザ

夜間の様子はこんな感じで、外壁に埋め込まれたLEDライトが光ります。
しかも時間が経つと、ライトの色が青からオレンジに色が変わっていくというこだわりようです。

渋谷MUFGプラザ

内部は銀行なので撮影できないのですが、インテリアも一見の価値があります。
カウンターの下にライトが仕込まれ、ハニカムパネルで柔らかくぼかされていたり、柱の下の通風孔みたいなパーツまでカプセル型のデザインモチーフで統一されています。

再開発がさかんな渋谷駅周辺でも、MUFGプラザはまだ現存するようです。
渋谷駅西口のロータリーに面した歓楽街の入口で、白いパネルに控えめなイルミネーションが輝くファサードは、今でも新鮮に感じられると思います。

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ゆうちょ銀行の法人口座を使いこなすコツhttps://bofuo.net/yucho-direct/Sat, 08 Mar 2025 11:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2091

資産運用会社のメインバンクとして、ゆうちょ銀行を使っています。 「法人口座開設の審査がゆるかった」というのがおもな理由ですが、ネットバンキングの手数料も大手都市銀行より格安です。さらに田舎や離島でも郵便局の窓口やATMを ... ]]>

資産運用会社のメインバンクとして、ゆうちょ銀行を使っています。

「法人口座開設の審査がゆるかった」というのがおもな理由ですが、ネットバンキングの手数料も大手都市銀行より格安です。
さらに田舎や離島でも郵便局の窓口やATMを使えるので、引っ越しの多いかたなら便利だと思います。

ゆうちょダイレクトの認証方法をトークンからアプリに切り替えたのをきっかけに、ゆうちょ銀行のメリットについて振り返ってみました。

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ゆうちょ銀行の審査はゆるい

今から約10年前、会社設立と同時にゆうちょ銀行で法人口座を開設しました。

郵便局

節税目的のペーパーカンパニーで資本金もきわめて少額…
設立直後で取引実態も不明な怪しい会社ながら、ゆうちょ銀行では問題なく口座をつくれました。

当時、実店舗があるのに「ネット銀行と同じくらい審査がゆるい」と評判のゆうちょ銀行でしたが、そのうわさは本当でした。

ICキャッシュカードのデザインは、個人も法人もまったく同じです。

ゆうちょ銀行のキャッシュカード

今はマネーロンダリングや犯罪防止のため、口座開設のハードルが上がっているかもしれません。
最新の申請方法を調べると、法人口座を開くには決算書や残高試算表、事業計画書など、さまざまな書類を用意する必要があるようです。

社会保険料の振替も可

2019年4月1日から、ゆうちょ銀行も社会保険料の口座振替に対応して、ますます便利になりました。
最近ではイオン銀行やGMOあおぞらネット銀行など、その他のインターネット専業銀行でも保険料の引き落としができるようです。

ひとり社長のマイクロ法人とはいえ、社会保険の加入義務はあります。
毎月保険料を納付するために銀行に入ったり、ペイジーで電子納付するのも手間がかかります。

保険料の自動納付に口座振替が便利ですが、昔は大手の都市銀行や地方銀行しか対応していませんでした。
しかし設立間際の弱小ベンチャーでは、そもそもまともな銀行に法人口座を開けないというジレンマがあります。

今は審査のゆるいネットバンクでも保険料を納められるため、無理してメガバンクに口座を開く必要もなくなったといえます。

どこにでもある郵便局

日本中どこに引っ越しても郵便局の窓口やATMを利用できるのは、ゆうちょ銀行がもつ最大の強みです。

ゆうちょ銀行の通帳

法人口座に関しては「ゆうゆう窓口」のあるような中央郵便局のほうが、待ち時間は長くても、手続きをスムーズに進めてもらえます。
しかし集落にある出張所レベルの郵便局でも、相談や申請は親切に受け付けてくれます。

今回の限度額解除に関する相談はそれほど急ぎでもなかったので、最寄りの小規模郵便局に行ってみました。

案の定、スタッフのかたは法人口座や認証アプリについて不慣れらしく、解決するのに時間がかかりました。
郵便局の職員さん総出でマニュアルを見つつ、ほかの部局に電話で相談したりしながら待つこと数十分…ようやく送金限度額は変更できるとわかりました。

ゆうちょダイレクト送金限度額変更届書

しかも便利なゆうちょ認証アプリを使ったまま、限度額だけ引き上げてもらえるという理想のパターンです。
わざわざ窓口まで来て、待った甲斐がありました。

もしこれが窓口のないネット銀行だったら、フォームや電話で問い合わせるとしても、相当時間がかかりそうです。
問題解決をあきらめて、ほかの銀行に変えていたかもしれません。

預金限度1300万の壁

ゆうちょ銀行特有のルールとして、預金限度額1,300万円というものがあります。

法人口座も例外ではなく、総合口座の通常貯金であれば預け入れ上限は1,300万円です。
利子のつかない振替口座であれば、こうした制限はありません。

ゆうちょ銀行の通帳

普段は少額の給与支払いにしか使っていないので、上限が1,300万もあれば十分です。
投資資金の移動などで制限に引っかかる可能性はありますが、限度額以内で何度か振込すれば用事は済ませられます。

ただし振込の手間が増えて手数料もかさむので、もし将来、億単位の貯金を扱えるようになったら、ほかの銀行に乗り換えるかもしれません。
ペイオフは気になりますが、それだけ巨額の資金を預けるとしたら、利率も気になるところです。

今のところ零細ペーパーカンパニーの運営に関しては、ゆうちょ銀行の預金限度額を気にすることはありません。
いつかまとまった資産ができて、ゆうちょ銀行を卒業するときが来るのを楽しみにしています。

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ゆうちょ認証アプリで法人がはまる送金限度額https://bofuo.net/yucho-error/Fri, 07 Mar 2025 09:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2073

ゆうちょ銀行の法人口座で「ゆうちょ認証アプリ」を導入すると、「1日の送金限度額」が5万円に制限されます。法人は運転免許証などの書類による本人確認ができないため、アプリやウェブからは限度額の引き上げができません。 試行錯誤 ... ]]>

ゆうちょ銀行の法人口座で「ゆうちょ認証アプリ」を導入すると、「1日の送金限度額」が5万円に制限されます。
法人は運転免許証などの書類による本人確認ができないため、アプリやウェブからは限度額の引き上げができません。

試行錯誤して銀行窓口で相談したところ、送金限度額変更届書を提出すれば制限解除できる(要審査)とわかりました。

ボフオ
ボフオ

窓口に行けば限度額アップできるよ

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ゆうちょ認証アプリの罠

無料で使えて一見便利な「ゆうちょ認証アプリ」
法人口座で使うと必ずはまるのが送金限度額の制限です。

ゆうちょ認証アプリ

法人は本人確認できない

ゆうちょ認証アプリの設定時に、「書類による本人確認」をスキップすると、1日の送金限度額が5万円に制限されてしまいます。
そして法人口座の場合は、そもそもスマホでの本人確認ができないため、この手続きはスキップするほかありません。

ゆうちょ認証アプリ

社長の運転免許証などを読み取らせても、エラーになってしまいます。
ほかに「登記簿謄本をスマホで読み取る」といったような法人向けのオプションも、今のところは用意されていません。

それまでゆうちょダイレクトで多めの送金限度額を設定していたとしても、法人が認証アプリを使ったとたん、1日5万円に強制リセットされてしまうのが難点です。

5万以下なら問題ないが…

そのままでも1日5万以下ならオンラインで振り込みできるため、少額の取引しかなければ問題ないかもしれません。
私の場合、毎月の給与支払いが5万以下なので、しばらくは限度額に引っかかることはなく振り込みできていました。

ゆうちょダイレクト

ただこれは社会保険料を軽減するため、意図的に報酬を下げていたおかげです。
自分の月給を月額63,000円未満の1等級におさえているので、健康保険料と厚生年金保険料の折半額を差し引くと、手取りが5万円を下まわるという状況です。

1日の送金限度額が5万しかないと、一般的な会社では使い物にならないと思います。

送金限度額のエラー

たまたまゆうちょ銀行経由で投資用の資金を振り込もうとした際、上限額のエラーが出ました。
画面には「エラー種別 P021送金限度額 50,000」というメッセージが表示されています。

ゆうちょダイレクト

実は認証アプリを入れてから数か月、ゆうちょダイレクトを問題なく使えていたので、送金限度額があることを忘れていました。

認証アプリの登録情報を振り返ると、
「ご本人様確認 電話・認証のみ」
「一部のサービスは、制限されています」

と赤字で警告も出ていました。

ゆうちょ認証アプリ

ゆうちょダイレクト側の「ご利用状況」を確認しても、
eKEY本人認証:未実施(制限あり)
と表示されています。

ゆうちょダイレクト

限度額の引き上げ方法

ゆうちょダイレクトのメニュー画面をたどっていくと、「各種手続等→ご登録内容 確認・変更」から送金限度額を変更することができます。

ゆうちょ認証アプリ

オンラインでも50万までは引き上げ可能となっていますが、手続きには認証アプリかトークン(ワンタイムパスワード生成機)が必要になります。
そして認証アプリを入れてしまった場合は本人確認が必須のため、やはり法人では上限額を5万円からアップすることができません。

ゆうちょ認証アプリ

さすがに不便すぎるので、法人口座で限度額を上げる方法をいろいろ調べてみました。
しかしゆうちょ銀行のウェブサイトやFAQには、法人の本人確認や制限解除に関する説明がどこにも見あたりません。

単純に思いつく解決策は、無料の「ゆうちょダイレクト」をやめて、有料の法人向け「ゆうちょBizダイレクト」に乗り換えることくらいです。
今回はトークンの電池切れをきっかけに認証アプリへ切り替えたのですが、もしかすると法人利用者を有料サービスへ誘導するための罠だったのではないかと勘ぐってしまいます。

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ヤマハの木製電子ピアノTORCHが気になるhttps://bofuo.net/torch/Wed, 19 Feb 2025 04:00:08 +0000https://bofuo.net/?p=1932

2025年2月18日、ヤマハの新しい電子ピアノTORCH(トーチ、型番T01)が発表されました。 ミニマリズムの塊ともいえるソリッドな見た目で、しかも鍵盤にはグラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)の希少木材が使用され ... ]]>

2025年2月18日、ヤマハの新しい電子ピアノTORCH(トーチ、型番T01)が発表されました。

ミニマリズムの塊ともいえるソリッドな見た目で、しかも鍵盤にはグラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)の希少木材が使用されています。
素材の希少性もあってか量産品ではなく、20台限定の抽選販売になっています。

価格も99万円と高額で機能も絞られた特殊な製品ですが、インテリアピアノの分野では今までにない尖ったコンセプトの意欲作といえそうです。

ボフオ
ボフオ

木工好きにはたまらないピアノ!

公開されている情報をもとに、特徴や注意点をまとめてみました。

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ミニマムな外観

TORCHは側板から譜面台まで、板材を単純に組み合わせたような形をしています。
ピアノとして実用性を担保しながら、構成要素を限界までそぎ落としたようなコンセプトを感じられます。

サステナブルキーボードの製品化

2023年にヤマハ銀座店「楽器の木」展で展示された、非売品のサステナブルキーボード(アンティークタイプ)と外観は似ています。
当時のプロトタイプは木製らしさを強調した重厚感のあるフレームで、足元に貫もあり、側板はTORCHより若干厚いように見えます。

2024年に出ていたサステナブルキーボードは、脚の横材が省略された代わりに、斜めの鋼材で補強されていました。

こうした地道な改良が続けられて、ついに新商品TORCHとして販売されるにいたったのかと思います。

コの字型のフレーム

ローランド×カリモク家具のKIYOLAが北欧家具からインスパイアされたとすると、トーチのデザインソースはバウハウスの機能性・合理性ではないでしょうか。
椅子にたとえるなら、マックス・ビルのウルムスツールを連想させます。

据置型ピアノにありがちな背面のパネルや、貫のような横材も大胆に省略されています。
ペダルも専用設計らしく、本体とケーブルでつながる独立ユニット式なのはKIYOLAと同じです。

さすがにコの字型のフレームだけでは演奏時の揺れを抑えられなかったのか、コーナー部分に金属製の棒材が仕込まれています。
左右からわりと大きく張り出しているので、椅子に腰かけた際、膝が当たらないか少し心配です。

汎用キーボードスタンドのように側板がハの字に開いていれば、金属ロッドはもう少し高い位置に配置して、長さも短く設定できたと思います。
あくまで90度の接合角度と直線的な外観を優先して、金属棒による補強が選ばれたようです。

木工職人なら方杖まで無垢の木でつくりそうなところ、細い鋼材を黒く塗って目立たなく仕上げているところはさすがです。
木と金属という異素材の組み合わせで、合理的な構造になっています。

鍵盤蓋がない理由

ヤマハのTORCHは据置型ピアノにたいてい付いている、鍵盤の蓋がありません。
鍵盤にほこり積もったりぶつけて壊したりしないよう、布かなにかで覆っておく必要があると思います。

コルグC1ローランドDP603のように蓋を閉めると上面がフラットになり、物置やテーブルとしても流用できるよう配慮された製品もあります。
TORCHはそうした邪道な使い方もできず、楽器に徹したストイックな機材といえます。

もし鍵盤カバーを付けたしたら、パネル面に余計なパーツや機構が必要となり、厚みが出てここまでスリムにはできなかったと思います。
彫刻のように美しいグラナディラ製の黒い鍵盤を常に見せるため、あえてカバーを設けなかったという説も考えられます。

ボフオ
ボフオ

ピアノを眺めながらお酒が飲めそう…

安全性やメンテンナンス性も犠牲にして、ポータブルピアノのように鍵盤や操作部をむき出しにした引き算のデザインには賛否両論ありそうです。
少量生産の限定品であるため、「わかる人だけが使ってくれる」という割り切りもあるかと思います。

ここまでエッジの立った設計は、プロトタイプだからこそ可能だったのではないでしょうか。
もしTORCHの量産バージョンが出るとしたら、鍵盤蓋つきで外装もポリウレタン塗装に変更されそうな気がします。

譜面台は着脱式

譜面台も側板と同じ樹皮模様が刻まれ、パネル上面に固定されています。
使わないときは折りたたみできそうな雰囲気もあるのですが、手前に倒すと鍵盤にかぶってしまいます。

TORCHの製品情報ページには、取扱説明書もPDFで公開されています。
マニュアルを読むと、譜面立ては本体上部スリットへの差し込み式になっていました。

参考 T01 ダウンロード 取扱説明書YAMAHA

安価なキーボードやポータブル式の電子ピアノでよく見られる構造ですが、譜面立てもちゃんと木でできているところは、デザイナーさんのこだわりを感じます。
補強の鋼材と同じく、KORG Lianoのように簡素な金属棒で譜面立てをつくってもよかったと思いますが、レーザー加工された板材の存在感をアピールしたかったのでしょう。

壁際に設置すれば、楽譜を壁に立てかけられるので譜面台は必要ありません。
パネルの上に冊子やiPad、クリップボードを差し込めて、手前にずり下がって来ないための溝さえあれば十分といえます。

iPad楽譜

そもそも慣れた曲を弾くだけなので、基本的に楽譜は見ないというユーザーすらいそうです。

シチュエーションに応じて譜面台を丸ごと外せるというのは、高価格帯の据置型ピアノではめずらしい仕様です。
鍵盤カバーと同様に、構造を単純化して本体の厚みをおさえるための、大胆な工夫と考えられます。

ボタン類も最小限

鍵盤カバーを設けずコンソールをむき出しにしたためか、液晶画面がなくボタンやダイヤルも最小限の構成になっています。

写真を見るかぎり、鍵盤の左側に機能選択のボタンが2つ、右側に電源ボタンとボリューム調整用のつまみしか存在しません。
そのため電子ピアノ特有のガジェット感がなく、ぱっと見は生ピアノのように見えなくもありません。

TORCHの説明書によると、音色やデモソングの選択は、ファンクションボタンを押しながら対応鍵盤を押下する方式のようです。

左パネル上側ピアノマークの「設定ボタン」と鍵盤の組み合わせで、音色やリバーブの選択、トランスポーズの設定や、各種機能のオンオフができます。
下側音符マークの「曲ボタン」と対応鍵盤を押せば、各音色のデモソングやプレイリストを再生できます。

鍵盤上部にこうした機能表示のガイドは印字されていないので、付属の「鍵盤操作早見表」を見ながら操作することになりそうです。
とはいえ音色選択以外は使う頻度も少なそうなので、10ボイス程度ならすぐ暗記できるかと思います。

MDFのレーザー加工

TORCHのプレスリリースをよく読むと、グラナディラが使われているのはピアノの筐体ではなく、鍵盤部分だけのようです。
外装は木質ボードにレーザー加工で「グラナディラの樹皮の模様を表現」したと書かれているので、若干まぎらわしいことになっています。

エッチングは高級車内装用の加工技術が適用されていて、クオリティーは高そうです。
しかも木目ではなく「樹皮」の模様というのが独特で、レオパード柄のように2トーンのワイルドな見た目になっています。

鍵盤を木粉から再成型したのと同様、外装も人工的に木質感を表現しているところから、「木材の再解釈」という意図が感じられます。
KIYOLAが無垢の白木にこだわったとすると、TORCHは未利用材やMDFなど木のリサイクルに取り組んだ作品といえます。

化粧板を貼らず木質ボードをむき出しにすることで、接合部や木口に丸みをもたせる加工が可能となったそうです。
TORCHのボディーに思わず触ってみたくなる気がするのは、部材のエッジに大きめの角Rが施されているせいでしょう。

鍵盤周辺のパネルには樹皮模様がなく、木質ボードそのままの等方性を見せているのも渋い表現です。
荒々しいレーザー加飾と、均質なMDFのコントラストによって、派手すぎず大人しすぎない、洗練されたバランスが保たれているように見えます。

サステナブルキーボードの「DIYタイプ」に使われていたOSBボードがMDFに変わったことで、手づくりのクラフト感が減った代わりに高級感はだいぶ増したと思います。

木質ボードも経年変化

木部の塗装にワックスや亜麻仁油など天然材料が使われているのも、電化製品としてはめずらしいポイントです。
鍵盤同様、外装パネルも使っているうちに表情の変化を楽しめそうです。

ただMDF自体は木材チップと樹脂から成形した素材なので、水に弱いという弱点があります。
シートが貼られていないので、表面が水ぶくれして剥離する現象は起こらなそうですが、湿気の多いところには置かないほうがいいと思います。

オイルとワックスで多少のシミは防げると思いますが、パネル上に熱い湯のみや氷の入ったコップを置くのは危険です。
中身をこぼさなくても、温度変化や水分の浸透で輪じみができてしまうかもしれません。

ラッカーやウレタン塗装より自然な風合いを感じられる反面、取り扱いや設置場所には配慮を要するデリケートな仕上げといえます。

グラナディラ製の鍵盤

白鍵まで黒いユニークな鍵盤はグラナディラそのものではなく、粉砕した端材を「木質流動整形技術」で再成型した人工素材のようです。
白鍵部分の木粉比率は70%となっているので、樹脂よりは木材が主原料といえます。

端材のリサイクル

グラナディラはクラリネットなど木管楽器に使われる素材なので、音楽業界の人にはなじみ深いかもしれません。
流行の木軸ペン界隈でも高値で取引される樹種でもあり、ピアノに適用するとはかなり贅沢な設計です。

材料となる木材は、クラリネットやオーボエなど別の楽器製造のプロセスで生じた未利用材とのことです。
革の端材と樹脂を混ぜ固めたリサイクルレザーと同様に、環境への配慮もさりげなくアピールされているところが今っぽいです。

木材と樹脂の複合素材という意味では、文具メーカーのパイロットが得意とする樹脂含浸カバ材(コムプライト)に近いかもしれません。

カスタムカエデのイラスト カスタムカエデは枯れ木のような味わい

積層強化木は乾燥や経年変化で狂ったり割れたりする木のデメリットを樹脂で補い、木の質感はほぼそのままに、安定性や均質性を向上させる技術です。
工芸的な材料である木材とプラスチックを組み合わせ、量産品に適用して品質向上するための工夫といえます。

白鍵と黒鍵の違い

ヤマハのTORCHは鍵盤が白鍵も含めて真っ黒なので、HHKBの無刻印キーボードのような匿名性やプロ仕様といった趣があります。
マットブブラックという色からは、「軍用、黒帯」といった上級者向けの雰囲気も感じられます。

プロトタイプ「サステナブルキーボード」の説明によると、黒鍵部分は成形木材、白鍵部分は高充填WPCで、2種類の素材が使い分けられているようです。
黒鍵はグラナディラ100%の木粉であるため、ほぼ無垢材のように感じられるそうです。

鍵盤の拡大写真や説明動画をじっくり見ると、黒鍵にはやや木目調のテクスチャーがあり、色のトーンも若干変えてあるようです。
鍵盤全体は半光沢の炭っぽい見た目ですが、白鍵と黒鍵に微妙なメリハリをつけることで、演奏時の視認性に配慮したのかもしれません。

構造はグランドタッチ-エス

TORCHの鍵盤構造は、クラビノーバシリーズの「グランドタッチ-エス」が採用されています。
エスケープメントもついているので、生ピアノに近いクリック感を味わえます。

ヤマハの電子ピアノとしては上から2番目のグレードで、「エス」が付かないグランドタッチ鍵盤のほうが高級品となります。
公式FAQによると、後者のほうが指先から鍵盤支点までの距離が長くとられ、グランドピアノの打鍵感により近いと説明されています。

参考 グランドタッチ-エス™鍵盤とグランドタッチ™鍵盤の違いはなんですか?YAMAHA

どちらも白鍵は木製ですが、黒鍵はプラスチック製で黒檀調の仕上げがほどこされています。
TORCHは黒鍵もグラナディラ製(しかも純度100%)なので、通常のグランドタッチより上位バージョンと考えることもできます。

ザラザラ系の鍵盤

カワイの高級電子ピアノは、白鍵・黒鍵とも木製なのが売りとされています。
ローランドの木製鍵盤は、木と樹脂のハイブリット構造で品質が安定しているのが特徴です。

鍵盤を木粉とプラスチックから再構成したTORCHは、両社のいいとこどりを狙ったのかもしれません。
しかも無塗装で木本来の吸湿性もあり、指に汗をかいても滑りにくく、素材のエイジングも楽しめるメリットを兼ねそなえています。

グラナディラに皮脂や汗がしみ込んでだんだんテカッていくのか、それとも風化して色あせていくのか、どんな変化が起きるのかワクワクします。
人工象牙やアクリルが貼られてエターナルに輝く白い鍵盤も美しいですが、練習の成果が味や風合いとしてあらわれる木製鍵盤も味わい深いと思います。

万年筆の書き味と同じく、ピアノの鍵盤をツルツル~ザラザラ系に分類するとしたら、TORCHは無塗装に近い木材で、やすりのように荒い究極のザラザラ鍵盤と期待できます。

演奏中、指先の汗ですべって困るという人には、うってつけの素材といえそうです。

ボフオ
ボフオ

汗っかきには良さげな鍵盤

操作パーツも木製

デザイナーのかたのインタビューによると、音量調整用のつまみもグラナディラの削り出しとなっています。

参考 「TORCH」に込めた想いYAMAHA

まるで「ノック部のパーツまで木でつくった木軸ペン」のようなこだわりようです。
木工製品が好きな人には、たまらないディティールだと思います。

ボタン類は樹脂製のように見えますが、色味はパネルとそろえてあります。
操作説明の表示もさりげなく、ブランド名や製品名も同系色でまとめられているため違和感はありません。

機能は限定的

有機ELやLCDディスプレイを省略してボタンの数も絞ったせいか、TORCHの搭載機能はかなり控えめです。

音色は10種類だけ

音色の数は10ボイスしかなく、100万近くする高額商品としては物足りなく感じます。

ただし似たような木製ピアノのKIYOLAはもっと少なく、6音色しかありません。
ローランドの競合製品を意識して、せめて2桁まで増やしたのかもしれません。

TORCHの説明書によると、搭載されている音色は以下の10種類です。

  1. CFXグランド
  2. ベーゼンドルファー
  3. モーツァルトピアノ
  4. ステージエレピ
  5. DXエレピ
  6. ハープシコード
  7. ビブラフォン
  8. パイプオルガン
  9. ジャズオルガン
  10. ストリングス

やはりピアノとエレピが中心で、オルガン系はKORGのLianoと同じ2種類だけです。
個人的にはハープシコードとビブラフォンを外して、ハードロック系の電子オルガンも増やしてほしかったです。

音源はCFXとベーゼンドルファーサンプリングで、上位機種のクラビノーバシリーズと同等です。
CFXについてはバイノーラルサンプリングされていて、最大同時発音数256というのもクラビノーバと共通の仕様になっています。

スピーカーも控えめ

Bluetoothのオーディオ受信もできるので、たとえピアノを弾かなくても高価なスピーカーとして活用できそうです。
製品の写真を見ても、どこにあるのかわかなないほどさりげなく、スピーカーも組み込まれています。

ただしアンプの出力は(20W+6W)×2と控えめで、スピーカーのサイズを見てもClavinovaより下位のARIUSシリーズと同等に思われます。

TORCHはデザインにこだわり抜いた別格の製品ですが、機能性を追求するなら素直にふつうの電子ピアノを選んだほうがいいと思います。
予算が100万円あれば、AvantGrandの一部機種、Clavinovaが全モデル余裕で買えるレベルです。

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ローランドのKIYOLAとインテリアピアノhttps://bofuo.net/kiyola/Tue, 18 Feb 2025 12:00:21 +0000https://bofuo.net/?p=1940

電子ピアノの買い替えについて検討していると、「インテリアピアノ」というジャンルがあることを知りました。おもにヤマハとカワイが使っている用語ですが、ローランドやカシオにもデザイン性を意識した「家具として映える」製品が存在し ... ]]>

電子ピアノの買い替えについて検討していると、「インテリアピアノ」というジャンルがあることを知りました。
おもにヤマハとカワイが使っている用語ですが、ローランドやカシオにもデザイン性を意識した「家具として映える」製品が存在します。

据置固定型で20万以上、高いものでは100万を超えるので予算オーバーです。
しかし経済的に余裕ができて、大型ピアノも置ける広い家に住めたら、見た目重視でピアノを選んでみてもいいかと思います。

モダンデザインの傑作、ローランドのKIYOLAとカシオのPriviaを比べつつ、ヤマハ・カワイの猫足(カブリオールレッグ)ピアノについても調べてみました。

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家具としてのピアノ

大型の据置型電子ピアノはリビングで大きな面積を占め、「家具」としての側面もあります。
ピアノという文化においては機能よりも外観やデザイン、ステータス性を重視して選ぶ顧客層もいると思われます。

木製へのこだわり

外見がプラスチックの電子ピアノは家電のようですが、木材だとほかの家具ともなじみやすく統一感を出せます。
スピーカーやミニコンポのように、ピアノも木製にこだわりたいというニーズはありそうです。

しかし天然の木材がいいのはあくまで外観上の話で、それで「スピーカーの響きがよくなる」とか性能上のメリットはなさそうです。
趣味の道具として高級車の内装と同じく、パネルにレザーや銘木を貼るような感じなのでしょう。

ピアノが黒い理由

本物のピアノらしいツヤツヤの黒塗りも高級感があるとはいえ、どんな家にも似合うかというと微妙です。
「ペンキ塗りより白木を好む」という日本人の感性を考えると、天然木でソープやオイル仕上げのピアノがあってもよさそうな気がします。

カワイの特集ページによると、日本で黒塗りのピアノが普及した背景には、湿気に強い漆塗りの伝統や、「黒は高級」というイメージがあったようです。
近年は木目調のピアノが増え、さらに明るいライトオーク系の需要が増えているという傾向もうなずけます。

参考 インテリアピアノの魅力に迫る!KAWAI

1952年に発表されたアルネ・ヤコブセンのアントチェアも、最初は座面のひび割れを隠すために黒く塗られていたそうです。
歴史的に有名なT型フォードも、耐久性と経済性の観点から黒色塗料が採用されたという経緯があります。

「高級感」という意味では、ロイヤルブルーやパープルも一般的には高貴な色と認識されています。
しかし量産品という製造上の都合もあって、最大公約数的にブラックが選ばれたのかもしれません。

棚にもなるピアノ

懸垂台が物干しとしても便利なように、天板がフラットなタイプのピアノは棚としても活用できます。

いずれ弾かなくなったとしても、高価な物置として役に立つ(つぶしが効く)のは、ピアノの利点のひとつです。
そう考えると、将来の棚としてもインテリアに映える木製ピアノに投資するのは、悪くない選択だと思います。

コルグC1 Airの商品説明には、「キー・カバーを閉じるとフラットになり、テーブルとしての利用も可能」と書かれています。

ローランドのDP603の外観も、「鍵盤蓋を閉めるとすっきりフラットになるキャビネットは、2003年の発売以来変わらない人気のデザインです」と説明されています。
コルグほどあからさまではないですが、暗に棚としてのサブ用途をほのめかしているようです。

飲み物をこぼしたりして内部に液体が入るとやばそうですが、簡易的なテーブル・棚としての活用法は、暗黙のうちに認められていると思われます。
上面フラットになるタイプの据置型ピアノも、家具としての実用性を意識した一種のインテリアピアノと呼べるかもしれません。

KIYOLAか、それ以外か

現行機種の木製ピアノとして、圧倒的な存在感を誇るのがローランドのKIYOLA(型番KF-10)です。
2015年のグッドデザイン賞受賞作品で、ついでに「ウッドデザイン賞」というジョークのような木製品関連の賞もとっています。

カリモク家具とコラボ

KIYOLAはローランドが国内家具メーカーのカリモクとコラボした、Made in Japanの商品です。
愛知県のカリモク工場で部材をつくり、静岡県のローランド工場で組み立てているらしく、隣県で協業しやすいメリットもあったのでしょう。

静岡なら飛騨高山や長野の松本といった家具産地も近いですが、東海道新幹線や東名高速でつながった愛知県のほうがアクセスはよさそうです。
カリモク家具の本社も名古屋より南の知多郡にあり、愛知のなかでも浜松寄りといえます。

ちなみに国内楽器メーカー、ヤマハ、カワイ、ローランド(さらに鈴木楽器)の共通点は、拠点が静岡県浜松市にあるというところです。

Wikipediaによるとヤマハの出身者がカワイを設立して、さらに元カワイ社員が鈴木楽器を始めたそうです。
のれん分けというか人脈も共通するところがあって、3社の製品やサービスが似ているのかもしれません。

サングラスをかけた犬 YAMAHA、KAWAI、ROLANDの安いピアノ

以前、新幹線の浜松駅で降りたら、駅構内に楽器の展示ブースがありました。
JR浜松駅にも各メーカーのグランドピアノが置いてあり、地域の特産品としてPRに力を入れているようです。

経年変化する無垢材

ウェブに公開されているKIYOLAの製造動画を見ると、脚や側板はNCマシンで仕口が加工され、本物の家具のように組み立てられています。

さすがに値段は高額で40万円くらいしますが、ここまで素材と加工法にこだわったピアノは他になく、唯一無二の存在といえます。

脚は板材でなく丸棒の4本脚になっていて、アームトップもソファの肘掛けをイメージした曲面仕上げになっています。
ピアノ側面の上端(腕木)が、意味もなく手で触りたくなるような丸みを帯びた形状になっていて、椅子の肘掛けのようにエージングを楽しめそうです。

ローランドKIYOLAカタログ

筐体が無垢材なので、天然木の経年変化も楽しめるのがKIYOLAの特徴です。
時間が経つにつれて化粧板がめくれてくることもなく、傷や汚れも味になるので親しみを持てそうです。

ローランドのKIYOLAカタログ

ハモンドオルガンの側板

かつてハモンドオルガンのレトロな外観に魅力を感じて、鈴木楽器のXK-2を買ったことがあります。
ただ木材のように見える部分は安価な化粧材だったので、時間がたつとペロッとはがれてきて安っぽい印象を受けました。

現行機種の2段鍵盤SKX PROには、本体に後づけできるウォールナット製のサイドパネル(SBW-SKXPRO)がオプション販売されています。
定価4万円以上するので、さすがに突板ではなく無垢材のようです。

ローランドのKIYOLAは外観だけでなく中身もリアルな木にこだわったという、稀有な商品です。
価格は跳ね上がるかもしれませんが、オルガンメーカーも側板だけでなく全体に天然木を取り入れたら、本物志向のユーザーにうけると思います。

ウォールナットも同価格

KIYOLAは明るいオーク色が目立ちますが、木目を残したホワイト塗装と、ウォールナットのバージョンもあります。

見た目が焦げ茶色のピアノもよくあるとはいえ、ウォールナットの無垢材が使われた製品はめずらしいと思います。
家具の分野では高級材とされますが、KIYOLAのウォールナットはオークと同価格なので、お得感があります。

オークは使い込むにつれて色が濃くなり、肌が触れる部分は徐々に黒ずんで、見方によってはみすぼらしくなっていきます。
ホワイト色もかなり汚れが目立ちそうです。

ウォールナットは逆に色が明るくなっていくので、クリーンなイメージを保ちたい人にはこちらの方が向いているかもしれません。
もともと色が濃いので、皮脂が付着したり、脚に掃除機をぶつけても、変色や傷が目立ちにくいはずです。

いずれのカラーもおそらくウレタン塗装なので、見た目の変化はそれほど激しくないと思います。
ウレタンといっても最近主流のマット加工に見えるので、いかにもニス塗りのツヤツヤした人工的な質感ではなさそうです。

せっかく無垢材を使うなら、オイル塗装やワックス、ソープ仕上げが選べたらうれしかったです。
ただし中身は精密機器なので、べとべとしたオイルや石鹼水で丸洗いするのは、現実的でないともいえます。

限定だったシアーブラック

過去のニュースを見ると、2017年に数量限定でKIYOLAのモカブラウン色、2018年には新色のシアーブラックが販売されたようです。
シアー(sheer)という英単語は「透明な、薄い」という意味があり、木目のテクスチャーを残したクリア塗装と考えられます。

参考 カリモク家具と共同開発した国産ピアノ。天然木の木目を活かした「シアーブラック」を限定販売Roland

木部だけでなく、操作部のパネルやペダルのケース、椅子の生地までブラックに統一された精悍なモデルです。
希少な無垢材でありながら、あえて木の存在感を減らしたブラックというのも渋く感じます。

黒色は安価な樹脂製キーボードの定番なので、一見安物の据置型ピアノと間違われるかもしれません。
しかし木目が透けて見える半光沢の塗装になっていて、手で触ればプリントされた化粧繊維板とは違うことがわかります。

KIYOLA特有の4本脚も、黒色だとさらにスリムに際立って見えます。
現行モデルのシアーホワイトよりは、シア―ブラックのほうを定番色に加えてほしかったと個人的には思います。

元ホスト界の帝王、ローランド氏が住むROLAND HOUSEはモノトーン基調のクールなインテリアなので、KIYOLAのシアーブラック色ならばっちり似合いそうです。

ROLANDの本

名著『俺か、俺以外か。』の続編『君か、君以外か。』のなかに、ROLAND HOUSEの写真が掲載されています。

北欧家具と似合う

KIYOLAは足が板でなく、独立した円柱状になっているのもポイントです。
このおかげで見た目がかなり家具っぽくなっているため、北欧家具を中心にしたインテリアにも似合うと思います。

デンマークやフィンランドの家具は空間を広く見せるため、ソファやサイドボードであっても4本脚で下が抜けているものが多いです。
このほうがホコリもたまらず、掃除も楽だと思います。

さらに見た目をすっきりさせるためか、KIYOLAの3本ペダルは独立したケーブル接続になっています。
ここは賛否両論ありそうですが、私はペダルをめったに使わないので丸ごと外せてありがたいです。

スタンドにペダルを固定すると、デザインの自由度は大幅に制限されます。
グランドピアノのように上から支柱を下してくるか、床面近くに横材を設置、もしくは背面全体をパネルで覆うかたちになると思います。

あくまで見た目の家具らしさと空間の抜け感を優先して、KIYOLAは独立式のペダルユニットを採用したように思われます。

機能は大幅に省略

カリモクが他社と手がけた商品といえば、イトーキのvertebra03 WOODを思い出します。
オフィスチェアの背と座に国産のクリ材を使用したもので、通常のファブリック・クッション版より価格が倍くらいに設定されています。

KIYOLAもローランドの同等スペック製品よりはるかに高級で、上位シリーズのLX-5やLX-6より高値で販売されています。
外観がすばらしいとはいえ、鍵盤も音源もワンランク下で、スピーカーのアコースティック・プロジェクション機能とヘッドホン・3Dアンビエンスも省略されています。

外観重視のためか、有機ELやLCDのディスプレイも備えていません。
ボタン類は鍵盤の左側、狭いパネルに集約されていて、スピーカーも目立たないよう本体底面に隠されています。

音色は6つだけ

「操作ボタンが少ない」というデザイン上の制約もあってか、KIYOLAの音色はわずか6つしかありません。
ほかの据置型LXとHPシリーズは300音色以上、ポータブルの最安FP-10でも15は音色があるので、思いきった割り切りです。

GO:PIANO88の4音色よりはかろうじて多いですが、40万円の高級ピアノとしては大胆な仕様といえます。
このメリハリというか引き算のコンセプトがむしろローランドらしく、おかげで上面パネルのガジェット感を減らせています。

こうした細かい工夫の積み重ねも、グッドデザイン賞の受賞につながった一因かと思います。

ピアノ用の椅子

ピアノはたいてい座って演奏するため、椅子も不可欠なパーツの一部といえます。

KIYOLAは椅子もカリモクによって、専用のものがセットで販売されています。
カシオも椅子だけですが、家具メーカーとコラボした専用品をPrivia最上位モデルのために用意しています。

KIYOLA専用椅子

KIYOLAの椅子はピアノ本体と同じく4本脚で、素材も同じなので統一感があります。

見た目はすっきりしたスツールのようですが、ピアノ用なのに「高さ調整ができない」という強気の設計になっています。
シートハイは52cmで、普通の国内向けダイニングチェアに比べると5cmくらい座面が高いです。

後部が盛り上がったクッション形状は、骨盤を立てるサポート機能をそなえています。
クッション材も高密度のウレタンが使われているらしく、ネット通販の安物とはぜんぜん品質が違いそうです。

椅子の張地については記載されていませんが、カリモクが得意とする高品質の合皮でないかと思われます。

これだけのスペックでカリモク製なら、椅子だけでも4万以上しておかしくない代物です。
背もたれこそありませんが、デスクでの作業やダイニングテーブルでの食事にも兼用できそうな、しっかしした構造のスツールに見えます。

カシオのピアノ椅子

カシオの据置型ピアノはオーソドックスなデザインですが、広告用の写真には高級家具メーカーの製品を採用してイメージアップを図っているようです。
カタログを見るとACTUS、ASPLUND、MASTERWALなど家具ショップ/メーカーの撮影協力クレジットが見られます。

そしてカシオのポータブル最上位PX-S7000向けに、付属のスタンドと色味や形状を合わせた専用スツールが販売されています。
ローランド×カリモクと同じく、福岡県の関家具(CRASH GATEブランド)と共同開発されたピアノ椅子です。

こちらのテレビCM動画でも、さりげなく専用椅子が使われています。

カシオの「ピアノスツール CC-7」は、ローランドのKIYOLA付属チェアと異なり、昇降機能も付いています。
座面を回転させるタイプなので昇降に時間がかかりそうですが、可動域は490~565mmと広めに75mmは確保されています。

ピアノ専用のチェアとして、シートが円形なのはめずらしいと思います。

演奏するポジションに合わせて体を横に移動するのは不便そうですが、省スペースで使わないときも場所をとりません。
また座面が回転するので、座ったまま体の向きを変えられるメリットがあります。

定価は税込49,500円とそこそこするものの、こちらもつくりがしっかりしていてピアノ演奏以外の用途に兼用できそうです。

カシオのスツールはPrivia専用という外観ですが、単体で販売されているため、ほかの電子ピアノにあわせることもできます。

LUMEと似ている

カシオのCC-7と同じ構造の円形昇降チェアとして、関家具と同じ福岡県大川市にある、広松木工のLUMEスツールも活用できそうです。

昇降範囲は460~600mmとカシオ製チェアより大幅に広く、座面を外せばサイドテーブルとしても活用できるアイデア商品です。

オイル塗装かつネジ部分も木製なので、木の質感にこだわるかたに向いています。
タイ製ですが定価は3万円台と安く、ビーチ以外にオーク、チェリー、ウォールナットの素材も選べます。

プリヴィアとの統一感を気にせず他機種で利用するなら、LUMEスツールをピアノ椅子として購入してもいいかもしれません。

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YAMAHA、KAWAI、ROLANDの安いピアノhttps://bofuo.net/yamaha-kawai-roland/Sun, 16 Feb 2025 01:00:01 +0000https://bofuo.net/?p=1951

コルグLianoの次に買ってみたい、電子ピアノを調べてみました。 ヤマハやローランドといった国内大手の楽器メーカーには、数十万もする高級モデルが多くラインナップされています。 上を目指せばきりがなく、鍵盤や音源などの繊細 ... ]]>

コルグLianoの次に買ってみたい、電子ピアノを調べてみました。

ヤマハやローランドといった国内大手の楽器メーカーには、数十万もする高級モデルが多くラインナップされています。
上を目指せばきりがなく、鍵盤や音源などの繊細な違いを体感できるか自信もありません。

ひとまず身の丈にあったレベルとして、予算5~10万円くらいのミドルレンジを中心に検討してみました。
Lianoを買うときに迷った廉価モデルもご紹介します。

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楽器界の王者ヤマハ

ヤマハはコンサート用のグランドピアノからコンパクトなアップライトピアノまで、アコースティックピアノの製品ラインナップが豊富です。

またデジタル技術を組み合わせたサイレントピアノやトランスアコースティックピアノなど、ハイブリッドな構造のピアノも手がけています。
さらにディスクラビアという自動演奏ができるタイプもあります。

本物志向の高級製品から、入門用のキーボードまで幅広く取り揃えているのがヤマハの特徴です。
「10万以下のピアノタッチ鍵盤」としてはPシリーズが候補になります。

持ち運べるPシリーズ

ヤマハのClavinova、ARIUSは据置型の電子ピアノで、ポータブル型はPシリーズもしくはステージピアノが該当します。

シリーズ名の「P」はPortableの略かと思います。
型番が上がるほど高機能になるラインナップで、ローランドのFPシリーズやカシオのPriviaと同ランクの製品群です。

PシリーズはすべてGHC鍵盤以上のハンマーアクションを搭載しています。
鍵盤・音源スペックは価格相応で、P-525までいくと「グランドタッチ-エス鍵盤」に加えヤマハCFX/ベーゼンドルファーインペリアルサンプリングの音源が付く豪華版となります。

最上級のP-525でも10万円台で手に入るのは、案外リーズナブルといえそうです。
ヤマハの据置型でいえば、アリウスを超えてクラビノーバのミドルレンジに相当します。

最安のP-145および鍵盤上部が光るナビゲーション機能の付いたP-S500は、Bluetoothが付いていないのでご注意ください。
それ以上の機種はすべて搭載しています。

やはり鍵盤・音源にこだわってヤマハのPシリーズを選ぶなら、中間クラスのP-225以上で検討したいところです。
バランスのよいP-225は5万円台から購入できるので、7万円以上するローランドFP-30Xよりお買い得といえます。

バイノーラル録音

ヤマハの電子ピアノにもヘッドフォン使用時の臨場感を向上させる「ステレオフォニックオプティマイザー」という機能がそなわっています。
カシオの「ヘッドホンモード」や、ローランドの「ヘッドホン・3D・アンビエンス」に相当する音場表現技術のようです。

カシオの場合はPriviaのPX-S6000以上とCelviano、ローランドはFP-60X以上の高級モデルにしか搭載されていない機能です。
ヤマハの場合はP-145も含めたPシリーズ、アリウス全機種にデフォルトでそなわっていて良心的に感じます。

P-525になるとさらに上位の「CFXバイノーラルサンプリング」が搭載されています。
CFXグランド音源のみの対応ですが、演奏者の耳の位置でマイク収録しているので臨場感は高そうです。

「ステレオフォニックオプティマイザー」のほうは「バイノーラルサンプリングに近い…」と説明されているので、疑似的な再現技術と思われます。
どちらもカタログ上は「おまけ機能」といった扱いですが、ヘッドフォンで練習する時間が長いかたには、有利かもしれません。

ポータトーンの再評価

カシオトーンと双璧を成す低価格キーボードのポータトーン(PSRシリーズ)は、30年くらい前に所有していました。
マイナーチェンジを重ねながら今でも販売され続けているのは、最安キーボードの手堅い需要があるからでしょう。

あらためて調べると、ポータトーンも1~2万円の格安品とはいえ、各種機能が充実しています。

最安のPSR-E283でもAUX IN端子が付いていたりします。
音色数は410以上あり録音機能もついていて、乾電池での駆動も可能です。

ただしカシオCT-S1-76のように鍵盤数が多いバージョンはなく、PSRはすべて61鍵のみです(ミニ鍵盤のPSSシリーズは37鍵)。
後述のピアジェーロであれば、76鍵のNP-35が存在します。

ポータトーンとカシオトーンに共通する地味なデメリットは、「低価格モデルのパネル表記が日本語という点」です。
PSR-473以上は英語表記の上に和文シートがつくので外せますが、PSR-E283とE383は本体にがっつり日本語がプリントしてあります。

各ボタンの説明が日本語なのは、親切でわかりやすいとはいえ「見た目的にダサい」と考える人も多いでしょう。
私もそのクチです。

パソコンのキーボードに使わない日本語が書いてあるのは嫌なので、わざわざFILCOの「かな印字なし」モデルを選んでいました。
最近は英語配列に変えて、アルファベットがキー前面に印字された、さらにシンプルなMajestouchのNINJAモデルを使っています。

FILCO

見た目がいいPiaggero

ピアジェーロは見た目が電子ピアノですが、中身はポータトーンの機能限定版、鍵盤もバネ式という安価なシリーズです。
ただし操作パネルがシンプルで、説明も英語表記のおかげか、あまり安っぽさを感じさせないデザインといえます。

61鍵のNP-15と、76鍵のNP-35の2種類あり、ローランドGO:PIANOのような88鍵モデルはありません。
ピアジェーロはあくまでお試し・入門用という感じで、88鍵が欲しいなら上位のPシリーズをどうぞ、という住み分けのようです。

NP-35のほうのみ「グレードソフトタッチ鍵盤」という機能が搭載されています。
これは「低音部ほど鍵盤が重い」というだけの意味で、ハンマーアクションではありません。

ピアジェーロも昔からあるロングセラー商品で、ちょうどLianoを購入した2023年に新バージョンが発表されました。
店頭で試してみたところ、「グレードソフトタッチ」のせいか、Lianoに比べると鍵盤は重く感じました。

新型ではスピーカーの性能が強化され、音色も前モデルの10種類から15種類に増えています。
細かいところではLEDが3色になったり、外観のデザインも微調整されたようです。

  • とりあえずピアノを弾いてみたいけど、続くかわからない
  • ポータトーンのガジェット的な見た目は苦手、シンプルなピアノがいい
  • 複雑な機能や拡張性は必要ない、音色も少なめでOK

こういうかたにマッチするのがピアジェーロといえます。
76鍵ならカシオトーンにもありますが、価格の安さではNP-35が勝ります。

高価なハイブリッドピアノ

据置型で予算オーバーですが、ヤマハが出している特殊構造のピアノも調べて見ました。

「サイレントピアノ」というのはその名のとおり、ヘッドフォンを使った消音演奏が可能なピアノです。
既存のアップライトピアノに後付けできる消音ユニットという、アイデア商品も販売されています。

「トランスアコースティック」はさらに進んで、音量調整ができるアコースティックピアノです。
音源はデジタルながらスピーカーがなく、ピアノ本体の響板を振動させるという離れ業を実現しています。

「アバングランド」シリーズは鍵盤機構だけ生ピアノと同じで、ゴージャスなスピーカーがついた「ほぼ電子ピアノ」です。
構造的にシンプルなため上の2つより価格が安く、サイズもコンパクトになります。

いずれの機種もヘッドフォン接続を可能にしただけでなく、USB録音やBluetooth接続の便利機能も搭載されています。
音色もエレピやオルガンなどいろいろ選べて、「構造はアコースティックでも機能はデジタル」という、いいとこどりの製品といえます。

消音機能の必要性

田舎の一軒家といえども、夜間はピアノの音がはばかれるかもしれません。
消音・ヘッドフォン機能は時代のニーズと日本の住宅事情にあわせた、国内メーカーならではの工夫といえそうです。

ハイブリッドピアノは、あくまで本物の感触を追求するプロ向け、もしくは富裕層向け趣味のアイテムと考えられます。
200万を超えるSH3やTA3が買える余裕があり、さらに大型ピアノを置ける広い家に住んでいるなら、普通の生ピアノでよさそうな気もするのですが…

都市部のタワーマンションなど、豪邸だが集合住宅で音漏れが気になるとか、ニッチな需要に対応した製品群なのかもしれません。

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