ボフオレビューhttps://bofuo.netWed, 19 Mar 2025 03:52:02 +0000jahourly1https://bofuo.net/wp-content/uploads/2024/05/cropped-bofuo_1024x1024_2-32x32.jpgボフオレビューhttps://bofuo.net3232 GoogleのYMYL検閲とOfferwall広告の是非https://bofuo.net/adsense-ymyl/Wed, 12 Mar 2025 04:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2055

新しくつくったサイトで、GoogleのAdsense審査にようやく合格できました。何度目かの挑戦で受かった理由を考えると、YMYLコンテンツの除外が有効だったように思われます。 グーグルの方針なので仕方ないとはいえ、特定 ... ]]>

新しくつくったサイトで、GoogleのAdsense審査にようやく合格できました。
何度目かの挑戦で受かった理由を考えると、YMYLコンテンツの除外が有効だったように思われます。

グーグルの方針なので仕方ないとはいえ、特定分野の記事については良識のある内容でも無視されたりペナルティーを受けるというのは理不尽に感じます。

また最近のアドセンスではOfferwallを出せたりして、ウェブ広告の表現が多様化してきているようです。

アドセンスに関連して、近年のSEOとネット広告の傾向について考えてみました。
以下は売れない古参ブロガーの恨み節といった感じの雑談です。

本記事のリンクには広告が含まれています。

YMYLは無料ブログで書く

今回アドセンスに合格できた理由は、「医療系の記事を外す」という工夫が大きかったように思います。

ほかは微々たる改良ですし、記事数もボリュームもすでに十分だった可能性があります。
すると考えられる原因は、「なんらかの違反を犯してペナルティーを受けている」ということです。

せっかく時間をかけて執筆し、思い入れもある記事ですが、しぶしぶ削除したらあっさりアドセンスに合格できました。

YMYLの語源

YMYLといえば、ヴィッキーロビン、ジョー・ドミンゲスの『お金か人生か』(原題:Your Money or Your Life)が元ネタと思われます。

英語の原著は1992年に書かれたもので、かのRDPD…『金持ち父さん 貧乏父さん』(Rich Dad Poor Dad、1997年)より若干古いです。
ちなみに似たようなジャンルの『週4時間だけ働く』(The 4-Hour Workweek、2007年)という本も、4HWWと略されることがあります。

なにかこういう財テク・リタイア系の本は、4文字アルファベットに短縮して標語化されやすい傾向があるのかもしれません。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)というバズワードもまさにそうですね。

書籍のYMYLは個人的に好きだったのですが、2020年からグーグルのガイドラインに採用されたおかげで、別の文脈で広まってしまいました。
ちょうどこの頃、米国発のFIREムーブメントが日本でも広まりはじめた時期でもあり、『お金か人生か』という古典本が連想されやすかった背景もあるようです。

また個人的にはゲームの女神転生シリーズに出てくる唯一神、YHVHを連想します。
「みだりに名前を唱えてはならない(記事で触れてはいけない)、神(Google)の名前」という意味では、洒落が効いているように思います。

真女神転生2のYHVH

健康ネタは無理ゲー

YMYLのなかでも医療分野で個人ブロガーが活躍するのは、もう難しいでしょう。

検索上位に出るほどの権威性や信頼性(E-A-A-T)を獲得できるとしたら、よほど名の知られた専門家で、公的機関や大学などから外部リンクをもらう必要があると思います。
どんなに有益でおもしろい記事を書いたとしても、土俵にすら乗せてもらえない可能性が高いです。

数年前から病名や治療法などをグーグルで検索しても、厚生労働省や病院、製薬会社などのオフィシャルなページしか上位に出なくなりました。

「水虫やハゲ」といった下世話なテーマで検索しても、個人ブログのおもしろいネタにたどり着くことはありません。
見つかったとしても皮膚科やクリニックの営業用ブログといった、営業目的の記事ばかりです。

検閲が強化されてつまらなくなったとはいえ、怪しげな情報が出てきてうのみにする人が出てくるよりは、ましなのかもしれません。
ワクチン反対のトンデモ説や陰謀論にもエンタメ要素はありますが、グーグルとしては黙殺したほうが自社および社会の利益になると判断されたのでしょう。

こうしたパターナリズムの利点と検閲のデメリットは、どのあたりで線引きするのが有益か、議論のわかれるところだと思います。

お金の話はまだいける

YMYLの医療系は無理だとしても、金融や資産運用の話なら個人ブロガーにまだチャンスはありそうです。

「NISA 運用」といった検索語では金融庁、銀行、証券会社しか出てこないですが、「ブログ」というワードを追加すると、昔ながらの個人ブログも1ページ目にあらわれます。

以前から投資パフォーマンスの公開というのはブログの定番ネタでした。
昨年、新NISAが始まってからは、NISAの運用報告をコツコツ書く人が増えたようです。

NISAは基本的に投信積立てなので、テクニックや銘柄選択はほとんど関係ありません。
買っている商品もオルカンやS&P500のインデックスなら、運用成果も似たり寄ったりです。

これまで日陰の存在だったインデックスファンドが流行した背景には、個人のブログやSNSが一役買ったという説もあります。

手数料を削って広告も打たず、銀行や証券会社も利幅が薄いので積極的に宣伝しないという隠れた金融商品は、個人の草の根、情報発信と相性がよかったのでしょう。
これに金融庁が投資先として推奨している事情も重なり、インデックス投信がバズったように思われます。

国内の投資人口はまだ2割ほどらしくいので、新NISAが話題といっても微々たる影響にすぎません。
ただ10年前にNISAや確定拠出年金(DC、現iDeCo)をコツコツ始めたときは、今ほど多くのメディアで「インデックスファンド」という金融商品を見ることはなかったです。

グーグル八分の恐怖

あまりGoogleに批判的なことを書くと、そのこと自体、SEO的にネガティブな評価を受けてしまうかもしれません。
(反対にMicrosoftのBingには歓迎されそうです)

アドセンスの不可解な審査結果や、YMYLのペナルティーらしきものを経験すると、グーグルの隠れた方針について疑心暗鬼になってしまいます。
下手なことを書けば検索エンジンに無視される、というよりも「サイト全体がバンされてしまうのではないか」という恐怖におびえています。

アカウント凍結のおそれがある無料ブログと同様に、WordPressの独自ブログであってもグーグル八分を意識しないわけにはいきません。
ブログ全体に悪影響が及びそうなら、不穏な記事はまた取り下げて、無料ブログに移し替えようと思います。

トップページをサイト型に変えたことで、本題と関係ない裏話のような記事も盛り込めるようになったのはメリットと感じています。
読者に気づかれにくいところで、微妙な記事を出したり引っこめたりしても、たいして迷惑はかからないはずです。

もっとも、誰にも読まれず検索にもかからない話など、公開しても自己満足にしかならないとは言えますが…

無料ブログへ記事移行

YMYLに関連して自分の健康状態というのは、食レポと同じくらい素人でも書きやすい話題です。

ある程度の年齢をすぎると、日ごろの体調や健康法、通院や入院の経験談といったものが鉄板ネタになってきます。
初対面で共通の趣味もなく、政治的・宗教的バックグラウンドもわからないときに、天気のことなら無難に話せるような感じです。

こうした健康ネタをもうブログで書けないのか…と思うと寂しい気持ちになります。
しかしそもそも検索順位など気にしなければ、なんでも自由に書いて構わないはずです。

あえてWordPressでなく無料ブログを使えば、YMYLな話題や、たわいもない日記・雑記でも読んでもらえる可能性は高まります。

たとえばアメーバブログで「不整脈」や「変形性膝関節症」と検索すると、個人の闘病日記が多く出るほか、それぞれ病名のハッシュタグまで見つかります。
noteは病院や専門家の割合が多めですが、個人の治療レポートもまだ出てきます。

ためしに当サイトからYMYLな健康記事をアメブロに移したところ、短期間で予想以上のPVがつきました。
数年間WordPress上で放置したいたときよりも、反応がぜんぜん違うと感じます。

アメーバブログのアクセス数

もちろん初参加のユーザはブログ上で紹介されやすかったり、ビギナーズラックが寄与しているとは思います。
しかしこれまでは検索エンジンからほとんど流入がなかったので、それに比べれば特定ブログ内での話とはいえ、執筆のモチベーションも自然とあがってきます。

グーグルの検閲が強化されるにつれて、そこから逃れた人たちが別のエコシステムに移り、住み分けが進んできているのではないでしょうか。
おもなSNSの間で、ユーザの属性や使用目的が分かれているのと似たような状況です。

ウェブメディアの多様性

たとえひとつのSNSが独占的なシェアを占めたとしても、ユーザが高齢化するにつれて、話題の合わない若年層は別のSNSを求めると思います。
機能の優劣というより顧客層の相性といった感じで、ニッチなサービスにも必ず需要はあるといえます。

かつてはパソコン向けのOSでも、Windowsに比べてmacOSやLinuxは利用者が少ないため、ウイルス感染の標的になりにくいといった話もありました。
ビジネスの持続可能性を意識すると、使用するプラットフォームにも多様性をもたせたほうが安全といった考え方もできます。

もう20年前の流行だったmixiやSecond Lifeがいまだに存在して、しかも一部の人たちの間で盛り上がっているという理由もうなずけます。

近年Twitterの運営方針に反発して、mixiに移ったユーザ層がいるそうです。
Second Lifeも時代を先取りしすぎたメタバースですが、枯れたメディアにこだわるマニアックな人たちも存在するものです。

時代遅れのサービスでも、ユーザのコミュニティーに根強く支持される場合の思考実験としては、テッド・チャンの『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』というSF小説が参考になります。
ハヤカワ文庫SFの『息吹』という短編集に収録されている作品です。


こちらはロボット型アバターの育成に関するフィクションですが、SNSやメディアプラットフォームの栄枯盛衰にも通ずる要素があります。

はてなブログやアメブロも、テッド・チャンの描いた「ディジエント」のように、ユーザ主体で細々と維持されていくような気がします。
noteやWordPressなど競合サービスの失敗・衰退によっては、意外とまた盛り上がることがあるかもしれません。

近頃フィルムカメラや編み物が若者の間でブームになっているように、レトロな日記ブログが将来また流行る可能性もゼロではないと思います。

]]>
Adsense合格要因の考察と消費税還付の罠https://bofuo.net/adsense-tax/Tue, 11 Mar 2025 03:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2150

こんにちは、ブログ歴20年のボフオです。趣味のブログや、専門的な情報サイトを合わせて5つほど運営しています。 近年、厳しさを増しているGoogleのAdsense審査ですが、新たにつくったこちらのウェブサイトが、3年がか ... ]]>

こんにちは、ブログ歴20年のボフオです。
趣味のブログや、専門的な情報サイトを合わせて5つほど運営しています。

近年、厳しさを増しているGoogleのAdsense審査ですが、新たにつくったこちらのウェブサイトが、3年がかりでやっと合格できました。
それまで「ポリシー違反…有用性の低いコンテンツ」の理由で10回ほど落ち続け、36記事も書いたうえ、いろいろ工夫してやっと…という感じです。

ご参考までに合格にいたった経緯をメモしておきたいと思います。

本記事のリンクには広告が含まれています。

アドセンス合格サイトの状況

2025年2月に合格したときの時のサイトの状況は、以下のとおりです。

アドセンス審査合格メール

サーバ、テーマなど

ConoHa WINGのレンタルサーバにWordPressを入れて、SANGOの有料テーマを適用しています。
もちろん独自ドメインです。

ConoHa WINGは最安の「ベーシック」を契約しています。
1年契約でかかる費用は現在13,068円です。
今後はまた値上がりするかもしれません。

ConoHa WINGの契約状況

ConoHaのWINGパックで「独自ドメインを2個まで無料で持てる」特典がありますが、無料期間中は移管できないのでご注意ください。
もしドメインの管理を他社に移すなら、サーバを解約してドメインを有料維持する必要があるようです。

SANGOテーマはConoHaのWINGパック優待で買ったので、定価より少し安く14,000円でした。

SANGOテーマ

はじめて購入した有料のWordPressテーマで、見た目や機能はまあまま気に入っています。
ただSEOやアドセンス審査に有利かというと、特に実感はありません。

これまで使っていた無料テーマのCocoonでも、機能的には十分すぐれていました。
最近のウェブサイトっぽいおしゃれな外観にしたくて、SANGOを選んでみた感じです。

このあたりのインフラ環境は、個人ブログとして一般的な状態かと思います。
さらにお金をかけて商用ツールを導入したり、ハイエンドのサーバを使うといった工夫はしていません。

記事数・文字数

審査時には36記事を公開済みでした。
それ以外に「自己紹介、サイトマップ、プライバシーポリシー、お問い合わせ」といった、よくある固定ページも配置しています。

記事の文字数は平均して8,000字くらいです。
3,000字の小ネタから、20,000字を超える長大レビューまでいろいろありました。

ブログ記事の例

あまり編集にこだわっていないせいもありますが、文章量は比較的多めかと思います。
記事によっては画像も多く使っていて、50枚以上入れたページもあります。

記事の内容

内容は個人の趣味的なブログで、商品レビューや旅行のレポートが中心です。
「特化型」か「雑記」かといわれれば、その中間かと思います。

ある程度ジャンルは絞っているつもりですが、レビュー対象はまちまちです。
本だったり靴だったり電子ピアノだったりして、カテゴリー同士の関連性はほとんどありません。

観光地やホテルの紹介といった旅行記はありますが、個人の日記的な日頃の雑談は極力排しています。
読まれるかたの問題解決に役立つよう、最低限の有用性は意識しながら執筆しています。

イラスト掲載

なんとなく独自性を出してみようと思って、記事のアイキャッチ画像に手描きのイラストを採用しています。

ブログのアイキャッチ画像

素人の描いた絵なのでクオリティーはいまいちですが、よく見るフリー素材よりは目立つかもしれません。
とはいえ記事の中身にそれほど関係があるわけでもなく、あくまでおまけの装飾といった感じです。

ブログ開始当初からイラストは掲載していましたが、アドセンスには何度も落選しました。
記事以外のコンテンツとして自作の絵を載せても、アドセンスの合否には影響がなかったと考えられます。

合格前に工夫した点

前回の不合格から再審査を申し込むまでに、改善した点を挙げてみます。

このうちどれかが決定的な要因なのか、それとも全体的な努力が認められたのかは、わからないままです。
アドセンスの審査基準に対して、なんらかのヒントは得られるかもしれません。

医療関連の記事を外す

近年SEO業界でタブーとされるYMYL(医療・金融ネタ)を排除してみました。

当ブログのなかでも2記事ほど、自分の健康状態や通院に関する話題を書いていました。
といっても健康診断とその精密検査という程度のライトな内容で、命にかかわるような話ではありません。

最近ではこういう健康ネタを書いても、検索上位に出てくることはまずありません。
サーチコンソールでURLをリクエストしてみると、インデックスに登録すらされないこともしばしばです。

それは承知で残していた医療関連記事ですが、ためしに下書きに戻してみました。
ついでに念のため、サーチコンソールで削除リクエストも出しておきました。

健康関連記事

この工夫によって、あっさりアドセンスに受かりました。
長年の経験からすると、これが合否の分かれ目だったように感じています。

ボフオ
ボフオ

YMYLなめてて、すみません…

もはや個人ブログにおいてYMYLというのは、触れてはいけない地雷なのかもしれません。

書いても無視される」という程度では済まされず、もはや「書くとマイナスになる」(ほかの記事も道連れにして、サイト全体の評価が下がる)という可能性もあります。

むやみに記事を増やそうと焦るあまり、健康とお金の話を不用意に盛り込むのは避けたほうがよさそうです。

どのみちグーグル検索にはかからないのですから、どうしても書きたければ自分のサイトではなく、別のブログサービスに書いたほうがいいと思います。
アメーバブログやnoteなら、サービス内での紹介やタグから流入があり、YMYL記事をWordPressで公開するよりPVが多くつく傾向があります。

真女神転生2のYHVH GoogleのYMYL検閲とOfferwall広告の是非

自己紹介とサイトマップ追加

固定ページで「プロフィール」と「サイトマップ」を追加しました。

これまで「プライバシーポリシー」と「問い合わせフォーム」(Contact Form7のプラグイン)は設置済みだったのですが、念のための追加という感じです。

自己紹介といっても簡単なもので、短めの著者略歴とサイトの趣旨を説明しているだけです。

サイトマップは「Simple Sitemap」のプラグインを使って自動生成しています。
固定ページ内では以下のように記述して、生成されるHTMLの見ためを整えています。

HTML
[simple-sitemap show_label="false"]
[simple-sitemap-group orderby="date" order="desc" show_label="false"]
※ブランケットは全角で表示しています

show_labelのオプションはどちらもfalseに設定しておいたほうがいいです。
そうでないと「固定ページ」「投稿」といった見出しが表示されて、不格好になってしまいます。

以上の固定ページ4点セットは、実は以前から用意してありました。
しかしそれでもアドセンスに受からなかったので、簡単のため下書きに戻していた経緯があります。

利用規約と問い合わせ先の重要性に比べれば、自己紹介とサイトマップなど、あってもなくても変わらない気がします。
しかしアドセンスの審査に万全を期すなら、コンテンツを増やすという意味でも設置しておいて損はないかと思います。

プライバシーポリシーの更新

利用規約の適切な文言は、時代によって変わってきます。
こちらも念のため、最新とおぼしき文言に変更しておきました。

いくつか調べたなかで、今回はエックスサーバーさんのひな型を参考にさせてもらいました。

  • 個人情報の利用目的
  • 広告(GoogleアドセンスとAmazonアソシエイト)
  • クッキーの無効化
  • アクセス解析(Googleアナリティクス)
  • 免責事項
  • 著作権・肖像権
  • リンクの注意点

といった典型的な項目が網羅されているので、必要な部分だけ選んで記載すればいいかと思います。

XMLサイトマップをプラグイン化

昔はプラグインでXMLサイトマップを生成していましたが、最近はWordPress本体の機能でサポートされています。

WordPressデフォルトのXMLサイトマップは、「ドメイン名/wp-sitemap.xml」で参照できます。
サーチコンソールへの登録も可能です。

しかしこの標準サイトマップは性能がいまいちらしいので、やはりプラグインの「XML Sitemap & Google News」を導入してみました。
このプラグインには細かい設定項目がたくさんありますが、ほぼ初期状態のまま、生成されたsitemap.xmlをサーチコンソールに送信しています。

サーチコンソールでのサイトマップ登録

できれば余計なプラグインは増やしたくないとはいえ、XMLサイトマップの差し替えも、アドセンス合格に貢献したかもしれません。

記事数増加30→36

前回のアドセンスに落選した状態から、新たに6記事ほど追加しました。
いずれの記事も1万字を超える、ヘビーな文章量です。

これまで10記事、15記事…とボリュームが増えるたびにアドセンス審査に挑んでも、却下され続けました。
理由もわからず「有用性の低い…」といわれると、会社の面接に落とされたようで落ち込みます…

アドセンス審査不合格メール

やる気をなくしてブログを放置した時期もありましたが、少しずつ更新を続けてここまで記事を増やせました。

昔のアドセンス審査基準であれば、ここまで記事を増やさなくてもとっくに合格していたと思います。
それでも量が足りないのか、あるいは中身が貧弱なのか…
それとも記事の内容以外で、なんらかの足切り条件に引っかかっているのか…

やはり原因は不明ですが、とりあえず「36記事×平均1万文字」というのが今回合格できた時点のコンテンツ量です。

ステマ規制対策の文言復活

2023年10月1日に始まったステマ規制に対応して、「本記事のリンクには広告が含まれています」といった趣旨の文言を記事に追加してみました。

この「アフィリエイト広告の景品表示法」開始当初は、ほかのサイトにならって記事の上に大きくPR表示を追加していました。
しかし「グーグルやアマゾンから指示を受けていないリンクは対象外」という説もあり、不自然で見苦しいPR表示は外していた時期もあります。

日本国内のローカルルールなので、アドセンス審査には直接関係なさそうな気がします。
しかしリスク回避の保険と思って、記事中のどこかに「広告・PR」の表記は入れておいたほうが無難な気もします。

アドセンスの審査時点では、記事ページの目次下に注意書きが表示されるよう、ウィジェットを追加しておきました。
広告表示はセオリーどおりに目立たせたほうがいいとはいえ、サイト全体のデザインに響かないよう、設置場所は冒頭リード文のすぐ下あたりを選びました。

本記事のリンクには広告が含まれています

トップページをサイト型に

これまではSANGOテーマ初期状態の日記風レイアウトでしたが、ブロックエディタを駆使してサイト型のトップページに変えてみました。

アドセンス審査に直接影響はなさそうですが、ユーザーの回遊性や滞在時間を高めるという意味では、間接的な効果を見込めるかもしれません。

別に個人ブログなら日記型で問題ないとはいえ、扱うテーマがバラバラだと、互いに興味のない読者には違和感を与えてしまいます。
カテゴリーごとに記事一覧を分けたり、ヘッダーの下に分野別のメニューを追加することで、目的のジャンルにたどり着きやすくなるよう工夫しました。

サイト型トップページ

現在表示している分野と別のカテゴリーは、読者の視界にまったく入らないほうが親切な気がします。
検索意図と関係のないジャンルの記事などノイズにすぎないばかりか、専門性が薄れて見えるデメリットすらあります。

しかしトップページには各カテゴリーへの動線を設置するため、別ジャンルの記事を並置する必要が出てきます。
ここで記事が時系列に並んだ日記型だと、カテゴリーごとの飛躍があまりに大きすぎて、印象がよくない気がします。

トップをサイト型にして記事をカテゴリーごとに整理したら、見た目の違和感が多少は薄れたように感じます。
純粋な特化サイトにはかなわないですが、興味のあるカテゴリーにたどり着きやすくできたと思います。

ちなみにSANGOのアップデートで、「人気記事」の中身を現在表示中のカテゴリーに限定できるようになっています。
別分野の記事が人気記事の上位として目に入るのは微妙だったので、この新機能はさっそく使わせてもらっています。

外部リンクを増やした

若干のSEO効果を期待して、外部リンクを増やす工夫をしてみました。

自作自演でつくれる外部リンクはそもそもグーグルからの評価も低く、焼け石に水かもしれません。
検索順位を上げるSEOのメリットがないどころか、悪くするとペナルティーを受けてしまうおそれもあります。

今回は「アドセンス合格のために、できることは何でもやってみる」という覚悟だったので、お金のかからない範囲で怪しげな外部リンクもいろいろ増やしてみました。

具体的には…

  • ブログ村などランキング系サイト
  • Lit.Linkのようなプロフィールツール
  • Pinterestなど、まだ使っていなかったソーシャルサービス
  • ペライチのような無料のサイト作成サービス
  • はてなブログやアメーバブログなどの無料ブログ

いずれもnofollow属性のリンクが多いので、本当にやる意味があったかというと微妙です。
しばらく経ってからサーチコンソールで外部リンクを確認しても、新たに設けたリンクはほとんど反映されていませんでした。

たとえ検索順位への貢献はなかったとしても、外部サイトからブログに流入してくれるお客さんがゼロではないかもしれません。
しかし他サイトのコンテンツを充実させるよりや、ブログ本体の更新に時間をかけたほうが有意義ではないか?…というジレンマもあります。

複数サイトを長年運営してきた経験上、いくつかのブログに労力を分散させるよりは、ひとつのブログに集中したほうが成果は大きかったです。
SEOの評価基準もしばしば変更されるので、ヘタな小細工で外部リンクを獲得できたとしても、労力のわりに見返りは少ない気がします。

同意メッセージを作成

アドセンスの再審査申請後、「サイトの同意メッセージを作成する」という画面が出たので、ついでに対応しておきました。

サイトの同意メッセージを作成する

「同意管理プラットフォーム(CMP)」は欧州・英国・スイスが対象なので、日本国内のユーザーには直接影響がないはずです。
しかし広告表示に関連する機能で、アドセンスの審査画面にわざわざ出てくるということは、対応が必須なのかもしれません。

3つある同意メッセージの選択肢から、今回はとりあえず「グーグルのCMPを使用、2つの選択肢」を選びました。
またメッセージはデフォルトの英語でなく日本語で表示されるよう、設定を変えておきました。
ほかのデザインはとくにいじっていません。

同意メッセージ

欧州向けなら英語のままでもよかった気はしますが、サイト全体の使用言語は日本語です。
「EU圏に住む、日本語を読める人」のアクセスを想定して、メッセージも日本語にしてみました。

(補足)米国向けも作成

アドセンス合格後の話ですが、ヨーロッパだけでなくアメリカ各州向けのメッセージも追加しておきました。
米国向けのメッセージは設定していなくても審査に受かったので、必須というわけではなさそうです。

同意メッセージ(米国版)

欧州向けは日本語に設定しましたが、米国版は若干仕様が違って英語かスペイン語しか選べなくなっています。

欧州・米国とも実際のサイトで同意メッセージが出るのを見たことはないので、どんな風に使われているのかわかりません。
しかし久々にアドセンス設定画面から「欧州の規制」を確認してみたところ、3件のメッセージ表示履歴が記録されていました。

同意メッセージ表示履歴

全体のPVからするとごくわずかですが、海外からのアクセスの一部に設定が反映されていると推測されます。
こうしたケースがある以上、グーグルのCMPを有効化しておいたことも、アドセンス審査に多少は影響したのではないかと考えられます。

以上、アドセンス合格の要因とおぼしき改善点を、ひととおり整理してみました。
相変わらず採点基準は不明ですが、当サイトも合格例のひとつとして、審査に向けた準備の参考にしていたければ幸いです。

]]>
MUFGで法人口座開設、ネット銀行との比較https://bofuo.net/mufg-netbank/Sun, 09 Mar 2025 00:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2121

おもに節税目的で運営している一人会社では、ゆうちょ銀行のほか、三菱UFJ銀行にも法人口座をもっています。 メガバンクとしては審査もゆるく便利な反面、地方に引っ越すと支店どころかATMも存在しません。唯一経営セーフティ共済 ... ]]>

おもに節税目的で運営している一人会社では、ゆうちょ銀行のほか、三菱UFJ銀行にも法人口座をもっています。

メガバンクとしては審査もゆるく便利な反面、地方に引っ越すと支店どころかATMも存在しません
唯一経営セーフティ共済の掛金振替で利用する以外は、まったく使わなくなってしまいました。

MUFGはBizSTATION(Light)の送金方法がやたらと煩雑なのもデメリットです。
久々にログインしようと思ったら、パスワードロックや電子証明書の期限切れで書類申請が必要になってしまいました。

MUFG法人口座の使いどころを整理したうえで、最近サービスがよくなってきたネット銀行についてもいくつかご紹介したいと思います。

本記事のリンクには広告が含まれています。

MUFGの法人口座開設

三菱UFJ銀行に法人口座を開設したのは、会社設立から約1年後です。
審査のためには多少の取引実績を積んでからのほうがいいかと思い、少し時間をおいてから申し込みました。

MUFGの審査もわりとゆるい

大手都市銀行のなかで、MUFGは口座開設のハードルが低いと、昔から言われています。
会社や組合を設立するたび何度かお世話になりましたが、口座開設の審査に落ちたことは今まで一度もありません。

MUFGの通帳

そのせいか、MUFGをかたるフィッシングメールが多く届きます。
安易に口座開設できてメガバンクとして社会的信用もあるせいか、詐欺に利用されやすい傾向があるように思われます。

MUFGの通帳

MUFGは過去にも金融庁から不祥事の多さを指摘されていました。
昨年ニュースになった行員による貸金庫窃盗事件も、やはり舞台は三菱UFJでした。

社会保険と共済加入が目的

MUFGに口座をつくった目的は、社会保険料を毎月自動で引き落とし、節税用の共済に加入するためです。

保険料口座振替納付(変更)申出書

給与振込など当面の取引はゆうちょ銀行で間に合っていたのですが、当時はまだ保険料の振替にネット銀行が対応していませんでした。
今ならゆうちょ銀行やイオン銀行、GMOあおぞらネット銀行も保対応しているため、わざわざ手数料の高いメガバンクに申し込む必要はありません。

地方には支店もATMもない

その後、地方に移住したら、MUFGの拠点がまわりにひとつもないと気づきました。
支店はおろか、大型モールや駅構内など、どこを探してもATMが見つかりません。

ネットバンキングだけなら問題ないですが、窓口で手続きしたり現金を引き出したいときは、わざわざ電車に乗って他県や中核都市まで出かける必要があります。
さすがに不便なので残高をすべて引き出し、せっかくつくった法人口座も使わなくなってしまいました。

あらためて調べてみると、地方には県庁所在地にしかメガバンクの支店がなかったり、そもそもATMすら存在しない県が多数あるとわかりました。

長年東京に住んでいると気づかなかった事実で、ちょっとしたカルチャーショックでした。
都市銀行とはその名のとおり、大都市にしか存在しないのです。

三菱UFJ銀行は2006年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して生まれた銀行で、2017年までは三菱東京UFJ銀行という長い名前でした。
かつては名前に「東京」と入っていたとおり、首都圏を拠点とするローカルな銀行なのかもしれません。

三菱東京UFJ銀行

Neil Denari設計のMUFGプラザ

MUFGを選んだのは、アメリカ人建築家のニール・ディナーリが設計した渋谷支店を利用したいという、ミーハーな目的もありました。

銀行のサービス内容とは直接関係なく、あくまで個人的な趣味です。
世の中には建築やインテリアの好みで取引銀行を選ぶ人もいるという、レアな事例としてご紹介します。

ニール・ディナーリは1980年代末に提案した、ウエストコースト・ゲートウェイや東京国際フォーラムのコンペ設計案が有名です。
ガンダムのモビルスーツみたいにメカメカしいドローイングで、はじめて見たときは衝撃を受けました。

日本ではピーチ・アビエーションの機体をデザインしたことでも知られています。
彼の数少ない日本国内での実現作品のひとつが、渋谷のMUFGプラザです。

東京に出てきて真っ先に、ニール設計の渋谷支店で個人口座をつくりました。
法人口座は登記住所の最寄り支店で開設しましたが、たまに渋谷の店舗を訪れては、サイバーな内装デザインを堪能していました。

渋谷MUFGプラザ
渋谷のMTFGプラザ(2005年撮影)

こちらは今から20年前に撮影した外観写真で、当時はまだUFJとの合併前だったので「東京三菱銀行」でした。
MUFGではなくMTFG PLAZAと表示されています。

渋谷MUFGプラザ

夜間の様子はこんな感じで、外壁に埋め込まれたLEDライトが光ります。
しかも時間が経つと、ライトの色が青からオレンジに色が変わっていくというこだわりようです。

渋谷MUFGプラザ

内部は銀行なので撮影できないのですが、インテリアも一見の価値があります。
カウンターの下にライトが仕込まれ、ハニカムパネルで柔らかくぼかされていたり、柱の下の通風孔みたいなパーツまでカプセル型のデザインモチーフで統一されています。

再開発がさかんな渋谷駅周辺でも、MUFGプラザはまだ現存するようです。
渋谷駅西口のロータリーに面した歓楽街の入口で、白いパネルに控えめなイルミネーションが輝くファサードは、今でも新鮮に感じられると思います。

]]>
ゆうちょ銀行の法人口座を使いこなすコツhttps://bofuo.net/yucho-direct/Sat, 08 Mar 2025 11:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2091

資産運用会社のメインバンクとして、ゆうちょ銀行を使っています。 「法人口座開設の審査がゆるかった」というのがおもな理由ですが、ネットバンキングの手数料も大手都市銀行より格安です。さらに田舎や離島でも郵便局の窓口やATMを ... ]]>

資産運用会社のメインバンクとして、ゆうちょ銀行を使っています。

「法人口座開設の審査がゆるかった」というのがおもな理由ですが、ネットバンキングの手数料も大手都市銀行より格安です。
さらに田舎や離島でも郵便局の窓口やATMを使えるので、引っ越しの多いかたなら便利だと思います。

ゆうちょダイレクトの認証方法をトークンからアプリに切り替えたのをきっかけに、ゆうちょ銀行のメリットについて振り返ってみました。

本記事のリンクには広告が含まれています。

ゆうちょ銀行の審査はゆるい

今から約10年前、会社設立と同時にゆうちょ銀行で法人口座を開設しました。

郵便局

節税目的のペーパーカンパニーで資本金もきわめて少額…
設立直後で取引実態も不明な怪しい会社ながら、ゆうちょ銀行では問題なく口座をつくれました。

当時、実店舗があるのに「ネット銀行と同じくらい審査がゆるい」と評判のゆうちょ銀行でしたが、そのうわさは本当でした。

ICキャッシュカードのデザインは、個人も法人もまったく同じです。

ゆうちょ銀行のキャッシュカード

今はマネーロンダリングや犯罪防止のため、口座開設のハードルが上がっているかもしれません。
最新の申請方法を調べると、法人口座を開くには決算書や残高試算表、事業計画書など、さまざまな書類を用意する必要があるようです。

社会保険料の振替も可

2019年4月1日から、ゆうちょ銀行も社会保険料の口座振替に対応して、ますます便利になりました。
最近ではイオン銀行やGMOあおぞらネット銀行など、その他のインターネット専業銀行でも保険料の引き落としができるようです。

ひとり社長のマイクロ法人とはいえ、社会保険の加入義務はあります。
毎月保険料を納付するために銀行に入ったり、ペイジーで電子納付するのも手間がかかります。

保険料の自動納付に口座振替が便利ですが、昔は大手の都市銀行や地方銀行しか対応していませんでした。
しかし設立間際の弱小ベンチャーでは、そもそもまともな銀行に法人口座を開けないというジレンマがあります。

今は審査のゆるいネットバンクでも保険料を納められるため、無理してメガバンクに口座を開く必要もなくなったといえます。

どこにでもある郵便局

日本中どこに引っ越しても郵便局の窓口やATMを利用できるのは、ゆうちょ銀行がもつ最大の強みです。

ゆうちょ銀行の通帳

法人口座に関しては「ゆうゆう窓口」のあるような中央郵便局のほうが、待ち時間は長くても、手続きをスムーズに進めてもらえます。
しかし集落にある出張所レベルの郵便局でも、相談や申請は親切に受け付けてくれます。

今回の限度額解除に関する相談はそれほど急ぎでもなかったので、最寄りの小規模郵便局に行ってみました。

案の定、スタッフのかたは法人口座や認証アプリについて不慣れらしく、解決するのに時間がかかりました。
郵便局の職員さん総出でマニュアルを見つつ、ほかの部局に電話で相談したりしながら待つこと数十分…ようやく送金限度額は変更できるとわかりました。

ゆうちょダイレクト送金限度額変更届書

しかも便利なゆうちょ認証アプリを使ったまま、限度額だけ引き上げてもらえるという理想のパターンです。
わざわざ窓口まで来て、待った甲斐がありました。

もしこれが窓口のないネット銀行だったら、フォームや電話で問い合わせるとしても、相当時間がかかりそうです。
問題解決をあきらめて、ほかの銀行に変えていたかもしれません。

預金限度1300万の壁

ゆうちょ銀行特有のルールとして、預金限度額1,300万円というものがあります。

法人口座も例外ではなく、総合口座の通常貯金であれば預け入れ上限は1,300万円です。
利子のつかない振替口座であれば、こうした制限はありません。

ゆうちょ銀行の通帳

普段は少額の給与支払いにしか使っていないので、上限が1,300万もあれば十分です。
投資資金の移動などで制限に引っかかる可能性はありますが、限度額以内で何度か振込すれば用事は済ませられます。

ただし振込の手間が増えて手数料もかさむので、もし将来、億単位の貯金を扱えるようになったら、ほかの銀行に乗り換えるかもしれません。
ペイオフは気になりますが、それだけ巨額の資金を預けるとしたら、利率も気になるところです。

今のところ零細ペーパーカンパニーの運営に関しては、ゆうちょ銀行の預金限度額を気にすることはありません。
いつかまとまった資産ができて、ゆうちょ銀行を卒業するときが来るのを楽しみにしています。

]]>
ゆうちょ認証アプリで法人がはまる送金限度額https://bofuo.net/yucho-error/Fri, 07 Mar 2025 09:00:00 +0000https://bofuo.net/?p=2073

ゆうちょ銀行の法人口座で「ゆうちょ認証アプリ」を導入すると、「1日の送金限度額」が5万円に制限されます。法人は運転免許証などの書類による本人確認ができないため、アプリやウェブからは限度額の引き上げができません。 試行錯誤 ... ]]>

ゆうちょ銀行の法人口座で「ゆうちょ認証アプリ」を導入すると、「1日の送金限度額」が5万円に制限されます。
法人は運転免許証などの書類による本人確認ができないため、アプリやウェブからは限度額の引き上げができません。

試行錯誤して銀行窓口で相談したところ、送金限度額変更届書を提出すれば制限解除できる(要審査)とわかりました。

ボフオ
ボフオ

窓口に行けば限度額アップできるよ

本記事のリンクには広告が含まれています。

ゆうちょ認証アプリの罠

無料で使えて一見便利な「ゆうちょ認証アプリ」
法人口座で使うと必ずはまるのが送金限度額の制限です。

ゆうちょ認証アプリ

法人は本人確認できない

ゆうちょ認証アプリの設定時に、「書類による本人確認」をスキップすると、1日の送金限度額が5万円に制限されてしまいます。
そして法人口座の場合は、そもそもスマホでの本人確認ができないため、この手続きはスキップするほかありません。

ゆうちょ認証アプリ

社長の運転免許証などを読み取らせても、エラーになってしまいます。
ほかに「登記簿謄本をスマホで読み取る」といったような法人向けのオプションも、今のところは用意されていません。

それまでゆうちょダイレクトで多めの送金限度額を設定していたとしても、法人が認証アプリを使ったとたん、1日5万円に強制リセットされてしまうのが難点です。

5万以下なら問題ないが…

そのままでも1日5万以下ならオンラインで振り込みできるため、少額の取引しかなければ問題ないかもしれません。
私の場合、毎月の給与支払いが5万以下なので、しばらくは限度額に引っかかることはなく振り込みできていました。

ゆうちょダイレクト

ただこれは社会保険料を軽減するため、意図的に報酬を下げていたおかげです。
自分の月給を月額63,000円未満の1等級におさえているので、健康保険料と厚生年金保険料の折半額を差し引くと、手取りが5万円を下まわるという状況です。

1日の送金限度額が5万しかないと、一般的な会社では使い物にならないと思います。

送金限度額のエラー

たまたまゆうちょ銀行経由で投資用の資金を振り込もうとした際、上限額のエラーが出ました。
画面には「エラー種別 P021送金限度額 50,000」というメッセージが表示されています。

ゆうちょダイレクト

実は認証アプリを入れてから数か月、ゆうちょダイレクトを問題なく使えていたので、送金限度額があることを忘れていました。

認証アプリの登録情報を振り返ると、
「ご本人様確認 電話・認証のみ」
「一部のサービスは、制限されています」

と赤字で警告も出ていました。

ゆうちょ認証アプリ

ゆうちょダイレクト側の「ご利用状況」を確認しても、
eKEY本人認証:未実施(制限あり)
と表示されています。

ゆうちょダイレクト

限度額の引き上げ方法

ゆうちょダイレクトのメニュー画面をたどっていくと、「各種手続等→ご登録内容 確認・変更」から送金限度額を変更することができます。

ゆうちょ認証アプリ

オンラインでも50万までは引き上げ可能となっていますが、手続きには認証アプリかトークン(ワンタイムパスワード生成機)が必要になります。
そして認証アプリを入れてしまった場合は本人確認が必須のため、やはり法人では上限額を5万円からアップすることができません。

ゆうちょ認証アプリ

さすがに不便すぎるので、法人口座で限度額を上げる方法をいろいろ調べてみました。
しかしゆうちょ銀行のウェブサイトやFAQには、法人の本人確認や制限解除に関する説明がどこにも見あたりません。

単純に思いつく解決策は、無料の「ゆうちょダイレクト」をやめて、有料の法人向け「ゆうちょBizダイレクト」に乗り換えることくらいです。
今回はトークンの電池切れをきっかけに認証アプリへ切り替えたのですが、もしかすると法人利用者を有料サービスへ誘導するための罠だったのではないかと勘ぐってしまいます。

]]>
ヤマハの木製電子ピアノTORCHが気になるhttps://bofuo.net/torch/Wed, 19 Feb 2025 04:00:08 +0000https://bofuo.net/?p=1932

2025年2月18日、ヤマハの新しい電子ピアノTORCH(トーチ、型番T01)が発表されました。 ミニマリズムの塊ともいえるソリッドな見た目で、しかも鍵盤にはグラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)の希少木材が使用され ... ]]>

2025年2月18日、ヤマハの新しい電子ピアノTORCH(トーチ、型番T01)が発表されました。

ミニマリズムの塊ともいえるソリッドな見た目で、しかも鍵盤にはグラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)の希少木材が使用されています。
素材の希少性もあってか量産品ではなく、20台限定の抽選販売になっています。

価格も99万円と高額で機能も絞られた特殊な製品ですが、インテリアピアノの分野では今までにない尖ったコンセプトの意欲作といえそうです。

ボフオ
ボフオ

木工好きにはたまらないピアノ!

公開されている情報をもとに、特徴や注意点をまとめてみました。

本記事のリンクには広告が含まれています。

ミニマムな外観

TORCHは側板から譜面台まで、板材を単純に組み合わせたような形をしています。
ピアノとして実用性を担保しながら、構成要素を限界までそぎ落としたようなコンセプトを感じられます。

サステナブルキーボードの製品化

2023年にヤマハ銀座店「楽器の木」展で展示された、非売品のサステナブルキーボード(アンティークタイプ)と外観は似ています。
当時のプロトタイプは木製らしさを強調した重厚感のあるフレームで、足元に貫もあり、側板はTORCHより若干厚いように見えます。

2024年に出ていたサステナブルキーボードは、脚の横材が省略された代わりに、斜めの鋼材で補強されていました。

こうした地道な改良が続けられて、ついに新商品TORCHとして販売されるにいたったのかと思います。

コの字型のフレーム

ローランド×カリモク家具のKIYOLAが北欧家具からインスパイアされたとすると、トーチのデザインソースはバウハウスの機能性・合理性ではないでしょうか。
椅子にたとえるなら、マックス・ビルのウルムスツールを連想させます。

据置型ピアノにありがちな背面のパネルや、貫のような横材も大胆に省略されています。
ペダルも専用設計らしく、本体とケーブルでつながる独立ユニット式なのはKIYOLAと同じです。

さすがにコの字型のフレームだけでは演奏時の揺れを抑えられなかったのか、コーナー部分に金属製の棒材が仕込まれています。
左右からわりと大きく張り出しているので、椅子に腰かけた際、膝が当たらないか少し心配です。

汎用キーボードスタンドのように側板がハの字に開いていれば、金属ロッドはもう少し高い位置に配置して、長さも短く設定できたと思います。
あくまで90度の接合角度と直線的な外観を優先して、金属棒による補強が選ばれたようです。

木工職人なら方杖まで無垢の木でつくりそうなところ、細い鋼材を黒く塗って目立たなく仕上げているところはさすがです。
木と金属という異素材の組み合わせで、合理的な構造になっています。

鍵盤蓋がない理由

ヤマハのTORCHは据置型ピアノにたいてい付いている、鍵盤の蓋がありません。
鍵盤にほこり積もったりぶつけて壊したりしないよう、布かなにかで覆っておく必要があると思います。

コルグC1ローランドDP603のように蓋を閉めると上面がフラットになり、物置やテーブルとしても流用できるよう配慮された製品もあります。
TORCHはそうした邪道な使い方もできず、楽器に徹したストイックな機材といえます。

もし鍵盤カバーを付けたしたら、パネル面に余計なパーツや機構が必要となり、厚みが出てここまでスリムにはできなかったと思います。
彫刻のように美しいグラナディラ製の黒い鍵盤を常に見せるため、あえてカバーを設けなかったという説も考えられます。

ボフオ
ボフオ

ピアノを眺めながらお酒が飲めそう…

安全性やメンテンナンス性も犠牲にして、ポータブルピアノのように鍵盤や操作部をむき出しにした引き算のデザインには賛否両論ありそうです。
少量生産の限定品であるため、「わかる人だけが使ってくれる」という割り切りもあるかと思います。

ここまでエッジの立った設計は、プロトタイプだからこそ可能だったのではないでしょうか。
もしTORCHの量産バージョンが出るとしたら、鍵盤蓋つきで外装もポリウレタン塗装に変更されそうな気がします。

譜面台は着脱式

譜面台も側板と同じ樹皮模様が刻まれ、パネル上面に固定されています。
使わないときは折りたたみできそうな雰囲気もあるのですが、手前に倒すと鍵盤にかぶってしまいます。

TORCHの製品情報ページには、取扱説明書もPDFで公開されています。
マニュアルを読むと、譜面立ては本体上部スリットへの差し込み式になっていました。

参考 T01 ダウンロード 取扱説明書YAMAHA

安価なキーボードやポータブル式の電子ピアノでよく見られる構造ですが、譜面立てもちゃんと木でできているところは、デザイナーさんのこだわりを感じます。
補強の鋼材と同じく、KORG Lianoのように簡素な金属棒で譜面立てをつくってもよかったと思いますが、レーザー加工された板材の存在感をアピールしたかったのでしょう。

壁際に設置すれば、楽譜を壁に立てかけられるので譜面台は必要ありません。
パネルの上に冊子やiPad、クリップボードを差し込めて、手前にずり下がって来ないための溝さえあれば十分といえます。

iPad楽譜

そもそも慣れた曲を弾くだけなので、基本的に楽譜は見ないというユーザーすらいそうです。

シチュエーションに応じて譜面台を丸ごと外せるというのは、高価格帯の据置型ピアノではめずらしい仕様です。
鍵盤カバーと同様に、構造を単純化して本体の厚みをおさえるための、大胆な工夫と考えられます。

ボタン類も最小限

鍵盤カバーを設けずコンソールをむき出しにしたためか、液晶画面がなくボタンやダイヤルも最小限の構成になっています。

写真を見るかぎり、鍵盤の左側に機能選択のボタンが2つ、右側に電源ボタンとボリューム調整用のつまみしか存在しません。
そのため電子ピアノ特有のガジェット感がなく、ぱっと見は生ピアノのように見えなくもありません。

TORCHの説明書によると、音色やデモソングの選択は、ファンクションボタンを押しながら対応鍵盤を押下する方式のようです。

左パネル上側ピアノマークの「設定ボタン」と鍵盤の組み合わせで、音色やリバーブの選択、トランスポーズの設定や、各種機能のオンオフができます。
下側音符マークの「曲ボタン」と対応鍵盤を押せば、各音色のデモソングやプレイリストを再生できます。

鍵盤上部にこうした機能表示のガイドは印字されていないので、付属の「鍵盤操作早見表」を見ながら操作することになりそうです。
とはいえ音色選択以外は使う頻度も少なそうなので、10ボイス程度ならすぐ暗記できるかと思います。

MDFのレーザー加工

TORCHのプレスリリースをよく読むと、グラナディラが使われているのはピアノの筐体ではなく、鍵盤部分だけのようです。
外装は木質ボードにレーザー加工で「グラナディラの樹皮の模様を表現」したと書かれているので、若干まぎらわしいことになっています。

エッチングは高級車内装用の加工技術が適用されていて、クオリティーは高そうです。
しかも木目ではなく「樹皮」の模様というのが独特で、レオパード柄のように2トーンのワイルドな見た目になっています。

鍵盤を木粉から再成型したのと同様、外装も人工的に木質感を表現しているところから、「木材の再解釈」という意図が感じられます。
KIYOLAが無垢の白木にこだわったとすると、TORCHは未利用材やMDFなど木のリサイクルに取り組んだ作品といえます。

化粧板を貼らず木質ボードをむき出しにすることで、接合部や木口に丸みをもたせる加工が可能となったそうです。
TORCHのボディーに思わず触ってみたくなる気がするのは、部材のエッジに大きめの角Rが施されているせいでしょう。

鍵盤周辺のパネルには樹皮模様がなく、木質ボードそのままの等方性を見せているのも渋い表現です。
荒々しいレーザー加飾と、均質なMDFのコントラストによって、派手すぎず大人しすぎない、洗練されたバランスが保たれているように見えます。

サステナブルキーボードの「DIYタイプ」に使われていたOSBボードがMDFに変わったことで、手づくりのクラフト感が減った代わりに高級感はだいぶ増したと思います。

木質ボードも経年変化

木部の塗装にワックスや亜麻仁油など天然材料が使われているのも、電化製品としてはめずらしいポイントです。
鍵盤同様、外装パネルも使っているうちに表情の変化を楽しめそうです。

ただMDF自体は木材チップと樹脂から成形した素材なので、水に弱いという弱点があります。
シートが貼られていないので、表面が水ぶくれして剥離する現象は起こらなそうですが、湿気の多いところには置かないほうがいいと思います。

オイルとワックスで多少のシミは防げると思いますが、パネル上に熱い湯のみや氷の入ったコップを置くのは危険です。
中身をこぼさなくても、温度変化や水分の浸透で輪じみができてしまうかもしれません。

ラッカーやウレタン塗装より自然な風合いを感じられる反面、取り扱いや設置場所には配慮を要するデリケートな仕上げといえます。

グラナディラ製の鍵盤

白鍵まで黒いユニークな鍵盤はグラナディラそのものではなく、粉砕した端材を「木質流動整形技術」で再成型した人工素材のようです。
白鍵部分の木粉比率は70%となっているので、樹脂よりは木材が主原料といえます。

端材のリサイクル

グラナディラはクラリネットなど木管楽器に使われる素材なので、音楽業界の人にはなじみ深いかもしれません。
流行の木軸ペン界隈でも高値で取引される樹種でもあり、ピアノに適用するとはかなり贅沢な設計です。

材料となる木材は、クラリネットやオーボエなど別の楽器製造のプロセスで生じた未利用材とのことです。
革の端材と樹脂を混ぜ固めたリサイクルレザーと同様に、環境への配慮もさりげなくアピールされているところが今っぽいです。

木材と樹脂の複合素材という意味では、文具メーカーのパイロットが得意とする樹脂含浸カバ材(コムプライト)に近いかもしれません。

カスタムカエデのイラスト カスタムカエデは枯れ木のような味わい

積層強化木は乾燥や経年変化で狂ったり割れたりする木のデメリットを樹脂で補い、木の質感はほぼそのままに、安定性や均質性を向上させる技術です。
工芸的な材料である木材とプラスチックを組み合わせ、量産品に適用して品質向上するための工夫といえます。

白鍵と黒鍵の違い

ヤマハのTORCHは鍵盤が白鍵も含めて真っ黒なので、HHKBの無刻印キーボードのような匿名性やプロ仕様といった趣があります。
マットブブラックという色からは、「軍用、黒帯」といった上級者向けの雰囲気も感じられます。

プロトタイプ「サステナブルキーボード」の説明によると、黒鍵部分は成形木材、白鍵部分は高充填WPCで、2種類の素材が使い分けられているようです。
黒鍵はグラナディラ100%の木粉であるため、ほぼ無垢材のように感じられるそうです。

鍵盤の拡大写真や説明動画をじっくり見ると、黒鍵にはやや木目調のテクスチャーがあり、色のトーンも若干変えてあるようです。
鍵盤全体は半光沢の炭っぽい見た目ですが、白鍵と黒鍵に微妙なメリハリをつけることで、演奏時の視認性に配慮したのかもしれません。

構造はグランドタッチ-エス

TORCHの鍵盤構造は、クラビノーバシリーズの「グランドタッチ-エス」が採用されています。
エスケープメントもついているので、生ピアノに近いクリック感を味わえます。

ヤマハの電子ピアノとしては上から2番目のグレードで、「エス」が付かないグランドタッチ鍵盤のほうが高級品となります。
公式FAQによると、後者のほうが指先から鍵盤支点までの距離が長くとられ、グランドピアノの打鍵感により近いと説明されています。

参考 グランドタッチ-エス™鍵盤とグランドタッチ™鍵盤の違いはなんですか?YAMAHA

どちらも白鍵は木製ですが、黒鍵はプラスチック製で黒檀調の仕上げがほどこされています。
TORCHは黒鍵もグラナディラ製(しかも純度100%)なので、通常のグランドタッチより上位バージョンと考えることもできます。

ザラザラ系の鍵盤

カワイの高級電子ピアノは、白鍵・黒鍵とも木製なのが売りとされています。
ローランドの木製鍵盤は、木と樹脂のハイブリット構造で品質が安定しているのが特徴です。

鍵盤を木粉とプラスチックから再構成したTORCHは、両社のいいとこどりを狙ったのかもしれません。
しかも無塗装で木本来の吸湿性もあり、指に汗をかいても滑りにくく、素材のエイジングも楽しめるメリットを兼ねそなえています。

グラナディラに皮脂や汗がしみ込んでだんだんテカッていくのか、それとも風化して色あせていくのか、どんな変化が起きるのかワクワクします。
人工象牙やアクリルが貼られてエターナルに輝く白い鍵盤も美しいですが、練習の成果が味や風合いとしてあらわれる木製鍵盤も味わい深いと思います。

万年筆の書き味と同じく、ピアノの鍵盤をツルツル~ザラザラ系に分類するとしたら、TORCHは無塗装に近い木材で、やすりのように荒い究極のザラザラ鍵盤と期待できます。

演奏中、指先の汗ですべって困るという人には、うってつけの素材といえそうです。

ボフオ
ボフオ

汗っかきには良さげな鍵盤

操作パーツも木製

デザイナーのかたのインタビューによると、音量調整用のつまみもグラナディラの削り出しとなっています。

参考 「TORCH」に込めた想いYAMAHA

まるで「ノック部のパーツまで木でつくった木軸ペン」のようなこだわりようです。
木工製品が好きな人には、たまらないディティールだと思います。

ボタン類は樹脂製のように見えますが、色味はパネルとそろえてあります。
操作説明の表示もさりげなく、ブランド名や製品名も同系色でまとめられているため違和感はありません。

機能は限定的

有機ELやLCDディスプレイを省略してボタンの数も絞ったせいか、TORCHの搭載機能はかなり控えめです。

音色は10種類だけ

音色の数は10ボイスしかなく、100万近くする高額商品としては物足りなく感じます。

ただし似たような木製ピアノのKIYOLAはもっと少なく、6音色しかありません。
ローランドの競合製品を意識して、せめて2桁まで増やしたのかもしれません。

TORCHの説明書によると、搭載されている音色は以下の10種類です。

  1. CFXグランド
  2. ベーゼンドルファー
  3. モーツァルトピアノ
  4. ステージエレピ
  5. DXエレピ
  6. ハープシコード
  7. ビブラフォン
  8. パイプオルガン
  9. ジャズオルガン
  10. ストリングス

やはりピアノとエレピが中心で、オルガン系はKORGのLianoと同じ2種類だけです。
個人的にはハープシコードとビブラフォンを外して、ハードロック系の電子オルガンも増やしてほしかったです。

音源はCFXとベーゼンドルファーサンプリングで、上位機種のクラビノーバシリーズと同等です。
CFXについてはバイノーラルサンプリングされていて、最大同時発音数256というのもクラビノーバと共通の仕様になっています。

スピーカーも控えめ

Bluetoothのオーディオ受信もできるので、たとえピアノを弾かなくても高価なスピーカーとして活用できそうです。
製品の写真を見ても、どこにあるのかわかなないほどさりげなく、スピーカーも組み込まれています。

ただしアンプの出力は(20W+6W)×2と控えめで、スピーカーのサイズを見てもClavinovaより下位のARIUSシリーズと同等に思われます。

TORCHはデザインにこだわり抜いた別格の製品ですが、機能性を追求するなら素直にふつうの電子ピアノを選んだほうがいいと思います。
予算が100万円あれば、AvantGrandの一部機種、Clavinovaが全モデル余裕で買えるレベルです。

]]>
ローランドのKIYOLAとインテリアピアノhttps://bofuo.net/kiyola/Tue, 18 Feb 2025 12:00:21 +0000https://bofuo.net/?p=1940

電子ピアノの買い替えについて検討していると、「インテリアピアノ」というジャンルがあることを知りました。おもにヤマハとカワイが使っている用語ですが、ローランドやカシオにもデザイン性を意識した「家具として映える」製品が存在し ... ]]>

電子ピアノの買い替えについて検討していると、「インテリアピアノ」というジャンルがあることを知りました。
おもにヤマハとカワイが使っている用語ですが、ローランドやカシオにもデザイン性を意識した「家具として映える」製品が存在します。

据置固定型で20万以上、高いものでは100万を超えるので予算オーバーです。
しかし経済的に余裕ができて、大型ピアノも置ける広い家に住めたら、見た目重視でピアノを選んでみてもいいかと思います。

モダンデザインの傑作、ローランドのKIYOLAとカシオのPriviaを比べつつ、ヤマハ・カワイの猫足(カブリオールレッグ)ピアノについても調べてみました。

本記事のリンクには広告が含まれています。

家具としてのピアノ

大型の据置型電子ピアノはリビングで大きな面積を占め、「家具」としての側面もあります。
ピアノという文化においては機能よりも外観やデザイン、ステータス性を重視して選ぶ顧客層もいると思われます。

木製へのこだわり

外見がプラスチックの電子ピアノは家電のようですが、木材だとほかの家具ともなじみやすく統一感を出せます。
スピーカーやミニコンポのように、ピアノも木製にこだわりたいというニーズはありそうです。

しかし天然の木材がいいのはあくまで外観上の話で、それで「スピーカーの響きがよくなる」とか性能上のメリットはなさそうです。
趣味の道具として高級車の内装と同じく、パネルにレザーや銘木を貼るような感じなのでしょう。

ピアノが黒い理由

本物のピアノらしいツヤツヤの黒塗りも高級感があるとはいえ、どんな家にも似合うかというと微妙です。
「ペンキ塗りより白木を好む」という日本人の感性を考えると、天然木でソープやオイル仕上げのピアノがあってもよさそうな気がします。

カワイの特集ページによると、日本で黒塗りのピアノが普及した背景には、湿気に強い漆塗りの伝統や、「黒は高級」というイメージがあったようです。
近年は木目調のピアノが増え、さらに明るいライトオーク系の需要が増えているという傾向もうなずけます。

参考 インテリアピアノの魅力に迫る!KAWAI

1952年に発表されたアルネ・ヤコブセンのアントチェアも、最初は座面のひび割れを隠すために黒く塗られていたそうです。
歴史的に有名なT型フォードも、耐久性と経済性の観点から黒色塗料が採用されたという経緯があります。

「高級感」という意味では、ロイヤルブルーやパープルも一般的には高貴な色と認識されています。
しかし量産品という製造上の都合もあって、最大公約数的にブラックが選ばれたのかもしれません。

棚にもなるピアノ

懸垂台が物干しとしても便利なように、天板がフラットなタイプのピアノは棚としても活用できます。

いずれ弾かなくなったとしても、高価な物置として役に立つ(つぶしが効く)のは、ピアノの利点のひとつです。
そう考えると、将来の棚としてもインテリアに映える木製ピアノに投資するのは、悪くない選択だと思います。

コルグC1 Airの商品説明には、「キー・カバーを閉じるとフラットになり、テーブルとしての利用も可能」と書かれています。

ローランドのDP603の外観も、「鍵盤蓋を閉めるとすっきりフラットになるキャビネットは、2003年の発売以来変わらない人気のデザインです」と説明されています。
コルグほどあからさまではないですが、暗に棚としてのサブ用途をほのめかしているようです。

飲み物をこぼしたりして内部に液体が入るとやばそうですが、簡易的なテーブル・棚としての活用法は、暗黙のうちに認められていると思われます。
上面フラットになるタイプの据置型ピアノも、家具としての実用性を意識した一種のインテリアピアノと呼べるかもしれません。

KIYOLAか、それ以外か

現行機種の木製ピアノとして、圧倒的な存在感を誇るのがローランドのKIYOLA(型番KF-10)です。
2015年のグッドデザイン賞受賞作品で、ついでに「ウッドデザイン賞」というジョークのような木製品関連の賞もとっています。

カリモク家具とコラボ

KIYOLAはローランドが国内家具メーカーのカリモクとコラボした、Made in Japanの商品です。
愛知県のカリモク工場で部材をつくり、静岡県のローランド工場で組み立てているらしく、隣県で協業しやすいメリットもあったのでしょう。

静岡なら飛騨高山や長野の松本といった家具産地も近いですが、東海道新幹線や東名高速でつながった愛知県のほうがアクセスはよさそうです。
カリモク家具の本社も名古屋より南の知多郡にあり、愛知のなかでも浜松寄りといえます。

ちなみに国内楽器メーカー、ヤマハ、カワイ、ローランド(さらに鈴木楽器)の共通点は、拠点が静岡県浜松市にあるというところです。

Wikipediaによるとヤマハの出身者がカワイを設立して、さらに元カワイ社員が鈴木楽器を始めたそうです。
のれん分けというか人脈も共通するところがあって、3社の製品やサービスが似ているのかもしれません。

サングラスをかけた犬 YAMAHA、KAWAI、ROLANDの安いピアノ

以前、新幹線の浜松駅で降りたら、駅構内に楽器の展示ブースがありました。
JR浜松駅にも各メーカーのグランドピアノが置いてあり、地域の特産品としてPRに力を入れているようです。

経年変化する無垢材

ウェブに公開されているKIYOLAの製造動画を見ると、脚や側板はNCマシンで仕口が加工され、本物の家具のように組み立てられています。

さすがに値段は高額で40万円くらいしますが、ここまで素材と加工法にこだわったピアノは他になく、唯一無二の存在といえます。

脚は板材でなく丸棒の4本脚になっていて、アームトップもソファの肘掛けをイメージした曲面仕上げになっています。
ピアノ側面の上端(腕木)が、意味もなく手で触りたくなるような丸みを帯びた形状になっていて、椅子の肘掛けのようにエージングを楽しめそうです。

ローランドKIYOLAカタログ

筐体が無垢材なので、天然木の経年変化も楽しめるのがKIYOLAの特徴です。
時間が経つにつれて化粧板がめくれてくることもなく、傷や汚れも味になるので親しみを持てそうです。

ローランドのKIYOLAカタログ

ハモンドオルガンの側板

かつてハモンドオルガンのレトロな外観に魅力を感じて、鈴木楽器のXK-2を買ったことがあります。
ただ木材のように見える部分は安価な化粧材だったので、時間がたつとペロッとはがれてきて安っぽい印象を受けました。

現行機種の2段鍵盤SKX PROには、本体に後づけできるウォールナット製のサイドパネル(SBW-SKXPRO)がオプション販売されています。
定価4万円以上するので、さすがに突板ではなく無垢材のようです。

ローランドのKIYOLAは外観だけでなく中身もリアルな木にこだわったという、稀有な商品です。
価格は跳ね上がるかもしれませんが、オルガンメーカーも側板だけでなく全体に天然木を取り入れたら、本物志向のユーザーにうけると思います。

ウォールナットも同価格

KIYOLAは明るいオーク色が目立ちますが、木目を残したホワイト塗装と、ウォールナットのバージョンもあります。

見た目が焦げ茶色のピアノもよくあるとはいえ、ウォールナットの無垢材が使われた製品はめずらしいと思います。
家具の分野では高級材とされますが、KIYOLAのウォールナットはオークと同価格なので、お得感があります。

オークは使い込むにつれて色が濃くなり、肌が触れる部分は徐々に黒ずんで、見方によってはみすぼらしくなっていきます。
ホワイト色もかなり汚れが目立ちそうです。

ウォールナットは逆に色が明るくなっていくので、クリーンなイメージを保ちたい人にはこちらの方が向いているかもしれません。
もともと色が濃いので、皮脂が付着したり、脚に掃除機をぶつけても、変色や傷が目立ちにくいはずです。

いずれのカラーもおそらくウレタン塗装なので、見た目の変化はそれほど激しくないと思います。
ウレタンといっても最近主流のマット加工に見えるので、いかにもニス塗りのツヤツヤした人工的な質感ではなさそうです。

せっかく無垢材を使うなら、オイル塗装やワックス、ソープ仕上げが選べたらうれしかったです。
ただし中身は精密機器なので、べとべとしたオイルや石鹼水で丸洗いするのは、現実的でないともいえます。

限定だったシアーブラック

過去のニュースを見ると、2017年に数量限定でKIYOLAのモカブラウン色、2018年には新色のシアーブラックが販売されたようです。
シアー(sheer)という英単語は「透明な、薄い」という意味があり、木目のテクスチャーを残したクリア塗装と考えられます。

参考 カリモク家具と共同開発した国産ピアノ。天然木の木目を活かした「シアーブラック」を限定販売Roland

木部だけでなく、操作部のパネルやペダルのケース、椅子の生地までブラックに統一された精悍なモデルです。
希少な無垢材でありながら、あえて木の存在感を減らしたブラックというのも渋く感じます。

黒色は安価な樹脂製キーボードの定番なので、一見安物の据置型ピアノと間違われるかもしれません。
しかし木目が透けて見える半光沢の塗装になっていて、手で触ればプリントされた化粧繊維板とは違うことがわかります。

KIYOLA特有の4本脚も、黒色だとさらにスリムに際立って見えます。
現行モデルのシアーホワイトよりは、シア―ブラックのほうを定番色に加えてほしかったと個人的には思います。

元ホスト界の帝王、ローランド氏が住むROLAND HOUSEはモノトーン基調のクールなインテリアなので、KIYOLAのシアーブラック色ならばっちり似合いそうです。

ROLANDの本

名著『俺か、俺以外か。』の続編『君か、君以外か。』のなかに、ROLAND HOUSEの写真が掲載されています。

北欧家具と似合う

KIYOLAは足が板でなく、独立した円柱状になっているのもポイントです。
このおかげで見た目がかなり家具っぽくなっているため、北欧家具を中心にしたインテリアにも似合うと思います。

デンマークやフィンランドの家具は空間を広く見せるため、ソファやサイドボードであっても4本脚で下が抜けているものが多いです。
このほうがホコリもたまらず、掃除も楽だと思います。

さらに見た目をすっきりさせるためか、KIYOLAの3本ペダルは独立したケーブル接続になっています。
ここは賛否両論ありそうですが、私はペダルをめったに使わないので丸ごと外せてありがたいです。

スタンドにペダルを固定すると、デザインの自由度は大幅に制限されます。
グランドピアノのように上から支柱を下してくるか、床面近くに横材を設置、もしくは背面全体をパネルで覆うかたちになると思います。

あくまで見た目の家具らしさと空間の抜け感を優先して、KIYOLAは独立式のペダルユニットを採用したように思われます。

機能は大幅に省略

カリモクが他社と手がけた商品といえば、イトーキのvertebra03 WOODを思い出します。
オフィスチェアの背と座に国産のクリ材を使用したもので、通常のファブリック・クッション版より価格が倍くらいに設定されています。

KIYOLAもローランドの同等スペック製品よりはるかに高級で、上位シリーズのLX-5やLX-6より高値で販売されています。
外観がすばらしいとはいえ、鍵盤も音源もワンランク下で、スピーカーのアコースティック・プロジェクション機能とヘッドホン・3Dアンビエンスも省略されています。

外観重視のためか、有機ELやLCDのディスプレイも備えていません。
ボタン類は鍵盤の左側、狭いパネルに集約されていて、スピーカーも目立たないよう本体底面に隠されています。

音色は6つだけ

「操作ボタンが少ない」というデザイン上の制約もあってか、KIYOLAの音色はわずか6つしかありません。
ほかの据置型LXとHPシリーズは300音色以上、ポータブルの最安FP-10でも15は音色があるので、思いきった割り切りです。

GO:PIANO88の4音色よりはかろうじて多いですが、40万円の高級ピアノとしては大胆な仕様といえます。
このメリハリというか引き算のコンセプトがむしろローランドらしく、おかげで上面パネルのガジェット感を減らせています。

こうした細かい工夫の積み重ねも、グッドデザイン賞の受賞につながった一因かと思います。

ピアノ用の椅子

ピアノはたいてい座って演奏するため、椅子も不可欠なパーツの一部といえます。

KIYOLAは椅子もカリモクによって、専用のものがセットで販売されています。
カシオも椅子だけですが、家具メーカーとコラボした専用品をPrivia最上位モデルのために用意しています。

KIYOLA専用椅子

KIYOLAの椅子はピアノ本体と同じく4本脚で、素材も同じなので統一感があります。

見た目はすっきりしたスツールのようですが、ピアノ用なのに「高さ調整ができない」という強気の設計になっています。
シートハイは52cmで、普通の国内向けダイニングチェアに比べると5cmくらい座面が高いです。

後部が盛り上がったクッション形状は、骨盤を立てるサポート機能をそなえています。
クッション材も高密度のウレタンが使われているらしく、ネット通販の安物とはぜんぜん品質が違いそうです。

椅子の張地については記載されていませんが、カリモクが得意とする高品質の合皮でないかと思われます。

これだけのスペックでカリモク製なら、椅子だけでも4万以上しておかしくない代物です。
背もたれこそありませんが、デスクでの作業やダイニングテーブルでの食事にも兼用できそうな、しっかしした構造のスツールに見えます。

カシオのピアノ椅子

カシオの据置型ピアノはオーソドックスなデザインですが、広告用の写真には高級家具メーカーの製品を採用してイメージアップを図っているようです。
カタログを見るとACTUS、ASPLUND、MASTERWALなど家具ショップ/メーカーの撮影協力クレジットが見られます。

そしてカシオのポータブル最上位PX-S7000向けに、付属のスタンドと色味や形状を合わせた専用スツールが販売されています。
ローランド×カリモクと同じく、福岡県の関家具(CRASH GATEブランド)と共同開発されたピアノ椅子です。

こちらのテレビCM動画でも、さりげなく専用椅子が使われています。

カシオの「ピアノスツール CC-7」は、ローランドのKIYOLA付属チェアと異なり、昇降機能も付いています。
座面を回転させるタイプなので昇降に時間がかかりそうですが、可動域は490~565mmと広めに75mmは確保されています。

ピアノ専用のチェアとして、シートが円形なのはめずらしいと思います。

演奏するポジションに合わせて体を横に移動するのは不便そうですが、省スペースで使わないときも場所をとりません。
また座面が回転するので、座ったまま体の向きを変えられるメリットがあります。

定価は税込49,500円とそこそこするものの、こちらもつくりがしっかりしていてピアノ演奏以外の用途に兼用できそうです。

カシオのスツールはPrivia専用という外観ですが、単体で販売されているため、ほかの電子ピアノにあわせることもできます。

LUMEと似ている

カシオのCC-7と同じ構造の円形昇降チェアとして、関家具と同じ福岡県大川市にある、広松木工のLUMEスツールも活用できそうです。

昇降範囲は460~600mmとカシオ製チェアより大幅に広く、座面を外せばサイドテーブルとしても活用できるアイデア商品です。

オイル塗装かつネジ部分も木製なので、木の質感にこだわるかたに向いています。
タイ製ですが定価は3万円台と安く、ビーチ以外にオーク、チェリー、ウォールナットの素材も選べます。

プリヴィアとの統一感を気にせず他機種で利用するなら、LUMEスツールをピアノ椅子として購入してもいいかもしれません。

]]>
YAMAHA、KAWAI、ROLANDの安いピアノhttps://bofuo.net/yamaha-kawai-roland/Sun, 16 Feb 2025 01:00:01 +0000https://bofuo.net/?p=1951

コルグLianoの次に買ってみたい、電子ピアノを調べてみました。 ヤマハやローランドといった国内大手の楽器メーカーには、数十万もする高級モデルが多くラインナップされています。 上を目指せばきりがなく、鍵盤や音源などの繊細 ... ]]>

コルグLianoの次に買ってみたい、電子ピアノを調べてみました。

ヤマハやローランドといった国内大手の楽器メーカーには、数十万もする高級モデルが多くラインナップされています。
上を目指せばきりがなく、鍵盤や音源などの繊細な違いを体感できるか自信もありません。

ひとまず身の丈にあったレベルとして、予算5~10万円くらいのミドルレンジを中心に検討してみました。
Lianoを買うときに迷った廉価モデルもご紹介します。

本記事のリンクには広告が含まれています。

楽器界の王者ヤマハ

ヤマハはコンサート用のグランドピアノからコンパクトなアップライトピアノまで、アコースティックピアノの製品ラインナップが豊富です。

またデジタル技術を組み合わせたサイレントピアノやトランスアコースティックピアノなど、ハイブリッドな構造のピアノも手がけています。
さらにディスクラビアという自動演奏ができるタイプもあります。

本物志向の高級製品から、入門用のキーボードまで幅広く取り揃えているのがヤマハの特徴です。
「10万以下のピアノタッチ鍵盤」としてはPシリーズが候補になります。

持ち運べるPシリーズ

ヤマハのClavinova、ARIUSは据置型の電子ピアノで、ポータブル型はPシリーズもしくはステージピアノが該当します。

シリーズ名の「P」はPortableの略かと思います。
型番が上がるほど高機能になるラインナップで、ローランドのFPシリーズやカシオのPriviaと同ランクの製品群です。

PシリーズはすべてGHC鍵盤以上のハンマーアクションを搭載しています。
鍵盤・音源スペックは価格相応で、P-525までいくと「グランドタッチ-エス鍵盤」に加えヤマハCFX/ベーゼンドルファーインペリアルサンプリングの音源が付く豪華版となります。

最上級のP-525でも10万円台で手に入るのは、案外リーズナブルといえそうです。
ヤマハの据置型でいえば、アリウスを超えてクラビノーバのミドルレンジに相当します。

最安のP-145および鍵盤上部が光るナビゲーション機能の付いたP-S500は、Bluetoothが付いていないのでご注意ください。
それ以上の機種はすべて搭載しています。

やはり鍵盤・音源にこだわってヤマハのPシリーズを選ぶなら、中間クラスのP-225以上で検討したいところです。
バランスのよいP-225は5万円台から購入できるので、7万円以上するローランドFP-30Xよりお買い得といえます。

バイノーラル録音

ヤマハの電子ピアノにもヘッドフォン使用時の臨場感を向上させる「ステレオフォニックオプティマイザー」という機能がそなわっています。
カシオの「ヘッドホンモード」や、ローランドの「ヘッドホン・3D・アンビエンス」に相当する音場表現技術のようです。

カシオの場合はPriviaのPX-S6000以上とCelviano、ローランドはFP-60X以上の高級モデルにしか搭載されていない機能です。
ヤマハの場合はP-145も含めたPシリーズ、アリウス全機種にデフォルトでそなわっていて良心的に感じます。

P-525になるとさらに上位の「CFXバイノーラルサンプリング」が搭載されています。
CFXグランド音源のみの対応ですが、演奏者の耳の位置でマイク収録しているので臨場感は高そうです。

「ステレオフォニックオプティマイザー」のほうは「バイノーラルサンプリングに近い…」と説明されているので、疑似的な再現技術と思われます。
どちらもカタログ上は「おまけ機能」といった扱いですが、ヘッドフォンで練習する時間が長いかたには、有利かもしれません。

ポータトーンの再評価

カシオトーンと双璧を成す低価格キーボードのポータトーン(PSRシリーズ)は、30年くらい前に所有していました。
マイナーチェンジを重ねながら今でも販売され続けているのは、最安キーボードの手堅い需要があるからでしょう。

あらためて調べると、ポータトーンも1~2万円の格安品とはいえ、各種機能が充実しています。

最安のPSR-E283でもAUX IN端子が付いていたりします。
音色数は410以上あり録音機能もついていて、乾電池での駆動も可能です。

ただしカシオCT-S1-76のように鍵盤数が多いバージョンはなく、PSRはすべて61鍵のみです(ミニ鍵盤のPSSシリーズは37鍵)。
後述のピアジェーロであれば、76鍵のNP-35が存在します。

ポータトーンとカシオトーンに共通する地味なデメリットは、「低価格モデルのパネル表記が日本語という点」です。
PSR-473以上は英語表記の上に和文シートがつくので外せますが、PSR-E283とE383は本体にがっつり日本語がプリントしてあります。

各ボタンの説明が日本語なのは、親切でわかりやすいとはいえ「見た目的にダサい」と考える人も多いでしょう。
私もそのクチです。

パソコンのキーボードに使わない日本語が書いてあるのは嫌なので、わざわざFILCOの「かな印字なし」モデルを選んでいました。
最近は英語配列に変えて、アルファベットがキー前面に印字された、さらにシンプルなMajestouchのNINJAモデルを使っています。

FILCO

見た目がいいPiaggero

ピアジェーロは見た目が電子ピアノですが、中身はポータトーンの機能限定版、鍵盤もバネ式という安価なシリーズです。
ただし操作パネルがシンプルで、説明も英語表記のおかげか、あまり安っぽさを感じさせないデザインといえます。

61鍵のNP-15と、76鍵のNP-35の2種類あり、ローランドGO:PIANOのような88鍵モデルはありません。
ピアジェーロはあくまでお試し・入門用という感じで、88鍵が欲しいなら上位のPシリーズをどうぞ、という住み分けのようです。

NP-35のほうのみ「グレードソフトタッチ鍵盤」という機能が搭載されています。
これは「低音部ほど鍵盤が重い」というだけの意味で、ハンマーアクションではありません。

ピアジェーロも昔からあるロングセラー商品で、ちょうどLianoを購入した2023年に新バージョンが発表されました。
店頭で試してみたところ、「グレードソフトタッチ」のせいか、Lianoに比べると鍵盤は重く感じました。

新型ではスピーカーの性能が強化され、音色も前モデルの10種類から15種類に増えています。
細かいところではLEDが3色になったり、外観のデザインも微調整されたようです。

  • とりあえずピアノを弾いてみたいけど、続くかわからない
  • ポータトーンのガジェット的な見た目は苦手、シンプルなピアノがいい
  • 複雑な機能や拡張性は必要ない、音色も少なめでOK

こういうかたにマッチするのがピアジェーロといえます。
76鍵ならカシオトーンにもありますが、価格の安さではNP-35が勝ります。

高価なハイブリッドピアノ

据置型で予算オーバーですが、ヤマハが出している特殊構造のピアノも調べて見ました。

「サイレントピアノ」というのはその名のとおり、ヘッドフォンを使った消音演奏が可能なピアノです。
既存のアップライトピアノに後付けできる消音ユニットという、アイデア商品も販売されています。

「トランスアコースティック」はさらに進んで、音量調整ができるアコースティックピアノです。
音源はデジタルながらスピーカーがなく、ピアノ本体の響板を振動させるという離れ業を実現しています。

「アバングランド」シリーズは鍵盤機構だけ生ピアノと同じで、ゴージャスなスピーカーがついた「ほぼ電子ピアノ」です。
構造的にシンプルなため上の2つより価格が安く、サイズもコンパクトになります。

いずれの機種もヘッドフォン接続を可能にしただけでなく、USB録音やBluetooth接続の便利機能も搭載されています。
音色もエレピやオルガンなどいろいろ選べて、「構造はアコースティックでも機能はデジタル」という、いいとこどりの製品といえます。

消音機能の必要性

田舎の一軒家といえども、夜間はピアノの音がはばかれるかもしれません。
消音・ヘッドフォン機能は時代のニーズと日本の住宅事情にあわせた、国内メーカーならではの工夫といえそうです。

ハイブリッドピアノは、あくまで本物の感触を追求するプロ向け、もしくは富裕層向け趣味のアイテムと考えられます。
200万を超えるSH3やTA3が買える余裕があり、さらに大型ピアノを置ける広い家に住んでいるなら、普通の生ピアノでよさそうな気もするのですが…

都市部のタワーマンションなど、豪邸だが集合住宅で音漏れが気になるとか、ニッチな需要に対応した製品群なのかもしれません。

]]>
KORG、CASIOほか10万以下の電子ピアノhttps://bofuo.net/korg-casio/Sat, 15 Feb 2025 02:00:45 +0000https://bofuo.net/?p=1977

コルグの安い電子ピアノLianoを使っていると「もっと音色の数が欲しい」「重い鍵盤も試してみたい」と物足りなく感じるときがあります。 88鍵のLianoを使いこなせるようになったら、さらなる上位機種にアップグレードするこ ... ]]>

コルグの安い電子ピアノLianoを使っていると「もっと音色の数が欲しい」「重い鍵盤も試してみたい」と物足りなく感じるときがあります。
88鍵のLianoを使いこなせるようになったら、さらなる上位機種にアップグレードすることも考えています。

  • 本格的なハンマーアクション鍵盤
    …本物のピアノに近い打鍵感
  • Bluetoothでスマホと無線接続できる
    …練習曲に合わせて弾いたり、外部スピーカーとしても活用できる
  • スタンドと分離可能なポータブルタイプ
    …引っ越しや模様替えの際に、ひとりで運べる
  • 予算は10万円くらいまで
    …高級モデルの違いを実感できるかわからない

といった観点から、候補のピアノを考えてみました。
メーカーはコルグとカシオの10万円以下、そして海外メーカーの廉価商品が中心です。

鍵盤がピアノタッチではありませんが、Liano購入時に検討した格安モデルもいちおう取り上げました。

本記事のリンクには広告が含まれています。

コスパで選ぶKORG

コルグの電子ピアノは「高くてもせいぜい10万円台」という、リーズナブルな品ぞろえが売りです(高機能のステージピアノを除く)。
今持っているLianoも88鍵、スタンド付きにもかかわらず3万円台で買えて、ずいぶんリーズナブルに感じました。

KORGの格安88鍵電子ピアノLianoレビュー

品質・機能はもとより価格最優先で電子ピアノを選ぶなら、コルグは真っ先に検討すべきメーカーです。

カラバリに特徴あり

コルグのピアノは機種によってカラーバリエーションが充実しています。

特に売れ筋らしきC1 Airはカラフルで、標準のブラック以外に木目調の黒や茶色、ホワイトやレッドと、奇抜な色が用意されています。
据え置き型で白いピアノは他にもありますが、真っ赤な筐体は唯一無二の存在です。

Lianoもいつの間にかブラック以外に、ブルー、レッド、シルバー、グレー、ホワイトと5種類も色が増えていました。

白以外はメタリック塗装で、バンドのライブやステージでの見栄えを意識したカラーリングかもしれません。
88鍵にしては6kgと軽いLianoなら、外に持ち運んで人前で演奏することも可能だと思います。

コルグは過去にもLP-380という機種で、135通りのカラーバリエーションというカスタムサービスを提供していました。
基本カラーは8つですが、パーツごとに色を選んで組み合わせられるというアイデアは、ピアノ業界でほかに見たことがありません。


参考
LP-380に135のカラー・バリエーションから選べる「Custom Color Order System」新登場。KORG

新製品のPoetryでは反対に「ウォールナット風のミドルブラウン1種類のみ」という、硬派な設定になっています。

ショパンを意識したコンセプトにレトロな茶色は似合っていますが、ツヤありブラックという高級ピアノの定番カラーを排したのは潔いといえます。

他社製品でもローランドGO:KEYSやカシオCT-S1のように、ポータブル型ならカラフルなキーボードは存在します。
カシオはPX-S7000という最上位機種で、「ハーモニアマスタード」という、くすんだ黄色を用意しているところが、コルグとちょっと似ています。

ピアノにはインテリアとしての側面もあるので、好きな色を選べてよろこぶユーザー層も多いと思います。
自分も設置スペースがあって大型のピアノを買えるなら、黒ではなくナチュラルな木の色を選びたいと思っています。

予算度外視、見た目だけで据置型ピアノを選ぶなら、ローランドのKIYOLAとヤマハのTORCHを候補に考えています。
この2製品は数あるインテリアピアノのなかでも、デザイン性と素材・製法へのこだわりが異次元です。

ヤマハの木製電子ピアノTORCHが気になる

KORGの鍵盤は3種類

Lianoの上位機種にはB2シリーズ、C1 Air、G1B Airなどがあります。
音源はステージピアノ以外すべてステレオPCMとシンプルなわりに、鍵盤は以下の3種類が用意されています。

  • NT(ナチュラル・タッチ)鍵盤…B2N
  • NH(ナチュラル・ウェイテッド・ハンマー・アクション)鍵盤…B2、B2SPなど
  • RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)鍵盤…C1 Air、G1B Airなど

NT鍵盤はB2シリーズの廉価版B2Nにだけ搭載されていて、B2のNH鍵盤より軽いというのが気になります。

どちらも「低音から高音に向けて鍵盤が軽くなるハンマーアクション」という説明だけで、具体的な構造の違いがわかりません。
もし価格相応にLianoのLS鍵盤と同レベルなら、強いてB2シリーズに買い替える必要性はなさそうです。

LianoのLS鍵盤

LianoのLS鍵盤

RH3はコルグの最高級鍵盤で、高級シンセのKRONOSに採用されているものと同じです。
「下手なアコースティックピアノより上質」という評判もあり、せっかく買うならC1 Air以上、RH3鍵盤とBluetooth搭載モデルを選びたい気がします。

ステージピアノのSV-2もRH3鍵盤で、さらに「ベロシティ・センシティブ」と書かれています。
普通のRH3より進化したバージョンなのかもしれませんが、情報が少なく詳細はわかりません。

美山町の日本製

RH3鍵盤を搭載したコルグの上位機種は、「日本製」というのも売りです。

京都の美山町という茅葺きで有名なエリアにある、​宇治電器工業の工場で生産されています。
美山町は自転車のイベントでも有名な町なので、いつか行ってみたいと思っています。

日本製にしては価格もそれほど高くないのが不思議ですが、なんとなく品質に安心感を持てます。
水や空気のきれいな場所でつくられたピアノは、音もよさそうなイメージがあります。

製品のクオリティーだけでなく、地方の経済活性や雇用促進に興味があるなら、コルグを選ぶ理由になりそうです。

Bluetooth搭載は希少

コルグ製品で名前に「Air」とつくのは、Bluetooth搭載という意味のようです。

今のところコルグの電子ピアノでBluetooth対応なのはC1 Air、G1B Airと新発売のPoetryのみになります。

B2シリーズやD1、SV-2、Grandstage Xといった高価格帯の製品にも、残念ながらBluetoothはついていません。
ポータブルタイプでBluetooth付きの機種がないのはコルグの弱点です。

B2シリーズには代わりに3.5mmジャックのAUDIO INがそなわっています。
LianoやLP-380UにもUSBの入力端子は付いています。

古いMP3プレーヤーを持っていたりして、「有線接続のほうが手軽で安心」というかたには向いているかもしれません。
変換ケーブルを用意すれば、iPhoneからUSB経由で音声を入力することもできそうです。

外部入力にはあまり関係なさそうですが、Bluetoothの無線通信には遅延が生じるデメリットもあります。
有線接続の手軽さとコストダウンの観点から、コルグはあえてミドルレンジ製品にもBluetoothを採用していないのかもしれません。

最安B2シリーズ

価格とスペックのバランスからすると、B2とC1 Airが売れ筋かと思われます。
据え置き型でLP-380U、LP-180といった機種もありますが、スペックの違いがいまいちわかりにくいです。

B2シリーズの共通スペックとして、音色数は12と少なめながらLianoの1.5倍用意されています。
Lianoと違ってAUDIO IN端子も付いています。

またB2にSTB1という別売りの専用スタンドを付ければ、据え置き固定型のように変更できます。

STB1はLiano付属JamStandsのような、見た目の安っぽさがなく、安定感もよさそうです。
B2SPの場合は、最初からスタンドと3本ペダルが付いています。

専用スタンドが別売りで、汎用のキーボードスタンドも選べるというのは親切な設定に思われます。
据置型と違って鍵盤の蓋こそないですが、見た目はすっきりしてインテリアになじみそうです。

BluetoothなしのB2は不人気なのか、Lianoとたいして変わらない3万円台まで値下がりしていました。
さらに鍵盤スペックが中途半端なB2Nは、上位モデルなのにLianoより安く売られていたりします。

いちおうハンマーアクションでピアノらしい鍵盤をそなえたB2シリーズは、電子ピアノのなかでも最安価格帯です。
ぎりぎり10万円以下でRH3鍵盤やBluetooth搭載のC1 Airも手に入りますが、価格最重視でピアノを選ぶならB2もありだと思います。

]]>
Liano付属のX型スタンド高さ調整方法https://bofuo.net/jamstands/Tue, 04 Feb 2025 06:00:15 +0000https://bofuo.net/?p=1881

KORGの電子ピアノLiano(型番L1SP)についてくる、キーボードスタンド(Ultimate JamStands JS-XS300)の調整方法をご紹介します。 JamStandsは簡素なつくりの安いスタンドで、演奏時 ... ]]>

KORGの電子ピアノLiano(型番L1SP)についてくる、キーボードスタンド(Ultimate JamStands JS-XS300)の調整方法をご紹介します。

stand

JamStandsは簡素なつくりの安いスタンドで、演奏時の揺れが激しいです。
またピアノ本体を固定する初期位置が高めに設定されているので、昇降式のスツールやデスクチェアがないと弾きにくそうです。

座高低めのダイニングチェアに合わせるため、結束バンドを使ってスタンドの高さを下げてみました。
スタンドを低くすると、そのぶん重心が下がって揺れも減るという副次効果を得られました。

※スタンドの改造は危険をともなうので、自己責任でお願いします。

本記事のリンクには広告が含まれています。

JamStandsの特徴

コルグのLianoは88鍵にしては価格が安く、コンパクトで重量も軽いのが特徴です。

鍵盤のタッチも軽めなので、「フルサイズは欲しいがピアノの重い鍵盤が苦手」というニッチな需要に対応したユニークな製品です。
さらに「3万円台の格安電子ピアノにスタンドまで付いてくる」というメリットに惹かれて購入しました。

KORGの格安88鍵電子ピアノLianoレビュー

付属のスタンドはUltimate SupportのJamStands(JS-XS300)という製品で、実は単体でも販売されています。

JamStands

Amazonの実売価格は3,200円くらいなので(2025年2月現在)、それほど豪華なおまけというわけでもありません。

支柱が細くて揺れる

Lianoに付いてくるキーボードスタンドは、はじめて使うX型タイプでした。
見た目はすっきりしていますがトリッキーな構造なので、強度や調整方法にくせがあります。

X型の支柱は長方形断面のスチール製で、構造的な強度はLianoを載せるのに必要最小限という印象です。
スペック上の耐荷重は45.4kgもありますが、大型キーボードを載せるのはちょっと不安な気もします。

stand

ふつうに弾いていても結構ぐらついて、特に前後方向に大きく揺れます。
脚のパイプは長さがあるので、演奏中に倒れてきたことはさすがにありません。

JamStands

そもそも折りたたみ式で完全に揺れないキーボードスタンドというのは、存在しないのかもしれません。
スタンドの重さと安定性はトレードオフなので、軽くして可搬性を上げれば、ある程度ぐらつくのは仕方ないといえます。

JamStands

JamStandsのなかでも軽量タイプのJS-XS300は、Lianoの製品コンセプトと予定価格に合わせた選ばれたのでしょう。
軽さ・安さというメリットと引き換えに、多少の不安定さは許容すべきかもしれません。

組立が難しい

スタンドの組み立て方法について、日本語の説明書もちゃんとついています。

JamStands

ただXバーの端部につけるパイプは、長さと向きに微妙な差があります。
何も考えずに取り付けると、前後の長さがずれたりします。

JamStands

説明書をよく読むと、パイプのねじ止め部分から前後の長さが違うとわかります。

JamStands

何度か組立・分解をやり直して、やっとマニュアルどおりの形に仕上がりました。
イケアの家具を組み立てるのより手間取った気がします。

JamStands

スタンドは完成したものの、設計上、前後のパイプ長さに微妙なずれがあるのは気持ち悪いです。

スタンドを壁にぴったりつけると、ピアノが斜めになってしまいます。
ピアノ本体を壁と平行にセットするには、パイプの一端を壁から離す必要があります。

JamStands

Xバーの幅のぶんだけ前後にずれている感じですが、端部をそろえるデザインにはできなかったのでしょうか。

X型の支柱から同じ長さだけ脚パイプが伸びているほうが、安定することは間違いないです。
ただし前後に数センチ長さを変えたとしても、強度に問題はないと思います。

X型スタンドの欠点

椅子に座ってLianoを弾いてみると、X型スタンドが足に当たって収まりが悪いと気づきました。
演奏不可能ではないですが、鍵盤からやや離して椅子をセットするか、股を開いて座る必要あります。

Korg Liano

似た構造のZ型やH型のキーボードスタンドもX型と同様、横材が足に干渉するおそれがあります。
オットマンに足を乗せて、だらけた姿勢で弾いたりする自由度はありません。

JamStands

その点では、昔持っていたコの字型スタンドのほうが便利でした。
スタンドの幅も足の長さも個別に調整できて、さまざまな鍵盤数に対応することもできます。

自宅で椅子に座って弾くことが多いなら、多少値が張っても「コの字型スタンド」をおすすめします。
同じくUltimateのJamStandsシリーズから選ぶなら、型番JS-MPS1という製品が販売されています。

Lianoに付いてきたX型スタンドも使えないことはないとはいえ、せいぜい3千円程度のおまけです。
もしスタンドなしのモデル(L1)を安く買えるなら、使い勝手のいい別の製品と組み合わせるのもありです。

高さ調整できない?

JS-XS300のカタログによると、高さの調整範囲は640~959mmとされています。

スタンドの中央部に連結バーがあり、ここの大型ノブを回せして外せば、工具なしで高さを調整できます。

JamStands

ただスタンドはLianoの底面と金具で連結するようになっています。
そしてLiano側のネジ穴が一組ずつしかないため、実質的には「高さ固定」で使う設計になっています。

JamStands

このデフォルト設定だと、床から鍵盤の上面まで約76.5cmの高さになります。
日本向けのテーブル、デスクは、天板の高さがだいたい70cmになっているので、それよりかなり高いです。

JamStands

座面の高さ43cm程度のダイニングチェアを合わせると、鍵盤が高すぎてきゅうくつでした。
作業面との差尺が短いせいか、長時間弾いていると肩が疲れたり、お腹が痛くなったりします。

Korg Liano

また76.5cmの鍵盤高さだと、大人が立って弾くにも低すぎる感じです。
普通の椅子にも立奏にも合わせにくい、中途半端な高さという印象です。

ピアノに合わせる椅子

Lianoにあわせて椅子の上にクッションを重ねれば、シートの高さを調整できます。
ただ座面がフワフワしていると、安定した姿勢を保てず演奏しにくい気がします。

安価なLianoには高級ピアノのように、高さ調整できる椅子までは付いてきません。
中途半端な高さのスタンドに合わせるため、昇降機能のついたデスクチェアもしくはスツールを使うという手もあります。

昇降スツールの使用感

ピアノの練習用も兼ねて、サンワサプライのコンパクトなスツール(型番 SNC-T134BKN)を買ってみました。

これで座面を上げて、リラックスした姿勢で弾けるようになりました。
ただクッションが厚くて快適な反面、演奏するにはやや不安定な椅子です。

Korg Liano

またキャスター付きなので演奏中、弾いているパートに合わせて左右に動けるのは便利です。
しかし椅子がぐらぐらするという点では、かえって落ち着かない気がします。

Korg Liano

ためしに大型のデスクチェアをピアノに合わせてみました。
イトーキのActというそこそこ高級なメッシュチェアで、ひじ掛けの可動範囲が大きいため、演奏のさまたげになりにくいです。

Korg Liano

快適性は抜群ですが、弾いているときは背もたれやアームを使わず邪魔なだけです。
また座面のクッションが厚く、キャスター付きで動くという面では、昇降スツールと同様に不安定な印象を受けました。

ピアノ専用椅子の利点

やはりピアノやエレクトーンに付いてくる幅広の固定椅子が、楽器演奏には最適なのだろうと思います。
座面が広いので座る場所の自由度が高く、普通の固定脚でぶれずに安定します。

快適性と作業性を両立させるなら、はじめからピアノ専用の椅子を買ったほうが早かったかもしれません。

ピアノ椅子にもX型で高さ調整できるタイプが存在します。
4本足の普通のチェアより価格も安いです。

]]>