ボフオhttps://bofuo.netThu, 03 Oct 2024 04:46:55 +0000jahourly1https://bofuo.net/wp-content/uploads/2024/05/cropped-bofuo_1024x1024_2-32x32.jpgボフオhttps://bofuo.net3232 Panolens.jsで複数パノラマ画像表示https://bofuo.net/panolens/Sun, 29 Sep 2024 12:00:42 +0000https://bofuo.net/?p=1497

ウェブブラウザでパノラマ画像を手軽に表示するには、Panolens.jsとThree.jsの組み合わせが便利です。 ただ解像度の高いパノラマ画像はファイルサイズも巨大なため、何枚も同時に表示させるとデータの転送量が大きく ... ]]>

ウェブブラウザでパノラマ画像を手軽に表示するには、Panolens.jsとThree.jsの組み合わせが便利です。

ただ解像度の高いパノラマ画像はファイルサイズも巨大なため、何枚も同時に表示させるとデータの転送量が大きくなってしまいます。
そこでビューア画面をクリックしたら、その都度パノラマ画像が読み込まれるように工夫してみました。

この方法であれば、8Kサイズの巨大パノラマ画像をウェブページに何枚も埋め込むことが可能です。

デモページ

(Windows11とGoogle ChromeおよびMicrosoft Edgで動作確認済み)

Panolensデモページ

上記のデモに使っているパノラマ画像は、ILLUST55様のウェブサイトからお借りしました。
画像の説明テキストも、記載されていたタイトルをそのまま表示させていただきました。

サンプルコード

HTML

<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head> <meta charset="UTF-8" /> <link rel="stylesheet" href="PanoramaStyle.css" />
</head>
<body> <div id="0" class="pano" onclick="panoView(this.id);"></div> <div id="1" class="pano" onclick="panoView(this.id);"></div> <div id="2" class="pano" onclick="panoView(this.id);"></div> <script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/three.js/105/three.js"></script> <script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/panolens@0.11.0/build/panolens.min.js"></script> <!--オプション--> <!--<script src="https://rawgit.com/pchen66/panolens.js/dev/build/panolens.min.js"></script>--> <script src="PanoramaPlayer.js"></script>
</body>
</html>
CSS

@charset "UTF-8";
body { margin-left: 20px; margin-right: 20px; line-height: 2.0em; font-family: sans-serif;
}
.pano{ background-repeat:no-repeat; background-size: 100%; background-position: center; height: 500px; width: 100%; /*aspect-ratio: 2/1;*/
}
@media (min-width:1040px) {body{width: 1000px;}}
@media (max-width:1000px) {.pano{height: 500px; background-size: 150%;}}
@media (max-width:900px) {.pano{height: 450px;}}
@media (max-width:800px) {.pano{height: 400px;}}
@media (max-width:700px) {.pano{height: 350px;}}
@media (max-width:600px) {.pano{height: 300px;}}
@media (max-width:500px) {.pano{height: 250px;}}
@media (max-width:400px) {.pano{height: 200px;}}
JavaScript

//操作説明透過画像
const bgImage="ClickToPlay.png";
//パノラマ関連配列[背景画像][パノラマ画像][タイトル][表示済みフラグ]
const panoInfo=[ ["bg-sea.jpg", "pano-sea.jpg", "綺麗な海と山と青い海&西洋の小屋", false], ["bg-snow.jpg", "pano-snow.jpg", "リアルな雪山 & 晴れた昼のキレイな景色", false], ["bg-town.jpg", "pano-town.jpg", "ファンタジーの中世ヨーロッパの夜の街", false]
];
//背景画像設定
for(let i=0; i<panoInfo.length; i++)
{ let elem = document.getElementById(i); elem.style.backgroundImage = "url(" + bgImage + "), url(" + panoInfo[i][0] + ")"; //タイトル表示 let titleText = document.createElement("p"); titleText.textContent = panoInfo[i][2]; elem.before(titleText);
}
//パノラマ画像表示
function panoView(id) { if(panoInfo[id][3]) return; //表示済みならスキップ else{ panoInfo[id][3]=true; let panoImage = new PANOLENS.ImagePanorama(panoInfo[id][1]); let panoViewer = new PANOLENS.Viewer({ container: document.getElementById(id), cameraFov: 60, //カメラ視野角 autoRotate: true, //自動回転 autoRotateSpeed: 0.2, //回転速度 autoRotateActivationDuration: 2000, //自動回転再開までの時間 controlButtons: ['fullscreen'], //フルスクリーンのみ有効化 //視点初期方向(無効?) //initialLookAt: // new THREE.Vector3( Number.MAX_SAFE_INTEGER , 0, 0) }); panoViewer.add(panoImage); }
}

HTMLの説明

パノラマ画像を表示させたい場所にdivタグを設置します。

idは何でもよいのですが、のちほど複数枚のパノラマ画像を自動処理するため、単純に連番数字(0, 1, 2,…)としました。

数字のidが気持ち悪ければ、適当な接頭辞(例 pano-image0, pano-image1,…)を付けてもよいかと思います。
その場合は正規表現などを使って、文字列から数値だけ抽出する必要があります。

document.getElementById()の引数はidに対応する文字列ですが、String()を使わずインデックスの数値をそのまま入れても動きました。

パノラマ画像の遅延読み込み

サムネールのdivの領域をクリックするとpanoView()にidを渡して、パノラマ画像を表示させるという流れになっています。

最初は何も考えず、ページ読み込み時にPanolensで複数画像を配置していました。

しかし8192×4096サイズを数枚読み込ませると、重すぎてブラウザが固まりました。
調べてみると、その際に使ったパノラマは外の風景を撮影した実写画像で、1枚5MB近くありました。

そこで最初は小サイズのプレビュー画像を表示させておいて、ユーザがクリックするとその都度、高解像度のパノラマ画像が読み込まれるように変更しました。
この方法であれば、5MB×10枚程度のパノラマ画像を配置しても、問題なく動作します。

ただし単体でも5MBの画像はさすがに重いので、各パノラマを読み込む際に、通信環境によっては数秒のタイムラグが発生します。
画面の可視領域に応じて画像を先に読み込んでおく、lazyload.jsのような仕組みを併用できれば、さらにスムーズに動くはずです。

パノラマ画像は画質や解像度が上がるほど、ファイルサイズも巨大になっていく宿命にあります。
ウェブで何枚も表示させたい場合は、地味ながら遅延読み込みの処理が必要になってくると思われます。

JavaScriptの説明

Three.jsとPanolens.jsはCDNから読み込んでいます。

それぞれjsファイルをダウンロードしてローカル環境でも動かしてみたのですが、ライブラリのバージョン・組み合わせによって挙動が不安定でした。

ウェブ上のサンプルコードでよく見かける以下の組み合わせであれば、無難に動くと思います。

  • Three.js: r105
  • Panolens.js: v0.11.0

多次元配列に情報集約

パノラマ画像とサムネール画像(背景画像)、および説明文や表示済みフラグは、panoInfo[]という配列にまとめています。

それぞれ個別に配列を用意したほうがコードの可読性は高まるように思いますが、何となく多次元配列に集約してしまいました。

ファイル名や説明文を変更したり、画像の並び順を変えたりしたい場合は、この配列の中身を編集すれば反映できます。

将来的にパノラマ画像を差し替えてもHTMLファイルはいじらなくて済むよう、pタグと画像タイトルもスクリプトから生成しています。
省力化できる代わりに柔軟な編集はできないので、一長一短といえます。

panoInfo[] 内のbg-○○.jpgというファイルは、パノラマ再生前に表示させておくプレビュー画像です。
これに操作説明の透過画像を重ねて、div要素のbackgroundImageに設定しています。

Panolens操作説明画像

操作説明画像(透過PNG)

またパノラマ画像が表示されたかどうかチェックしておかないと、onclickで呼ばれるたびにビューアがいくつも追加されてしまいます。
そこでpanoInfo[]のなかに、表示済み確認用のフラグも含めておきました。

Viewerの設定オプション

Viewerクラスのコンストラクタには、いくつかパラメータが用意されています。

(参考)Panolensの公式ドキュメント Viewer

これがパノラマ画像であることをユーザにアピールするため、自動回転はオンにしておいたほうがいいと思います。
画面が変化しないと普通の画像だと思われて、インタラクティブに操作せず見過ごされてしまうおそれがあります。

Viewerでは画像(カメラ)の回転速度はもとより、いったん手動操作して自動回転を中断してから、再開するまでのタイミングも設定できるのが便利です。

controlButtonsはビューア右下に現れる操作アイコンで、デフォルトでは[‘fullscreen’, ‘setting’, ‘video’]の3種が設定されています。
videoというのはPCでもスマホでも表示されなかったので、どういう機能なのかよくわかりません。

settingを有効化すると、画面右下の歯車アイコンが表示され、以下の設定を行うことができます。

  • Control: Mouse/Touch/Sensor(視点操作方法)
  • Mode: Cardboard/Stereoscopic(画像表示方法)

Panolens設定オプション

Modeで表示方法を変更すると、ハコスコのような簡易ゴーグル向けに、左右別れた表示になります。

Panolensカードボード表示

Mode: Cardboard

Stereoscopicだと画像周囲の歪みがなくなります。

Panosensステレオ表示

Mode: Stereoscopic

どちらの両眼表示モードも、左右で若干視差がついているようです。
ただ実際にゴーグルを当てて試していないので、実際に立体視できるのかは不明です。

iOSでセンサ連動させる方法

iPhoneでControlをSensorに設定しても、真下を向くだけで端末の向きにカメラは反応しませんでした。

Panolensセンサ無効

端末センサ無効状態 lookAt(0, 0, 0)?

最近のiOSではジャイロなどの内蔵センサを使うには、ユーザに許可を求める必要があるようです。

iOSのセンサ利用許可画面

いろいろ調べたところ、Studio Amelieさんがご説明されている方法を試したら、iPhoneでセンサ連動させることができました。

Panolensセンサ有効化

端末センサ有効状態

わざわざ自分の体を回転させてパノラマ画像を閲覧する人がいるのかわかりませんが、人前で見せるときには使える演出だと思います。

スマホで全画面表示できない

今回はそこまで凝った使い方は想定していないので、最終的にsettingは非表示にして、fullscreenのオプションだけ残しました。

高解像度のパノラマ画像で没入感を楽しむには、4Kクラスの大型モニタで全画面表示できると便利です。

Panolensによるパノラマ画像の全画面表示

しかしPCでは全画面表示されますが、iPhoneではそもそもfullscreenのアイコンが表示されませんでした。

iPhoneでpanolens表示

全画面表示ボタンなし

これもセンサ利用と同様に、なにかしらコードの追加が必要なのかもしれません。

スタイルシートの説明

CSSはサムネール画像の縦横比を維持しつつ、レスポンシブ対応するのに苦労しました。

アスペクト比の維持

パノラマビューアは横2:縦1の比率にしたかったので、div領域に

aspect-ratio: 2/1;

と記述すれば一発で済むはずです。

ところがパノラマ画像をいったんフルスクリーン表示してから解除すると、高さだけ拡大されたまま元に戻らないという問題(バグ?)に気づきました。

Panolensフルスクリーン後のトラブル

試行錯誤しましたが、結局widthは100%指定のまま、メディアクエリのmax-widthでheightを非連続に変えていくことにしました。
またブラウザ縮小時に画像上下に白い余白ができるのを避けるため、幅1000px以下では背景画像サイズを150%拡大しています。

このあたりの数値は挙動を見ながら勘で設定しています。
正確に計算すれば、もっとスムーズにレスポンシブ対応できるかもしれません。

苦肉の策でベストなやり方ではないと思いますが、これでパノラマ画像のフルスクリーン表示後も、元のレイアウトに復帰できるようになりました。

高さがずれる問題

またPanolensでパノラマ画像を読み込むと、その下のpタグの高さがなぜか28px伸びて下にずれるという怪現象が生じました。
Panolensによってcanvasやdiv要素が追加されるせいか、原因はよくわかりません。

Panolens高さずれ

height: 32+28=60px

対策としてpタグの上部marginを60pxくらい大きめに設定しておくと、パノラマ画像読み込み後の影響を相殺してレイアウトが崩れなくなります。

Panolens高さずれ解消

しかし画面上に余白が空きすぎて間抜けに見える懸念もあり、今回はデメリットを承知でそのまま残すことにしました。

そのためPCでもスマホでも、プレビュー画像をクリックすると、その下のテキストが少し下に動いてしまう問題は残っています。

initialLookAtについて

最後にスクリプトの書き方について、つまづいた部分をメモしておきます。

Panolensのドキュメントによると、Viewerで視点の初期方向をあらわすinitialLookAtを設定できるようです。
これを使えば、パノラマ画像のなかの一番見せたい部分を、初期位置にもってくることができるはずです。

ところがここにどんな値を入れても、視線は変化しませんでした。
Panolensの現行バージョンでは、initialLookAtが無効になっている可能性があります。

RawGitでは有効

自分は最初、こちらのサンプルコードを参考にして、RawGitというCDNからPanolensを利用していました。

<script src=”https://rawgit.com/pchen66/panolens.js/dev/build/panolens.min.js”></script>

RawGitは2018年時点でサービス修了を宣言していますが、2024年現在もまだ稼働しているようです。

この方法でPanolensを読み込むと、なぜかinitialLookAtも有効になっていて、デフォルト視線方向を設定できます。
具体的なやり方を以下にご説明します。

カメラを水平に設定する方法

ドキュメントにおけるViewerオプションinitialLookAtの初期値は、以下のように設定されています。

new THREE.Vector3( 0, 0, -Number.MAX_SAFE_INTEGER )

-Z方向を向かせるなら(0, 0, -1)の単位ベクトルでもよいかと考えたのですが、なぜか視線は下のほうを向いてしまいます。
ちなみに(0, 0, 0)だと完全に真下の地面を向きます。

Panolens initialLookAt

initialLookAt: new THREE.Vector3(0, 0, 0)

Panolens initialLookAt

initialLookAt: new THREE.Vector3(0, 0, -1)

(0, 0, -2)、(0, 0, -3)、(0, 0, -10)…と徐々にZ座標の絶対値を増やしていったところ、視線が真下から水平方向に変わっていくことに気づきました。

Panolens initialLookAt

initialLookAt: new THREE.Vector3(0, 0, -2)

おそらくこのパラメータは内部的に、Three.jsのlookAt()メソッドに対応していると思われます。
またY-upのWebGL座標系において、Panolensのカメラ位置は原点よりやや上側(Y軸正方向)に設定されていると推測できます。

そのためX~Z軸の無限遠をlootAtさせることで、カメラを水平方向に向かせることができるというわけです。
ドキュメントでNumber.MAX_SAFE_INTEGERという見慣れない表現が使われている理由がわかりました。

パノラマ画像の中央を向かせたい

ちなみにX軸のマイナス方向で無限遠を設定すると、1:2横長パノラマ画像の中央を指定することができました。

initialLookAt: new THREE.Vector3( Number.MAX_SAFE_INTEGER , 0, 0)

たいていのパノラマ画像では、このように画像の中心に見栄えのする部分を配置していると思います。

パノラマ画像サンプル

パノラマ画像の例(ILLUST55様より)

RawGitのCDNを参照して上記のように設定すれば、画像中央をデフォルトの視点位置に設定できて便利です。

Panolensバージョン0.11.0の場合

冒頭に掲載したサンプルコードでは、jsDelivrのCDNからPanolensのバージョン0.11.0を参照しています。

この場合はViewerのinitialLookAtに値を入れても反応せず、パノラマ画像の中央よりやや右側が初期位置になります。

Panolens初期視点方向

初期視点方向

今回は仕方なくその位置にあわせてスクリーンショットを撮り、パノラマ表示前のプレビュー画像を作成しました。

サムネールと実際の画像がずれていても、それほど気にならないかもしれません。
なんとかスムーズな画面遷移を実現したくて、個人的にこだわってみたポイントです。

ハッカー犬ボフオ

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MetaのVRゲーム『Asgard’s Wrath 2』感想https://bofuo.net/asgard/Wed, 21 Aug 2024 11:00:31 +0000https://bofuo.net/?p=1417

7~8月に開催されたMetaの週末キャンペーンで、『Asgard’s Wrath(アスガルド・ラス)2』というゲームを無料でプレイできました。 チュートリアルをこなしてATUN神殿の途中で時間切れになりましたが、VRのア ... ]]>

7~8月に開催されたMetaの週末キャンペーンで、『Asgard’s Wrath(アスガルド・ラス)2』というゲームを無料でプレイできました。

チュートリアルをこなしてATUN神殿の途中で時間切れになりましたが、VRのアクションRPGもここまで進化したかと感激しました。

お試し体験できた序盤のストーリーと、ゲームの概要をご紹介します。

Asgard's Wrath 2

インストールから起動まで

8月16~19日のフリーウィークエンドは、『Asgard’s Wrath 2』と『Contractors Showdown』をそれぞれ3時間も遊べるという大盤振る舞いでした。

Asgard's Wrath 2

前者の販売価格は5,990円で、Metaストアのなかでも最高級です。

Asgard's Wrath 2

価格が高い分、内容も充実しているのか、アプリのサイズが大きくインストールに手間取りました。
初回起動時の前処理も含めて、準備に時間がかかります。

30GB超の巨大アプリ

『Asgard’s Wrath 2』をダウンロードしようとしたら、空き容量が足りないというエラーが出ました。
どうやらこのゲームは33.32GBものインストールサイズがあり、手持ちのMeta Quest 2は64GB版のため、空き容量が足りなかったようです。

Asgard's Wrath 2

これまでにインストールした重めのアプリをひたすら削除したら、なんとか『Asgard’s Wrath 2』を落とすことができました。

アプリの重さは、もはやPCゲーム並みです。
128GBクラスのMeta Questであっても、ストレージの整理が必要になるかもしれません。

シェーダーのコンパイル

『Asgard’s Wrath 2』は起動にも時間がかかります。

今回は手持ちのMeta Quest 2でプレイしましたが、性能の高い最新Quest 3なら、処理時間を短縮できるかもしれません。
ただしアプリが一度立ち上がってしまえば、Quest 2でもコマ落ちするなどの不具合は見られませんでした。

初回起動時はシェーダーのコンパイルがはじまり、さらに5分くらい待たされます。

Asgard's Wrath 2

この間も無料プレイの時間が減っていくので、いつになったら遊べるのかと焦りました。

セリフも日本語対応

シェーダーの次は言語パックのダウンロードが始まり、アプリを再起動する必要があります。

Asgard's Wrath 2

『Asgard’s Wrath 2』がすごいのは、画面上のテキストだけでなくキャラクターボイスも日本語対応しているところです。
しかも音声はAI生成などではなく、生身の声優さんが起用されているように思われます。

Asgard's Wrath 2

ほかのVRゲームでは、適当に自動翻訳された変な日本語をよく見かけます。
テキストは日本語になっていても、ナレーションは英語のままだったりします。

しかしこのゲームは文字のフォントやレイアウトも含めて、完璧にローカライズされているのに驚きました。

Asgard's Wrath 2

6,000円弱という販売価格にはそれなりに理由があるようで、開発側の意気込みを感じました。

ミイラとキャリブレーション

言語パックの準備が終わるとミイラのようなキャラクターが出てきて、キャリブレーションをさせられます。

Asgard's Wrath 2

両腕を真横に伸ばしてボタンを押すだけの動作ですが、一時中断してホーム画面から復帰するたび、毎回実行することになります。

Asgard's Wrath 2

画面上のコントローラーは怪しげなオブジェに変容していて、ミイラの動きもかなりリアルです。
ゲームの世界観がうまく表現されていて、期待がふくらみます。

前回までのあらすじ

『Asgard’s Wrath 2』のストーリーは、前作からの続きになっているようです。
2作目からプレイするひと向けに、1の概要を紹介するコーナーがありました。

Asgard's Wrath 2

はやく本編で遊びたい人はスキップもできます。

オープニングムービー

神々の黄昏…Lokiがうんぬん…という説明には特に興味がなかったので、適当に聞き流しました。

Asgard's Wrath 2

Asgard(アスガルド、アースガルズ)というのは神話に出てくる神の国です。
Wrath(ラス)は「激怒、天罰」という意味なので、ゲームの名前は「神々の怒り」とでもいった意味かと思います。

オープニングから最新VRゲームの美しいグラフィックを堪能できます。
ヌラヌラ動く背景のオブジェクトもフルCGになっていて、パノラマ画像のはめ込みではありません。

Asgard's Wrath 2

前作ストーリーの紹介に合わせて、巨大な敵キャラと戦ったりする場面が3Dで再生されます。
内容はよくわかりませんでしたが、流麗なビジュアルに見とれてしまいます。

Asgard's Wrath 2

視点が前に進みながら、まわりを自由に見まわせる3Dムービーなので、USJのVRジェットコースターに乗っているような気分になれます。

Asgard's Wrath 2

いずれ『Asgard’s Wrath』シリーズが有名になったら、遊園地のアトラクションに移植しても喜ばれそうです。

酒場からの脱出

長い前置きが終わると酒場のシーンになり、やっとゲームらしく操作できるようになります。
どうやら主人公は酒場に閉じ込められていて、ここから脱出するのが最初のミッションらしいです。

Asgard's Wrath 2

コントローラーのトリガーボタンを人差し指で押すと、「つかむ」動作になります。
練習用に置かれたカウンターのグラスを、手に取って投げたりできます。

グラスを傾けるとビールのような液体が流れてきます。
さすがに流体の表現は難しいのか、パーティクルで大雑把に表現されていて、さほどリアリティーはありません。

Asgard's Wrath 2

しかし酒場の空間はよく作り込まれていて、思わず隅々まで探検してしまいました。

Asgard's Wrath 2

階段を使って2階にも上がれます。

Asgard's Wrath 2

カウンターに置いてある「アンク」という卓球ラケットのようなオブジェをつかむと、話が先に進みます。

Asgard's Wrath 2

まわりに黄色い人が出てきてにぎやかになり、それぞれ会話を楽しめます。

Asgard's Wrath 2

ステージのうえで演奏しているモブキャラらしき楽団も、緻密にモデリングされていました。

Asgard's Wrath 2

酒を飲むおっさん連中や、刃物を鍛えている巨人の風貌は、どことなく『北斗の拳』を連想させます。

Asgard's Wrath 2

北欧神話と北斗神拳は関係があるのかもしれません。

Asgard's Wrath 2

別の場所にあるアンクを再び手に取ると、巨大な鳥が出てきて建物の外に吹っ飛ばされます。
いちおうこれで「酒場からの脱出」というミッションはこなせたようです。

Asgard's Wrath 2

鳥との戦い

酒場から出たあと、氷上で鳥(ヒエラコスフィンクス)との戦闘になります。

Asgard's Wrath 2

腰のあたりにコントローラーをまわして剣をつかみ、敵が放ってくる火球を弾くと隙が生まれます。

鳥が地面で悶えている間に、剣でビシバシしばくと楽に勝てます。
序盤のチュートリアル戦闘とはいえ、あまりにもハンデがありすぎて、鳥がかわいそうに思えてきます。

Asgard's Wrath 2

主観視点で剣を振り回すアクションは、VRならでは楽しさがあります。
ちょっとしたエクササイズにもなって健康的ですが、思わず夢中になって振り回すと、壁や家具に手をぶつけます。

Asgard's Wrath 2

VRゲームを存分に楽しむには、広い部屋と回転椅子があると便利です。
機材だけでなく居住空間にも投資を必要とする、ぜいたくな趣味といえます。

序盤のメインクエスト

鳥と戦ったあとは、水のなかに落とされ溺れてしまいました。

その後ゲームのタイトル画面が出て、ようやく本番スタートという感じです。

Asgard's Wrath 2

難易度設定

続けてメニューが出る難易度選択では、戦闘の頻度を調整できるようです。

Asgard's Wrath 2

「ストーリー重視」では戦闘シーンが少なくなり、ゲームをサクサク進められそうです。
今回は真ん中の「バランス重視」を選んでみました。

続いて「快適性レベルの設定」では、VR酔いを防ぐため敵キャラの動きなどを調整できるようです。

Asgard's Wrath 2

ミイラの襲ってくる動きを見ながら3段階で選べるのですが、特に支障がなければ「没入感優先」にしたほうが臨場感は上がると思います。

宇宙空間

設定画面のあと宇宙空間に飛ばされ、不気味な女性キャラにレクチャーを受けます。

Asgard's Wrath 2

このあたりのキャラクター造形も凝っていて、ファイナルファンタジー3のラスボスや、エキドナといった敵キャラを彷彿させます。

Asgard's Wrath 2

敵か味方かわかりませんが、いずれこういうボスキャラと戦うことになりそうな予感がします。

ATUN神殿

宇宙空間に置かれた「運命の鏡」に入ると、エジプトの神殿にワープします。

Asgard's Wrath 2

節目ごとに、「通過儀礼 英雄譚I」とシナリオのタイトルが表示されます。

Asgard's Wrath 2

ここからしばらく、ピラミッド盗掘のような3Dムービーが再生されます。

Asgard's Wrath 2

キャラクターのセリフはもちろん日本語で、罠の仕込まれた神殿のなかを駆け抜けていくアニメーションも迫力があります。

Asgard's Wrath 2

スフィンクスが壊れて出てきた巨人にステージを破壊され、落下したところから操作可能になります。

Asgard's Wrath 2

どうやらこの辮髪(べんぱつ)の男性に憑依して操ることになるようです。

Asgard's Wrath 2

ここから剣を手に入れて障害物を壊したり、鍵を見つけて扉を開けたりという、アクションRPGらしい展開になっていきます。

Asgard's Wrath 2

VR版ゼルダの伝説

武器を投げて遠くのスイッチを押したり、レバーを倒すとどこかの扉が開いたりするギミックは『ゼルダの伝説』と似ています。

Asgard's Wrath 2

崩壊した神殿のなかに、怪しい扉があります。

Asgard's Wrath 2

別の場所で「太陽円盤のかけら」を拾ってくると、扉を開けられます。
同じようなギミックがあとでまた出てきます。

Asgard's Wrath 2

ATUN神殿の内部も、またよくできています。
特に目的もなく、部屋のすみずみまで探検したくなります。

Asgard's Wrath 2

最初のうちは「Aを押して壁走り」などのヒントが表示されるので、迷わずに進めると思います。

Asgard's Wrath 2

はしごをつかんで上下に移動する、クライミング的な動作も体験することができます。

Asgard's Wrath 2

主観視点で楽しめる3次元ゼルダと考えれば、かなりおもしろいゲームといえます。

Asgard's Wrath 2

似たような感じで「風雲たけし城」のVR版とか作ったらうけそうです。
と思ったら、Robloxのワールドとして昨年たけし城が公開されたようです。

ダッシュ移動で罠をかわす

神殿の奥では罠が増えてきて、回転のこぎりやギロチンをかわしつつ先に進みます。

Asgard's Wrath 2

右コントローラーのAボタンを押すと、一時的にダッシュ移動できます。
タイミングを合わせて加速し、罠をすり抜ける感じです。

Asgard's Wrath 2

自由にジャンプできる機能はないのですが、壁走りできる目印の前でAボタンを押すと飛び移れます。

床から生えているトゲトゲに突撃したり、底なし沼に落ちると即死します。
死んでも少し手前のセーブポイントから再開できるので、難易度は低めです。

Asgard's Wrath 2

途中にいくつか、宝箱のようなものがあるのを発見しました。

Asgard's Wrath 2

ハンドルをつかんで上に動かすと、箱の蓋が開いてアイテムを入手できます。

Asgard's Wrath 2

このあたりの動作がいちいち面倒くさいですが、VRらしくてよいと思います。

戦闘シーン

いくつかの部屋では、ハチのような敵キャラが待ち構えていました。

序盤の雑魚キャラなのか、たいして強くはありません。
いちおう弱点のようなものがあるらしいのですが、適当に剣を振りまわせば楽に倒せます。

Asgard's Wrath 2

雑魚とはいえ、針のようなものを飛ばして遠隔攻撃してきます。
間合いをとりつつ左右に移動して発射物をかわし、すきを見てAダッシュで近づき切りつける戦法が有効です。

ハチを倒すと革のようなアイテムをドロップします。

Asgard's Wrath 2

こうした素材系のアイテムは、いずれ武器の強化などに役立つのかもしれません。

俯瞰視点切替

ギロチンの部屋を抜けると大広間に出ました。
いかにもダンジョンのボスが待ち構えていそうな雰囲気ですが、戦闘にはなりませんでした。

Asgard's Wrath 2

先ほど憑依した男性キャラから幽体離脱して、俯瞰視点になるアクションを学びます。
左コントローラーのYボタンを長押しすると、憑依/離脱のモードを切り替えできます。

Asgard's Wrath 2

俯瞰モードでこなせる謎解きがありそうだったのですが、よくわからず行き詰ってしまいました。

無料プレイの3時間はまだ残っていたとはいえ、疲れてきたのでここでおしまいにしました。

マップも3D

ほかにも『Asgard’s Wrath 2』ですごいと思ったのは、ダンジョンのマップを3D表示できるところです。

Asgard's Wrath 2

高低差も含めた地形を把握することができて、マップを上下移動・回転もできます。

Asgard's Wrath 2

今いる位置と目的地がわかるので、迷ったら立体地図を見てヒントを得ることができそうです。

その他のメニュー

3Dマップ以外にも、クエストやインベントリーといったメニューがたくさんありました。

Asgard's Wrath 2

ここからサブイベントをこなしたり、レアアイテムの収集を楽しむことができそうです。

Asgard's Wrath 2

進行中のミッションやゲームのストーリーを確認することもできて、演出やイラストも凝っています。

Asgard's Wrath 2

細かいテキストもすべて日本語化されているので安心です。

まとめ

2023年末にリリースされた『Asgard’s Wrath 2』は、間違いなく現代最高レベルのVRアクションゲームです。

Asgard's Wrath 2

定評あるクライミングゲームの『The Climb』シリーズと同じで、続編が出ているVRゲームは外れがないといえます。

Asgard's Wrath 2

5,990円という強気の価格設定、30GB超の大容量と長い起動時間を受け入れられるなら、仮想世界ですばらしい時間を過ごせると思います。

Asgard's Wrath 2

試せなかったコンテンツ

『Asgard’s Wrath 2』は値段相応に、「100時間以上遊べる」ボリュームがあるとのことです。
そんなに長い時間ゴーグルをかぶるというのも、人によっては拷問かもしれません…

Meta Quest 2

お試しプレイではそこまでたどり着けませんでしたが、サブクエストや釣りのようなミニゲームも豊富に用意されているそうです。

Asgard's Wrath 2

オンラインRPGとしては定番の設定ですが、主観視点でプレイするとまた違ったおもしろさがありそうです。

Asgard's Wrath 2

いまは基本的に一人用のゲームですが、いずれマルチプレイでパーティーを組んだりできるようになりそうな予感がします。

Asgard's Wrath 2

さらなる続編では『アサシン クリード』のように舞台を広げて、日本や南米の神々も登場するのではないかと期待しています。

Meta専用のゲーム

『Asgard’s Wrath 2』は今のところMeta Quest専用で、PSVRやSteamでは提供されていません。

Meta Quest 2

Meta Quest 2 (64GB)

日本語ボイスの実装も含めて開発にお金がかかっていそうですが、Netflixオリジナル作品のように、ユーザーを囲い込む戦略なのかもしれません。

このゲームで遊ぶには、Meta Quest 2、3、Proのどれかを買わなければいけません。

最安のQuest 2はMeta公式サイトですでに売り切れ。
Amazonや楽天にはまだ在庫があり、5万円前後で入手できます。

Quest 3は公式サイトで現在74,800円の128GBバージョンが売切中。
512GBは96,800円で販売されています。

ほかの通販サイトで買ったほうが、かなり安くなるようです。

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4年前にMeta(旧Oculus)Quest 2の64GB版が3万円台で買えたことを考えると、性能と容量が増えたぶん、かなり値上がりした印象です。
近年の物価高と円安も影響しているように思われます。

Meta Quest 3にバンドル

『Asgard’s Wrath 2』は手持ちのMeta Quest 2でも一通りプレイできました。
最新のQuest 3を使えば、ハードの処理能力が上がってより快適に遊べそうです。

このゲームはそもそもMeta Quest 3にバンドルされていて、ゲーム内アイテムや旧作のダウンロード権がついてくるようです。
実機がないので比べられませんが、Quest 3専用の高解像度テクスチャなども用意されているとのことです。

Asgard's Wrath 2

ゲーム自体の価格が高いので、せっかくなら最新ハードとセットで買ったほうが、のちのちほかのゲームも快適に楽しめて便利だと思います。

『Asgard’s Wrath 2』を購入するとしたら、ついでにハードもQuest 3にアップデートしようか悩むところです。

アスガルド・ラスのイラスト

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ゼロシューズのプリオ、履きつぶしレビューhttps://bofuo.net/xeroshoes/Mon, 03 Jun 2024 07:00:03 +0000https://bofuo.net/?p=1365

はだし感覚のベアフットシューズ、XERO SHOESのPrio(プリオ)を購入しました。 期待どおりの薄底・柔らかソールでしたが、性能がとがりすぎていて、下手に履くと足を痛める危険があります。 ソールが薄いわりには耐久性 ... ]]>

はだし感覚のベアフットシューズ、XERO SHOESのPrio(プリオ)を購入しました。

ゼロシューズのプリオ

期待どおりの薄底・柔らかソールでしたが、性能がとがりすぎていて、下手に履くと足を痛める危険があります。

ソールが薄いわりには耐久性が高く、想像以上に長持ちします。
ただ屈曲性の高さと引き換えに、アッパーが破れて靴底もはがれやすいという欠点に気づきました。

プリオは汎用性の高い定番モデルで、これ一足あればジョギングも登山もこなせます。
シンプルなデザインが気に入って、普段履きから旅行まで4年間フル活用してきました。

ゼロシューズのプリオ

ベアフットブームはすでに下火ですが、トレーニング用途や子どもの足育など、ニッチな需要は続いているようです。
裸足感覚を味わえるベアフットの入門として、完成度の高い定番プリオはおすすめできます。

ゼロシューズのベアフット性能

過去にベアフットシューズが流行った際、大手メーカーが出していた「なんちゃって裸足感覚」のシューズを何足か履いた経験があります。
ソールが柔らかくてそれなりにおもしろい体験でしたが、ゼロシューズは次元が違います。

ゼロシューズ

無防備に歩くとケガをしそうなほど薄底で、さすがベアフット専業メーカーは本気度が違うと納得しました。
プリオは期待を裏切らない、王道のベアフットシューズと評価できます。

驚異の薄型ソール

プリオのスタックハイトは10ミリ前後です。
インソールも含めて厚みが1センチもあれば、それなりのクッション性をイメージしますが、実際に履いてみるとあまりの無防備さに驚かされます。

ゼロシューズのプリオ

ソールが薄すぎて、ちょっとした地面の凹凸も足裏で感知できるようになります。
尖った小石を踏むと結構痛いですし、夏場はアスファルトの熱が靴底から伝わってくるほどです。

ゼロシューズのプリオ

さすがに裸足とまではいきませんが、この手のベアフットシューズを初めて試されるかたには、衝撃的な体験になると思います。

イメージ的には何となく犬や猫になった気分です。
むき出しの肉球で、地面をじかに歩いているような感覚を味わえます。

五感を刺激する靴

ベアフットシューズの履き心地は、内側にイボイボがついた健康サンダルと似ています。
足裏にはツボが多いので、地面からの刺激によって認知症も予防できそうです。

ゼロシューズのプリオ

ゼロシューズの真価は不整地で発揮されます。

プリオを履いて山道を歩くと、ごつごつした岩や、ふかふかの落ち葉といった路面の情報を、足裏で敏感に感じ取ることができます。
全身で自然を満喫できて、リフレッシュ効果も高まります。

ゼロシューズのプリオ

自然と地面の状態を気にしながら歩くようになるので、足腰のトレーニングだけでなく、脳機能や動体視力の向上にも役立ちそうです。
路上の怪しい物体や、とがった木の枝、杭などを踏まないよう、意識するようになります。

ゼロシューズのプリオ

走ると足を痛める

ただし本格的なベアフットシューズを使いこなすには、それなりに訓練が必要です。

買った直後のうれしさでいきなり走り始めると、確実に足を痛めます。
かかとではなく足裏中央部で着地する「ミドルフット走法」を心がけないと、膝や腰など思わぬところにダメージが蓄積されます。

ゼロシューズのプリオ

私の場合、ベアフットシューズで走ると、足の甲やすねが痛くなる(シンスプリント)症状に悩まされたことがあります。
地面からの衝撃で膝を保護しようと、足裏のアーチを酷使したせいかもしれません。

これまでのランニング人生で経験したことのない故障で、病院で診てもらっても原因がわかりませんでした。
結局トレーニングを休んで、自然治癒させるしかありませんでした。

ゼロシューズのプリオ

こうしたトラブルも身体が適応するまでの過渡的なものかと思い、断続的にトレーニングを続けてみました。
しかし休み休み走ってもまた症状がぶり返すので、プリオで走るのはもう諦めました。

歩き方が変わる

ゼロシューズを履いて歩くと、無意識に足を保護しようと歩幅が小さくなり、腰の引けたような姿勢になります。

ゼロシューズのプリオ

そのため、クッション性の高いランニング/ウォーキングシューズと比べて、どうしても歩くスピードが遅くなります。
通勤や旅行などでガシガシ歩いて時間を節約したいなら、普通の靴を履いたほうが効率的です。

アシックスのゲルムージー

アシックスのウォーキングシューズ、ゲルムージー

またランニングほどではないですが、歩く際もそれなりに気をつけないと体を痛めるおそれがあります。
考えごとをしながら無造作に足を放り出していると、いつの間にか膝や腰が痛くなっていることがありました。

ゼロシューズを履いているときは、常にリハビリやトレーニングという意識をもったほうが安全です。
「歩幅は小さく」「足裏の中央で着地」…慣れるまではこの2点を念頭においてください。

ゼロシューズのプリオ

プリオをしばらく履いていると、ふくらはぎの筋肉が張っていることに気づきます。
膝にかかる負担を和らげようとした結果、ふくらはぎや足裏アーチを多用するような歩き方に変わってきたように思われます。

自転車には向かない?

一般的にロードバイクでは、踏み込む力を無駄なくペダルに伝達するため、靴のソールは固いほうがいいといわれます。
ソールがふにゃふにゃのベアフットシューズは、自転車に乗るのに向かないかもしれません。

ゼロシューズのプリオ

シューズをペダルに固定するビンディングシューズの場合、ソールは樹脂やカーボンでできていて、柔軟性はまったくありません。
歩くときに滑らないよう、つま先とかかとにちょっとゴムが張られている程度です。

ゼロシューズのプリオ

最近はフラットペダルに普通のスニーカーで乗る機会が多いのですが、ゼロシューズで漕ぐと明らかにソールがしなる違和感を覚えます。
近所の買物程度なら問題ないですが、ロングライドでは余計な力を使ってしまう分、足が疲れやすくなりそうです。

ペダリングの練習になる

ただこれも考え方にとっては、足裏のトレーニングやペダリングの練習になるといえます。

柔らかいソールでペダルを踏むと、普段は使わない足裏の筋肉が動員されているように感じます。
また親指のつけ根にある母指球を使って、効率よくペダルをまわす感覚が鍛えられると思います。

ゼロシューズのプリオ

ビンディングシューズではペダルを踏む位置が自動的に定まり、固いソールのどこを踏んでも力は伝わります。
効率よくペダルを漕げる反面、「甘やかされている」と感じることはないでしょうか?

ベアフットシューズで自転車に乗ると、補助具なしの生身の状態で、理想的なペダリングを自然と体得できるような気がします。
あえて抵抗の大きい水着を着て、水泳のトレーニングをするのと似たような練習法といえます。

プリオの構造と経年変化

ソールの薄さと柔らかさだけ注目されがちなベアフットシューズですが、プリオはその他の部分にも設計上の工夫が見られます。

柔らかいアッパーメッシュ

シューズの甲革部分は通気性のよいメッシュ素材になっています。

側面にはアディダスの三本線、アシックスの#マークのような補強材が張られていないので、アッパーもかなり柔軟性が高いです。
普通のシューズでは考えられないですが、つま先とかかとがくっつくほど折り曲げることもできます。

ゼロシューズのプリオ

つま先立ちすると、ソールもアッパーも追従してぐにゃっと曲がってくれます。
そのため、電車や信号待ちのすき間時間に、カーフレイズしてふくらはぎを鍛えることも可能です。

ゼロシューズのプリオ

海外製にしてはウィズも広めなので、足幅が広いかたでもゆったり履けると思います。
靴のなかで足指を自由に動かせるよう、あえてゆるに設計してあるのかもしれません。

サンダルのような固定方法

シューズの側面には反射材を兼ねたテープが2本張られていて、どちらも靴紐に引っかける仕様になっています。
靴紐を締めるとこのテープにもテンションがかかって、足全体に圧力がかかるという、おもしろい構造です。

ゼロシューズのプリオ

紐一本でフィット感を調整するような、サンダルに近い固定方法といえます。
ジェネシスなどのサンダルもつくっている、ゼロシューズらしい発想です。

アッパーが破れやすい

プリオは山歩きも意識したデザインなのか、つま先部分が二重の合皮で保護されています。
本格的なトレッキングシューズには及びませんが、石ころを蹴ったり岩につま先をぶつけたりしても、指先のダメージを軽減してくれます。

ゼロシューズのプリオ

ところがアッパーメッシュと違って合皮のパーツは伸縮しないため、ソールの激しい動きに追従できず、すぐにひび割れてきます。
メッシュは丈夫で破れないのに、側面から割けてくるのは残念です。

ゼロシューズのプリオ

またつま先からソールがはがれてきたので、何度か接着剤で補修しました。
とりあえず普通の瞬間接着剤を使いましたが、靴用の専用品を使えばさらに強力に固定できると思います。

グリップ力は強い

プリオの靴底は全体的に「く」の字型の突起がついた、シンプルなパターンになっています。
水平方向に2か所、大きな溝が彫られていて、ここでソールが大きく曲がるようになっています。

ゼロシューズのプリオ

突起の形状はシンプルですが、特に滑りやすいと感じたことはありません。
岩場でもしっかりグリップしてくれて、地味ながらすぐれたソールです。

5,000マイルのソール保証

これだけ薄いソールでありながら、耐摩耗性は相当高いようです。
4年履いて中央部とかかとは多少擦り減りましたが、くの字の凹凸はまだ十分残っています。

ゼロシューズのプリオ

ゼロシューズはオリジナルソールの品質に自信があるらしく、5,000マイルのソール保証を行っています。

ゼロシューズはFeelTrueソールについて5,000マイル(約8,000km)の使用まで保証いたします。FeelTrueソールが5,000マイルの使用前に、ソール厚は残り1mmとなった場合、保証の対象となります。

XEROSHOES「5,000マイルソール保証」

新品に交換してくれるのか、ソールを張り替えてくれるのか、保証の具体的な内容は不明です。
ただし車と違って走行距離は自己申告制なので、実際は5,000マイル以上歩いていても保証を申請できるといえます。

ゼロシューズのプリオ

実際に長期間履いてみた印象として、ソール厚が残り1ミリを切るまでには、かなり使い込む必要がありそうです。
おそらくソール以外のアッパーやライニングが先に破れて、寿命を迎えると思われます。

インソールで厚みを加減

薄底が特徴のプリオですが、実はインソールが最初からついています。

ゼロシューズのプリオ

XEROSHOESとプリントされたオリジナルっぽい中敷きで、全体に穴が開けられて通気性を確保しています。
クッション性やアーチサポートの機能はほとんどない、平べったいウレタンの板です。

ゼロシューズのプリオ

さらなる裸足感覚に挑戦したいかたは、インソールを外して履くのもありだと思います。

私にとってはインソールありでも十分刺激的な薄さだったので、ライニングの摩耗を避けるためにも、中敷きを残したまま履いていました。

その他の特徴・購入方法

プリオの履きこなし方法や意外なデメリット、買えるお店についてご紹介します。

汎用性が高い

プリオはランニングシューズという位置づけで販売されていますが、街履きから旅行まで幅広くこなせる製品です。

見た目はそれほど派手でなく、ブランド品という主張もありません。
カジュアルな職場なら、仕事にも履いて行けると思います。

ゼロシューズのプリオ

今回はソールからアッパーまでオールブラックのモデルを選んだので、合わせる服も選ばず、毎日履いていました。
常に裸足感覚で生活したい、ベアフット信者のデイリーシューズには最適です。

またゼロシューズは国内で買える場所が少ないからか、ほかの人とかぶったことがありません。

ゼロシューズのプリオ

同じベアフットのルナサンダルは、マラソンやトレラン大会で履いている猛者をよく見かけます。
東京などの都市部では、五本指のビブラムファイブフィンガーズを街中で履いている奇人に遭遇することもあります。

ゼロシューズはこうした類似品ほど強い主張がなく、普通のスニーカーに近いデザインなのも安心材料です。
外で目立たずに、こっそり裸足感覚で暮らしたいひとには向いています。

プリオ一足で十分

ゼロシューズにはカジュアルラインとして、スリッポンタイプのアプトス、ハナヘンプといった製品もあります。
プリオのほうが価格は少し上がりますが、ジョギングもこなすなら靴紐はあったほうがいいと思います。

ゼロシューズのプリオ

またランニングに特化したHFSや、登山用のメサトレイルに比べて、機能を絞ったプリオは値段が安く設定されています。
ただ同じベアフットシューズとして、ソールの構造にそこまで違いがあるとは思えず、プリオ一足で間に合うような気がします。

プリオに防水機能こそありませんが、ソールのグリップ力は強いので普通に山も登れます。

背が低くなる欠点

ゼロシューズのデメリットのひとつは、靴底が薄いので背が低く見えてしまうという点です。
履くだけで身長が高くなるシークレット靴とは、真逆のコンセプトになります。

ゼロシューズのプリオ

たとえば厚底が売りのHOKAは、ヒール側のスタックハイトが約3センチあります。
プリオは1センチなので、差し引き2センチは身長が縮まる計算です。

微妙な差かもしれませんが、ベアフットシューズを履いて外に出ると、明らかに目線が低くなったような感覚になります。
人によっては自尊心や自己肯定感も下がって、メンタルに悪影響を及ぼすかもしれません。

ゼロシューズのプリオ

逆に街中で目立ちたくない人や、身長が高すぎてよく頭をぶつける人には向いているシューズです。
ソールが柔らかく音を立てずに歩けるので、忍者のような隠密行動にも適しています。

プリオを買えるお店

プリオは東京の神田にある「さかいやスポーツシューズ館」で購入しました。
いくつか試し履きさせていただき、サイズはUSA9.5(US9)を選びました。

ゼロシューズのプリオ

2020年にケンコー社の販売店リストを見て、都内のスポーツ店をまわったのですが、プリオを展示しているところは他にありませんでした。
エルブレスのような大型アウトドア店でも、せいぜいジェネシスのサンダルが置いてあるくらいでした。

本気のベアフットランナーはサンダルを履くような気がするので、シューズタイプのゼロシューズは需要が少ないのかもしれません。

通販購入の失敗例

実はプリオを買う前に、ゼロシューズのJessie(ジェシー)というサンダルを試したことがあります。

ゼロシューズのサンダル

ゼロシューズのジェシー

つま先側は鼻緒でなく、親指まわりの紐だけで支持するという究極のミニマルデザインです。
親指と足首まわりのループがつながっていないので、サンダルの前側はほとんど親指の力だけで支えることになります。

見た目もほとんど裸足そのもので、街中で履くのはさすがに恥ずかしいと感じるほどでした。
よくあるビーチサンダルと比べても、足のむき出し感と無防備感は半端ないです。

ゼロシューズのサンダル

ゼロシューズのジェシー

売っているお店がどこにもなかったので通販で取り寄せたのですが、親指まわりのサイズがきつくて、まったく足に合いませんでした。
写真を見ると足がはみ出しているので、単純にサイズが小さすぎたのかもしれません。

ゼロシューズのサンダル

ゼロシューズのジェシー

ゼロシューズのプリオは内寸にゆとりがありますが、薄すぎるソールは履く人を選ぶシューズです。
無料の試着・返品サービスが利用できない通販よりは、実店舗で慎重にためして購入することをおすすめします。

さすがにジェシーは外観が際どくて売れなかったのか、現在はカタログ落ちしています。
前例のない攻めすぎた構造に無理があったのかもしれません。

ウェブ上ではまだ在庫が残っているようなので、ご興味のあるかたはどうぞ。

ジェシーに比べるとプリオはスニーカータイプの定番モデルとして、長く販売されています。
バージョンアップの必要もない、最初から完成度の高い製品だったのではないかと思われます。

まとめ

ゼロシューズのプリオはベアフットシューズの入門用として評価の高いモデルです。
シンプルなデザインで使いまわしやすく、履き心地のよさとソールの耐久性は期待以上でした。

ゼロシューズのプリオ

ただしソールの薄さは本格的なので、ランニングやトレーニングに使うには、それなりに練習が必要です。
うまく使いこなせば、身体機能の改善や認知機能の向上など、さまざまな健康上の恩恵を受けられるかと思います。

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ベアフットを見直す

2010年頃に盛り上がっていたベアフットブームはすでに下火になり、現在はHOKAやOnのような厚底ふかふかシューズが主流です。
それでもゼロシューズのようなベアフット専業メーカーがなくならないのは、根強いファンが存在するからと思われます。

ゼロシューズのプリオ

薄底シューズにはULハイキングや自重筋トレと同じく、「便利な道具に頼らず身体を鍛える」といった美学があります。
ミニマリストやベジタリアン、シンプルな暮らしにあこがれる顧客層が、共感できる製品なのかもしれません。

子どもの裸足保育にも使えるからか、ゼロシューズはキッズバージョンのプリオも販売しています。
健康的な足を育てるという意味では、大人よりも子どもに履かせたいシューズです。

ゼロシューズのプリオ

また何年かしたら厚底シューズの流行がひと段落して、再びベアフットシューズが注目される時代がやってきそうな予感がします。

ミニマルシューズの稀有な専業メーカーとして、ゼロシューズには今後もがんばってもらいたいです。
薄底でも厚底でも選択肢があるということは、ユーザーにとってありがたいことです。

ゼロシューズ、プリオのイラスト

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アディダスのゴアテックスシューズAX4感想https://bofuo.net/ax4/Sun, 19 May 2024 12:00:13 +0000https://bofuo.net/?p=1324

防水仕様のトレッキングシューズがあると、登山だけでなく旅行や街歩きにも使えて便利です。 長年愛用したニューバランスMT620の代わりに、アディダスのテレックスAX4というシューズを購入してみました。 ニューバランスよりさ ... ]]>

防水仕様のトレッキングシューズがあると、登山だけでなく旅行や街歩きにも使えて便利です。

長年愛用したニューバランスMT620の代わりに、アディダスのテレックスAX4というシューズを購入してみました。

アディダス、テレックスAX4

ニューバランスよりさらにシンプルな外観なので、山以外でも使い回しやすいのがメリットです。

TERREX AX4レビュー

長年履いていたニューバランスMT620の代替品として購入したのが、アディダスのテレックスAX4です。
ゴアテックス搭載のベトナム製で、Amazonでの販売価格は1万円ちょっとでした。

アディダス、テレックスAX4

最近の円安・物価高のせいか、さすがにMT620のように1万円を切るゴアテックスシューズは見つかりませんでした。
それでも上述のコロンビアやモンベルに比べれば、かなりお買い得です。

アディダス、テレックスAX4

同じアディダスのテレックスシリーズで、ほかにもトレースロッカーやトレイルメーカーというゴアテックス搭載のシューズがありました。
名前が似ていてまぎらわしいですが、TRACEROCKER 2.0は軽量のメッシュアッパーで「トレラン用」という味付けの違いがあります。

今回はシューズが重くても耐久性を重視したかったのと、Amazonでの販売価格が安かったのでAX4を選びました。
いつもどおりAmazonでサイズ違いを取り寄せ、購入したサイズは27.5センチです。

究極的にシンプルな外観

AX4最大の特徴は、ニューバランスMT620よりさらにシンプルな外観です。
シューズの側面に派手なNの文字がなく、アディダスの3本線もマットブラックで悪目立ちしません。

アディダス、テレックスAX4

アッパーからソールまで黒一色で、余計な飾りもほとんどありません。
軍用トレーニングシューズのように、匿名性の高い武骨な一足といえます。

アディダス、テレックスAX4

アッパー素材はコーデュラリップのような格子柄の化学繊維です。
見るからに耐久性が高そうで、防水透湿のメンブレンを保護しています。

MT620のナイロンメッシュほど通気性や伸縮性はなさそうですが、山ではこのくらい頑丈な素材のほうが安心です。

アディダス、テレックスAX4

合わせる服を選ばず、町で履いてもまったく違和感のない、シンプルな登山靴といえます。
「さまざまな用途を兼ねたい」というミニマリスト志向のかたには、ぴったりのアイテムです。

黒い靴を選ぶ理由

ここ数年で買ったシューズを振り返ってみると、色はどれも黒ばかりです。
アッパーだけでなくソールも黒い、オールブラックの製品ばかり集めてしまうようになりました。

アディダス、テレックスAX4

「汚れが目立ちにくい」「いろんな服と合わせやすい」というのがおもな理由で、普段使いとアウトドアスポーツで兼用する場合、やはりブラックが便利だと思います。

自転車に乗る場合はチェーンオイルの汚れが靴についてしまうと、確実にとれなくなります。
右足の後ろ、左側がチェーンと接触しやすいので、近頃は白色のソールも避けるようになりました。

アディダス、テレックスAX4

「夜間や山での視認性向上」という目的のせいかもしれませんが、ランニングシューズやトレッキングシューズは派手な配色ばかりで不思議に思います。
あるいはビビッドな原色の靴を履くと、モチベーションやパフォーマンスが上がるのでしょうか。

アウトドアブランドのなかでは、サロモンやアークテリクスが地味な色のシューズをよく出しているようです。
黒一色もしくはグレーのモノトーン配色が多くて好感を持てるのですが、いずれもほかに比べて高すぎるのが難点です。

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今回見つけたアディダスのテレックスシリーズも、渋いカラーリングが中心です。
値段もそれほど高くなく、目立たない登山靴が好みのかたにはおすすめできます。

山で履いた感想

さっそくAX4を履いて近所の裏山に登ってみました。
見た目はスマートでも、すぐれたグリップ力や安定感は、さすが本格トレッキングシューズといった印象です。

アディダス、テレックスAX4

最近はワークマンの作業靴やベアフットのゼロシューズを履いて山に登っていました。
そうした靴底の薄いタイプに比べれば、安心感がぜんぜん違います。

路面の凹凸や尖った障害物、落ち葉の積もったぬかるみなども、とくに意識せずがんがん踏破できます。
岩場でも滑りにくく、落石につま先をぶつけてもへっちゃらです。

アディダス、テレックスAX4

過去にはミドルカットの登山靴も所有していましたが、低山ハイキングが中心になった今は、ローカットのAX4くらいで必要十分に感じます。

勝手の知れたいつもの練習コースなら、ペラペラのサンダルでも歩けます。
しかし未知の登山道に挑むなら、最低限のプロテクションをそなえたトレッキングシューズが安心です。

ベアフットシューズとの比較

山歩きの楽しさや足裏への刺激を求めるなら、はだし感覚のベアフットシューズもありだと思います。

ゼロシューズのプリオ

ゼロシューズのプリオ

しかしそれなりの荷物を背負って長距離ハイキングするなら、このくらい頑丈なトレッキングシューズのほうが無難といえます。

アディダス、テレックスAX4

きわめて軽量なベアフットシューズに比べると、AX4は登りの際、足を上げるのに苦労します。
ただし下りは逆に、薄底シューズだと安定した足場を探すのに神経を使います。

山での上り下りを含めて総合的に評価すると、ベアフットよりAX4のほうが、足の疲労は少なくなりそうです。

ソールも固いので、不安定な地盤を歩く際、ふくらはぎに負担もかかりません。
逆にいうと、シューズに守られすぎて筋力強化にはつながりません。

アディダス、テレックスAX4

「筋肉への負荷もトレーニング」とみなすなら、短時間のエクササイズ用にはゼロシューズ、長時間のハイキング用にはテレックスといった使い分けも可能です。

防水性は完璧

ゴアテックスの防水性能は、以前履いていたニューバランスで検証済みです。
テレックスAX4も雨の日に履いてみて、なかまで濡れることはまったくありませんでした。

アディダス、テレックスAX4

アッパーがメッシュ素材のシューズと比べて、通気性は若干劣るように感じますが、許容範囲内です。
張りのある生地も撥水性があり、ゴアテックスと組み合わさることで防水性を強化しています。

アディダス、テレックスAX4

ソールはコンチネンタル

AX4の売りのひとつが、コンチネンタル製のソールです。
靴裏にも黄色いロゴがプリントされています。

アディダス、テレックスAX4

ついでにSTACK 15/25MM、LUG 4MMとスペックが記載されています。
シューズ前後のドロップ差は10ミリ、溝の深さが4ミリということかと思います。

アディダス、テレックスAX4

ソールのメーカーとしては、おそらくコンチネンタルよりビブラムのほうがずっと有名です。
最近あまり見かけなくなりましたが、Vibram FiveFingersという異形の5本指シューズも製造しています。

靴紐がなく、布で足を包み込む仕組みのFUROSHIKIといったアイデア商品も開発しています。

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TERREX AX4のソールはCの字型の突起が向きを変えながらまんべんなく配置されています。

アディダス、テレックスAX4

ランニングシューズのように凝った機能や素材の使い分けはなさそうですが、山で滑りやすいと不安を覚えたことはありません。

コンチネンタル製だからといって、特に感動的するほどのグリップ力でもないようです。
あくまで濡れた岩場や砂地での滑りにくさという意味では、平均的なトレッキングシューズかと思われます。

アディダスのTERREX AX4

コンチネンタルのイメージ

コンチネンタルはどちらかというとタイヤが有名で、車やバイクのユーザーにはよく知られています。

コンチネンタルのタイヤ

私もロードバイクのタイヤは、コンチネンタルのグランプリという製品を愛用しています。
最近はパッケージから名物のおばちゃんが消えて残念ですが、GP 4000 S IIからGP 5000に進化して、性能にますます磨きがかかりました。

コンチネンタルのタイヤ

コンチネンタルの自転車タイヤは、他社製品より軽量ながらパンクしにくいタイヤだと実感しています。
同社の「ブラックチリコンパウンド」は定評がありますが、シューズのソールについては成分・製法などの説明が見つかりませんでした。

DUAL DENSITY

ちなみにソールの側面にDUAL DENSITYという文字が刻まれています。
この機能については、アディダスの公式サイトにも説明がありません。

アディダス、テレックスAX4

別で見つけたテニスシューズの商品説明を参考にすると、DUAL DENSITYはEVAのミッドソールに関する技術のようです。

しかしながらAX4のクッション性は低めで、舗装路を歩るくとゴツゴツした感触が足に伝わってきます。
ニューバランスMT620に搭載されていたCUSH+のほうが、だいぶ柔らかくて快適だっと思います。

ニューバランスのMT620

ニューバランスのMT620

トレラン用のアディゼロXT

アディダスのトレランシューズといえば、TERREXシリーズが登場する以前、adizero XT5という製品を履いていたことがあります。

adizero XT5

adizero XT5

ゴアテックスのような防水性こそないですが軽量で走りやすく、山道でのグリップ力も抜群でした。
軽く雪の積もった冬山を、走ってトレーニングしていたこともあります。

adizero XT5

adizero XT5

富士山の砂走りも、土砂に埋もれながらアディゼロXTでぎりぎり下山できました。
ローカットなので靴のなかは砂まみれになりますが、つま先が補強されているので石にぶつけても指先が痛くなりません。

adizero XT5

adizero XT5

ハセツネ出場のために丹沢の山を走りまくり、レース本番で奥多摩を71.5キロ完走したらソールが壊れました。
苦楽をともにした思い出のシューズです。

adizero XT5

adizero XT5

当時メジャーだったモントレイルやサロモンと比べて、アディゼロXTは価格がかなり安かった記憶があります。

アディダスはランニングもトレラン業界も後発のチャレンジャーという立場だからか、価格とコストパフォーマンスで訴求しているようです。
グローバルな大手企業らしい、コストリーダーシップ戦略をとっているのかもしれません。

防水シューズの現行製品

アディダスのテレックスを買う前に検討した他社のゴアテックス製品や、格安防水透湿シューズをについてご紹介します。

ニューバランスのMT620は気に入っていましたが、2023年にはすでに廃番で在庫も見当たりませんでした。

ニューバランスのMT620

ニューバランスのMT620

スポーツ店やアウトドアショップで似たようなシューズを探してみると、有名ブランドの登山靴はたいてい防水透湿機能がついています。
昔と比べて、防水シューズの選択肢は大幅に増えたと感じています。

コロンビアのアウトドライ

地方のモールやアウトレットでも入手しやすいのは、サロモンやコロンビア、ノースフェイスといったブランドです。
モンベルも地方都市に専門店があったりします。

以前履いていたKEENやメレル、ゼロシューズのトレッキングシューズも興味はありますが、このあたりの尖ったブランドは残念ながら田舎で実物を見られません。

そこで購入候補として浮上した製品のひとつが、コロンビアのセイバーファイブです。

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ちなみにコロンビアは防水機能として、ゴアテックスではなくアウトドライを採用しています。

アウトドライは同社のオムニテックより上位素材で、評判も悪くなさそうです。
価格からすれば、KEEN.DRYと同等レベルのように思われます。

セイバーファイブはあちこちで売られているせいか、山で目撃する確率も多いと感じています。
ローカットとミッドカットの2種類あって、好みで選べるのもメリットです。

モンベルのゴアテックス

もうひとつ購入を迷ったのが、モンベルのトレールウォーカーという製品です。

トレールウォーカーはローカットでゴアテックスを搭載したハイキング用のモデルです。
トレールグリッパーの高機能ソールを搭載していますが、ソールの張替えは非対応になっているのが残念です。

モンベル製品の場合、上位製品のマウンテンクルーザー400以上がソール張替え可能なモデルです。

ゴアテックスの防水性をそこなわず、ソール交換できるのかは少々疑問です。
修理して長く使えるのは魅力的ですが、先にアッパーが破れて防水性が失われそうな予感もします。

マウンテンクルーザー400はローカット版がなく、価格も2万円を超える高級品なので、検討候補から外しました。

モンベルのグラスホッパー

同じくゴアテックス搭載のローカットモデルで、グラスホッパー レザーというシューズもあります。

アッパーが革素材で見た目も高級感がありますが、重量がかなりあります。
ウェブの商品説明によると、25.5センチの小さいサイズで片足425グラムです。

店員さんの話を聞くと、グラスホッパーは岩場を歩いたりクライミングに適したモデルとのことです。
つま先だけで踏ん張れるよう構造的に強化されているのが、重くなっている理由かと思われます。

グラスホッパーはトレールウォーカーと同じ価格帯のローカットシューズですが、ソール張替え可能という違いもあります。

モンベルが割高な理由

セイバーファイブのローカットタイプは定価14,850円。
モンベルのトレールウォーカーは定価18,480円です。
(どちらも税込価格)

ゴアテックスのブランド料なのか、似たようなスペックでもモンベルのほうが割高に見えます。

モンベルは全国の僻地、さらには鳥取大山のような人通りの少ない山の中にも店舗を構えています。
利用者にとっては便利な反面、場所代や人件費が価格に上乗せされているのではないかと推測されます。

ゴアテックス以外

最近は普通のシューズも防水機能が進化したのか、ゴアテックス以外の機能素材が増えてきています。
ABCマートのホーキンスなどでも、「撥水」ではなく「防水透水」を売りにした商品を見かけます。

ハイテックのヴォルクハイ

HI-TECのWOLK HI WP

ゴアテックスブランドを使っていないので、価格もかなり割安です。
ヒマラヤスポーツのVISION PEAKSブランドで、トレックハイカーというシューズなら、わずか4,000円で防水透湿シューズが手に入ります。

自分は基本的に雨の日は山に行きませんし、渡渉が必要なルートを歩くこともまれです。
近所を歩く際の雨靴としておもに使うなら、ゴアテックスほどの高機能は必要ないのかもしれません。

廉価ブランドの防水透湿シューズなら、コロンビアやモンベルの半額以下で済みます。
たとえ失敗しても損失は少ないと考え、ABCマートで見つけてHI-TECの防水シューズを購入してみました。

HI-TECの防水シューズWOLKで失敗した話

実際に買って試してみたところ、ハイテックのDRI-HI LIGHTという機能は気休め程度の防水性しかありませんでした。
他社の類似製品も、おそらく同程度のものかと思われます。

HI-TECのDRI-HI

HI-TECのDRI-HI LIGHT

やはり防水シューズは多少値段が高くてもゴアテックスに限る」と納得して、あらためてシューズを探して、アディダスのテレックスを購入した次第です。

まとめ

コスパの高いゴアテックス搭載トレッキングシューズとして、アディダスのテレックスAX4をご紹介しました。

本物のゴアテックス入りで1万円強の販売価格は、2023年時点で私の知るかぎり最安レベルでした。
セールの状況によっては他社製品も安くなるとはいえ、テレックスシリーズは総じてコスパがよさそうです。

アディダスは登山分野で他のアウトドア専業ブランドほどメジャーではないですが、地味にすぐれたトレッキングシューズを出しています。

アディダス、テレックスAX4

いちおうゴアテックス以外の激安防水透湿シューズも試してみましたが、結論からすると性能は比べ物になりません。
特にABCマートの廉価トレッキングシューズは、雨靴と考えないほうが無難です。

完全な防水性を求めるならば、少し高くなってもゴアテックスやアウトドライ、KEEN.DRYをそなえたシューズがおすすめです。
モンベルやコロンビアの定番シューズなら、地方のスポーツ店やアウトレットモールでも試し履きできます。

雨天時に町でも履くなら、登山靴らしからぬシックなデザインのAX4が便利です。
路上でソールが擦り減る懸念もありますが、高価な防水シューズを別で買うよりもAX4を使いまわしたほうが有利と思われます。

アディダス、テレックスAX4

「雨の日はこれ一足」と割り切れば、ミニマリストに適した万能シューズといえそうです。
持ち物と保管場所を減らせて、毎日履く靴を選ぶ時間も節約できます。

アディダス、テレックスAX4のイラスト

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AIGLE、KEEN、New Balanceの防水靴比較https://bofuo.net/goretex/Sat, 18 May 2024 12:00:16 +0000https://bofuo.net/?p=1276

街履きから山登りまで使えるデザイン性のすぐれた防水シューズとして、エーグルのレインブーツ、KEENのピレニーズ、ニューバランスのMT620をご紹介します。 エーグルはゴム製なのに見た目は革靴のようで、ビジネス利用に向いて ... ]]>

街履きから山登りまで使えるデザイン性のすぐれた防水シューズとして、エーグルのレインブーツ、KEENのピレニーズ、ニューバランスのMT620をご紹介します。

AIGLE, KEEN, New Balance

左からAIGLE、KEEN、New Balance

エーグルはゴム製なのに見た目は革靴のようで、ビジネス利用に向いています。
ただし歩きやすさと蒸れにくさという点では、KEEN.DRYやGORE-TEXをそなえたトレッキングシューズが勝ります。

KEENとニューバランスの登山靴は、どちらも黒色でシンプルな外観のため、街中で履いても違和感ありません。
ソールの摩耗が早まるデメリットはありますが、防水登山靴ですべて済ませるのもありかと思います。

3足それぞれレビューしたうえで、防水シューズを普段履きする際の利点と欠点について考察します。

エーグルのレインブーツ

ゴアテックス搭載の防水シューズを買うまでは、エーグルのラバーブーツを雨靴として活用していました。

エーグルのレインブーツ

革靴そっくりのゴム靴

フランスのエーグルはゴム製ラバーブーツを手がける老舗で、実用性とデザイン性も両立しています。

このブーツは革靴のような見た目で、ソールの縫い目までゴム素材で表現されています。
とはいえ本革ではない分、ブランド品にしては価格が安いのもメリットです。

エーグルのレインブーツ

当時は靴ショップというより、乗馬グッズの販売店でひっそり売られているような、隠れたアイデア商品でした。
普通の長靴に比べると、同じゴム製でも履き心地がよかった記憶があります。

足が蒸れやすい

ラバー素材は通気性がないため、長く履いていると足が蒸れてきます。
またごわごわした感触で柔軟性にとぼしく、普通の靴より歩きにくいのも事実です。

エーグルのレインブーツ

サイドゴアは丈が短いので、上から空気が循環しやすい構造です。
長靴タイプよりは、足の蒸れを感じにくいといえます。

履き口のゴムのおかげで、スリッポンのように着脱が楽なのも利点です。
ハイカットのひも式ブーツに比べれば、ストレスをほとんど感じません。

現行品はロゴが目立つ

最近は類似品が多く出まわってきたせいか、AIGLEのロゴがシューズの前面に大きく取り付けられています。
スーツの裾からロゴが見えると恥ずかしいので、仕事用としては使いにくくなった印象です。

レインブーツの現行製品には「カーヴィル2ラバーブーツ」、「ソフトレイン2」、アウトドア仕様の「レスフォープラス2」といったモデルがあります。

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昔はAIGLEロゴが、履き口のタグに縫い付けられていました。
使い込むうちにタグが取れてしまうので、どこのブランドかわからない匿名性の高さもメリットと考えていました。

エーグルのレインブーツ

雨対策という面で、ゴム長靴は完璧でした。
ただしソールもだいぶ削れて寿命が近くなり、後述のKEENやNew Balanaceのほうが履き心地もよかったので、エーグルのブーツは中古で売却しました。

エーグルのレインブーツ

かなり傷んだ状態でしたが、エーグルはブランド力もあるのか、わりと高値で引き取ってもらえたのはラッキーでした。

エーグルのレインブーツ

キーンのピレニーズ

次に買った防水シューズ、KEENのPYRENEES(ピレニーズ)をご紹介します。

「ピレニーズ」という聞き慣れない製品名ですが、フランスとスペインの国境に位置する「ピレネー山脈」を意味するようです。

キーンのピレニーズ

富士山の砂走りで反省

10年以上前に富士山の須走口から下山したとき、「砂走り」という火山灰の積もったエリアを通りました。

富士山の須走口下山歩道入口

足のすねまで潜り込むほど砂が深く、ふかふかで気持ちよさそうなのですが、砂のなかに大きな石がひそんでいます。
急斜面でスピードも出るためザクザク下っていくと、つま先を石にぶつけて痛い思いをします。

adizeroのランニングシューズ

adizeroのランニングシューズ

この日はトレラン用でもない、普通のランニングシューズを履いていました。
トレーニング用の安いadizeroで、アッパーメッシュが薄くて軽いタイプです。

登りはよかったのですが、砂走りの下りは石に削られ、シューズがずたずたになりました。
つま先の保護パーツもなかったので、石にぶつけた指先の爪が青くなり、しばらくして親指の爪が取れました。

足の爪はがれはその後も何度か経験したのですが、最初に取れたときのグロテスクな見た目と、ぞわぞわする感触が今でも忘れられません。

富士山級の山に登るときは、やはりちゃんとした登山靴を履かないとダメだと痛感しました。

デザイン性にすぐれたブーツ

富士山の須走口にリベンジして、さらに御殿場ルートの大砂走も踏破するため、KEENのピレニーズを買いました。

本革アッパーに金属製のくつひもフックという、レトロな外観のハイキングシューズです。
他の製品のように凝ったパーツがごてごてとついておらず、ミニマムな外観に惹かれました。

KEENのピレニーズ

アッパーもソールも黒一色なので、ほかの服とも合わせやすそうです。
山だけでなく街履きにも通用する、洗練されたデザインといえます。

KEENのピレニーズ

下り斜面に強い

ミッドカットのブーツは脱ぎ履きするのが面倒ですが、富士山の砂走りではおおいに威力を発揮しました。

KEENのピレニーズ

さらに登山用のゲイターもつけてズボンの裾をカバーすると、シューズが埋没しても砂はほとんど入ってきません。

KEENのピレニーズ

つま先はソールと同じ固いラバーで保護されているため、石を蹴っても指先は無事です。
レッドウィングやダナーのワークブーツと似た感じもあるのですが、要所要所が強化されているKEENは、さすが登山用です。

KEENのピレニーズ

ローカットのシューズはどれだけ靴ひもをきつく締めても、下山の際につま先に荷重が集中して、爪が青くなることが多いです。

ピレニーズはシュータン部分が足のすねをサポートして、下り斜面で体重を支えてくれます。
これがミッドカットの利点で、つま先だけに体重がかかって、指先が痛くなるのを防いでくれます。

KEEN.DRYの防水性

購入時はあまり意識していませんでしたが、ピレニーズにはKEEN.DRYという独自の防水透湿素材が使われていました。
ゴアテックスの類似品で、防水性能は思った以上に強力でした。

キーンドライ

アッパーのレザーも耐水性があり、ミッドカットで履き口から水も入りにくいせいか、靴の中まで浸水したことは一度もありません。

雨の日はもちろん、林道で川のようになった洗い越しを歩いても、KEEN.DRYは無敵でした。
これまでゴム長靴以外の防水シューズを履いたことがなかったので、深い水たまりに足を突っ込んでも濡れないのは不思議に思いました。

KEENのピレニーズ

ピレニーズはデザイン性がいいので、雨天時は街中でもレインシューズとして活用していました。
本格的な登山靴ながら、おしゃれな革製ブーツに見えて使いまわしやすいのがメリットです。

低山ではオーバースペック

「年に一度は富士山登山」を目標に、4年かけて吉田口・富士宮・須走・御殿場の主要ルートを制覇しました。

登山はつねに軽装・日帰りのUL(ウルトラライト)ハイキングがモットーなので、日ごろ登るのは低山が中心です。
いちおうキャンプ用のソロテントは持っていましたが、山に運んで使ったことはありません。

自分の行動範囲では、ミッドカットで重厚なピレニーズが若干オーバースペックに思われてきました。

KEENのピレニーズ

当時は首都圏から日帰りできる範囲で、奥多摩や丹沢によく通っていました。
富士山以外で登ったことのある高い山は、せいぜい標高2017メートルの雲取山、1873メートルの蛭ヶ岳くらいです。

マラソン趣味が高じてトレイルランニングも楽しむようになり、キタタン・ハセツネといった地元のトレランレースにも出ていました。
山のなかを走ってみると、それなりに岩場やぬかるみのあるコースでも、軽量なトレランシューズで通用してしまいます。

KEENは高く売れる

KEENのピレニーズは重くてかさばるため、雨の日以外は次第に履かなくなりました。
また「富士登山競争」というレースに何度か出てみると、砂走りさえ下らなければ、シューズはマラソン・トレラン用で十分と気づきました。

結局引っ越しを機に、KEENのブーツは断捨離してしまいました。

KEENのピレニーズ

そこそこ使い込んでソールも擦り減っていましたが、リサイクルショップで高く売れたのは意外です。
KEENというブランドが人気なのか、見た目がおしゃれだからか、中古市場でもニーズがあったようです。

KEENのピレニーズ

KEENのピレニーズは、今でも販売されているロングセラーの定番商品です。

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もしまた砂走りを下ったり、本格的な登山に挑戦する機会があったら、ピレニーズを買い直してもいいかなと思っています。
本革で使い込むほど味が出るため、愛着をもってメンテナンスできるトレッキングシューズです。

ニューバランスのMT620

最後に2017年頃購入した、ニューバランスのMT620というシューズをご紹介します。

ニューバランスのMT620

1万円以下で買えた

MT620は今から7年ほど前に、通販のAmazonのセールを利用して8,000円台で購入できました。
27センチから0.5刻みで3サイズ取り寄せ、選んだのは少し大きめの28センチです。

ニューバランスのMT620

高機能なゴアテックス入りのシューズが1万円を切るのはめずらしく、今ほどインフレの進んでいない当時でも格安でした。

ニューバランスのMT620

最近、傷んだMT620の代わりに類似品を探しましたが、2023年時点で1万円未満のゴアテックスシューズはもう見つかりませんでした。
実店舗も通販もかなり探しましたが、MT620のように数千円で買えるのは、もはやゴアテックス以外の独自防水透湿シューズしかありません。

厚めのソールが快適

MT620は廉価ながら、登山用としても十分実用的です。
アッパーはメッシュ地の柔らかい素材ですが、つま先は頑丈に保護されています。

ニューバランスのMT620

CUSH+という機能がついた、厚めのソールも快適でした。
重さは片方330グラムくらいで、この手のシューズとしてはまだ軽いほうかと思います。

ニューバランスのMT620

ゴム製だったエーグルのレインブーツに比べると、歩きやすさは格段に向上しました。
ソールのクッション性も比較にならないくらい強化されています。

防水性能はばっちり

ゴアテックスの防水性能は期待どおりでした。

かなり雨の強い日に履いても、シューズのなかまで浸水してくることはありません。
普通の靴のように、水たまりを踏んだくらいでソールから濡れてくるような不安も感じません。

ニューバランスのMT620

さすがに台風並みの大雨暴風だと、履き口から水が入ってきたことはあります。
そこはローカットシューズの弱点なので、山で履くならスパッツを併用したほうがよいかもしれません。

ニューバランスのMT620

透湿性については少々わかりにくいですが、長く履いていて靴のなかがじっとり濡れてくるような不快感はありませんでした。

アッパーがメッシュ素材とはいえ防水透湿膜が入っている分、普通のスニーカーより湿気はこもるような気がします。
完全に晴れた日であれば、ゴアテックス非搭載のシューズのほうがドライで快適に歩けそうです。

ローカットで十分

登山靴といえば重厚なミドルカットを想像しますが、用途によってはローカットのほうが使い回しやすいと思います。
KEENのピレニーズも役に立ってくれましたが、私にとっては軽量なニューバランスで十分でした。

MT620は軽くてかさばらないため、特に登りで足を上げるのが楽になります。
ちょっとしたトレイルランニングもこなせるほど、機動性の高いトレッキングシューズといえます。

ニューバランスのMT620

見た目が普通という利点

MT620はトレッキングシューズですが、ローカットなのでそれほど圧迫感はありません。
ちょっとごつめのスニーカーといっても通用すると思います。

ニューバランスのMT620

普通のシューズのように街中や電車でも違和感なく履けて、カジュアルな仕事用としても使えるのは便利でした。
雨の日は革靴の代わりに、ニューバランスを履いて打ち合わせに行くこともありました。

ニューバランスのMT620

当時は格安防水シューズとしてひそかに流行っていたのか、東京都内で電車に乗っていて、同じMT620を履いている人を見かけたこともあります。

自転車で役立つ防風性

ゴアテックスのメンブレンは防風性もあるため、寒い季節に足が冷えるのを防いでくれます。

特にロードバイクに乗っているときは、風に当たって手足の指先から冷えてきます。
ゴアテックス入りの手袋やシューズがあれば、おおげさな保温機能がなくても冷気を防げます。

ニューバランスのMT620

冬場はフラットペダルに付け替えて、ゴアテックスのシューズで乗っていました。
厚手の靴下と組み合わせれば、トゥカバーを付けなくても指先は冷えません。

自転車で気になる重量増加については、金具を含めたビンディングシューズとたいして変わらないかもしれません。
ただ靴のボリュームが大きくなるので、フレームやチェーンとこすれやすくなります。

当時は自転車で峠に行って、そのまま山に登るような複合トレーニングを試していました。
フラットペダルとトレッキングシューズを組み合わせれば、活動の幅が広がります。

普段使いのデメリット

汎用性が高いとはいえ、山登りのあとは泥やほこりで汚れるため、こまめな掃除が必要になります。

毎回ブラシやウェットティッシュで拭いて、革靴並みにメンテする習慣が身に付きました。
そのおかげか、MT620はだいぶ長持ちしたと思います。

つま先からソールがはがれ、アッパーもライニングもボロボロにまるまで履き込みました。

ニューバランスのMT620

町でも履けるとはいえ、アスファルトの上を歩くとソールがすぐに擦り減ります。
ゴアテックスシューズを山以外で履くのは、寿命が縮んでもったいない気もしました。

最後のほうは靴裏の突起がだいぶ減って、砂利の浮いた斜面で滑るようになってしまいました。

ニューバランスのMT620

ソールがここまで傷むと、さすがに登山靴として使うのは厳しいです。
アッパーのメッシュが破け、防水性も失われてしまいました。

ニューバランスのMT620

寿命をまっとうしたMT620は、しばらく晴天ハイキングに活用したのち、アディダスのゴアテックスシューズに買い替えました。

ゴアテックスの汎用性

最近は登山靴以外でも、ゴアテックスを搭載したスニーカーや革靴が出ています。
しかしハイキングの分野はニーズに対してシューズの供給量が多いせいか、ほかより価格が安いように感じられます。

ニューバランスのMT620

たとえ街履きでソールの摩耗が早まったとしても、トレッキングシューズを普段の雨靴として活用するのは経済的かもしれません。

ソール摩耗のジレンマ

KEENのピレニーズやニューバランスMT620は、利用シーンを選ばない汎用性の高さが特徴です。

ただし舗装された路面を歩くと、目に見えてソールが擦り減ります。
やはり山歩きを前提としたトレッキングシューズらしく、ソールの摩耗性よりもグリップ力を重視して設計されているようです。

ニューバランスのMT620

雨靴と登山靴を兼ねれば、お金がかからず持ち物も減らせて合理的です。
ただし使用時間が長くなり、雨ばかりの過酷なコンディションにさらされて、靴の寿命は短くなります。

KEENのピレニーズ

トレッキングシューズを街中で履くのは、もったいないことかもしれません。
比較的安いとはいえ1万円はするので、普段履きには別のシューズを用意したほうが効率的といえます。

ニューバランスのMT620

とはいえ一足で済ますのも二足をローテーションして寿命を延ばすのも、金額的には変わらない可能性があります。
シューズの保管場所を減らせるという意味では、使い勝手のよい一足を履き込んで、こまめに買い替えるほうが有利と考えることもできます。

ランニングシューズの共用化

ジョギング用のランニングシューズを普段履きする場合も、同じジレンマがあります。

マラソン本番用の高価な勝負シューズは、さすがに温存したい気持ちがあります。
しかし練習用の安いシューズなら、近所の散歩や買い物に使いまわしても差し支えなさそうです。

地方に行くと、仕事用のスーツにランニンググシューズを合わせているおじさんをたまに見かけます。
自分と同じ発想で、「一足を使いまわせば合理的」という発想から、外見を気にしなくなったのかもしれません。

ニューバランスのMT620

さすがに「よそいき」の用事には革靴を履いていきたいと思いますが、「シューズを共用して楽にすませたい」という誘惑はつねに感じます。

一般靴のゴアテックスは高い

雨天時の散歩や買物用に、カジュアルシューズのゴアテックス化も考えてみたのですが、価格が案外高いと気づきました。

たとえば有名どころでコンバースのオールスター、ゴアテックスモデルはローカットでも1.5万円くらいします。

もとが安めのキャンバスシューズなので、価格が3倍以上になっているのは衝撃的です。
VANSのゴアテックス版も、似たような価格帯です。

国内メーカーの製品では、アシックスのペダラやランウォーク、ミズノのME-05 GTX(最近IIも出た)、OD100GTX 7など、ゴアテックス仕様のカジュアルシューズがごくわずかに存在します。

ただし定価はいずれも1万円以上します。
また日本企業のウォーキングシューズは、靴紐の横にファスナーが付いたシニア向けで、人によってはダサく見える製品が多いのも残念です。

予算が合えば、スピングルやアシックス・ランウォークの本革製といった、ハイエンドな防水シューズも手に入ります。

カジュアルシューズの分野はゴアテックスの需要が少ないのか、商品数が限られ、価格も高止まりしている印象です。
機能性がすぐれたトレッキングシューズのほうが、ウォーキングシューズより安いという逆転現象が生じているようです。

それならば廉価なゴアテックス登山靴を使いまわして、短期間で交換していくのも合理的と考えられます。

まとめ

エーグルのレインブーツとKEENのピレニーズ、ニューバランスのMT620というシューズをご紹介しました。

いずれも防水仕様の雨靴ですが、総合的な使いやすさはKEEN.DRYやゴアテックスが勝ります。
富士山の砂走りほど過酷なコースを歩くのでなければ、ローカットのトレッキングシューズで個人的には十分だと悟りました。

ニューバランスのMT620

最近は革靴でもゴアテックスをそなえたビジネスシューズが出てきたので、あえてエーグルを選ぶ必要もないかと思います。

自分はスピングルのBiz-601というビジネスシューズを活用しています。
革靴ライクな外観とスニーカーのような履き心地で、さらにゴアテックスも搭載したすぐれものです。

スピングルのゴアテックス革靴が最高な理由

デザイン志向の防水シューズ

見た目重視なミニマリストのかたには、サロモンやノースフェイスの渋いハイキングシューズが似合うかもしれません。
いずれも登山用ながら、並みのカジュアルシューズよりスリムで洗練されたデザインです。

ほかのブランドに比べて見た目がシンプルなので、普段履きと軽登山を兼ねられます。
予算が許すならば、アークテリクスの最高級シューズもミニマムでかっこいいと思います。

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見た目よりもコスパ重視の堅実派には、ニューバランスやアディダスのような大手メーカーが出しているゴアテックスシューズがおすすめです。
実店舗で見かける機会が少なく、アウトドア分野での知名度も低いですが、意外と安くて性能が高いと感じています。

MT620の次に新しく購入したアディダスのTERREX AX4については、こちらで詳しくレビューしています。

アディダスのゴアテックスシューズAX4感想

ゴアテックスのロゴイラスト

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究極の革靴を求めて…メレルのスリッポンhttps://bofuo.net/merrell/Wed, 15 May 2024 06:00:54 +0000https://bofuo.net/?p=1200

会社をやめて地方に引っ越すと、ファッションに対する意識がだいぶ変わってきます。 不用品を断捨離しながら、それでも一足はあったほうがいいであろう革靴について考えてみました。 あらゆる用途を兼ねられる、究極のレザーシューズは ... ]]>

会社をやめて地方に引っ越すと、ファッションに対する意識がだいぶ変わってきます。
不用品を断捨離しながら、それでも一足はあったほうがいいであろう革靴について考えてみました。

あらゆる用途を兼ねられる、究極のレザーシューズは存在するのか?
熟考を重ねて選んだ、メレルの本革スリッポンについてレビューしてみます。

メレルの革製スリッポン

最低限必要な革靴

仕事を引退したとはいえ、きちんとした革靴は一足持っておきたいものです。

冠婚葬祭だけでなく、高級ホテルやレストランを利用する際のドレスコードとして、品のいい革靴を履いていればまず安心です。

パラブーツのスリッポン

パラブーツのスリッポン

とはいえ現役時代のように、毎日履くのでローテーション用に何足もいるわけではありません。
用途に合わせてローファーからブーツまで使い分けるほど、履く機会も多くありません。

結局のところ、どんな場面でも恥ずかしくなく履ける、無難な一足があれば十分といえます。

内羽根ストレートチップ

男性にとって最低限そろえておくべき、リトルブラックドレスに相当するシューズといえば、内羽根式のストレートチップです。
色はもちろんオールブラック。

MEERMINの革靴

ストレートチップの革靴

最もフォーマルで応用も効く、これ一足があれば最低限は間に合います。
端正な見た目から、銀行員のようなかたい職種と間違われることもありますが、取引先やお店に対して失礼になることはありません。

20代の頃に背伸びして買ったロイドフットウェアの革靴も、お店の方と相談して最初はストレートチップを選びました。
ダイナソールのゴム底で、ヒールを交換したりしながら大事に履いていました。

MEERMINの革靴

ストレートチップの革靴

その後、伊勢丹新宿店メンズ館で買ったスペイン製の革靴MEERMINも、やはりストレートチップでした。
Linea Maestroというシリーズの製品です。

MEERMINの革靴

MEERMIN Mallorca(マヨルカ) Linea MAESTRO

貧乏性なので、革靴もたいてい融通のきく無難なタイプばかり選んでしまいます。

革靴でさえあればよい

しかしながら一般的な日本人で、TPOに合わせた革靴の種類まで気にする人はごく少数派だと思います。
別にお葬式でカジュアルなローファーや、モンクストラップを履いていても変に思われることはありません。

パラブーツのスリッポン

パラブーツのスリッポン

腕時計の種類と同じで、そんな違いを気にするのは一部のマニアだけです。

フォーマルな場面では「2針の薄型、ラウンドケースで文字盤は白、そしてベルトは黒革のクロコダイル」などと信じている人は、広告に影響されすぎかもしれません。

セイコーの手巻き時計、SCVL001

SEIKO SCVL001 Cal.6810

過去20年の社会人生活で理解したのは、仕事でも結婚式でもシューズに求められるのは、「スニーカーでなく革靴でさえあればよい」という事実です。

パラブーツのスリッポン

見た目がオーソドックスな革靴であれば、ブランドや製法はどうでもよく、素材も合皮で構いません。
スーツの生地や縫製と同じで、革靴のランクなど素人にはわからないものです。

差があるとすれば、最安価格帯の製品は「何となく安っぽく見える」という程度です。
有名ブランドでなくても、少しお金を出せば高級感も十分に演出できます。

合皮という選択肢

フォーマル用途に、あくまで革靴と呼べるシューズが一足あればいいとすれば、合皮や人工皮革も選択肢に入ってきます。

最近、リーガルが力を入れている人工皮革のローファーを試してみましたが、見た目の質感やしわの入り方まで、ほとんど天然皮革と見分けがつかないくらいでした。

リーガル・アウトレットのローファーで後悔

あくまで外観だけを気にするなら、進化した人工皮革のシューズで十分だと思います。

ユニクロのローファー

こちらは妻が最近ユニクロで買った合成皮革のローファーです。

ユニクロのローファー

ユニクロのローファー

価格は4,000円くらいしたとのことです。
クレア・ワイト・ケラーという外部デザイナーとコラボした、UNIQLO:Cというコレクションの製品です。

ユニクロのローファー

ユニクロのローファー

最近はこういう、ぽってりした厚底のローファーが流行っているそうです。
パラブーツの定番MICHAEL(ミカエル)をローファーにアレンジした、ぶ厚いソールのREIMS(ランス)と似ている気がします。

一か月くらい履いた状態で、明らかに合皮というか、エナメル革特有のくっきりしたしわが生じています。

ユニクロのローファー

ユニクロのローファー

安っぽいといえばそれまでですが、あくまで革靴、ローファーというスタイルである以上、スニーカーよりは上品に見えます。

プラダを着た悪魔』のようなファッション業界で働くのでなければ、別に仕事に履いていっても違和感はないと思います。

人工素材のメリット

天然皮革と比べて合皮、人工皮革には「安い、雨に強い、手入れが楽」といったメリットがあります。
また動物愛護の観点から、人工素材を積極的に選ぶ人もいるようです。

実際のところ、ワニ・ヘビ・トカゲやダチョウ以外の牛・豚革は、食肉用に生産された家畜の副産物とされています。
牛革を使わなければエコというのは、あくまでイメージの問題かと思われます。

天然皮革の値段高騰という背景もありますが、人工皮革のプロモーションには「差別化を図っていろんな製品を売りたい」というメーカーの意図が感じられます。

ユニクロのローファー

ユニクロのローファー

合皮には吸湿性や伸縮性にとぼしいといった欠点もあり、革製品の愛好家があえて選ぶ理由はありません。
強いていえば、見た目や履き心地よりも「メンテの楽さ」で買われるケースがあるかと思います。

厳密には合皮シューズも長持ちさせるために手入れが必要ですが、本革に比べて圧倒的に管理が楽なのは事実です。
価格の安さ以上に、靴磨きの苦労から解放されるというメリットこそが、合理的な消費者に訴求できるポイントなのかもしれません。

国内製品への回帰

ファッション好きの男性なら、海外ブランドへの関心も高いと思います。

ただ20~30代で有名どころをひととおり試してみると、40歳くらいを節目に、国内メーカーに回帰するサイクルがありそうな気がします。

メレルの革製スリッポン

客観的に評価すると、輸入品に比べて時計はセイコー、鞄はポーター、そして革靴ならリーガルあたりが、価格と品質のバランスがすぐれています。
最近の円安や輸送コストの上昇から、インポートブランドの割高感がさらに増しています。

国産品なら修理やメンテナンスの対応もスムーズです。
時計のオーバーホールや靴底のリペアといった維持コストも安くおさえられます。

以前イギリスから10万円以上する革製バッグを個人輸入した経験があるのですが、ポーターより縫製が雑でがっかりしました。
ものづくりに対する気質や、作業の解像度といった違いが反映されているのかもしれません。

価値観の変化

「いずれはジョンロブやチャーチの革靴が欲しい」と考えていましたが、近頃はリーガルくらいで必要十分と感じるようになってきました。
ファッションの趣味というよりも、人づきあいや経済感覚の変化が大きく影響していると思います。

最近試したスピングルの革靴も、日本製でコスパは高いと思います。

スピングルのゴアテックス革靴が最高な理由

田舎で隠遁している身分では、どんなに高い靴を履いていても自己満足にすぎません。
あぜ道の泥で汚れるので、履くたびに手入れが面倒になるだけです。

TPOをわきまえれば、農村で履くのにふさわしいのはワークマンの作業靴やゴム長靴です。
レッドウィングやティンバーランド、ダナーのワークブーツなども長く使えて愛着がわきそうですが、そこまで高価である必要はありません。

ブランド品依存や買物中毒のかたは、地方に引っ越せば価値観が変わって症状が緩和されるかもしれません。
見せつける相手が誰もいない、無人島に引っ越すような空しさを感じられると思います。

メレルのスリッポン

革靴についていろいろ考えていたところ、アウトドアブランドのメレル(MERRELL)が本革素材のスリッポンをつくっているのを発見しました。

メレルの革製スリッポン

海外メーカーではありますが、そもそも登山靴というジャンルにおいては輸入品が主流です。
この分野で日本人向けといわれているブランドは、キャラバン、シリオ、モンベルくらいしか思い浮かびません。

トレイルグローブ4

注目したのはメレルの「トレイルグローブ4」という製品で、ベアフットシューズとして販売されているシリーズです。
当時は裸足感覚で履ける薄底シューズにこだわっていて、メレルのゼロドロップも候補のひとつでした。

トレイルグローブは登山・トレラン用のシューズにしては、見た目が黒一色でシックに思われました。
よく観察するとソールの張り出しや黄色いVibramのロゴが目立ちますが、遠目には革靴のスリッポンに見えると思います。

メレルの革製スリッポン

さすがにゴアテックスなどの防水機能は備えていませんでしたが、アッパーのフルグレインレザーはそこそこ耐水性が強そうです。

これさえあれば街履きから山歩き、さらに打ち合わせや冠婚葬祭までこなせる万能シューズではないかと期待がもてます。

見た目はシックな革靴

革製のトレイルグローブ4は廃番になって久しいですが、当時の販売価格は1.3万円くらいでした。
Amazonに在庫があったので、”Prime try before you buy”というサービスで取り寄せ、試し履きしてみました。

全体的な見た目は丸っこくて、ビルケンシュトックやトリッペンのクロッグを連想させます。
ソールはビブラム製なので、グリップ力や耐久性には期待できます。

メレルの革製スリッポン

いちおう登山用のシューズですが、町歩きや仕事で履いても違和感のない、シンプルな外観です。
スポーツ向けのシューズは派手なデザインが多いので、アッパーもソールも黒一色のスリッポンは希少な存在といえます。

ベロが食い込む問題

メレルのスリッポンは若干狭めのウィズで、タイトな履き心地でした。
サイズは26.5センチで、自分が普段履くスニーカーより若干小さめです。

靴紐がなく着脱は楽ですが、ベロの上端が足首に食い込んで痛いような気がします。

メレルの革製スリッポン

アウトドア向けらしく、アッパーの牛革は見るからに強靭そうです。
ただし手触りは固くてごわごわした感触です。

革が固く、履き口が狭いせいか、別で持っているパラブーツのスリッポンに比べると、履き心地は明らかに固いと感じます。
ベアフットシューズという位置づけですが、ビブラムソールはそこまで柔軟性もありません。

長く履けば革がなじんで快適になるかもしれませんが、ベロの食い込みは解消できる見込みがなさそうでした。
歩くたび足首に当たる違和感があり、設計ミスではないかと思われるほどです。

メレルの現行製品

現行製品を調べたところ、メレルのベアフットシューズはトレイルグローブ7まで進化しているようです。

トレイルグローブは2011年の発売以来、改良が続いているロングセラー商品です。
つま先とかかとの高低差なし(ゼロドロップ)、靴底の厚みは14ミリと薄型です。

ソールがさらに薄い、ベイパーグローブ6というシューズもあります。
こちらもゼロドロップで、スタックハイトはたったの6ミリしかありません。

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ランニング業界でも厚底シューズが主流のいま、ベアフットを作り続けているメレルは貴重な存在です。
ただしトレイルグローブもベイパーグローブも、現行品には本革素材がありませんでした。

一方でメレル定番のジャングルモックには、レザー素材の高級品があります。

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こちらはソールが厚みと存在感が増すので、フォーマルな場面では気になるかもしれません。
ただディティールにこだわらなければ、ジャングルモックも汎用性の高い、革靴ライクなトレッキングシューズとみなせそうです。

便利な無料返品サービス

結局、家のなかで試し履きしただけで使用はあきらめ、アマゾンに返品しました。
”Prime try before you buy”なら返送料も無料で回収してもらえるのがうれしいです。

かつてJavari(ジャバリ)という名前だった時代からお世話になっている無料返品サービスで、シューズの試し履きにはぴったりだと思います。

古くはZappos(ザッポス)という会社が広めた「送料無料、365日返品可能」のオプションです。
2009年、ザッポスはアマゾンに買収され、現行サービスに引き継がれています。

フィッティングの難しさ

先日購入したリーガルのように、店舗でアドバイスを受けてもサイズ選びで失敗することはあります。
自分でも納得して買ったはずなのに、長く履くと問題が顕在化してくることがあります。

リーガル・アウトレットのローファーで後悔

その点においても、店員さんのプレッシャーを感じることなく自宅で何時間でも靴との相性を吟味できるのは、ありがたいサービスです。
ある程度、経験を積んだユーザーなら、シューズのサイズ合わせも自分で判断できると思います。

着払いのコスト

無料返品サービスの欠点を挙げれば、着払いとはいえ返送が面倒だったり、輸送の環境負荷が気になったりすることもあります。

特にサイズ違いで何足も取り寄せたりすると、巨大な段ボール箱をコンビニで返送するのは骨が折れます。
無料返送にかかるコストも、実際は価格に上乗せされていると考えられます。

あまりに返送が頻繁で悪質だと、ブラックリストに載るおそれもありそうです。

メレルの革製スリッポン

もちろん試着後に気に入ってそのまま購入することもあるので、今のところアマゾンから警告を受けたことはありません。
常識的な範囲で利用していれば、問題になることはないと思います。

まとめ

田舎の隠遁生活に適した革靴」というテーマで理想のシューズを考えた結果、メレルのトレイルグローブ4にたどり着きました。

革が固くて履き口も狭く、履き心地はいまいちでしたが、シックな見た目は期待どおりでした。
足に合いさえすれば、あらゆるシーンで使いまわせる、究極の革製スリッポンになれたかもしれません。

メレルの革製スリッポン

実際のところ、山で履くとシューズが泥だらけになるので、そのままデートや仕事に使いまわせるというのは無理があります。
極端なミニマリストでなければ、普段履きとよそいきと、シューズは2足そろえておくのが合理的かと思います。

メレル、スリッポンのイラスト

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リーガル・アウトレットのローファーで後悔https://bofuo.net/regal/Tue, 14 May 2024 10:00:30 +0000https://bofuo.net/?p=1199

リーガルのアウトレット店で、Worth CollectionのV214というローファーを買ってみました。 素材が人工皮革で少し安く、手入れしやすいのがメリットです。 ただし本革のような伸縮性がないためか、足に合わず履くの ... ]]>

リーガルのアウトレット店で、Worth CollectionのV214というローファーを買ってみました。
素材が人工皮革で少し安く、手入れしやすいのがメリットです。

リーガルのローファー

ただし本革のような伸縮性がないためか、足に合わず履くのをあきらめました。
サイズ選びにも失敗したせいか、かかとの皮が擦りむけて痛みます。

まともや失敗に終わったお買物…
リーガル廉価ローファーの反省レビューです。

リーガルのイメージ

リーガルコーポレーションは東証スタンダードに上場している、国内革靴メーカーの最大手です。

リーガル・アウトレットのローファー

REGAL ESTABLISHED 1880

車でいえばトヨタのような、幅広い製品ラインナップを擁するブランドです。
高級車レクサスのように、SHETLANDFOX(シェットランドフォックス)という革靴マニアのおじさん向けハイエンド製品も販売しています。

クラークスやポロ ラフル ローレンのシューズを販売しているのも、実はリーガルだったりします。

有名なクラークスのデザートブーツも、リーガルの店舗で購入できます。
そういえば自分も若い頃、お金を貯めてクレープソールのブーツを買ったことがあります。

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またリーガルは革靴以外にバッグやベルト、財布といった革小物も扱っています。

ナイロン製のビジネスバッグは意外とコスパがよかったのですが、最近は撤退されたようです。
オンラインショップには、ほとんど女性もののトートバッグしか見あたりません。

堅実なブランド

リーガル主力のビジネスシューズは、KENFORDという廉価ラインを除くと、定価で2万円以上します。

REGALと聞いて思い浮かぶ価格帯は人それぞれですが、自分のなかではそこそこ高級なブランドです。
少なくとも東京靴流通センターやABCマートといった量販店の革靴よりは、値段相応に素材や製法にこだわっていそうなイメージです。

昔の写真を探していたら、20代の頃に履いていたリーガルのスリッポンが出てきました。
革がよれよれになるほど履き込んだ形跡があります。

リーガルのスリッポン

昔持っていたリーガルのスリッポン

当時はリーガル正規のローファーでも、1万円代で買えた気がします。

スリッポンの履き心地はよく、さすが日本人の足型を考えてつくっているなと感心しました。
革靴の品質は外見からわかりにくく、長時間履いてみないと評価できないですが、リーガル製品は総じて外れが少ないように思います。

万人受けする

まわりの人に対しても、とりあえずリーガルを履いていれば「身だしなみに気をつかっているまともな人」という無難な印象をもってもらえそうです。
明らかな安物でもなく、嫌味な高級品でもない、万人受けする手堅いブランドだと思います。

リーガル・アウトレットのローファー

若いのに高級な革靴を履いていると、上司や取引先からひんしゅくを買ったり、経済感覚を疑われたりしがちです。
大衆向けアッパーミドルのリーガルであれば、そんな心配も必要ありません。

リーガルのアウトレット

「そこそこ高い」イメージのリーガルですが、REGAL FACTORY STOREというアウトレット店舗も積極的に展開しています。
今回ご紹介するローファーも、三井アウトレットパークのリーガル店舗で購入したものです。

リーガル・アウトレットのローファー

アウトレットといっても、半額や8割引きといった劇的な安さではありません。
たまにB級品も販売しているとか、2足まとめ買いすれば割引になるとか、その程度の違いです。

とはいえ地方ではリーガルの直営店自体がレアなので、アウトレットモールは実物を見られる貴重な場所といえます。

Worth Collectionとは

リーガルファクトリーストアのおもしろい点は、Worth Collection(ワースコレクション)という廉価ラインを扱っていることです。

リーガル・アウトレットのローファー

見た目は普通のリーガルとほとんど変わらないのですが、生産国が中国だったりします。
“worth”(価値のある)というのは品質の高さではなく、「お財布にやさしい」という意味かと思われます。

革靴の違いがわからない

革靴の価格差は本来、木型や縫製、素材の違いにある程度連動していると考えられます。
ただし高価格帯になると、そうしたこだわりはマニアにしかわからない領域になります。

リーガル・アウトレットのローファー

同じメーカーの製品でも、5万円のリーガルと10万円のシェットランドフォックスを比べて、2倍の品質差を実感できる自信が私にはありません。
高額製品になるほど、製造コストのほかに広告費やテナント料、人件費や諸々のサービス料が上乗せされてくると思います。

そう考えれば、本家リーガルとほとんど見分けがつかないWorth Collectionも案外お買い得に感じられます。
インソールにブランド名がプリントされているだけで、外からは廉価品とばれません。

リーガル・アウトレットのローファー

店頭で説明を聞いて比べたかぎりでは、クオリティーの差もそこまでわかりませんでした。
中国製とはいえ、いちおうリーガルが品質管理しているのは安心材料です。

Worth Collectionが安いといっても、せいぜい数千円程度のお値引きなので、材料や製法にはそれなりに気をつかっているように思われます。

廉価ラインの実力を評価してみたい気持ちと、人柱になる覚悟で、あえて中華リーガルのローファーを選んでみました。

アウトレットのローファー

アウトレットで購入したローファーはV214というモデルです。
価格は税込17,600円でした。

リーガル・アウトレットのローファー

リーガルブランドのローファーなら2万円は超えるので、KENFORDと同じくらい価格は抑えられています。

いかにもリーガルらしい正統派のコインローファーで、シルエットも細すぎず太すぎず、安定感があります。

リーガル・アウトレットのローファー

製法がマッケイかグッドイヤーだったか忘れましたが、ソール交換にも対応できると店員さんからうかがいました。

リーガル・アウトレットのローファー

本家リーガルのように、ライニングが防水ゴアテックスやクールマックスだったり、ソールがビブラムといったオプションはありません。
靴底はつるっとした感触のゴム製で、グリップ力は少々心もとないです。

リーガル・アウトレットのローファー

人工皮革という素材

ローファーの素材は、あえて本革ではなく人工皮革のものを選んでみました。

リーガル・アウトレットのローファー

日本製の人工皮革は進歩が目覚ましく、東レのウルトラスエード、エクセーヌ、アルカンターラなどは高級車の内装に使われるほどです。

リーガルの人工皮革は、帝人や山陽と共同開発したエコペットというリサイクル素材であるようです。
近年、天然皮革の原料となる牛の生産量が減ったなどの事情から、人工皮革への切り替えに力を入れているそうです。

見た目は革そのもの

アウトレットのWorth Collectionも国産の人工皮革かわかりませんが、外観の完成度は高いと思います。

革らしい質感や表面のシボ加工など、説明を聞かなければ天然レザーと見分けがつかないほどリアルです。
いかにも合皮といった安っぽさは、まったく感じられません。

リーガル・アウトレットのローファー

人工皮革は昔からある合成皮革と違って、不織布にポリエステルやポリウレタンの樹脂層を重ねた構造になっています。
天然皮革を人工的に再現した構造で、通気性もあるのが特徴です。

安くて手入れが楽

革特有の通気性もあり手入れが楽で、値段が安くて見た目も本物らしいとなれば、人工皮革のメリットは絶大です。

自分は革靴の手入れが苦にならず、むしろ靴磨きが趣味といえるくらい楽しみです。
しかし一般的には、メンテナンスの手間が少ない方が喜ばれると思います。

モウブレイのシュークリーム

もし革靴は人工皮革で十分となれば、ブラシやクリームなど靴磨きの道具はいらなくなるかもしれません。
たまにウェットティッシュで汚れを拭き取る程度で済むならば、維持コストも安く、収納スペースの節約にもつながります。

いつか履き心地を評価したいと思っていた人工皮革を、試せる機会がやってきました。

靴擦れが止まらない

V214のローファーを履いて外を歩いてみたところ、なんとなく足が窮屈な印象を受けました。

しばらくスニーカーやスリッポンといった楽なシューズばかり履いていたので、足が甘やかされて弱ってしまったのかもしれません。
久々に履いた本格革靴の固さに、体が耐えられなくなったような気もします。

パラブーツのスリッポン

最近履いていたパラブーツのスリッポン

購入したローファーのサイズは25.5センチでした。
いつも買うサイズよりひとまわり小さめですが、店員さんに見てもらいながら合わせたので、試着の際は問題ありませんでした。

リーガル・アウトレットのローファー

靴のサイズ選びはこれまで何度も失敗しています。
時間をかけて慎重に合わせたつもりでしたが、微妙に小さかったようです。

せっかく買ったので我慢して履いていたところ、帰ってみたら踵の皮がむけていました。

皮がむけるということは、靴のサイズが大きくて足が動いていると推測されます。
あるいは買ったばかりでヒールの素材が固く、足になじんでないのが原因かもしれません。

リーガル・アウトレットのローファー

革が伸びない可能性

かかとに絆創膏を貼ってしばらく履き続けてみましたが、違和感は解消されません。

今まで履いた革靴は、新品状態からしばらく経つと、体になじんでフィット感が増す傾向がありました。
革が水分を吸って柔らかくなったり、足に合わせて伸縮するからかと思います。

リーガル・アウトレットのローファー

見た目は固そうなのに、履くと案外気持ちよくて、一日履いても蒸れにくいというのがレザーシューズのメリットです。
ソールも革製なら、さらに吸湿性が増します。

思うに人工皮革は天然皮革に比べて伸縮性にとぼしく、長く履いても足になじんでこないのかもしれません。
辛抱して履き続けましたが、かかとの擦れが解消されず、結局あきらめました。

靴擦れの原因は様々

靴擦れに悩まされるのは、スニーカーやランニングシューズではよくありますが、革靴では初めての体験です。

原因は人工皮革の素材ではなく、単にサイズが小さくてヒールの形状が足に合わないせいとも考えられます。
あるいは中国製のWorth Collectionが、国産リーガルより品質が低く、見えない部分で履き心地に影響を与えているのかもしれません。

リーガル・アウトレットのローファー

類似品やサイズ違いを履き比べたわけではないので、真相はわからないままです。
フィッティングに失敗したとはいえ、本家、本革のリーガルよりは若干値段が安かったのが救いです。

V214のローファーは状態のいいうちに中古で売却しましたが、買取価格は5,000円もしませんでした。
差し引き1万円以上の出費で終わり、勉強代としては高くつきました。

人工皮革の経年変化

たった数回履いただけですが、アッパーに少ししわが残りました。

安い合皮に比べれば、しわの出方もだいぶ本物らしいといえます。
天然皮革とじっくり見比べても、違いがほとんどわかりません。

リーガル・アウトレットのローファー

さらに1年くらい履き込んでみたら、また違った変化が出てきたかもしれません。
アッパーについた傷の見え方や、クリームによる修復の可能性についても興味はあります。

このローファーはもう手放したので検証できませんが、人工皮革はその構造上、劣化の具合も天然レザーと似通っているようです。
「見た目を天然皮革に近づける」というフェイクレザーの目的からすれば、おそろしくよくできた人工素材です。

撥水性は高い

V214はゴアテックスのように完全防水ではありませんが、人工皮革の性質上、アッパーはかなり水をはじきます。

リーガル・アウトレットのローファー

糸の縫い目から浸水するおそれがあるとはいえ、ちょっとした雨なら濡れずに歩けました。
少々水をかぶったからといって、革が傷むような気配もありません。

「本革ほど水濡れに神経質にならなくて済む」というのも、人工皮革のメリットです。
通気性も多少は確保されているので、ゴム製のレインブーツより蒸れずに快適に履けます。

まとめ

リーガルのアウトレットで買ったWorth Collectionのローファーは、サイズが小さすぎたのか、足に合わないのが残念でした。

人工皮革は見た目がリアルで、手入れも楽になりそうだったのですが、普通の革より伸縮性に劣ると思われます。
靴擦れの原因は不明なままですが、数日履いても革がなじんでこないのは違和感がありました。

人工皮革が向いている人

やはり化繊のスニーカーが普及しても、革靴が履き続けられているのは、それなりに理由があるのだなと納得しました。
価格もそこまで劇的に安くなるわけでもないので、自分は人工皮革のシューズをもう買わないと思います。

合皮や人工皮革の靴は若干安いのがメリットですが、あくまで「日頃のメンテが面倒なひと向けの便利グッズ」という位置づけではないでしょうか。

リーガル・アウトレットのローファー

仕事が忙しくて靴を手入れする余裕がない人には、時短アイテムとして役に立つのも事実です。
耐久性は本革に劣るかもしれませんが、価格は安いのでそのぶん、早めにローテーションすればコスパは同等です。

天然皮革がよい理由

ただ維持管理の手間も含めて天然素材の革製品が好きなかたには、あまり意味のない製品といえます。
合皮も人工皮革も最低限のクリーニングは必要だと思いますが、クリームで栄養を与えて「革を育てる」ような楽しみは味わえません。

倒錯しているようですが、道具についても人間関係においても「かけた手間の分だけ愛情もわく」という法則はあるようです。

リーガル・アウトレットのローファー

リーガルのローファーもつくりやデザインはよかったのですが、結局のところサイズと素材選びで失敗した気がします。
あえて人工皮革のシューズを選ぶとしたら、本革のように伸縮しない性質をふまえて、少し大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。

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スリッポンのほうが無難

ローファーを買うのは人生で初めてだったのですが、次第にアッパーの装飾が余計に見えてきました。
甲革に凹凸ができるため、ほこりもたまりやすく、ブラッシングが面倒です。

ローファーはブレザーと合わせたトラッドスタイルには似合う反面、一歩間違えると中高生の制服のように見えてしまうおそれがあります。

リーガル・アウトレットのローファー

同じ靴紐なしのシューズとして、自分はよりシンプルなスリッポンのほうが好みかなと感じました。
べろにゴムが入っているものは、脱ぎ履きも楽です。

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リーガルのスリッポンは過去に履きつぶした経験があるので、クオリティーの高さは確認済みです。
次に買うとしたら、アウトレットは避けてリーガル正規店で相談したいと思います。

リーガル、ローファーのイラスト

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パラブーツの革靴スリッポンに賛否両論https://bofuo.net/paraboot/Mon, 13 May 2024 01:00:22 +0000https://bofuo.net/?p=1161

10年履いたパラブーツのスリッポン、ANVERS(アンヴァース)のレビューです。 革靴が好きでいろんなタイプを持っていましたが、退職後に断捨離した結果、この一足だけが残りました。 さすがにソールが擦り減ってダメになりまし ... ]]>

10年履いたパラブーツのスリッポン、ANVERS(アンヴァース)のレビューです。

パラブーツのスリッポン

革靴が好きでいろんなタイプを持っていましたが、退職後に断捨離した結果、この一足だけが残りました。
さすがにソールが擦り減ってダメになりましたが、見た目がスマートで履き心地もよく、値段相応にすぐれたシューズだったと思います。

壊れるまで履きつぶしたお気に入りの革靴について、思い出を振り返ってみます。

パラブーツの魅力

30代も後半になってからは、結婚式に呼ばれることもなくなりました。
さらに仕事もやめると、もともと少なかった人づきあいはゼロに近くなりました。

スーツもまったく着る機会がなくなり、すべて処分しました。
今後、お葬式に出る機会があれば、礼服はレンタルしようと思います。

革靴も結局、使い勝手のよいパラブーツ以外は中古で売ったり捨ててしまいました。
仕事に必要だった持ち物を徐々に減らしていった結果、最後に残ったのがこの黒革のスリッポンです。

パラブーツのスリッポン

見た目の印象と履きやすさを勘案した結果、自分の余生にはこれで十分と悟った次第です。
たまに着るジャケパンくらいのカジュアルなスタイルだと、かっちりした革靴よりスリッポンのほうが似合う気もします。

パラブーツのANVERS

パラブーツといえば、シャンボードやミカエルといった登山靴に由来をもつ重厚なシューズが有名です。
ダナーのワークブーツと同じくらい、革靴の定番として不動の人気を誇っています。

パラブーツはソール交換可能な厚底モデルが多いイメージですが、実は都会的なシルエットのローファーやスリッポンも販売しています。

今回ご紹介するモデルは、2011年頃に青山の店舗で購入したANVERSという製品です。
最近の円安と物価高で、この手のモデルでも4万円以上するようですが、当時はまだ2~3万円で買えた記憶があります。

パラブーツのスリッポン

10周年記念のサービスということで、シューツリーも無料で付けてもらえたのはお得でした。
木部の表面がウレタン塗装されておらず、吸湿性がよさそうなので今でも愛用しています。

パラブーツのシューキーパー

ブランドのイメージ

パラブーツのシューズはどれも履き口にParabootというタグが付いていて、わかる人にはブランド品とアピールできるのも利点です。

パラブーツのスリッポン

それほど派手でも高すぎるわけでもなく、「靴好きの人が選ぶ老舗」という感じでブランドイメージは悪くないです。
同じくフランスの高級ブランド、エルメスが取引先だったという経緯も影響していると思われます。

パラブーツのスリッポン

ルーズなスリッポンでフォーマル感はないですが、そこそこいい靴に見えるのがパラブーツのいいところです。
スニーカーに近い感覚で歩きやすく、靴紐がないので脱ぎ履きも圧倒的に楽です。

ドライビングシューズの伝統

ANVERSはアッパーの革が柔らかく、ブレイク製法(マッケイ製法)で履き心地も快適です。
フラットなソール形状は、トッズに代表されるドライビングシューズの系統かと思われます。

パラブーツのスリッポン

つま先は細すぎず、甲の部分が薄く仕上げられ、全体的にシャープな外観になっています。
とはいえウィズはそこそこ確保されていて、指先が当たって痛くなることはありません。
革の伸縮性に助けられている部分もあると思います。

パラブーツのスリッポン

同じ革靴でも、別で持っていたグッドイヤーウェルトの重厚なタイプに比べると、パラブーツのスリッポンは圧倒的に軽量です。
かかとをコツコツ鳴らしながら、かしこまって歩くというよりも、スニーカーのように無造作につっかけて外に出られます。

パラブーツのスリッポン

それでも見た目はシックな革靴で、デートや打ち合わせにも違和感なく履いていけるという安心感があります。

自社製のラバーソール

ANVERSは一般的な革靴のように踵は高くなく、ドロップが小さく抑えられています。
ベアフットシューズとみなせるほど、ソールは平らに近い形状です。

ルナサンダルやゼロシューズを愛用している、はだしランナーの正装としてもおすすめです。

パラブーツのスリッポン

ソールの中央や側面には、Parabootというロゴが誇らしげにプリントされています。

パラブーツのスリッポン

パラブーツは歴史上、ラバー素材の靴底を普及させたメーカーとして知られています。
いまでもソールは自社生産しているようです。

パラブーツのスリッポン

手持ちのスリッポンに使われているソールは、シャンボードやミカエルのものほどぶ厚いタイプではありません。
グリップパターンは独特で、ドライビングシューズらしく溝も浅めですが、すべりやすいと感じたことは特にありません。

コンパウンドなど細かい仕様はわかりませんが、自社製造している分、ソールの特性もシューズに合わせて調整されているのかもしれません。
パラブーツの履きやすさは、ソールの構造にも理由がありそうな気がします。

糸を黒く塗る

アッパーの縫い糸は白色だったので、使い込むとだんだん汚れて薄汚くなってきました。

パラブーツのスリッポン

思い切って糸の部分にサフィールの着色クリームを塗ってみたところ、おおむね黒くなって汚れが気にならなくなりました。

パラブーツのスリッポン

もともと染色された糸ほど黒くはないですが、見た目の違和感はありません。
ステッチが革と同色になって、さらにフォーマルさが増しました。

パラブーツのスリッポン

糸が白いうちは、色がつかないようモウブレイの透明デリケートクリームを使っていました。
着色後は油分を補給するため、普通の黒いシュークリームで磨いています。

パラブーツのスリッポン

うっかり手がすべって、Parabootのタグも黒く塗ってしまったのは残念です。
外から見てパラブーツであることがわかりにくくなってしまいました。

パラブーツのスリッポン

製法のデメリット

すっきりした外観と履き心地のよさが魅力のスリッポンですが、欠点もいくつかありました。
構造上、靴底から浸水しやすいのと耐久性の低さ、そして修理の難しさです。

こうした欠点はブレイク製法という縫い方によるものらしく、いろいろと勉強になりました。

異様に雨に弱い

おしゃれで快適なパラブーツのスリッポンも、ひとつだけ弱みがあります。
防水仕様ではないため、雨に弱いという点です。

一般的に革靴は水に弱く、特にソールも革でできている高級品は雨の日に履きたくありません。
シューズのなかまで浸水してきますし、濡れたタイルのうえを歩くと滑って危ないからです。

MEERMINの革靴

MEERMINの靴はソールも革製

パラブーツは水を吸わないゴム底ですが、ソールにある縫い目からみるみる浸水してきます。
靴底が薄いので、普通の革靴より余計に水がしみ込みやすいのかもしれません。

パラブーツのスリッポン

うっかり水たまりを踏むと、一発で浸水する困ったシューズでした。

雨の日は革靴を履かなければよいのですが、出張先などで天候の読めない日もあり、靴のなかまで何度もびしょ濡れになりました。

革靴もゴアテックスがよい

以前はエーグルのラバーブーツを使い分けて雨をしのいでいましたが、引退後は出番が少なくなり、まっさきに処分してしまいました。
ゴアテックスと違って透湿性がない普通のゴム素材であるため、ブーツのなかが蒸れるのも難点です。

エーグルのレインブーツ

AIGLEの雨靴

いちおうゴアテックス製のトレッキングシューズも持っていますが、あまりに武骨でジャケット姿には似合いません。

やはり革靴も防水性の高いほうが有利だと気づき、パラブーツが壊れたあとはスピングルのシューズに買い替えました。
GORE-TEX搭載のBiz-601という革靴で、スニーカーと似た柔らかい履き心地に満足しています。

スピングルのゴアテックス革靴が最高な理由

ソール修理の相場

10年近く履いたパラブーツは、ソールがだいぶ削れてきました。

かかと側は大きくえぐれて、ゴムの切れ目から石ころが入ってきたりします。
インソールも裏側から劣化してきて、ソールに食い込んだ異物が足裏に当たるのは不快です。

パラブーツのスリッポン

アッパーの革や縫い糸はまだ無事なので、いちおうソール交換の可能性も検討してみました。

パラブーツの正規店に持ち込んでみたところ、傷みが激しすぎて修理は難しいとの回答でした。
有償でも面倒な修理を引き受けるよりは、新品を買ってもらった方がありがたいという事情もあるかと思われます。

代わりに町の修理屋さんで、パラブーツのソール交換実績をアピールしているところに相談してみました。
修理のお見積もりは、ソールとウェルトの交換に中敷きの補強も合わせて1.7万円とご回答いただきました。

インソールをはがしてみたところ、内部の金属パーツがある部分まで穴が開いていました。
たしかにここまでくると、ソール交換だけでは済まなそうです。

パラブーツのスリッポン

ヒール交換だけなら4千円というお見積りでしたが、すぐにオールソール交換必要になりそうな傷み具合といえます。
2万円近く出すなら新品を買った方がよいかと考え、修理は結局あきらめました。

ブレイク製法の欠点

ANVERSの特徴であるブレイク製法は、コバが狭くソールも薄めで、細身のシルエットをつくれます。
またソールの返りがよく、軽量で柔らかいシューズになるそうです。

パラブーツのスリッポン

その反面、アッパーとソールが直接縫われているため、修理が難しいというデメリットがあります。
一般的にはブレイク製法のオールソール交換は1~2回が限界といわれます。

パラブーツのスリッポン

このスリッポンが靴底から浸水しやすかったのも、ソールに縫い目のあるブレイク製法の弱みといえます。

グッドイヤーウェルト製法のほうが強度も高くなり、履き心地のよさと耐久性はトレードオフの関係にあるようです。

パラブーツのスリッポンは快適でしたが、寿命の短さについては妥協が必要だったのかもしれません。

まとめ

長らく愛用したパラブーツのANVERSですが、新しくスピングルの革靴を買ったのを機に処分しました。
そこそこ名の知られたブランド品ですが、さすがにここまで傷むと中古で売るのも難しそうです。

パラブーツのスリッポン

パラブーツの公式ページからANVERSは消えていますが、ADNIS、REIMS、CORAUXといったローファー製品はまだ残っています。
フランス海軍が使っていたという、有名なデッキシューズのBARTHも健在です。

革靴好きならパラブーツ定番の登山靴は押さえておきたいところ、その他のモデルも意外と良いわかりました。

耐久性の低さといったデメリットを承知で選ぶなら、ブレイク製法のスリッポンも履き心地は格別で、幸せになれると思います。

パラブーツのスリッポン

いつかお金に余裕ができたら、また別のモデルも試してみたいと思います。
パラブーツを数年で履き潰してローテーションできるくらい、リッチな大人になってみたいものです。

パラブーツのイラスト

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スピングルのゴアテックス革靴が最高な理由https://bofuo.net/spingle/Sat, 11 May 2024 23:00:07 +0000https://bofuo.net/?p=1094

スピングルのビジネス向け革靴、Biz-601を購入しました。 履き始めてから3年経ったので、使用感をレビューしてみようと思います。 Biz-601はGORE-TEX搭載の完全防水モデルで、出張先でも天候を気にせずガンガン ... ]]>

スピングルのビジネス向け革靴、Biz-601を購入しました。
履き始めてから3年経ったので、使用感をレビューしてみようと思います。

スピングルのBiz-601

Biz-601はGORE-TEX搭載の完全防水モデルで、出張先でも天候を気にせずガンガン履けます。
仕事用からきれいめカジュアルまで通用するシックな見た目で、一足あると重宝するシューズです。

スピングルは日本製の高品質な革靴で、ほかの人とはかぶりにくいブランドを探している人におすすめです。

スピングルを選んだ理由

冠婚葬祭や仕事の打ち合わせ、よそいきのファッション用に革靴が一足あると便利です。
普段は手入れが楽なスニーカーやサンダルで過ごしていますが、引退後もときどき革靴が必要な場面は出てきます。

長年使っていたパラブーツのスリッポンが擦り切れてきたので、新しいビジネスシューズを買い替えることにしました。

パラブーツの革靴スリッポンに賛否両論

最初にリーガルのアウトレット店で安価な人工皮革のローファーを買ってみたのですが、足に合わず履き続けるのはあきらめました。
やはりシューズの品質は、ある程度価格に比例するという勉強になりました。

リーガル・アウトレットのローファーで後悔

自分は膝に故障を抱えているので、もっと予算をかけていい製品を選んだほうがよいのではと考えていたところ、目に留まったのがスピングルです。

Bizシリーズに注目

今までスピングルといえば「コンバースやヴァンズに似たスニーカーで、やけに高い国産品」という認識しかありませんでした。
ものは良さそうですが、カジュアルなシューズは他にたくさん持っているので、強いて買い増す必要はありません。

しかしスピングルのなかに、革製のビジネス向けシリーズがあることを知りました。

スピングルのBiz-601

見た目は革靴でもソールはゴム製で、スニーカーらしい要素が取り入れられています。
リーガルやアシックスウォーキングの類似品と比べても、スペックは悪くなさそうです。

スニーカーとしては高いですが、ビジネスシューズというカテゴリーであれば、2~3万円という価格も違和感はありません。
むしろブランド物の革靴に比べれば安いくらいです。

超撥水かゴアテックスか

スピングルのBizシリーズには、超撥水やGORE-TEX搭載の防水モデルもラインナップされています。

スピングルのBiz-601

撥水タイプのほうがバリエーションは豊富で、ローファーやチャッカブーツ、ストレートチップなども選べます。
またゴアテックスより価格は数千円安くなります。

ただし今回は防水性に万全を期したかったので、予算アップして定評あるゴアテックスを選びました。

スピングルのBiz-601

選んだのは靴紐付き、内羽根式のプレーントゥ、Biz-601というモデルです。
類似品でスニーカーに近いBiz-602もありましたが、フォーマル用途も想定して今回はシンプルなBiz-601のほうにしました。

京都東山店で購入

3万円近い高級シューズなので、フィッティングに失敗したくはありません。
スピングルについては通販を利用せず、実店舗でじっくり相談して購入しました。

スピングルのBiz-601

訪れたのは京都の清水寺近くにある東山店です。
東大路通りのバス停から、法観寺・八坂の塔に向かう路地にあります。

SPNGLE 京都東山店

SPNGLE 京都東山店

購入時はコロナ禍でほとんど人がいませんでしたが、普段は観光客でごった返すエリアです。
スピングルは京都の寺町にも出店していますが、東山店のほうはインバウンド向けの広告宣伝も兼ねているように思われます。

八坂の塔

男性用だけでなく女性用のシューズもそろっているので、京都デートのついでに立ち寄るのもおすすめです。
近くには清水寺や高台寺といった名所だけでなく、スタバの京都二寧坂ヤサカ茶屋店、八坂庚申堂といった有名な映えスポットもあります。

京都の二寧坂

Biz-601の購入価格は、税込27,500円でした。
オンラインショップを見ると、現在は多少値上がりしたようですが、まだ2万円台で買えるようです。

京都東山店に並んでいたカンガルーレザーのモデルも手触りがよくて迷ったのですが、今回はゴアテックスのBizモデルを優先しました。
いま持っているシューズが壊れたら、スピングルのスニーカーモデルも検討してみたいと思います。

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Lサイズ=26.5cm

スピングルのサイズ構成は、通常のセンチやインチではなくS・M・L・LLとなっています。

自分の足は26.5~27センチくらいで(左右で大きさが違う)、Biz-601の場合はLサイズがフィットしました。
オンラインショップの説明ではLサイズ=26.5センチとなっています。

スピングルのBiz-601

Biz-601はスピングル定番のスニーカー、SP-110より大きめのサイズ感で設計されているそうです。
ジャストサイズでもつま先が当たったり、かかとが靴擦れすることはありませんでした。

スピングルのBiz-601

またこのモデルは本革製なので、アッパーが多少伸縮してフィットしているように思います。

サイズ表記の謎

洋服のようなサイズ表記に最初は面食らったのですが、あえて1センチ刻みの品ぞろえにして製造の無駄を省いているようです。

スピングルのシューズはつま先の捨て寸が大きく、やや縦長の設計になっているので、靴ひもで調整できる余地が大きいのかもしれません。

スピングルのBiz-601

大手メーカーのように0.5センチ刻みでサイズを用意すると、在庫や製造コストがふくらみ、品種やカラバリを広げにくくなるのでしょう。

スピングルのBiz-601

カンガルーレザーやビビッドなバイカラーなど、スピングルの売りである多様なデザインを実現するため、あえてサイズ幅を抑えたと推測されます。
新興メーカーらしい、ユニークな発想です。

洗練されたデザイン

Biz-601はシンプルな内羽根式ですが、シューレースの下側がスニーカーのように広く開いています。
丸みを帯びたフォルムは、女性用バレエシューズのようにエレガントです。

スピングルのBiz-601

革靴のフォーマルさと、スニーカーのカジュアル感を融合した、ユニークなデザインといえます。
イメージ的に、建築家やクリエイティブ職のかたには似合いそうです。

スピングルのBiz-601

細すぎず太すぎない

Biz-601の外観は、キメすぎでもなく、オッサン臭くもない、絶妙なバランスを保っています。

スピングルのBiz-601

捨て寸が大きく、つま先はすこし長くなっていますが、ロングノーズのスクエアトゥほど尖った外観ではありません。
甲の部分は薄く、かかとは小さめにつくられているそうで、全体的に丸みを帯びすぎず、シャープな形状になっています。

スピングルのBiz-601

Biz-601はデザイン重視の個性派シューズほど目立たず、快適性重視のシニア向けシューズほど野暮ったくないのが売りです。

あくまで普通に「品のいい革靴」という見た目で、合わせる服やシチュエーションを選びません。
スーツにもジーンズにも似合う、懐の広いシューズといえます。

ソールの露出が控えめ

スピングルといえば、外側に大きく張り出したボリュームのあるソールを連想します。
一目でブランド品とわかって自慢できる側面もありますが、ビジネス用としては主張が強すぎるように感じます。

スピングルのBiz-601

Biz-601はソールの巻き上げがおとなしいので、人目を気にせず履きこなせます。
よく見るとソールに刻まれた波状のグリップパターンが見えてきて、知っている人にはスピングルとわかる、にくい仕掛けになっています。

スピングルのBiz-601

見た目が地味といっても、ソールの接着方法はスピングルお得意のバルカナイズ製法です。
靴底のゴムとアッパーを高温で圧着しているため、ソールが分離しにくくなっています。

スピングルのBiz-601

履き始めて3年経ちますが、安いスニーカーのようにソールがはがれてくる気配はまったくありません。

スピングルの履き心地

スピングル製品は初体験ですが、実際に履いてみるとクオリティーの高さに納得しました。

日本の職人が手作業でつくっているというとおり、内張やインソールといった見えないところまで快適性が追求されています。

内張りも柔らかく快適

シューズの裏地(ライニング)とベロの裏側は、フェルト生地のような柔らかい化学繊維が張られています。
足を出し入れする際のすべりがよく、長く使ってみたところ摩耗にも強いようです。

スピングルのBiz-601

自分の場合、2~3年履くとかかとの裏地が擦り切れて穴が開くのですが、スピングルはまだ無傷です。
足にフィットしていて、かかとのブレやぐらつきが少ないせいかもしれません。

スピングルのBiz-601

履き心地の柔らかさと耐久性は相反しそうなものですが、ライニングが意外と長持ちしているのは不思議です。

スピングルのBiz-601

革靴の固い履き心地は好みでなく、今までは仕事用に仕方なく履くというイメージでした。
スピングルのBiz-601を買ってからは、むしろ革靴を履くのが楽しくなったというのも驚きです。

スピングルのBiz-601

履き口に若干の伸縮性もあり、横着して靴ベラを使わなくても、指を差し込んで履けるのは便利です。
お座敷での会食後などに、わざわざ靴ベラを借りるか、携帯用のシューホーンを持参しなくても済みます。

knoxbrainの携帯用靴べら

knoxbrainの携帯用カード型靴べら

高品質のインソール

インソールは元から入っていたものをそのまま使っています。
たいていの安売りスニーカーは中敷きがペラペラで、別売りの高機能インソールに差し替えるのですが、スピングルの場合はその必要性を感じません。

スピングルのインソール

カップインソールはまわりがせり上がっていて、かかとをしっかり支えるかたちになっています。

スピングルのインソール

中央部に微妙な突起があり、アーチサポートの役割を果たしています。

スピングルのインソール

スピングルの中敷きに、ゲルや人工筋肉といった特殊な衝撃吸収素材は含まれていなそうです。
しかしインソール全体に適度なクッション性と反発力があり、長い距離を歩いても足が痛くなることはありません。

地味に品質の高いインソールだと思います。

シンプルな高耐久ソール

スピングルの特徴であるバルカナイズド製法のせいか、つま先とかかとの高低差(ドロップ)は低く抑えられています。
そのため、ベアフットシューズのように自然な感覚で歩けるのもメリットといえます。

スピングルのBiz-601

Biz-601は普通の革靴のようにコツコツ鳴る感じもなく、歩く際の音は静かです。
まさにきっちりした革靴の見た目と、スニーカーの快適さを兼ね備えたハイブリッドなシューズといえます。

ソールは全体に波状のパターンが刻まれていて、高級ランニングシューズのような特殊素材やギミックはありません。

スピングルのBiz-601

ただグリップの溝はそこそこ深いので、雨の日でも滑りやすいと不安に感じたこともありません。
ワークマンの作業靴ほどではありませんが、上部に反る屈曲性もある程度そなえています。

スピングルのBiz-601

MADE IN JAPAN

数年履いてソールのかかとは若干削れてきましたが、中央部はまだ溝が保たれています。
耐久性はそこそこ高いほうではないかと思われます。

スピングルのBiz-601

防水性は完璧

Biz-601の防水性能は期待どおりでした。
かなり雨の強い日に外出しても、シューズのなかはまったく濡れません。

スピングルのBiz-601

普通の革靴のように、ソールに縫い目がないのも安心材料です。
バルカナイズド製法でソールと本体の密着性が増しているということは、靴底の防水性も強化されていると考えられます。

スピングルのBiz-601

履き口が高くなっているため、ズボンの裾あたりから浸水することもありません。
スニーカーのように靴紐の下が大きく見えているデザインですが、ベロとアッパーの間から水が入ってこないのも不思議です。

スピングルのBiz-601

スピングルの撥水タイプは試していませんが、念のためゴアテックスを選んでおいてよかったと思います。
防水メンブレンに透湿性もあり、革自体も吸湿してくれるせいか、足が蒸れると感じたこともありません。

スピングルのBiz-601

BREATHABLE / DURABLY WATERPROOF

レザーも撥水加工

Biz-601のアッパーは牛革ですが、ウェブの説明によるとレザーにも撥水加工が施されていたようです。

多少濡れても、革が水を吸っている様子はありません。
ゴアテックス層にたどりつく前に、ほとんどの水分は撥水レザーで弾かれているようにも感じます。

スピングルのBiz-601

アッパーの牛革は水に強いだけでなく、傷が目立ちにくいという特徴があります。

スピングルのBiz-601

私は革靴を履いて自転車によく乗るので、ペダルや縁石につま先をぶつけてしまうことがよくあります。

3年履いてスピングルのアッパーも多少傷んでしまったのですが、靴墨を塗ってメンテすると擦り傷は目立たなくなります。
この点はナイロン製のスニーカーより革靴が有利な点です。

スピングルのBiz-601

シュークリームは油分とロウ分が多めに含まれた、M.モウブレイのブラックを使用しています。

M.モウブレイのシュークリーム

M.モウブレイのシュークリーム

モウブレイのクリームはかれこれ20年くらい使っていますが、いまだに劣化せず機能しています。
ひとつ持っておけば、一生分の革靴をメンテナンスできると思います。

普通の革靴と同じく、使用後はシューツリーを入れて丁寧に保管しています。

スピングルのBiz-601

きめ細やかな修理対応

スピングルといえば、高級メーカーらしくソールの張替えにも対応してもらえるのが売りです。
公式ページに修理方法と価格が詳しく書かれていて、画像を送って修理の可否を診断してもらうこともできます。

(スピングル公式サイト)修理(補修)のご案内

販売側としては修理するより新品を売りつけたほうが利益は上がると思うのですが、ソールだけでなく、内張りやサイドゴアのゴムまで交換してくれるのは親切です。

スピングルのBiz-601

正直、ここまで誠実に修理対応をうたっている靴メーカーは、ほかに見たことがありません。
高級革靴に比べて廉価なシューズながら、オールソール交換できるのもスピングルの強みです。

ソール修理の費用

Biz-601のアウトソールはNo.19という型番で、修理可能なタイプに該当します。

自分の場合、そろそろソールの修理を相談してもいい頃合いかもしれません。
ウェブ上の価格表では、「かかとのみ」修理で両足5,500円~となっています。

スピングルのBiz-601

高価なゴアテックスモデルなので、防水性が保たれているうちはソール交換で持たせられるのがありがたいです。

グッドイヤー製法の革靴は販売価格も高いですし、ソール交換も1万円は超えるのが相場です。
それに比べれば、スピングルのアウトソール修理(つま先~かかとまで7,700円~)はリーズナブルに思われます。

スピングルのBiz-601

先述の高機能インソールも交換価格が4,950円~となっているので、やはりもともと品質が高いのだろうと推測されます。
量販店で売られている1,000~2,000円の安いインソールに比べれば、明らかに快適です。

スピングルが向いている人

スピングルがターゲットとする客層が見えてきたので、何となく整理してみました。

  • 量販店で売られているようなスニーカーは嫌(コンバースやナイキなど)
  • かといってハイブランドに興味はない。ブランドよりも品質にお金をかけたい
  • 国内メーカーの質実剛健な製品が好き(時計はセイコー、鞄はポーターなど)
  • とはいえ5万円以上の高級革靴を選ぶこだわりはない(Shetland Fox、三陽山町など)
  • 人とかぶらないシューズで、歴史や製法のうんちくを語れる製品が好き
  • 古典的な定番革靴ではなく、色や素材、デザインに遊び心がほしい

品質のよいシューズをメンテしながら長く履きたい、でもブランド代や広告料に余計なお金は払いたくない…
スピングルはそういった賢い消費者に愛されるメーカーだと思います。

スピングルのBiz-601

ブランド名が変わった

ちなみに最近、スピングルのブランド名称とロゴマークが変更されました。

(スピングル公式サイト)ブランド名、ロゴ変更のお知らせ

以前はSPINGLE MOVE(スピングルムーヴ)という長い名前で、しかも末尾は「ブ」でなく「ヴ」と読ませるこだわりがありました。
スナック菓子のプリングルズと区別するため、あえて「ムーヴ」と付けていたのかもしれません。

ロゴマークも「回転する矢印」のような不思議なパターンで、この垢抜けなさが日本の会社っぽいとひそかに感じていました。

スピングルのBiz-601

新名称はシンプルに「スピングル」となり、ビズシリーズもなくなって統合されるようです。

ロゴマークも矢印の線が細くなり、洗練された印象になっています。
色もオレンジからモノトーンに変わっています。

新しいスピングルは、英語表記でSPINGLE。

真ん中のGの文字が、実は回転矢印のロゴになっているという、細かい工夫も見られます。
そして新しいロゴは、反時計回りに90度回転したGの文字になっています。

よく見ると気づいて納得感が出る、すぐれたデザインだと思います。

福山ゴム工業との違い

スピングルは広島県府中市を拠点とするメーカーで、シューズは職人の手作業でつくられています。

スピングルのBiz-601

広島の東にある府中~福山は、昔からものづくりの盛んなエリアで、作業靴や長靴をつくっている福山ゴム工業のような会社もあります。
福山ゴムの親方寅さんやラスティングブルというシューズは、スピングルと同じバルカナイズ製法でつくられていて、非常にコスパのよい製品です。

ワークマンのベアフットシューズ親方寅さん

私も野良作業や山登りで親方寅さんも愛用していますが、福山ゴムの廉価製品は中国製になります。

ワークマン親方寅さん

親方寅さんはMADE IN CHINA

日本製のスピングルと比べてみると、インソールの質、ライニングの素材など、さまざまな面で違いがあります。
見えない部分のこだわりが、履き心地のよさにつながっているように思われます。

話のネタとしては作業靴の寅さんもおもしろいですが、さすがに仕事やデートで使える外見ではありません。
身だしなみに気をつかう大人のかたなら、スピングルも一足持っておくと便利です。

日本製・本革製・ゴアテックス・バルカナイズドソールといった特徴をすべてそなえているのは、今のところスピングルのBizシリーズだけではないかと思われます。

スピングルのBiz-601

まとめ

スピングルは高嶺の花という憧れのブランドでしたが、実際に買って使ってみたら品質の良さを体感できました。
ソールだけでなくライニングも有償修理してもらえるので、大事に使えばかなり長持ちしそうです。

スピングルのBiz-601

履き心地のよい靴で寿命も長いとすれば、案外コスパの高い製品かもしれません。
国産でこのクオリティーにも関わらず、ゴアテックス搭載の革靴が2万円台で買えるのは、お得とも考えられます。

ほかの革靴は捨てた

Biz-601の使い勝手が期待以上によかったので、今まで持っていたパラブーツやロイドフットウェアの革靴は断捨離しました。
仕事やお出かけも革靴が必要なときは、これ一足で済ませています。

スピングルのBiz-601

ゴアテックスの防水機能も強力なので、近所の用事でも雨天時はスピングルも履くことがあります。
内部のライニングやメンブレンだけでなく、外側の牛革も撥水性が強いのか、雨の日にがんがん履いても劣化することはありません。

スピングルのBiz-601

今まで革靴は天候を気にしながら履いていましたが、Biz-601なら出先で突然雨に降られても安心です。
取引先との打ち合わせや、親戚との会食をともなうような旅行にも、気軽に革靴を履いて行けるようになりました。

メンテも楽しめる

最近、廉価な防水トレッキングシューズを買ったので、スピングルはなるべく温存しています。
今では家に一足しかない貴重な革靴なので、できるだけ長く使いたいと思っています。

スピングルのBiz-601

たまにシュークリームで栄養を与えたり、シューキーパーを入れて保管しているのも、長持ちしている理由かもしれません。
スピングルは元のつくりが良いので、日ごろのメンテナンスも愛着をもって楽しめます。

スピングルのBiz-601

コスパの高い国産靴

Biz-601は総じて満足度の高い買い物でした。
その前に買ったアウトレットのリーガルに比べると、値段相応に品質や履き心地がすぐれていると感じました。

オフィスカジュアルに向いた革靴ライクなスニーカーは多く販売されていますが、Biz-601なら普通の革靴としても通用します。
そこまでマナーにこだわらなければ、冠婚葬祭にも履いて行けると思います。

スピングルのBiz-601

質実剛健な国産シューズを求めているかたに、スピングルはおすすめできます。
少々割高でもゴアテックス搭載のモデルを選べば、雨の日にも履けて便利です。

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SPINGLE(スピングル)
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スピングルのイラスト

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ワークマンのベアフットシューズ親方寅さんhttps://bofuo.net/torasan/Tue, 07 May 2024 12:00:45 +0000https://bofuo.net/?p=1026

ワークマンの作業靴「建さんII」が気に入ったので、高級版の「親方 寅さん」も買ってみました。 寅さんは建さんより価格が2倍以上しますが、細部のつくりはいろいろ改良されています。 特にソールの耐久性が著しく向上していて、4 ... ]]>

ワークマンの作業靴「建さんII」が気に入ったので、高級版の「親方 寅さん」も買ってみました。

ワークマン親方寅さん

寅さんは建さんより価格が2倍以上しますが、細部のつくりはいろいろ改良されています。
特にソールの耐久性が著しく向上していて、4年経ってもまだ履けています。

手軽に試せるベアフットシューズとして、寅さんもコスパの高い名品といえます。

建さんとは

「建さんII」(以下「建さん」)は1,000円を切る低価格ながら、グリップ性が高く機能性にすぐれたシューズです。

ワークマンの建さんII

ワークマンの建さんII

比較的ソールが薄くて屈曲性が高く、ベアフットシューズとしても使えます。
つま先とかかとのドロップも低く抑えられていて、フラットな感覚でナチュラルに歩けます。

余計な飾りや機能がないぶん、重量も軽めです。
デザインもシンプルで嫌味がなく、街歩きや登山にも使えて汎用性の高いシューズです。

寅さんと建さんの違い

建さんには通気性のよいメッシュ素材など、仕様の違う類似品がいくつかあります。
そのうち価格がひとまわり高く、各種性能もアップした上位製品が今回ご紹介する「親方 寅さん」(以下「寅さん」)です。

見た目は建さんとよく似ていますが、つま先の保護や履き口のゴムなど、パーツがいくつか変更されています。

ワークマン親方寅さん

ワークマンの親方寅さん

建さんと比べた寅さんの特徴を以下にまとめてみました。

価格差2.5倍

ワークマンにおける建さんの販売価格は、2020年の時点で税込680円でした。
インフレ・円安の影響か、最近は693円と微妙に値上げされています。

ワークマンのロゴ

寅さんは2020年の購入時点で1,609円でした。
こちらも若干値上がりして、現在は1,780円になっています。

ワークマン親方寅さん

建さんに比べて、寅さんは2.5倍以上高いという計算です。

ワークマン親方寅さん

親方寅さん

とはいえ、ABCマートのセール品やユニクロ・無印良品のスニーカーでも、1,000円台の製品はさすがに見たことがありません。
ワークマンでは高価格帯の寅さんも、有名ブランドのシューズに比べれば十分経済的といえます。

ソールが長持ちする

寅さん最大の特徴は、ソールの耐久性が建さんより格段に高いという点です。

長年履き比べてみて実感したメリットで、価格差の大半はソールの改良につぎ込まれていそうな気がします。
横から見て比べても、ソールの厚みが全然違うことがわかります。

ワークマン親方寅さん

上:寅さん、下:建さん

以前買った建さんは、約半年でソールのかかとが削れて黒い下地が見えてきました。
寅さんのほうは4年履いても、まだかろうじて原形をとどめています。

ワークマン親方寅さん

寅さんのソールは建さんより厚みがあり、グリップの溝も深くなっています。
どちらも似たようなオレンジ色のゴム素材ですが、もしかすると寅さんのほうは摩耗に強いコンパウンドが使われているのかもしれません。

グリップ力も強い

寅さんソールのトレッドパターンは建さんと似ていますが、細かい部分に改良がみられます。

まず横方向に彫られた大きな溝の上に、細かい凹凸が表現されています。
建さんは波型パターンのところどころに切り欠きがあるだけの、大雑把な加工でした。

この二重の溝加工によって寅さんは360度、あらゆる方向への滑りにくさが実現されています。

ワークマン親方寅さん

左:寅さん、右:建さん

また寅さんのソールはつま先部分に、他とは違うひし形の細かいパターンが刻まれています。
岩や階段につま先だけ乗せた不安定な状態でも、建さんより安定感が増したように感じます。

ワークマン親方寅さん

寅さんは建さんより靴底が厚いなっていますが、ベアフットらしいソールの屈曲性は健在です。
蛇腹のように刻まれた凹凸が深いため柔軟性が高く、建さん同様180度ひっくり返して折りたたむこともできます。

ワークマン親方寅さん

グリップの溝が深い分、滑りにくさも向上していて、耐久性・機能性どちらも大幅に改良されています。

重量は増える

寅さんはソールが厚くなった分、建さんより重くなっていました。

27センチのサイズで、寅さんは片足実測246~260グラムです。
建さんは同じサイズで以前重さを測ったところ、234~238グラムでした。

ワークマン親方寅さん

左右でかなりの誤差というか個体差もありそうですが、建さんよりはトータル20~50グラムほど重くなります。
安定感・耐久性の性能アップと引き換えに、重さは多少犠牲になっています。

フィット感も改善

建さんは履き口のゴムが中央に1つだけですが、寅さんはサイドに2つ付いています。
そのため歩行時の安定感・安心感は、建さんよりいくらか向上しているように感じます。

ワークマン親方寅さん

ゴム仕様の変更にともない、寅さんの履き口は建さんより広めにつくられています。
そのせいか、同じ27センチのサイズ同士でも、寅さんのほうがフィット感はゆるめに感じました。

自転車に乗る際、ペダルの凹凸が足裏に食い込む感覚も気になったので、寅さんには中敷きを入れて履いています。
こちらは以前スポーツデポで買った、Finoaの安いインソールです。

ワークマン親方寅さん

インソールを敷くとベアフットのはだし感覚は損なわれますが、クッション性は向上します。
ソールの屈曲性はそれほど変わらず、個人的にはこのくらいがちょうどいいと感じました。

私は膝を痛めてから、本格的なベアフットよりも若干ソールの厚いシューズのほうが安心感を覚えるようになりました。
建さん・寅さんは最初から中敷きが付いていないので、任意のインソールを組み合わせるカスタムベースとしても使えます。

ワークマン親方寅さん

ファッション性が高い

ミニマムなデザインの建さんに対して、寅さんの外観は愛嬌があります。
外からは見えませんが、シューズの内側が白黒のタータンチェックになっているのも建さんとの違いです。

ワークマン親方寅さん

まわりの人に感想を聞いてみると、寅さんは意外と女性受けがいいとわかりました。

ワークマン親方寅さん

見た目は作業靴というよりも、普通のスリッポンシューズに近いです。
特に寅さんはヴァンズのクラシックスリッポン、オールブラックのモデルとそっくりです。

つま先のゴムで補強された部分は、コンバースのオールスターとも似ています。
シューズの先端がガードされていることで、山に登る際、岩にぶつけても足を痛めにくいという安心感があります。

ワークマン親方寅さん

オレンジ色のソールがわずかに見えているところは、アディダスのガムソールを連想させます。
レトロな天然ゴムのような見た目で、考えようによってはおしゃれともいえます。

誰もが知っている定番スニーカーの要素を組み合わせた、普遍的なデザインが寅さんの魅力です。
スパルタンな建さんと比べて、ジーンズやチノパンなどカジュアルなファッションに合わせやすくなったと感じています。

ワークマン親方寅さん

黄色いタグがない

建さんIIは履き口の外側に付いている黄色いタグが邪魔でした。
GORE-TEXやVibramと見せかけて、よく見ると日本語で「建さん®」と書かれています。

ワークマンの建さんII

知っている人が見れば、ワークマンの格安シューズとばれてしまいます。
なぜ安物なのに、わざわざ製品名をアピールしているのか謎の仕様です。

このタグはハサミで切ることもできますが、シューズの縁に縫い込まれているため、どうしても黄色い跡が残ってしまいます。

寅さんには余計なタグがなく、悪目立ちする心配がありません。
建さんより匿名性が高く「ワークマンとばれにくい」のも寅さんの利点です。

ワークマンの近所を歩いていても、寅さんは人とかぶりにくい気がします。
建さんはたまに履いている人を見かけますが、寅さんユーザーにはここ4年でまだ出会ったことがありません。

長期使用の感想

寅さんを長年履いてみて、建さんではわからなかった特徴がわかってきました。

アッパー素材は頑丈

寅さんのアッパー素材は、建さんと同じコットンツイルのようです。
帆布やキャンバスと似た厚手の綿素材ですが、織り方の違いでコンバースのオールスターよりも丈夫そうに見えます。

ワークマン親方寅さん

寅さんのしっかりした布地は、メッシュ素材より通気性に劣ります。
しかしコットンが吸湿するのか、長く履いても靴のなかは蒸れません。

また布製でも摩耗に強く、登山でハードに使っても破れたり傷つくことはありません。
数年履いて試した耐久性は、建さんと同レベルに感じます。

ワークマン親方寅さん

一般的なメッシュ地のスニーカーだと、1年くらいでアッパーが破れたり生地が薄くなって靴下が透けて見えることがあります。
ソールはまだ使えても、アッパーが破れて寿命を迎えるのは残念です。

ブルックスのランニングシューズ

メッシュが破けてきたブルックスのシューズ

建さんはアッパーが丈夫なのに、ソールが擦り減りやすくて早めにダメになるのが難点でした。

ワークマンの建さんII

ソールが擦り切れた建さんII

寅さんはソールの耐久性も改善され、建さんの欠点が克服されています。
ソールもアッパーも、普通のスニーカーよりだいぶ長持ちしています。

布地の汚れが目立つ

綿素材の特性によるのか、2年くらい経つとアッパーが全体的に色あせてきました。
建さんより長く使っているので、経年変化の影響が顕著に出てきたように思われます。

ワークマン親方寅さん

近所のドブ掃除で使ったら、靴にヘドロがしみ込んで取れなくなりました。
ウェットティッシュで拭いた程度では、落ちないがんこな汚れです。

石鹸をつけてブラシでこすれば回復するかもしれませんが、安物シューズをわざわざ洗うのは面倒です。

ワークマン親方寅さん

黒色なので汚れは目立ちにくいほうだと思いますが、さすがにここまで劣化すると街履きでは気になります。
見た目が気にならない近所の散歩や、農作業、山歩きでしか履かなくなってしまいました。

防水性はない

寅さん・建さんは布製なので、雨の日は水がしみ込んでシューズの中まで濡れてきます。

表面がコットン素材のためか、撥水性もほとんどありません。
アッパーが柔らかく通気性もよい代わりに、水がしみ込みやすいのは弱点といえます。

ワークマン親方寅さん

対策として、アメダスなどの防水スプレーなどかければ、浸水を若干防げるかもしれません。
ついでに汚れが付きにくくなる効果も期待できます。

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しかし靴用の防水スプレーはそこそこ値段が高いので、安価な作業靴で消費するのはもったいない気もします。

雨の日は履かない、あるいは濡れても気にしない。
洗っても取れないくらいアッパーが汚れたら、潔く捨てて買い替える。

そのくらいの割り切った使い方が、ワークマンの作業靴には合っているかもしれません。

ワークマン親方寅さん

ほどよいソールの薄さ

ワークマンの作業靴はソールの柔らかさが特徴ですが、本格的なベアフットシューズに比べて、靴底はそこまで薄くありません。

寅さんと並行して、ゼロシューズのプリオという製品も同時期に履いていました。
こちらはインソールを除いたソールの厚みが、たったの4.5ミリしかありません。

ゼロシューズのプリオ

ゼロシューズのプリオ

究極的なゼロシューズに比べれば、寅さんもまだ厚底といえます。ただゼロシューズはソールが薄い分、地面の凹凸や着地の際の衝撃にかなり気を使います。
たまに履くぶんには楽しいですし、足裏へ刺激を与えたり、歩き方のトレーニングにもなります。

ゼロシューズのプリオ履きつぶしレビュー

しかし長時間履いていると、寅さんくらいクッション性のあるソールのほうが、膝の負担は少ないと気づきました。
変形性膝関節症を抱える自分にとっては、プリオより寅さんのほうが快適に感じます。

また路面の状態や異物にそこまで敏感にならずにすむため、スピードを上げて歩けます。
通勤・旅行などで時間を節約したい場合は、反発力のある厚底シューズのほうが有利です。

寅さんはソールが厚いといっても、屈曲性はゼロシューズと同等以上に確保されています。

ワークマン親方寅さん

信号の待ち時間などに、かかとを上げてふくらはぎを鍛えることもできます。
前足部と後足部の高低差も少ないので、はだしに近い感覚で歩けます。

ワークマン親方寅さん

静音シューズという特性

寅さんはソールがフラットで屈曲性が高いおかげか、アスファルトの路面を歩いていても、ほとんど足音がしません。
まさにスニーカーの語源である”sneak”(コソコソする)に向いた静音シューズといえます。

ワークマン親方寅さん

歩く際に音がしない靴」というものにどれだけニーズがあるかわかりませんが、余計なノイズを立てないのは禅的で美しい所作ともいえます。

自転車のホイールを空転させたときに、チリチリなるラチェット音が苦手な方には、ワークマンの作業靴が合っているかもしれません。
また仕事柄、音を立てずに行動したいスパイや盗人みたいなかたにも向いていると思います。

登山で活躍

ワークマンの作業靴は現場作業用につくられているだけあって、見た目以上に頑丈です。
建さんを履いてよく山に登っていしたが、寅さんはオフロードでの安定性がさらに向上しています。

ワークマン親方寅さん

建さんよりも山向き

トレッキングシューズと同様につま先がゴムで保護されているため、固い岩にぶつけても足の指を痛める心配がありません。

ワークマン親方寅さん

また建さんよりグリップ力が強化されているので、濡れた岩場や砂地、落ち葉の積もった斜面でも滑りにくいと感じます。

ワークマン親方寅さん

荷物は少なめ、日帰りのスピードハイクという条件では、ローカットのトレッキングシューズよりも寅さんのほうが快適に歩けます。

シューズが軽いので、特に登りの足上げが楽です。
靴ひもなしでもすっぽ抜けるようなことはなく、下りも路面を的確にとらえて、安心して歩けます。

ワークマン親方寅さん

寅さんのソールは岩や木の根など、路面の凹凸に応じて変形します。
固い岩場やふかふかの落ち葉など、路面の状態をダイレクトに感じられるので、登山が楽しくなるシューズです。

ワークマン親方寅さん

地下足袋よりも寅さん

ワークマンで登山といえば、地下足袋もひそかなブームになっています。

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しかし地下足袋は、靴下も足袋型か5本指ソックスでないと履けない難点があります。

また一般的には見慣れない外観なので、街中では目立ちすぎます。
山で地下足袋を履いた登山者に会うと、ギョッとすることがあります。

地下足袋ほど異様な見た目ではなく、電車にも普通に乗れるという意味では、寅さんくらいの作業靴が使い回しやすいと思います。

ワークマン親方寅さん

寅さんの製造元

寅さんは建さんと違って、ソールの中央部に”FUKUYAMA MADE IN CHINA”と刻印されています。

ワークマン親方寅さん

FUKUYAMA MADE IN CHINA

普段は見えない靴裏に、名前と製造国をわざわざ載せているということは、製品のクオリティーに対する自信の表れと受け取れます。

福山ゴム工業とは

FUKUYAMAという名前を調べてみたところ、福山ゴム工業株式会社の製品であることがわかりました。

福山ゴム工業は広島県福山市を拠点とする企業で、長靴や作業靴のほか、建設機械のタイヤなどを製造しています。
1947年に早川ゴムから分離独立した社歴の古い会社で、ゴム製品や接着技術に強みがあるようです。

会社のウェブサイトによると「親方 寅さん」は1992年に発売され、600万足以上売れているそうです。
ワークマンでは見たことのない姉妹品も紹介されていて、クッション性の高い「寅さん#31」や、カラバリ豊富な「ラスティングブル」などが販売されています。

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いすれも寅さんと同じ2,000円台と格安ながら、本格的なバルカナイズド製法でつくられているそうです。

スピングルとの共通点

国産高級スニーカーの代名詞、スピングルといえばソールの外観が特徴的です。

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シューズの側面まで巻き上がって存在感をアピールしているソールは、バルカナイズド製法で圧着されています。

バルカナイズドとは、靴の本体とゴム底を加圧・加熱しながら接着して強度を高める方法です。
接着に手間はかかりますが、ソールがはがれにくく型崩れしにくいというメリットが生まれます。

寅さんの履き心地のよさは、この製法が理由だったのかもしれません。

ワークマン親方寅さん

一足だけ持っているスピングルのビジネスモデル、ゴアテックス入りの革製Biz-601も快適なシューズです。
ただしアッパーが柔らかい綿帆布でソールの溝が深いぶん、柔軟性と屈曲性は寅さんのほうが上です。

スピングルのゴアテックス革靴が最高な理由

ソールが分離しにくい

普通のスニーカーは数年履いているとつま先からソールがはがれてくる場合があります。

ブルックスのランニングシューズ

ソールがはがれてきたブルックスのランニングシューズ

寅さんはバルカナイズド製法のおかげで接着力が強いのか、ソールが傷んでも本体との分離はまだ生じていません。

ワークマン親方寅さん

この価格帯のシューズとしては、驚異的な耐久性だと思います。

スピングルより地味でよい

福山ゴムの寅さんやラスティングブルは、ソールの見た目がスピングルムーヴの定番スニーカーとよく似ています。

スピングルのBiz-601

スピングルのBiz-601

個人的にスピングルのソール(ビジネスモデル以外)は外に張り出しすぎで、主張が強すぎると感じています。
ブランド品であることをアピールしたい場合は別として、目立ちたくない人には向いていません。

その点、寅さんやラスティングブルは同じバルカナイズド製法でも、表から見えるソールの巻き上げが控えめです。
ぱっと見は高級品に見えないので、盗難に遭うリスクも減らせます。

ワークマン親方寅さん

値段は10分の1

スピングルの定番SP-110はカンガルーレザーで定価22,000円。
これに対して福山ゴムのラスティングブルは2,490円です。

10倍近い値段の差ですが、スピングルは日本製、福山ゴムは中国製という違いがあります。

スピングルのBiz-601

スピングルはMADE IN JAPAN

バルカナイズド製法は同じでも、見えない部分やクオリティーには価格相応の差があるのかもしれません。
帆布と本革という素材の違いもあります。

とはいえ手持ちの寅さんとBiz-601を比べたかぎり、履いた際の柔らかさは寅さんが勝ります。
中国製でも十分高品質と思われるので、ブランドや素材にこだわらない人なら、福山ゴムでも満足できると思います。

ワークマン親方寅さん

むしろ有名なスピングルより福山ゴムを選んだほうが、「外し」っぽく見えるうえ、経済的にも堅実そうです。
さらにメーカーの違いや製法の共通点など、うんちくも語れて話のネタになりそうです。

広島の福山と府中

スピングルムーヴを販売する株式会社スピングルカンパニーは、広島県府中市に工場があります。
福山ゴム工業の拠点である福山市と、スピングルのある府中市は隣接しています。

広島県の東側にある福山と府中は、昔から繊維業や金属加工など、ものづくりが盛んだったエリアのようです。
福山ゴムの母体である早川ゴム株式会社は1919年の創業で、今も福山市に本社を構えています。

こちらは昨年、福山駅の新幹線ホームから撮影した福山城です。
以前、乗り換えの際に駅から出て、福山城を探検したこともあります。

福山上

福山城

駅前に天守閣付きの大規模な城跡があるという、観光に便利な街です。
福山・府中はマニファクチュアツーリズムが盛んらしいので、いずれまた訪れてみたいと思います。

結局のところスピングルと福山ゴムに何らかのつながりがあるのか、調べてもわかりませんでした。
ただ福山・府中で育ったゴム産業のノウハウが、両社の技術に受け継がれているのは間違いないと思われます。

ワークマン親方寅さん

まとめ

寅さんは建さんよりソールの耐久性が大幅に改善され、さすが「親方」と呼べるクオリティーでした。

600円台で買える建さんのコスパはすさまじいものの、細かな改良と履き心地のよさを考えれば、寅さんの価格差も納得できます。

ワークマン親方寅さん

上:寅さん、下:建さん

ワークマンの作業靴はアッパー素材が丈夫な反面、靴底から擦り減って壊れてきます。
建さんの弱点だったソールの寿命が克服され、お値段以上に長持ちするという点では、建さんより寅さんのほうがお得かもしれません。

ワークマン親方寅さん

とはいえ4年も使っているアッパーが色あせてくるので、安価な建さんをローテーションして履き潰すのもありかと思います。
建さんなら、寅さん1足分のお金で2足買えて、さらにお釣りも出てきます。

最安より少し上が合理的

住宅設備メーカーの人から聞いた話なのですが、最安価格帯の製品は「値段だけ見て選ぶ」消費者をターゲットに、とことんコストを切り詰めてつくられているそうです。

ワークマンのカタログ

自分の経験上、製品ラインナップのうち最安より少し上のものを買うと、使い勝手がよく長持ちして、総合的な満足度が上がる気がします。
万年筆のプレピーや、クオーツ時計のチープカシオといった例外もありますが、工具や自転車パーツにはこの法則が当てはまるように思います。

建さんはまさに低価格志向のユーザーを対象に企画された最安シューズです。
驚異的な価格を実現するため、意図的に品質を落としたような設計意図を感じられます。

ワークマンの建さんII

半年程度でソールが駄目になる「使い捨て同然」の建さんに比べれば、ロウアーミドルの寅さんこそ真に合理的なシューズかもしれません。

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寅さんは価格と品質のバランスを評価できる、賢い消費者にこそ選んでいただきたい商品です。

ワークマン親方寅さんのイラスト

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