ゆうちょ銀行の法人口座で「ゆうちょ認証アプリ」を導入すると、「1日の送金限度額」が5万円に制限されます。
法人は運転免許証などの書類による本人確認ができないため、アプリやウェブからは限度額の引き上げができません。
試行錯誤して銀行窓口で相談したところ、送金限度額変更届書を提出すれば制限解除できる(要審査)とわかりました。

窓口に行けば限度額アップできるよ
(追記)
スマホを機種変更する際「ゆうちょ認証アプリ」の内容は引き継げないとわかりました。
新しいスマホにアプリをセットアップすると、送金限度額もまた1日5万円に下げられてしまいます…
再度ゆうちょ銀行窓口に出向いて、書面での手続きをやり直す必要がありました。
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ゆうちょ認証アプリの罠
無料で使えて一見便利な「ゆうちょ認証アプリ」
法人口座で使うと必ずはまるのが送金限度額の制限です。

法人は本人確認できない
ゆうちょ認証アプリの設定時に、「書類による本人確認」をスキップすると、1日の送金限度額が5万円に制限されてしまいます。
そして法人口座の場合は、そもそもスマホでの本人確認ができないため、この手続きはスキップするほかありません。

社長の運転免許証などを読み取らせても、エラーになってしまいます。
ほかに「登記簿謄本をスマホで読み取る」といったような法人向けのオプションも、今のところは用意されていません。
それまでゆうちょダイレクトで多めの送金限度額を設定していたとしても、法人が認証アプリを使ったとたん、1日5万円に強制リセットされてしまうのが難点です。
5万以下なら問題ないが…
そのままでも1日5万以下ならオンラインで振り込みできるため、少額の取引しかなければ問題ないかもしれません。
私の場合、毎月の給与支払いが5万以下なので、しばらくは限度額に引っかかることはなく振り込みできていました。

ただこれは社会保険料を軽減するため、意図的に報酬を下げていたおかげです。
自分の月給を月額63,000円未満の1等級におさえているので、健康保険料と厚生年金保険料の折半額を差し引くと、手取りが5万円を下まわるという状況です。
1日の送金限度額が5万しかないと、一般的な会社では使い物にならないと思います。
送金限度額のエラー
たまたまゆうちょ銀行経由で投資用の資金を振り込もうとした際、上限額のエラーが出ました。
画面には「エラー種別 P021送金限度額 50,000」というメッセージが表示されています。

実は認証アプリを入れてから数か月、ゆうちょダイレクトを問題なく使えていたので、送金限度額があることを忘れていました…
認証アプリの登録情報を振り返ると、
「ご本人様確認 電話・認証のみ」
「一部のサービスは、制限されています」
と赤字で警告も出ていました。

ゆうちょダイレクト側の「ご利用状況」を確認しても、
「eKEY本人認証:未実施(制限あり)」
と表示されています。

限度額の引き上げ方法
ゆうちょダイレクトのメニュー画面をたどっていくと、「各種手続等→ご登録内容 確認・変更」から送金限度額を変更することができます。

オンラインでも50万までは引き上げ可能となっていますが、手続きには認証アプリかトークン(ワンタイムパスワード生成機)が必要になります。
そして認証アプリを入れてしまった場合は本人確認が必須のため、やはり法人では上限額を5万円からアップすることができません。

さすがに不便すぎるので、法人口座で限度額を上げる方法をいろいろ調べてみました。
しかしゆうちょ銀行のウェブサイトやFAQには、法人の本人確認や制限解除に関する説明がどこにも見あたりません。
単純に思いつく解決策は、無料の「ゆうちょダイレクト」をやめて、有料の法人向け「ゆうちょBizダイレクト」に乗り換えることくらいです。
今回はトークンの電池切れをきっかけに認証アプリへ切り替えたのですが、もしかすると法人利用者を有料サービスへ誘導するための罠だったのではないかと勘ぐってしまいます。
限度額解除の代替手段
今まではゆうちょダイレクトでトークンを使って、1,000万円の上限まで問題なく振り込みできていました。
認証アプリの制限のため有料サービスへ切り替えるのは悔しいので、代替手段を考えてみました。
①銀行窓口で送金
ゆうちょ銀行の窓口に行けば、「1回あたり99億…円」と実質無制限で送金することができます。
ただし振込手数料は「5万円以上=880円」と高額で、ゆうちょダイレクトの「他行宛て165円(金額に関わらず)」の5倍以上かかってしまいます。
もし「ゆうちょBizダイレクト」のスタンダードプランを契約すると、初回5,500円、月額550円、さらに他行宛て振込も毎回165円かかります。
認証アプリ制限の5万以上を送金する機会がまれなら、その都度窓口で880円払って送金したほうがリーズナブルといえます。
ただし郵便局まで出向いて窓口で待たされたうえ、書類を書いたりハンコを押すという手間も発生します。
②トークン認証に戻す
ゆうちょ認証アプリの落とし穴ともいえる送金限度額ですが、単純に以前のトークン式に戻せないかと考えてみました。

それまでは振込上限を1,000万に設定していたので、問題なく使えていました。
いったん認証アプリに慣れると、トークンは不便に感じられますが、送金する機会はそれほど多くありません。
認証アプリを有効化すると、ゆうちょダイレクトの振込確認時にトークンは使えなくなり、アプリでのみ承認できるようになってしまいます。
ゆうちょダイレクトのメニューやオンラインの手続きでは、トークン認証に戻す手段はないようです。
いろいろ調べたところ、ゆうちょダイレクト自体を「書面で」再申し込みすれば、以前の認証方法に戻せるとわかりました。
ブラウザ経由の「Webかんたん利用申し込み」では、認証方法を変えられないそうです。
ゆうちょダイレクトの書面申し込みは、ウェブ上で作成した利用申込書を印刷し、郵送する流れになっています。

ためしに途中までやってみたところ、申請時に「1日の送金限度額」も設定できるのですが、フォーム上では上限が50万円になっています。
それ以上金額を上げたい場合は、窓口で手続きしたうえ「10日程度の審査期間」が必要と書かれています。

時間と手間はかかりますが、手順どおりに再契約すれば法人口座でも振込上限を上げられそうです。
さらに1,650円払ってトークンを手に入れれば、以前の認証方法に戻せるはずです。
③他の銀行に乗り換える
なにかと不便なゆうちょ銀行はあきらめて、ほかの銀行を使うという選択肢も検討してみました。
自分はもうひとつ、三菱UFJ銀行(MUFG)に法人口座をもっています。
こちらも月額無料でBizSTATION Lightという、インターネットバンキングのサービスを契約しています。
MUFGの場合、BizSTATION(Lightも含む)オンラインでの振込手数料は、他行宛て3万円以上で660円になります。
ゆうちょダイレクトが165円なので、ちょうど4倍という感じです。
ゆうちょ銀行より手数料が高いのはネックですが、たまにしか使わないならありかと思います。
あるいはゆうちょ銀行よりさらに手数料の安いネットバンクで、新たに口座開設するのも手です。
GMOあおぞらネット銀行なら、「他行宛て3万円以上」の振込手数料が145円。
住信SBIネット銀行の場合は金額にかかわらず、他行宛ては145円で同額です。
どちらもゆうちょダイレクトの165円より20円安く利用できます。
他行への振込回数が多いなら、こうしたネット銀行をメイン利用したほうがお得かもしれません。
とはいえ、たまにしか使わない法人口座をむやみに増やすのも面倒です。
やはりこれまでどおり、ゆうちょ銀行で高額振込もできないかと思い、ダメもとで窓口に相談に行ってみました。
窓口相談で解決
ゆうちょ銀行であれば、どんな離島や片田舎にも支店(郵便局の貯金窓口)が存在して、法人口座の手続きもできるのは便利です。
最悪、窓口から手動で送金しよう思って最寄りの郵便局に行ってみたところ、認証アプリを使ったまま送金限度額を引き上げられるとわかりました。
事前に調べてきた、ゆうちょダイレクトの再契約や、トークンの有料再発行も必要ありませんでした。
送金限度額変更届
具体的な手続きとしては、「ゆうちょダイレクト送金限度額変更届書」に必要情報を書いて窓口で提出するかたちになります。

法人の住所・名称・電話番号と口座番号を記入して「1日の送金限度額」を指定、限度額変更の目的や資金の出どころ、送金頻度などを書く欄があります。
さらに銀行への届け印も必要になります。
法人口座の場合は、申請者本人確認のための運転免許証だけでなく、自身と会社の関係を証明できる資料を求められます。
とはいえ登記簿謄本ほど厳密な書類は必要なく(あれば十分ですが)、社名が書かれた名刺程度で済むようです。
限度額の引き上げには審査があり、1~2週間後に郵送で結果を知らせてもらえるそうです。
記入済みの届書については、控えとしてコピーをもらえました。
一度は限度額1,000万まで増やせた法人口座なので、今回の審査も無事に通るのではないかと思います。
結果がわかったらまたご報告します。
(追記)6~10日で審査合格
送金限度額の変更届窓口で提出した後、土日も含めて10日後に郵便が届きました。
キャッシュカードのように書留・手渡しではなく、普通にポストに入っていました。

書類に記載の日付は申請から6日後だったので、そこから自宅に届くまで4日かかった計算です。
もしかすると変更完了した6日後には、通知の到着を待たなくても限度額アップした状態だったのかもしれません。
さっそくゆうちょダイレクトにログインして確認したところ、1日の送金限度額は申請どおり1,000万円になっていました。

予定していた証券会社法人口座への送金も、設定した金額で問題なく受理されました。
手続きに時間はかかりましたが、なんとか以前の限度額に戻せてほっとしました。
法人向けの情報がない
ゆうちょダイレクトの設定画面をあらためて確認すると、送金限度額変更の注釈に以下のような文言がありました。

送金限度額を50万円超に引き上げる場合は、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口(簡易郵便局を除く)でお手続きください。
つまり本人確認できない法人口座であっても、窓口に行けば限度額を変更できるオプションが用意されていた、と解釈することができます。
それと同時に、
本人確認が行われていない場合、送金限度額の引き上げはできません。
という注意書きもあって混乱したのですが、どうやらこれはオンラインで最高50万まで上限額を上げる場合に適用されるルールのようです。
ゆうちょ銀行のFAQでは、法人口座でも認証アプリが使えるものの、書類による本人確認ができない送金額が制限されると、こっそり書かれています。
冷静に考えると、窓口に会社の代表者が銀行印を持ち込み、本人確認も済ませたとしたら、セキュリティー的には万全の状態です。
多額の振込でも送金限度額の変更でも、あらゆる手続きは可能と思われます。
状況をまとめると、
- 法人のトークン利用者が認証アプリに変えると、強制的に送金限度額が下げられる
- 送金限度額を元に戻すには、窓口で申請して再び審査を受ける必要がある
(審査中1~2週間は、ゆうちょダイレクトで1日5万までしか振込できない)
このあたりの仕組みがそもそも不親切なうえ、ウェブ上で丁寧に説明されていないところが問題と考えられます。
いろいろ調べて自己解決できるならいいですが、うっかり諦めて「ゆうちょBizダイレクト」を契約してしまう人も出てきそうな気がします。
(ゆうちょ銀行としては、それが狙いなのかもしれません)

そもそも法人口座なのに、無料のゆうちょダイレクトを使っている会社がまれな気もします。
もし同じ状況で困っているかたがいらっしゃったら、上記の手続きをご参考にしていただければ幸いです。
スマホ機種変更でやり直し
何となく嫌な予感はしていたのですが、スマホを変更してゆうちょ認証アプリを入れ直すと、送金限度額がまた5万円にリセットされてしまう問題が発生しました。
認証アプリは引き継ぎ不可
スマホ機種変更の際、モバイルSuicaであれば旧端末からいったんデータをサーバに退避して、新端末に取り込み残高などを引き継ぐことができます。
一方、ゆうちょ認証アプリにはこうした便利機能がなく、新しいスマホで最初から登録し直す必要があります。
この事実はゆうちょ銀行のFAQにも明記されていて、アプリの仕様のようです。
引き継ぎはできません。恐れ入りますが、新しいスマートフォンでゆうちょ認証アプリを再度、利用登録してください。
認証のため電話番号変更
ひとまず新端末でゆうちょ認証アプリをセットアップしてみます。
法人口座なので、前回と同じく「書類による本人確認」はスキップしなければ先に進めません。
さらにゆうちょ銀行に登録してある法人の電話番号が、IP電話(SMARTalk)のサービス終了により使えなくなっている、という別の問題に気づきました。
電話かSMSで確認コードを受け取れないと、アプリの設定を完了できません。

ゆうちょダイレクトの操作方法案内によると、住所・電話番号の変更には「ゆうちょ認証アプリまたはトークンが必要」と書かれています。
電話番号の変更前に認証アプリも使えない状態なので、デッドロックでは…?

そもそも法人はネットでの住所変更が不可なので、どのみち銀行窓口に行く必要があるように思われます。
いろいろ調べたところ、電話番号だけなら法人でもATMで変更できそうとわかりました。
ゆうちょダイレクトの画面では「住所・電話番号変更が可能な口座がありません」と表示されていたので誤解したのですが、電話番号のほうは書面手続き不要なようです。

結局、郵便局に行く必要はあったのですが、ATMにキャッシュカードを差し込み暗証番号を入力すると、登録情報変更のメニューがあり、新しい電話番号を設定することができました。
窓口でわざわざ書面を書く必要はなかったので、この点は助かりました。
ATMでの電話番号変更はすぐに反映されたようで、携帯番号のSMS経由で認証コードを受け取り、無事アプリのセットアップを済ませることができました。
送金限度額はリセット
新端末で認証アプリを使えるようになりましたが、予想どおり1日の送金限度額は5万円にリセットされていました…

しかも新しいスマホで認証アプリの利用を始めると、旧端末では同アプリが使えなくなります。
このタイミングで5万円を超える振り込みの必要があるとピンチです。

法人が送金限度額を変更するには書類申請→審査で数日かかるので、給与や支払いなど急ぎの送金がある場合は、機種更新を遅らせたほうが無難です。

再度書面で送金限度額変更
ここから先、送金限度額変更については前回と同じ手続きなので、銀行窓口でもらった書類に記入して提出しました。
結局ATMでの電話番号変更と送金限度額変更で、2回も郵便局に行く羽目になりました。
送金額変更の際は、本人確認の免許証のほかに登記簿謄本も持参しました。

窓口での申請後6日後にアプリを見ると、送金限度額が上限の1,000万円に変更されていました。
これでようやく新しいスマホから認証アプリを使って、給与の振り込みなど元通りできるようになりました。

その後、申請から9日後にはオフィスに送金限度額変更のお知らせが郵便で届きました。

郵送で通知が届く前に、ゆうちょダイレクトでは上限額アップしていました。
制限解除のタイミングが気になるかたは、申請後6日程度を目安に、こまめにアプリで状況確認すればよいかと思います。
まとめ
ゆうちょ認証アプリの送金限度額制限を解除する方法についてまとめました。
法人口座はオンラインで本人確認できないため、窓口に行って書面で変更届を提出する必要があります。
審査に時間がかかり、その間はゆうちょダイレクトで1日5万円までしか振込できなくなります。
認証アプリに切り替えるなら、給与振込や取引の少ない時期に余裕をもって手続きするのがベターです。
アプリかトークンか
現在トークンを使ってパスワード生成されている会社さんは、電池が切れるまで使い続けて構わないと思います。
いずれバッテリーが切れたとしても、1,650円払ってトークンを再発行してもらい、アプリ関連の余計なトラブルを避けるのも手です。

ゆうちょ認証アプリはスマホ単体で振込できて、便利な側面もあります。
出張先からゆうちょダイレクトで送金する必要があるかたは、トークンを持ち歩かなくて済むので有利かもしれません。
またアプリはトークンのように電池切れの懸念もなく、ずっと無料で使えます。
限度額変更については窓口で申請したうえ審査を受ける必要がありますが、それさえ済ませばもっともリーズナブルな認証手段になります。

長い目で見れば物理トークンは廃止され、認証アプリに一本化されそうな気がします。
とはいえ今でも紙の通帳が使えるゆうちょ銀行なので、デジタル認証への完全切替には、まだ数十年かかるかもしれません。
さしたるメリットや必要性を感じなければ、焦って認証アプリに切り替える必要はない、というのが今回いたった結論です。
トークン利用中のかたは、アプリ承認の導入について慎重にご検討ください。

