GYOZA OHSHOで餃子とワインを嗜む

先日「京都モダン建築祭」というイベントに参加して、京都の御池通を歩いていたところ、たまたまGYOZA OHSHOというお店を発見しました。
中華料理の新しいレストランかと思いきや、調べたところ「餃子の王将」の新業態とわかりました。

連休前の夕方ということもあって、かなり混んでいたのですが、ひとりだったので案外早く案内してもらえました。
印象がよかったので、後日また訪れてオリジナルメニューも試してみました。

「餃子をつまみにワインやカクテルを飲める」という、バル風中華料理店の新しい楽しみ方についてレポートしてみたいと思います。

烏丸御池は京都の穴場

王将の公式サイトによると、GYOZA OHSHOは女性デザイナーが設計した、女性をターゲットにした新店舗とのことです。
今のところ東京・愛知・京都・兵庫の4か所に出店しているだけで、かなりレアなお店といえます。

京都の烏丸御池店は2016年にオープンしていたようなのですが、何度も京都に来ていたのにまったく気づきませんでした。

GYOZA OHSHOのテラス席

それもそのはず、GYOZA OHSHOは烏丸通と御池通の交差点から、1本西側の路地に入ったところにあります。
大通りに面した側の看板も控えめで、意識して見なければ飲食店とわからないくらいです。

GYOZA OHSHOの外観

そもそもこの場所は四条周辺の繁華街と二条城の間にある、観光的な空白地帯といえます。

御池通そのものが市役所やハローワークのある官庁街という感じで、お店の数は少なめです。
以前京都に住んでいたときも、御池通の烏丸周辺を歩く機会はほとんどありませんでした。

エースホテルと餃子の王将

烏丸通の四条~御池周辺オフィス街は、今まで餃子の王将が存在しなかったエリアです。

王将といえば、駅の高架下や幹線道路沿いにある男くさい大衆食堂というイメージで、京都では河原町店や山科駅前店が典型的です。

烏丸御池の付近はエースホテルやブルーボトルコーヒーが出店して、おしゃれなイメージに変わってきました。
この場所に進出する新店舗としてGYOZA OHSHOを選んだのは、自然な流れだったのかもしれません。

新風館

エースホテルが入った新風館

路地裏ですが地下鉄駅から遠すぎず、店構えも敷居が高すぎないというバランス感覚が、チェーン店の王将らしいといえます。
後述のインテリアやメニュー構成にも、その特徴がよく表れています。

餃子がGINZAに見える

新コンセプトのお店ですが、名前を漢字にすれば「餃子 王将」と直球勝負です。

ところがこれをアルファベットにしてみると、銀座の商業施設、GINZA SIXのような高級感が出てくるのは不思議です。
王将ブランドの知名度と看板商品の餃子をアピールしつつ、英語圏のインバウンドにも訴求できる絶妙なネーミングと評価したいです。

GYOZA OHSHOのロゴ

ちなみに王将の英語版はOSHOでなくOHSHOです。
餃子和尚というのもおもしろいですが、公式サイトの表記もドメイン名もすべてOHSHOに統一されています。

喫煙可能なテラス席

GYOZA OHSHOのエントランスには駐輪スペースがあり、自転車やバイクで訪れる地元の方にも親切な設計になっています。

また広めのテラス席が設けられていて、ヨーロッパのカフェのような雰囲気があります。
時間帯を変えて二度訪れてみましたが、オープンなテラスは外国人の方の利用率が高めでした。

GYOZA OHSHOの駐輪場とテラス席

屋外テラスは喫煙可となっていて、タバコを吸う人にもうれしいデザインです。
テラスの周囲にはビニールカーテンが用意されているため、雨の日や寒い時期にも活用できそうです。

和風モダンなインテリア

内装はモノトーン基調で、亀甲張りのタイルや壁面がシックな雰囲気を醸し出しています。

GYOZA OHSHOの内装

照明も電球風のものが天井から吊るされていて、掃除は面倒だと思いますが、親しみやすさを感じられます。

GYOZA OHSHOの照明

和風の装飾柄や、棚に飾られた盆栽・鉄器・蝋燭などのオブジェを観察すると、インテリアは外国人を意識しているようにみえます。

GYOZA OHSHOのインテリア

入口側の広いテーブルにはコロナ期のパーティションが残されていて、一人用の飲食スペースになっています。
王将はもともと一人客が多そうなので、一蘭風のおひとり様ブースとして、間仕切りをそのまま活用しているのかもしれません。

店内はそれほど広くなく、テーブル希望の団体客はかなり待たされているようでした。
休日の混みそうな時間帯に訪れるなら、ひとりで来るのがおすすめです。

リンガーハットプレミアムとは違う

高級感を出した新業態といっても、中身は通常店舗とほとんど変わらないことがあります。

四条河原町にあるリンガーハットプレミアムは以前、株主優待をもらっていたので、何度かお世話になりました。
インテリアこそ少し洗練された印象ですが、メニューは普通のリンガーハットとたいして違いがありません。

リンガーハットプレミアム京都四条河原町店

清潔感があって「女性一人でも入りやすい」という以外、わざわざプレミアムな方を目指して訪れる理由はありません。

ところがGYOZA OHSHOは空間デザインだけでなく、メニュー構成にもかなり独自性がありました。

ドリンクメニューが豊富

王将の新業態における最大の特徴は、ドリンク類の品数の多さです。

ビールやチューハイだけでなく、ワインやウイスキー、さらにカクテルも数種類用意されています。
ソフトドリンクも日本茶・紅茶・中国茶があり、ノンアルコールの甘酒なんてものまであります。

GYOZA OHSHOのドリンクメニュー

これまでチェーン店の中華料理店、特に日高屋あたりのアルコール類は、ビールとレモンサワーくらいしか選べないイメージでした。

どちらかというと仕事のあとのカロリー摂取が目的で、お酒はおまけのようなもの…
ひたすらビールだけ流し込むような感じになり、知人と飲むためにわざわざ王将・日高屋に行くという感覚はありませんでした。

この新店舗では中華をつまみにワインを飲んで、食後はコーヒーで締めるという、今まで想像もできなかった体験が可能となります。

グラスワインが安い

GYOZA OHSHOはお酒の種類が多いだけでなく、価格も抑えめです。

王将の通常店と比べてビールやサワーは100円くらい高いですが、グラスワインが税込198円~というのはファミレス並みに感じます。

GYOZA OHSHOのアルコール類

さすがにサイゼリヤの税込100円ワインにはかなわないですが、ガストのグラスワイン(税込200円)よりわずかに安いという、戦略的な価格設定です。
しかも赤白だけでなく、ロゼやスパークリングも用意されています。

ワインをボトルで頼んでもせいぜい1,210円~なら、家飲みより王将でパーティーした方が盛り上がりそうです。
料理はつまみ程度に注文して、アルコールをメインに楽しんでもよさそうです。

オリジナルメニューが充実

ドリンクが多いだけでなく、GYOZA OHSHOは料理にも気合いが入っています。

オリジナルメニューで人気がありそうなのは、「餃子のとり~りチーズチリソース」(451円)です。

GYOZA OHSHOのフードメニュー

通常店の餃子はニンニク増し/無しかくらいしかバリエーションがなく、チーズ入りというのはめずらしいです。
その昔、リンガーハットでチーズ入りや明太子入りの餃子が販売されていたのを思い出します。

厨房ではテイクアウト用の餃子を大量に調理していましたが、もしかするとこのオリジナルチーズ餃子を目当てに注文が殺到していたのかもしれません。

肉シューマイや小籠包も3個ずつ253円で、お酒のお供にちょうどよいサイズ。
揚げ物・炒め物もチーズ春巻きや海老マヨネーズなど、見た目もおしゃれな独自メニューが豊富にそろっています。

GYOZA OHSHOの揚げ物メニュー

デザートは定番のマンゴープリンやゴマ団子、杏仁豆腐だけでなく、ほうじ茶や柚子味のアイス・シャーベットもあります。

GYOZA OHSHOのデザートメニュー

卓上のメニューでは、黒胡麻タンエンというおもしろそうな台湾スイーツも紹介されていました。

黒胡麻タンエン

もちろん炒飯やラーメンといった主食も用意されているので、がっつり食べたいときに物足りないということもありません。

GYOZA OHSHOのラーメンメニュー

ワインのつまみに餃子

新メニューをいろいろ試してみたい気持ちもありましたが、お客さんがたくさん並んでいたので、食事は簡単に済ませることにしました。

お酒はロゼのアルパカ、グラスワイン。
餃子はとりあえず普通のタイプを選びました。

GYOZA OHSHOの餃子とグラスワイン

近頃は年齢のせいか、胃腸が弱ってきているせいか、王将に来ても餃子一皿でお腹いっぱいになることがあります。
餃子は1人前で300kcal以上あり、肉も野菜も入っていて栄養バランスがよさそうなため、ラーメンのような主食に相当すると思っています。

普通の王将で餃子だけ食べて帰るのは気が引けるのですが、バル風の新店舗ならそういった注文の仕方も許されそうです。
あえてラーメンもチャーハンも頼まずに、餃子や点心をつまみにお酒を味わうというような、新しい中華の楽しみ方が提案されているように感じます。

餃子の調味料も個別提供

GYOZA OHSHOの餃子は通常店と同じ値段の291円、個数も同じで、普段と変わらないおいしさでした。

タレ・お酢・ラー油の3点セットを、餃子と一緒に持ってきてくれるサービスも新鮮です。
卓上に設置されていて、誰が触ったか(あるいは舐めたか)わからないような醤油よりも安心して使えます。

アルパカのチリワインはさらっと飲みやすく、脂っこい餃子とよく合うウーロン茶のような印象でした。

自分はもともと、「ワインはスーパーのペットボトル入りで十分満足」という性格です。
OHSHOのアルパカですら、普段飲んでいるワインより高級なテイストを味わえました。

香港フィズは辛口のカクテル

翌週また京都に来る用事があったので、16時台の空いている時間にGYOZA OHSHOを再訪してみました。
今回もすんなりカウンター席を案内してもらえましたが、17時を過ぎると行列ができはじめました。

GYOZA OHSHO

コスパと雰囲気がよく、全国的にもめずらしい観光的価値があり、人気の理由もうなずけます。
夕食時にグループで訪れる際は、テーブル席を予約しておいた方がスムーズかと思います。

ひとまず注文してみたお酒は、紹興酒ベースの香港フィズ(495円)です。

香港フィズ

紹興酒の甘さとジンジャエールの辛さが合わさった、複雑な味のカクテルです。
レモンを絞ると酸味と刺激が増して、食前酒にはちょうどよさそうでした。

チーズと青のりの新餃子

王将ということで外せない餃子は、新メニューのチーズチリソースを選んでみました。

餃子のとろ~りチーズチリソース

ちなみにメニュー表に書かれている「小針メニュー」というのは、料理研究家の小針衣里加さんが考案した料理という意味のようです。
最初は小盛りサイズの「小鉢」と勘違いしていたのですが、これらもGYOZA OHSHOのオリジナルメニューということで間違いありませんでした。

小針衣里加さん監修のオリジナルメニュー

とろけるチーズをかけた餃子は、パリッとした皮の香ばしさとチーズの香りが絶妙な組み合わせでした。
韓国料理のチーズチヂミのような感じで、キムチを添えたらさらにおいしくなりそうです。

餃子のとろ~りチーズチリソース

そこをあえてチリソースにして、青のりらしき粉をまぶしてあります。
たこ焼きやお好み焼きと似ていてエスニックな要素もある、独特な味わいの餃子でした。

通常版より154円価格はアップしますが、GHOZA OHSHOのチーズ餃子は食べてみる価値があります。

大人のスイーツ、黒胡麻タンエン

お酒のつまみにもう一品、前回気になったデザートの黒胡麻タンエン(385円)を注文してみました。

黒胡麻タンエン

こちらは団子が3個、お湯のなかに入っているシンプルな見た目です。
実はスープの部分がウーロン茶になっていて、少しだけ甘く味がついています。

団子の中はあんこでなく黒ゴマペーストで、こちらも甘すぎず、胡麻がたっぷり入っていて体によさそうです。

餡もスープも刺激が控えめで、病院食のように穏やかな風味のスイーツでした。
温かいお料理なので、寒い季節にも合うと思います。

まとめ

GYOZA OHSHOはカジュアルにお酒を飲める、「中華料理のバル」といった雰囲気でした。
久々に会った友だちと会食したり、デートのディナーにも使えそうな印象です。

GYOZA OHSHOのエントランス

京都となれば高いお店はいくらでもありますが、限られた予算でそこそこよい雰囲気を味わえるチェーン店として、ファミレス以上の利用価値があります。

料理の味とボリュームも間違いない王将クオリティーで、期待どおりの満足感を得られます。
お酒やソフトドリンクの種類が多いので、バーのように二次会の会場としても活用できそうです。

GYOZA OHSHOのテラス席

はじめて訪れる人には「あの王将がここまで変わるのか!」と驚かれること間違いなし。
まだ全国に4店舗しかないので、話のネタとしても使えるスポットです。

話題性があるだけでなく中身もよかったので、ぜひ全国に展開してほしいコンセプト店でした。