リーガルのアウトレット店で、Worth CollectionのV214というローファーを買ってみました。
素材が人工皮革で少し安く、手入れしやすいのがメリットです。
ただし本革のような伸縮性がないためか、足に合わず履くのをあきらめました。
サイズ選びにも失敗したせいか、かかとの皮が擦りむけて痛みます。
まともや失敗に終わったお買物…
リーガル廉価ローファーの反省レビューです。
リーガルのイメージ
リーガルコーポレーションは東証スタンダードに上場している、国内革靴メーカーの最大手です。
車でいえばトヨタのような、幅広い製品ラインナップを擁するブランドです。
高級車レクサスのように、SHETLANDFOX(シェットランドフォックス)という革靴マニアのおじさん向けハイエンド製品も販売しています。
クラークスやポロ ラフル ローレンのシューズを販売しているのも、実はリーガルだったりします。
有名なクラークスのデザートブーツも、リーガルの店舗で購入できます。
そういえば自分も若い頃、お金を貯めてクレープソールのブーツを買ったことがあります。
またリーガルは革靴以外にバッグやベルト、財布といった革小物も扱っています。
ナイロン製のビジネスバッグは意外とコスパがよかったのですが、最近は撤退されたようです。
オンラインショップには、ほとんど女性もののトートバッグしか見あたりません。
堅実なブランド
リーガル主力のビジネスシューズは、KENFORDという廉価ラインを除くと、定価で2万円以上します。
REGALと聞いて思い浮かぶ価格帯は人それぞれですが、自分のなかではそこそこ高級なブランドです。
少なくとも東京靴流通センターやABCマートといった量販店の革靴よりは、値段相応に素材や製法にこだわっていそうなイメージです。
昔の写真を探していたら、20代の頃に履いていたリーガルのスリッポンが出てきました。
革がよれよれになるほど履き込んだ形跡があります。
当時はリーガル正規のローファーでも、1万円代で買えた気がします。
スリッポンの履き心地はよく、さすが日本人の足型を考えてつくっているなと感心しました。
革靴の品質は外見からわかりにくく、長時間履いてみないと評価できないですが、リーガル製品は総じて外れが少ないように思います。
万人受けする
まわりの人に対しても、とりあえずリーガルを履いていれば「身だしなみに気をつかっているまともな人」という無難な印象をもってもらえそうです。
明らかな安物でもなく、嫌味な高級品でもない、万人受けする手堅いブランドだと思います。
若いのに高級な革靴を履いていると、上司や取引先からひんしゅくを買ったり、経済感覚を疑われたりしがちです。
大衆向けアッパーミドルのリーガルであれば、そんな心配も必要ありません。
リーガルのアウトレット
「そこそこ高い」イメージのリーガルですが、REGAL FACTORY STOREというアウトレット店舗も積極的に展開しています。
今回ご紹介するローファーも、三井アウトレットパークのリーガル店舗で購入したものです。
アウトレットといっても、半額や8割引きといった劇的な安さではありません。
たまにB級品も販売しているとか、2足まとめ買いすれば割引になるとか、その程度の違いです。
とはいえ地方ではリーガルの直営店自体がレアなので、アウトレットモールは実物を見られる貴重な場所といえます。
Worth Collectionとは
リーガルファクトリーストアのおもしろい点は、Worth Collection(ワースコレクション)という廉価ラインを扱っていることです。
見た目は普通のリーガルとほとんど変わらないのですが、生産国が中国だったりします。
“worth”(価値のある)というのは品質の高さではなく、「お財布にやさしい」という意味かと思われます。
革靴の違いがわからない
革靴の価格差は本来、木型や縫製、素材の違いにある程度連動していると考えられます。
ただし高価格帯になると、そうしたこだわりはマニアにしかわからない領域になります。
同じメーカーの製品でも、5万円のリーガルと10万円のシェットランドフォックスを比べて、2倍の品質差を実感できる自信が私にはありません。
高額製品になるほど、製造コストのほかに広告費やテナント料、人件費や諸々のサービス料が上乗せされてくると思います。
そう考えれば、本家リーガルとほとんど見分けがつかないWorth Collectionも案外お買い得に感じられます。
インソールにブランド名がプリントされているだけで、外からは廉価品とばれません。
店頭で説明を聞いて比べたかぎりでは、クオリティーの差もそこまでわかりませんでした。
中国製とはいえ、いちおうリーガルが品質管理しているのは安心材料です。
Worth Collectionが安いといっても、せいぜい数千円程度のお値引きなので、材料や製法にはそれなりに気をつかっているように思われます。
廉価ラインの実力を評価してみたい気持ちと、人柱になる覚悟で、あえて中華リーガルのローファーを選んでみました。
アウトレットのローファー
アウトレットで購入したローファーはV214というモデルです。
価格は税込17,600円でした。
リーガルブランドのローファーなら2万円は超えるので、KENFORDと同じくらい価格は抑えられています。
いかにもリーガルらしい正統派のコインローファーで、シルエットも細すぎず太すぎず、安定感があります。
製法がマッケイかグッドイヤーだったか忘れましたが、ソール交換にも対応できると店員さんからうかがいました。
本家リーガルのように、ライニングが防水ゴアテックスやクールマックスだったり、ソールがビブラムといったオプションはありません。
靴底はつるっとした感触のゴム製で、グリップ力は少々心もとないです。
人工皮革という素材
ローファーの素材は、あえて本革ではなく人工皮革のものを選んでみました。
日本製の人工皮革は進歩が目覚ましく、東レのウルトラスエード、エクセーヌ、アルカンターラなどは高級車の内装に使われるほどです。
リーガルの人工皮革は、帝人や山陽と共同開発したエコペットというリサイクル素材であるようです。
近年、天然皮革の原料となる牛の生産量が減ったなどの事情から、人工皮革への切り替えに力を入れているそうです。
見た目は革そのもの
アウトレットのWorth Collectionも国産の人工皮革かわかりませんが、外観の完成度は高いと思います。
革らしい質感や表面のシボ加工など、説明を聞かなければ天然レザーと見分けがつかないほどリアルです。
いかにも合皮といった安っぽさは、まったく感じられません。
人工皮革は昔からある合成皮革と違って、不織布にポリエステルやポリウレタンの樹脂層を重ねた構造になっています。
天然皮革を人工的に再現した構造で、通気性もあるのが特徴です。
安くて手入れが楽
革特有の通気性もあり手入れが楽で、値段が安くて見た目も本物らしいとなれば、人工皮革のメリットは絶大です。
自分は革靴の手入れが苦にならず、むしろ靴磨きが趣味といえるくらい楽しみです。
しかし一般的には、メンテナンスの手間が少ない方が喜ばれると思います。
もし革靴は人工皮革で十分となれば、ブラシやクリームなど靴磨きの道具はいらなくなるかもしれません。
たまにウェットティッシュで汚れを拭き取る程度で済むならば、維持コストも安く、収納スペースの節約にもつながります。
いつか履き心地を評価したいと思っていた人工皮革を、試せる機会がやってきました。
靴擦れが止まらない
V214のローファーを履いて外を歩いてみたところ、なんとなく足が窮屈な印象を受けました。
しばらくスニーカーやスリッポンといった楽なシューズばかり履いていたので、足が甘やかされて弱ってしまったのかもしれません。
久々に履いた本格革靴の固さに、体が耐えられなくなったような気もします。
購入したローファーのサイズは25.5センチでした。
いつも買うサイズよりひとまわり小さめですが、店員さんに見てもらいながら合わせたので、試着の際は問題ありませんでした。
靴のサイズ選びはこれまで何度も失敗しています。
時間をかけて慎重に合わせたつもりでしたが、微妙に小さかったようです。
せっかく買ったので我慢して履いていたところ、帰ってみたら踵の皮がむけていました。
皮がむけるということは、靴のサイズが大きくて足が動いていると推測されます。
あるいは買ったばかりでヒールの素材が固く、足になじんでないのが原因かもしれません。
革が伸びない可能性
かかとに絆創膏を貼ってしばらく履き続けてみましたが、違和感は解消されません。
今まで履いた革靴は、新品状態からしばらく経つと、体になじんでフィット感が増す傾向がありました。
革が水分を吸って柔らかくなったり、足に合わせて伸縮するからかと思います。
見た目は固そうなのに、履くと案外気持ちよくて、一日履いても蒸れにくいというのがレザーシューズのメリットです。
ソールも革製なら、さらに吸湿性が増します。
思うに人工皮革は天然皮革に比べて伸縮性にとぼしく、長く履いても足になじんでこないのかもしれません。
辛抱して履き続けましたが、かかとの擦れが解消されず、結局あきらめました。
靴擦れの原因は様々
靴擦れに悩まされるのは、スニーカーやランニングシューズではよくありますが、革靴では初めての体験です。
原因は人工皮革の素材ではなく、単にサイズが小さくてヒールの形状が足に合わないせいとも考えられます。
あるいは中国製のWorth Collectionが、国産リーガルより品質が低く、見えない部分で履き心地に影響を与えているのかもしれません。
類似品やサイズ違いを履き比べたわけではないので、真相はわからないままです。
フィッティングに失敗したとはいえ、本家、本革のリーガルよりは若干値段が安かったのが救いです。
V214のローファーは状態のいいうちに中古で売却しましたが、買取価格は5,000円もしませんでした。
差し引き1万円以上の出費で終わり、勉強代としては高くつきました。
人工皮革の経年変化
たった数回履いただけですが、アッパーに少ししわが残りました。
安い合皮に比べれば、しわの出方もだいぶ本物らしいといえます。
天然皮革とじっくり見比べても、違いがほとんどわかりません。
さらに1年くらい履き込んでみたら、また違った変化が出てきたかもしれません。
アッパーについた傷の見え方や、クリームによる修復の可能性についても興味はあります。
このローファーはもう手放したので検証できませんが、人工皮革はその構造上、劣化の具合も天然レザーと似通っているようです。
「見た目を天然皮革に近づける」というフェイクレザーの目的からすれば、おそろしくよくできた人工素材です。
撥水性は高い
V214はゴアテックスのように完全防水ではありませんが、人工皮革の性質上、アッパーはかなり水をはじきます。
糸の縫い目から浸水するおそれがあるとはいえ、ちょっとした雨なら濡れずに歩けました。
少々水をかぶったからといって、革が傷むような気配もありません。
「本革ほど水濡れに神経質にならなくて済む」というのも、人工皮革のメリットです。
通気性も多少は確保されているので、ゴム製のレインブーツより蒸れずに快適に履けます。
まとめ
リーガルのアウトレットで買ったWorth Collectionのローファーは、サイズが小さすぎたのか、足に合わないのが残念でした。
人工皮革は見た目がリアルで、手入れも楽になりそうだったのですが、普通の革より伸縮性に劣ると思われます。
靴擦れの原因は不明なままですが、数日履いても革がなじんでこないのは違和感がありました。
人工皮革が向いている人
やはり化繊のスニーカーが普及しても、革靴が履き続けられているのは、それなりに理由があるのだなと納得しました。
価格もそこまで劇的に安くなるわけでもないので、自分は人工皮革のシューズをもう買わないと思います。
合皮や人工皮革の靴は若干安いのがメリットですが、あくまで「日頃のメンテが面倒なひと向けの便利グッズ」という位置づけではないでしょうか。
仕事が忙しくて靴を手入れする余裕がない人には、時短アイテムとして役に立つのも事実です。
耐久性は本革に劣るかもしれませんが、価格は安いのでそのぶん、早めにローテーションすればコスパは同等です。
天然皮革がよい理由
ただ維持管理の手間も含めて天然素材の革製品が好きなかたには、あまり意味のない製品といえます。
合皮も人工皮革も最低限のクリーニングは必要だと思いますが、クリームで栄養を与えて「革を育てる」ような楽しみは味わえません。
倒錯しているようですが、道具についても人間関係においても「かけた手間の分だけ愛情もわく」という法則はあるようです。
リーガルのローファーもつくりやデザインはよかったのですが、結局のところサイズと素材選びで失敗した気がします。
あえて人工皮革のシューズを選ぶとしたら、本革のように伸縮しない性質をふまえて、少し大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。
スリッポンのほうが無難
ローファーを買うのは人生で初めてだったのですが、次第にアッパーの装飾が余計に見えてきました。
甲革に凹凸ができるため、ほこりもたまりやすく、ブラッシングが面倒です。
ローファーはブレザーと合わせたトラッドスタイルには似合う反面、一歩間違えると中高生の制服のように見えてしまうおそれがあります。
同じ靴紐なしのシューズとして、自分はよりシンプルなスリッポンのほうが好みかなと感じました。
べろにゴムが入っているものは、脱ぎ履きも楽です。
リーガルのスリッポンは過去に履きつぶした経験があるので、クオリティーの高さは確認済みです。
次に買うとしたら、アウトレットは避けてリーガル正規店で相談したいと思います。