7~8月に開催されたMetaの週末キャンペーンで、『Asgard’s Wrath(アスガルド・ラス)2』というゲームを無料でプレイできました。
チュートリアルをこなしてATUN神殿の途中で時間切れになりましたが、VRのアクションRPGもここまで進化したかと感激しました。
お試し体験できた序盤のストーリーと、ゲームの概要をご紹介します。
インストールから起動まで
8月16~19日のフリーウィークエンドは、『Asgard’s Wrath 2』と『Contractors Showdown』をそれぞれ3時間も遊べるという大盤振る舞いでした。
前者の販売価格は5,990円で、Metaストアのなかでも最高級です。
価格が高い分、内容も充実しているのか、アプリのサイズが大きくインストールに手間取りました。
初回起動時の前処理も含めて、準備に時間がかかります。
30GB超の巨大アプリ
『Asgard’s Wrath 2』をダウンロードしようとしたら、空き容量が足りないというエラーが出ました。
どうやらこのゲームは33.32GBものインストールサイズがあり、手持ちのMeta Quest 2は64GB版のため、空き容量が足りなかったようです。
これまでにインストールした重めのアプリをひたすら削除したら、なんとか『Asgard’s Wrath 2』を落とすことができました。
アプリの重さは、もはやPCゲーム並みです。
128GBクラスのMeta Questであっても、ストレージの整理が必要になるかもしれません。
シェーダーのコンパイル
『Asgard’s Wrath 2』は起動にも時間がかかります。
今回は手持ちのMeta Quest 2でプレイしましたが、性能の高い最新Quest 3なら、処理時間を短縮できるかもしれません。
ただしアプリが一度立ち上がってしまえば、Quest 2でもコマ落ちするなどの不具合は見られませんでした。
初回起動時はシェーダーのコンパイルがはじまり、さらに5分くらい待たされます。
この間も無料プレイの時間が減っていくので、いつになったら遊べるのかと焦りました。
セリフも日本語対応
シェーダーの次は言語パックのダウンロードが始まり、アプリを再起動する必要があります。
『Asgard’s Wrath 2』がすごいのは、画面上のテキストだけでなくキャラクターボイスも日本語対応しているところです。
しかも音声はAI生成などではなく、生身の声優さんが起用されているように思われます。
ほかのVRゲームでは、適当に自動翻訳された変な日本語をよく見かけます。
テキストは日本語になっていても、ナレーションは英語のままだったりします。
しかしこのゲームは文字のフォントやレイアウトも含めて、完璧にローカライズされているのに驚きました。
6,000円弱という販売価格にはそれなりに理由があるようで、開発側の意気込みを感じました。
ミイラとキャリブレーション
言語パックの準備が終わるとミイラのようなキャラクターが出てきて、キャリブレーションをさせられます。
両腕を真横に伸ばしてボタンを押すだけの動作ですが、一時中断してホーム画面から復帰するたび、毎回実行することになります。
画面上のコントローラーは怪しげなオブジェに変容していて、ミイラの動きもかなりリアルです。
ゲームの世界観がうまく表現されていて、期待がふくらみます。
前回までのあらすじ
『Asgard’s Wrath 2』のストーリーは、前作からの続きになっているようです。
2作目からプレイするひと向けに、1の概要を紹介するコーナーがありました。
はやく本編で遊びたい人はスキップもできます。
オープニングムービー
神々の黄昏…Lokiがうんぬん…という説明には特に興味がなかったので、適当に聞き流しました。
Asgard(アスガルド、アースガルズ)というのは神話に出てくる神の国です。
Wrath(ラス)は「激怒、天罰」という意味なので、ゲームの名前は「神々の怒り」とでもいった意味かと思います。
オープニングから最新VRゲームの美しいグラフィックを堪能できます。
ヌラヌラ動く背景のオブジェクトもフルCGになっていて、パノラマ画像のはめ込みではありません。
前作ストーリーの紹介に合わせて、巨大な敵キャラと戦ったりする場面が3Dで再生されます。
内容はよくわかりませんでしたが、流麗なビジュアルに見とれてしまいます。
視点が前に進みながら、まわりを自由に見まわせる3Dムービーなので、USJのVRジェットコースターに乗っているような気分になれます。
いずれ『Asgard’s Wrath』シリーズが有名になったら、遊園地のアトラクションに移植しても喜ばれそうです。
酒場からの脱出
長い前置きが終わると酒場のシーンになり、やっとゲームらしく操作できるようになります。
どうやら主人公は酒場に閉じ込められていて、ここから脱出するのが最初のミッションらしいです。
コントローラーのトリガーボタンを人差し指で押すと、「つかむ」動作になります。
練習用に置かれたカウンターのグラスを、手に取って投げたりできます。
グラスを傾けるとビールのような液体が流れてきます。
さすがに流体の表現は難しいのか、パーティクルで大雑把に表現されていて、さほどリアリティーはありません。
しかし酒場の空間はよく作り込まれていて、思わず隅々まで探検してしまいました。
階段を使って2階にも上がれます。
カウンターに置いてある「アンク」という卓球ラケットのようなオブジェをつかむと、話が先に進みます。
まわりに黄色い人が出てきてにぎやかになり、それぞれ会話を楽しめます。
ステージのうえで演奏しているモブキャラらしき楽団も、緻密にモデリングされていました。
酒を飲むおっさん連中や、刃物を鍛えている巨人の風貌は、どことなく『北斗の拳』を連想させます。
北欧神話と北斗神拳は関係があるのかもしれません。
別の場所にあるアンクを再び手に取ると、巨大な鳥が出てきて建物の外に吹っ飛ばされます。
いちおうこれで「酒場からの脱出」というミッションはこなせたようです。
鳥との戦い
酒場から出たあと、氷上で鳥(ヒエラコスフィンクス)との戦闘になります。
腰のあたりにコントローラーをまわして剣をつかみ、敵が放ってくる火球を弾くと隙が生まれます。
鳥が地面で悶えている間に、剣でビシバシしばくと楽に勝てます。
序盤のチュートリアル戦闘とはいえ、あまりにもハンデがありすぎて、鳥がかわいそうに思えてきます。
主観視点で剣を振り回すアクションは、VRならでは楽しさがあります。
ちょっとしたエクササイズにもなって健康的ですが、思わず夢中になって振り回すと、壁や家具に手をぶつけます。
VRゲームを存分に楽しむには、広い部屋と回転椅子があると便利です。
機材だけでなく居住空間にも投資を必要とする、ぜいたくな趣味といえます。
序盤のメインクエスト
鳥と戦ったあとは、水のなかに落とされ溺れてしまいました。
その後ゲームのタイトル画面が出て、ようやく本番スタートという感じです。
難易度設定
続けてメニューが出る難易度選択では、戦闘の頻度を調整できるようです。
「ストーリー重視」では戦闘シーンが少なくなり、ゲームをサクサク進められそうです。
今回は真ん中の「バランス重視」を選んでみました。
続いて「快適性レベルの設定」では、VR酔いを防ぐため敵キャラの動きなどを調整できるようです。
ミイラの襲ってくる動きを見ながら3段階で選べるのですが、特に支障がなければ「没入感優先」にしたほうが臨場感は上がると思います。
宇宙空間
設定画面のあと宇宙空間に飛ばされ、不気味な女性キャラにレクチャーを受けます。
このあたりのキャラクター造形も凝っていて、ファイナルファンタジー3のラスボスや、エキドナといった敵キャラを彷彿させます。
敵か味方かわかりませんが、いずれこういうボスキャラと戦うことになりそうな予感がします。
ATUN神殿
宇宙空間に置かれた「運命の鏡」に入ると、エジプトの神殿にワープします。
節目ごとに、「通過儀礼 英雄譚I」とシナリオのタイトルが表示されます。
ここからしばらく、ピラミッド盗掘のような3Dムービーが再生されます。
キャラクターのセリフはもちろん日本語で、罠の仕込まれた神殿のなかを駆け抜けていくアニメーションも迫力があります。
スフィンクスが壊れて出てきた巨人にステージを破壊され、落下したところから操作可能になります。
どうやらこの辮髪(べんぱつ)の男性に憑依して操ることになるようです。
ここから剣を手に入れて障害物を壊したり、鍵を見つけて扉を開けたりという、アクションRPGらしい展開になっていきます。
VR版ゼルダの伝説
武器を投げて遠くのスイッチを押したり、レバーを倒すとどこかの扉が開いたりするギミックは『ゼルダの伝説』と似ています。
崩壊した神殿のなかに、怪しい扉があります。
別の場所で「太陽円盤のかけら」を拾ってくると、扉を開けられます。
同じようなギミックがあとでまた出てきます。
ATUN神殿の内部も、またよくできています。
特に目的もなく、部屋のすみずみまで探検したくなります。
最初のうちは「Aを押して壁走り」などのヒントが表示されるので、迷わずに進めると思います。
はしごをつかんで上下に移動する、クライミング的な動作も体験することができます。
主観視点で楽しめる3次元ゼルダと考えれば、かなりおもしろいゲームといえます。
似たような感じで「風雲たけし城」のVR版とか作ったらうけそうです。
と思ったら、Robloxのワールドとして昨年たけし城が公開されたようです。
ダッシュ移動で罠をかわす
神殿の奥では罠が増えてきて、回転のこぎりやギロチンをかわしつつ先に進みます。
右コントローラーのAボタンを押すと、一時的にダッシュ移動できます。
タイミングを合わせて加速し、罠をすり抜ける感じです。
自由にジャンプできる機能はないのですが、壁走りできる目印の前でAボタンを押すと飛び移れます。
床から生えているトゲトゲに突撃したり、底なし沼に落ちると即死します。
死んでも少し手前のセーブポイントから再開できるので、難易度は低めです。
途中にいくつか、宝箱のようなものがあるのを発見しました。
ハンドルをつかんで上に動かすと、箱の蓋が開いてアイテムを入手できます。
このあたりの動作がいちいち面倒くさいですが、VRらしくてよいと思います。
戦闘シーン
いくつかの部屋では、ハチのような敵キャラが待ち構えていました。
序盤の雑魚キャラなのか、たいして強くはありません。
いちおう弱点のようなものがあるらしいのですが、適当に剣を振りまわせば楽に倒せます。
雑魚とはいえ、針のようなものを飛ばして遠隔攻撃してきます。
間合いをとりつつ左右に移動して発射物をかわし、すきを見てAダッシュで近づき切りつける戦法が有効です。
ハチを倒すと革のようなアイテムをドロップします。
こうした素材系のアイテムは、いずれ武器の強化などに役立つのかもしれません。
俯瞰視点切替
ギロチンの部屋を抜けると大広間に出ました。
いかにもダンジョンのボスが待ち構えていそうな雰囲気ですが、戦闘にはなりませんでした。
先ほど憑依した男性キャラから幽体離脱して、俯瞰視点になるアクションを学びます。
左コントローラーのYボタンを長押しすると、憑依/離脱のモードを切り替えできます。
俯瞰モードでこなせる謎解きがありそうだったのですが、よくわからず行き詰ってしまいました。
無料プレイの3時間はまだ残っていたとはいえ、疲れてきたのでここでおしまいにしました。
マップも3D
ほかにも『Asgard’s Wrath 2』ですごいと思ったのは、ダンジョンのマップを3D表示できるところです。
高低差も含めた地形を把握することができて、マップを上下移動・回転もできます。
今いる位置と目的地がわかるので、迷ったら立体地図を見てヒントを得ることができそうです。
その他のメニュー
3Dマップ以外にも、クエストやインベントリーといったメニューがたくさんありました。
ここからサブイベントをこなしたり、レアアイテムの収集を楽しむことができそうです。
進行中のミッションやゲームのストーリーを確認することもできて、演出やイラストも凝っています。
細かいテキストもすべて日本語化されているので安心です。
まとめ
2023年末にリリースされた『Asgard’s Wrath 2』は、間違いなく現代最高レベルのVRアクションゲームです。
定評あるクライミングゲームの『The Climb』シリーズと同じで、続編が出ているVRゲームは外れがないといえます。
5,990円という強気の価格設定、30GB超の大容量と長い起動時間を受け入れられるなら、仮想世界ですばらしい時間を過ごせると思います。
試せなかったコンテンツ
『Asgard’s Wrath 2』は値段相応に、「100時間以上遊べる」ボリュームがあるとのことです。
そんなに長い時間ゴーグルをかぶるというのも、人によっては拷問かもしれません…
お試しプレイではそこまでたどり着けませんでしたが、サブクエストや釣りのようなミニゲームも豊富に用意されているそうです。
オンラインRPGとしては定番の設定ですが、主観視点でプレイするとまた違ったおもしろさがありそうです。
いまは基本的に一人用のゲームですが、いずれマルチプレイでパーティーを組んだりできるようになりそうな予感がします。
さらなる続編では『アサシン クリード』のように舞台を広げて、日本や南米の神々も登場するのではないかと期待しています。
Meta専用のゲーム
『Asgard’s Wrath 2』は今のところMeta Quest専用で、PSVRやSteamでは提供されていません。
日本語ボイスの実装も含めて開発にお金がかかっていそうですが、Netflixオリジナル作品のように、ユーザーを囲い込む戦略なのかもしれません。
このゲームで遊ぶには、Meta Quest 2、3、Proのどれかを買わなければいけません。
最安のQuest 2はMeta公式サイトですでに売り切れ。
Amazonや楽天にはまだ在庫があり、5万円前後で入手できます。
Quest 3は公式サイトで現在74,800円の128GBバージョンが売切中。
512GBは96,800円で販売されています。
ほかの通販サイトで買ったほうが、かなり安くなるようです。
4年前にMeta(旧Oculus)Quest 2の64GB版が3万円台で買えたことを考えると、性能と容量が増えたぶん、かなり値上がりした印象です。
近年の物価高と円安も影響しているように思われます。
Meta Quest 3にバンドル
『Asgard’s Wrath 2』は手持ちのMeta Quest 2でも一通りプレイできました。
最新のQuest 3を使えば、ハードの処理能力が上がってより快適に遊べそうです。
このゲームはそもそもMeta Quest 3にバンドルされていて、ゲーム内アイテムや旧作のダウンロード権がついてくるようです。
実機がないので比べられませんが、Quest 3専用の高解像度テクスチャなども用意されているとのことです。
ゲーム自体の価格が高いので、せっかくなら最新ハードとセットで買ったほうが、のちのちほかのゲームも快適に楽しめて便利だと思います。
『Asgard’s Wrath 2』を購入するとしたら、ついでにハードもQuest 3にアップデートしようか悩むところです。