アディダスのゴアテックスシューズAX4感想

防水仕様のトレッキングシューズがあると、登山だけでなく旅行や街歩きにも使えて便利です。

長年愛用したニューバランスMT620の代わりに、アディダスのテレックスAX4というシューズを購入してみました。

アディダス、テレックスAX4

ニューバランスよりさらにシンプルな外観なので、山以外でも使い回しやすいのがメリットです。

TERREX AX4レビュー

長年履いていたニューバランスMT620の代替品として購入したのが、アディダスのテレックスAX4です。
ゴアテックス搭載のベトナム製で、Amazonでの販売価格は1万円ちょっとでした。

アディダス、テレックスAX4

最近の円安・物価高のせいか、さすがにMT620のように1万円を切るゴアテックスシューズは見つかりませんでした。
それでも上述のコロンビアやモンベルに比べれば、かなりお買い得です。

アディダス、テレックスAX4

同じアディダスのテレックスシリーズで、ほかにもトレースロッカーやトレイルメーカーというゴアテックス搭載のシューズがありました。
名前が似ていてまぎらわしいですが、TRACEROCKER 2.0は軽量のメッシュアッパーで「トレラン用」という味付けの違いがあります。

今回はシューズが重くても耐久性を重視したかったのと、Amazonでの販売価格が安かったのでAX4を選びました。
いつもどおりAmazonでサイズ違いを取り寄せ、購入したサイズは27.5センチです。

究極的にシンプルな外観

AX4最大の特徴は、ニューバランスMT620よりさらにシンプルな外観です。
シューズの側面に派手なNの文字がなく、アディダスの3本線もマットブラックで悪目立ちしません。

アディダス、テレックスAX4

アッパーからソールまで黒一色で、余計な飾りもほとんどありません。
軍用トレーニングシューズのように、匿名性の高い武骨な一足といえます。

アディダス、テレックスAX4

アッパー素材はコーデュラリップのような格子柄の化学繊維です。
見るからに耐久性が高そうで、防水透湿のメンブレンを保護しています。

MT620のナイロンメッシュほど通気性や伸縮性はなさそうですが、山ではこのくらい頑丈な素材のほうが安心です。

アディダス、テレックスAX4

合わせる服を選ばず、町で履いてもまったく違和感のない、シンプルな登山靴といえます。
「さまざまな用途を兼ねたい」というミニマリスト志向のかたには、ぴったりのアイテムです。

黒い靴を選ぶ理由

ここ数年で買ったシューズを振り返ってみると、色はどれも黒ばかりです。
アッパーだけでなくソールも黒い、オールブラックの製品ばかり集めてしまうようになりました。

アディダス、テレックスAX4

「汚れが目立ちにくい」「いろんな服と合わせやすい」というのがおもな理由で、普段使いとアウトドアスポーツで兼用する場合、やはりブラックが便利だと思います。

自転車に乗る場合はチェーンオイルの汚れが靴についてしまうと、確実にとれなくなります。
右足の後ろ、左側がチェーンと接触しやすいので、近頃は白色のソールも避けるようになりました。

アディダス、テレックスAX4

「夜間や山での視認性向上」という目的のせいかもしれませんが、ランニングシューズやトレッキングシューズは派手な配色ばかりで不思議に思います。
あるいはビビッドな原色の靴を履くと、モチベーションやパフォーマンスが上がるのでしょうか。

アウトドアブランドのなかでは、サロモンやアークテリクスが地味な色のシューズをよく出しているようです。
黒一色もしくはグレーのモノトーン配色が多くて好感を持てるのですが、いずれもほかに比べて高すぎるのが難点です。

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今回見つけたアディダスのテレックスシリーズも、渋いカラーリングが中心です。
値段もそれほど高くなく、目立たない登山靴が好みのかたにはおすすめできます。

山で履いた感想

さっそくAX4を履いて近所の裏山に登ってみました。
見た目はスマートでも、すぐれたグリップ力や安定感は、さすが本格トレッキングシューズといった印象です。

アディダス、テレックスAX4

最近はワークマンの作業靴やベアフットのゼロシューズを履いて山に登っていました。
そうした靴底の薄いタイプに比べれば、安心感がぜんぜん違います。

路面の凹凸や尖った障害物、落ち葉の積もったぬかるみなども、とくに意識せずがんがん踏破できます。
岩場でも滑りにくく、落石につま先をぶつけてもへっちゃらです。

アディダス、テレックスAX4

過去にはミドルカットの登山靴も所有していましたが、低山ハイキングが中心になった今は、ローカットのAX4くらいで必要十分に感じます。

勝手の知れたいつもの練習コースなら、ペラペラのサンダルでも歩けます。
しかし未知の登山道に挑むなら、最低限のプロテクションをそなえたトレッキングシューズが安心です。

ベアフットシューズとの比較

山歩きの楽しさや足裏への刺激を求めるなら、はだし感覚のベアフットシューズもありだと思います。

ゼロシューズのプリオ

ゼロシューズのプリオ

しかしそれなりの荷物を背負って長距離ハイキングするなら、このくらい頑丈なトレッキングシューズのほうが無難といえます。

アディダス、テレックスAX4

きわめて軽量なベアフットシューズに比べると、AX4は登りの際、足を上げるのに苦労します。
ただし下りは逆に、薄底シューズだと安定した足場を探すのに神経を使います。

山での上り下りを含めて総合的に評価すると、ベアフットよりAX4のほうが、足の疲労は少なくなりそうです。

ソールも固いので、不安定な地盤を歩く際、ふくらはぎに負担もかかりません。
逆にいうと、シューズに守られすぎて筋力強化にはつながりません。

アディダス、テレックスAX4

「筋肉への負荷もトレーニング」とみなすなら、短時間のエクササイズ用にはゼロシューズ、長時間のハイキング用にはテレックスといった使い分けも可能です。

防水性は完璧

ゴアテックスの防水性能は、以前履いていたニューバランスで検証済みです。
テレックスAX4も雨の日に履いてみて、なかまで濡れることはまったくありませんでした。

アディダス、テレックスAX4

アッパーがメッシュ素材のシューズと比べて、通気性は若干劣るように感じますが、許容範囲内です。
張りのある生地も撥水性があり、ゴアテックスと組み合わさることで防水性を強化しています。

アディダス、テレックスAX4

ソールはコンチネンタル

AX4の売りのひとつが、コンチネンタル製のソールです。
靴裏にも黄色いロゴがプリントされています。

アディダス、テレックスAX4

ついでにSTACK 15/25MM、LUG 4MMとスペックが記載されています。
シューズ前後のドロップ差は10ミリ、溝の深さが4ミリということかと思います。

アディダス、テレックスAX4

ソールのメーカーとしては、おそらくコンチネンタルよりビブラムのほうがずっと有名です。
最近あまり見かけなくなりましたが、Vibram FiveFingersという異形の5本指シューズも製造しています。

靴紐がなく、布で足を包み込む仕組みのFUROSHIKIといったアイデア商品も開発しています。

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TERREX AX4のソールはCの字型の突起が向きを変えながらまんべんなく配置されています。

アディダス、テレックスAX4

ランニングシューズのように凝った機能や素材の使い分けはなさそうですが、山で滑りやすいと不安を覚えたことはありません。

コンチネンタル製だからといって、特に感動的するほどのグリップ力でもないようです。
あくまで濡れた岩場や砂地での滑りにくさという意味では、平均的なトレッキングシューズかと思われます。

アディダスのTERREX AX4

コンチネンタルのイメージ

コンチネンタルはどちらかというとタイヤが有名で、車やバイクのユーザーにはよく知られています。

コンチネンタルのタイヤ

私もロードバイクのタイヤは、コンチネンタルのグランプリという製品を愛用しています。
最近はパッケージから名物のおばちゃんが消えて残念ですが、GP 4000 S IIからGP 5000に進化して、性能にますます磨きがかかりました。

コンチネンタルのタイヤ

コンチネンタルの自転車タイヤは、他社製品より軽量ながらパンクしにくいタイヤだと実感しています。
同社の「ブラックチリコンパウンド」は定評がありますが、シューズのソールについては成分・製法などの説明が見つかりませんでした。

DUAL DENSITY

ちなみにソールの側面にDUAL DENSITYという文字が刻まれています。
この機能については、アディダスの公式サイトにも説明がありません。

アディダス、テレックスAX4

別で見つけたテニスシューズの商品説明を参考にすると、DUAL DENSITYはEVAのミッドソールに関する技術のようです。

しかしながらAX4のクッション性は低めで、舗装路を歩るくとゴツゴツした感触が足に伝わってきます。
ニューバランスMT620に搭載されていたCUSH+のほうが、だいぶ柔らかくて快適だっと思います。

ニューバランスのMT620

ニューバランスのMT620

トレラン用のアディゼロXT

アディダスのトレランシューズといえば、TERREXシリーズが登場する以前、adizero XT5という製品を履いていたことがあります。

adizero XT5

adizero XT5

ゴアテックスのような防水性こそないですが軽量で走りやすく、山道でのグリップ力も抜群でした。
軽く雪の積もった冬山を、走ってトレーニングしていたこともあります。

adizero XT5

adizero XT5

富士山の砂走りも、土砂に埋もれながらアディゼロXTでぎりぎり下山できました。
ローカットなので靴のなかは砂まみれになりますが、つま先が補強されているので石にぶつけても指先が痛くなりません。

adizero XT5

adizero XT5

ハセツネ出場のために丹沢の山を走りまくり、レース本番で奥多摩を71.5キロ完走したらソールが壊れました。
苦楽をともにした思い出のシューズです。

adizero XT5

adizero XT5

当時メジャーだったモントレイルやサロモンと比べて、アディゼロXTは価格がかなり安かった記憶があります。

アディダスはランニングもトレラン業界も後発のチャレンジャーという立場だからか、価格とコストパフォーマンスで訴求しているようです。
グローバルな大手企業らしい、コストリーダーシップ戦略をとっているのかもしれません。

防水シューズの現行製品

アディダスのテレックスを買う前に検討した他社のゴアテックス製品や、格安防水透湿シューズをについてご紹介します。

ニューバランスのMT620は気に入っていましたが、2023年にはすでに廃番で在庫も見当たりませんでした。

ニューバランスのMT620

ニューバランスのMT620

スポーツ店やアウトドアショップで似たようなシューズを探してみると、有名ブランドの登山靴はたいてい防水透湿機能がついています。
昔と比べて、防水シューズの選択肢は大幅に増えたと感じています。

コロンビアのアウトドライ

地方のモールやアウトレットでも入手しやすいのは、サロモンやコロンビア、ノースフェイスといったブランドです。
モンベルも地方都市に専門店があったりします。

以前履いていたKEENやメレル、ゼロシューズのトレッキングシューズも興味はありますが、このあたりの尖ったブランドは残念ながら田舎で実物を見られません。

そこで購入候補として浮上した製品のひとつが、コロンビアのセイバーファイブです。

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ちなみにコロンビアは防水機能として、ゴアテックスではなくアウトドライを採用しています。

アウトドライは同社のオムニテックより上位素材で、評判も悪くなさそうです。
価格からすれば、KEEN.DRYと同等レベルのように思われます。

セイバーファイブはあちこちで売られているせいか、山で目撃する確率も多いと感じています。
ローカットとミッドカットの2種類あって、好みで選べるのもメリットです。

モンベルのゴアテックス

もうひとつ購入を迷ったのが、モンベルのトレールウォーカーという製品です。

トレールウォーカーはローカットでゴアテックスを搭載したハイキング用のモデルです。
トレールグリッパーの高機能ソールを搭載していますが、ソールの張替えは非対応になっているのが残念です。

モンベル製品の場合、上位製品のマウンテンクルーザー400以上がソール張替え可能なモデルです。

ゴアテックスの防水性をそこなわず、ソール交換できるのかは少々疑問です。
修理して長く使えるのは魅力的ですが、先にアッパーが破れて防水性が失われそうな予感もします。

マウンテンクルーザー400はローカット版がなく、価格も2万円を超える高級品なので、検討候補から外しました。

モンベルのグラスホッパー

同じくゴアテックス搭載のローカットモデルで、グラスホッパー レザーというシューズもあります。

アッパーが革素材で見た目も高級感がありますが、重量がかなりあります。
ウェブの商品説明によると、25.5センチの小さいサイズで片足425グラムです。

店員さんの話を聞くと、グラスホッパーは岩場を歩いたりクライミングに適したモデルとのことです。
つま先だけで踏ん張れるよう構造的に強化されているのが、重くなっている理由かと思われます。

グラスホッパーはトレールウォーカーと同じ価格帯のローカットシューズですが、ソール張替え可能という違いもあります。

モンベルが割高な理由

セイバーファイブのローカットタイプは定価14,850円。
モンベルのトレールウォーカーは定価18,480円です。
(どちらも税込価格)

ゴアテックスのブランド料なのか、似たようなスペックでもモンベルのほうが割高に見えます。

モンベルは全国の僻地、さらには鳥取大山のような人通りの少ない山の中にも店舗を構えています。
利用者にとっては便利な反面、場所代や人件費が価格に上乗せされているのではないかと推測されます。

ゴアテックス以外

最近は普通のシューズも防水機能が進化したのか、ゴアテックス以外の機能素材が増えてきています。
ABCマートのホーキンスなどでも、「撥水」ではなく「防水透水」を売りにした商品を見かけます。

ハイテックのヴォルクハイ

HI-TECのWOLK HI WP

ゴアテックスブランドを使っていないので、価格もかなり割安です。
ヒマラヤスポーツのVISION PEAKSブランドで、トレックハイカーというシューズなら、わずか4,000円で防水透湿シューズが手に入ります。

自分は基本的に雨の日は山に行きませんし、渡渉が必要なルートを歩くこともまれです。
近所を歩く際の雨靴としておもに使うなら、ゴアテックスほどの高機能は必要ないのかもしれません。

廉価ブランドの防水透湿シューズなら、コロンビアやモンベルの半額以下で済みます。
たとえ失敗しても損失は少ないと考え、ABCマートで見つけてHI-TECの防水シューズを購入してみました。

HI-TECの防水シューズWOLKで失敗した話

実際に買って試してみたところ、ハイテックのDRI-HI LIGHTという機能は気休め程度の防水性しかありませんでした。
他社の類似製品も、おそらく同程度のものかと思われます。

HI-TECのDRI-HI

HI-TECのDRI-HI LIGHT

やはり防水シューズは多少値段が高くてもゴアテックスに限る」と納得して、あらためてシューズを探して、アディダスのテレックスを購入した次第です。

まとめ

コスパの高いゴアテックス搭載トレッキングシューズとして、アディダスのテレックスAX4をご紹介しました。

本物のゴアテックス入りで1万円強の販売価格は、2023年時点で私の知るかぎり最安レベルでした。
セールの状況によっては他社製品も安くなるとはいえ、テレックスシリーズは総じてコスパがよさそうです。

アディダスは登山分野で他のアウトドア専業ブランドほどメジャーではないですが、地味にすぐれたトレッキングシューズを出しています。

アディダス、テレックスAX4

いちおうゴアテックス以外の激安防水透湿シューズも試してみましたが、結論からすると性能は比べ物になりません。
特にABCマートの廉価トレッキングシューズは、雨靴と考えないほうが無難です。

完全な防水性を求めるならば、少し高くなってもゴアテックスやアウトドライ、KEEN.DRYをそなえたシューズがおすすめです。
モンベルやコロンビアの定番シューズなら、地方のスポーツ店やアウトレットモールでも試し履きできます。

雨天時に町でも履くなら、登山靴らしからぬシックなデザインのAX4が便利です。
路上でソールが擦り減る懸念もありますが、高価な防水シューズを別で買うよりもAX4を使いまわしたほうが有利と思われます。

アディダス、テレックスAX4

「雨の日はこれ一足」と割り切れば、ミニマリストに適した万能シューズといえそうです。
持ち物と保管場所を減らせて、毎日履く靴を選ぶ時間も節約できます。

アディダス、テレックスAX4のイラスト