神戸の西宮付近に出張した際、たまたま空室があって安かった甲子園ホテルに泊まってみました。
名前のとおり、甲子園球場のすぐ近くにある宿だったので、ついでに球場周辺を観光してみました。
試合のない日も開いている、甲子園歴史館というミュージアムがおもしろかったです。
阪神タイガースに関する展示だけでなく、高校野球や甲子園球場の歴史について知ることができます。
またバックスクリーンビューという展望台からグラウンドも眺められます。
阪神・甲子園駅の近くにはタイガース仕様のスターバックス、グッズの販売店があり、ららぽーとキッザニアも徒歩圏内です。
少し足を延ばせば、阪急西宮ガーデンズという超巨大ショッピングモールにも行けます。
甲子園の周辺は、野球観戦以外にもいろいろ楽しめるレジャースポットでした。
甲子園歴史館のタイガース展示
甲子園駅から見て球場の向こう側(南側)に、甲子園プラスという商業施設があります。
ここの2階に甲子園歴史館の受付があります。
今回は普通の入館チケット(大人900円)を買いましたが、タイガースの練習を見学できるスタジアムツアーや、AR体験のプランもあるようです。
平日の空いている時間帯でしたが、外国人の観光客もいらっしゃいました。
順路に沿って進むと、まず阪神タイガースの展示コーナーがあります。
過去に優勝した年を中心に、名選手の紹介や、バット・ユニフォームなどの関連グッズが展示されています。
私はタイガースファンではないのでピンときませんでしたが、球団の歴史や名場面の情報など、かなりの情報量でした。
年表や映像をじっくり見れば、半日くらいかかるボリュームだと思います。
360度映像が見られるらしいVRコーナーは混んでいたのでスキップしました。
実際に使用されていたバットやグローブに触れる体験展示もあります。
出口にあるタイガースロードには、背番号の変遷や名言が壁面にプリントされています。
ライトなファンからマニアまで、幅広く楽しめるよう展示が工夫されています。
バーチャルバッティングセンター
バーチャルバッティングセンターというコーナーでは、画面上に甲子園の風景が再現されているようです。
ゴルフのシミュレーターのような感じで、臨場感のある体験ができそうです。
小学生以上から参加できて、バッティング・トスバッティング・ピッチングの3種セット1,200~1,500円という価格です。
空いていたので並ばずに体験できそうでしたが、自分はこういうの苦手で、張り切るとケガしそうな予感がしたので、やめておきました。
球場エリアは高校野球特集
甲子園プラスの建物からいったん出て、球場側の受付から外野レフト2階にある、別のギャラリー施設に入れます。
こちらは高校野球と甲子園球場の歴史について解説しています。
歴史に残る名勝負や選手の説明があり、高校野球が好きな方は盛り上がれると思います。
都道府県別の優勝回数を見ると、山陰や北陸、東北にはまだ一度も優勝できていない県がたくさんあります。
一方で和歌山や愛媛が都市部に劣らず、優勝回数を重ねているのは不思議です。
その次のマンガコーナーは野球にうとい方でもそれなりに楽しめます。
『巨人の星』や『ドカベン』をはじめ、高校野球をテーマにした有名&マイナー?なマンガがいろいろ紹介されています。
『タッチ』で有名なあだち充は、ほかにもたくさん高校野球のマンガを描いていたんですね。
存在していることを知らなかった『巨人の星』の続編など、興味深い作品がいくつもあります。
ほかにも甲子園ボウルというアメフトの説明や、球場建設に関わる情報が展示されています。
甲子園の土は30センチの厚みがあり、その下には水はけをよくするため、粗さの違う砂利がさらに数十センチも敷き詰められているそうです。
バックスクリーンに向かう通路には、甲子園のトーナメント表や、手描きの選手名板が展示されています。
ちょうど昨年、夏の大会では、仙台育英が東北勢初の優勝を果たしてニュースになっていたのを思い出しました。
第104回のトーナメント表もしっかり記録されています。
阪神タイガースも高校野球のコーナーも、こうした細かいデータベースのような展示が充実しています。
もし自分が甲子園に関わった年や、熱心に応援していた時期があれば、昔を思い出して懐かしい気分にひたれると思います。
バックスクリーンビュー
入館料900円の価値はある長い長い展示を通り過ぎて、いよいよ甲子園球場のなかに入れます。
階段を上るとスコアボードの下に出て、手すり越しにグラウンドを一望できます。
記念写真にもばっちりの撮影スポットです。
自分は高校野球にも興味がないのですが、思い入れのある方なら、ここで繰り広げられた数々のドラマを想像して楽しめそうです。
甲子園の土を買う
せっかくなら入場記念に「甲子園の土」をお土産でもらえるサービスもあるとよかったですね。
ためしにAmazonやメルカリで検索してみたら、「甲子園の土、〇〇年」というのがいくつも売られていました。
球場で販売されているのは見かけませんでしたが、公式っぽい「甲子園」銘入りの瓶に入った土もあります。
なかには土嚢に入った2キロの土などあり、「そんなにいらないよ!」と吹き出しそうになりました。
甲子園球児が転売目的で大量に仕入れてきたのでしょうか。
よく見ると「甲子園で利用されている土を再現した」と書かれていて、本物ではないようです。
とはいえ実際に神戸の黒土と淡路島の赤土をミックスした本格派の模造品なら、性能はよいと考えられます。
自宅の庭にグラウンドを再現したり、甲子園気分で園芸を楽しんだりできるかもしれません。
ランチはストライク軒で
ミュージアム見学のあと、入館券を提示すれば特典が受けられるとのことで、球場内にあるラーメン屋さん「ストライク軒」に行ってみました。
ほかにも大阪や和歌山にお店があるチェーン店のようです。
「ストレート」の中華そばがおすすめのようですが、栄養バランスよさそうな「カーブ」(宇和島チャンポン)を選んでみました。
インスタント麺のサッポロ一番をアレンジしたという、「代打の塩」のネタっぽいメニューも気になるのですが…
甲子園歴史館のチケットを見せたら、味玉のトッピングか唐揚げをもらえるとのことで、後者をお願いしてみました。
先に届いた唐揚げ2個もかなりおいしいです。
宇和島チャンポンはあっさりした風味で、じゃこ天も乗っていて彩り豊かです。
試合のある日は醤油味のストレートのみ販売されていて、こちらのチャンポンをいただくことはできません。
球場内のこの立地なら、イベント日には相当多くの来客が見込まれるのではないかと思います。
ちょっとだけ虎仕様のスタバ
ランチ後のコーヒーは甲子園駅前のスターバックスでいただきました。
駅前広場にはタイガース関連のショップ2つと、Corowaという商業施設もあります。
スタバの外観は普通かと思ったのですが、店内に少しだけ虎をモチーフにした絵画が飾られていました。
タイガースの虎イラストやトラッキーのマスコットは、さすがにスタバの雰囲気になじまなかったようです。
微妙に抽象化された虎アートで、さりげなく阪神ファンの共感をそそるさじ加減が絶妙です。
ローカル要素を取り入れためずらしいショップとして、阪神甲子園西口店はスタバフリークなら訪れる価値があります。
各地の文化財建築を活用したリージョナル・ランドマーク・ストアほど外観に特徴はないですが、異色のカルチャーとコラボしたさりげない配慮を感じることができます。
タイガースのグッズ展開がすごい
ついでにタイガースチームショップALPSというお店ものぞいてみました。
選手のユニフォームや応援グッズ以外にも、かなりたくさんの商品が販売されています。
無料でもらえたカタログを見てみると、Tシャツやスウェットなどで控えめに虎のモチーフやロゴが入った衣類なら、街中でも普通に着られそうです。
レトロなデザインのカレッジパーカーなどは、阪神ファンでなくても欲しくなるくらいの完成度です。
虎ではなくブタですが、タイガースのウェアを着たイラストを描いてみました。
ニューエラやチャンピオンの虎キャップ、阪神カラーのG-SHOCKなど、ブランドコラボのシリーズも必見です。
ほかにも虎模様のお掃除ロボット、電気カフェケトルや、たこ焼き器といった家電までそろっていて、生活に必要なほとんどものものをタイガースで埋め尽くすことができそうです。
この調子で、VIPなファン向けにタイガース仕様の車や家まで売られていそうな勢いです。
関連グッズは通販でも買うことができて、ちょうど2023年のリーグ優勝を記念したTシャツも販売されていました。
とはいえ大阪以外の地方で阪神グッズを身につけていると、別の球団ファンから反感を買いそうな不安もあります。
スーツに合わせるレジメンタルタイと同じで、見る人にとっては所属組織を表す特別な意味を持つのがプロ野球グッズです。
さりげなくタイガーズのロゴが入った服は、関西圏でうけるかもしれませんが、アウェーの地域ではよからぬ印象を与えてしまうかもしれません。
ビジネスの場では避けた方が無難といえます。
ららぽーととキッザニア
甲子園プラスの道路を挟んだ反対側には、ららぽーとの商業施設があります。
こちらはほとんどタイガーズ色のない普通のモールで、買い物や休憩に活用できます。
ららぽーとの隣に関西エリア唯一のキッザニアがあり、ここを目当てに甲子園を訪れるファミリーも多そうです。
2006年、東京にキッザニアができたときは、職業体験をやってみたいなと思いました。
残念ながら大人は対象外ですが、リスキリングやリカレント教育といった学び直しの機会としてニーズがあるのではないでしょうか。
大人向けオトナニア、シニア向けシニアニアなんてテーマパークができたらうれしいです。
調べたところキッザニアでも、たまに大人が入れるスペシャルデーのイベントを用意しているみたいですね。
ホテル甲子園に宿泊
今回泊ったホテル甲子園についても、いちおう紹介しておきます。
球場の入口まで徒歩1分という、おそらく最寄りのホテルです。
楽天トラベルから予約して、朝食付き5,800円という今どきにしてはリーズナブルな価格で泊まれました。
大阪周辺のホテル相場は、コロナ明けのインバウンド需要で高止まりしていて、素泊まりのドミトリーですら5,000円を超えることがあります。
東横INNやアパホテルといった大手チェーンに駆逐されつつも、こうした味のあるローカルなホテルが残っているのは頼もしいです。
ロビーや共用部、シングルルームの内装は場末感のある質素なつくりです。
なぜかわからないですが、チェックインの際、サービスで缶ジュースをもらえました。
夜にホテルのまわりを散歩すると、球場の周囲をジョギングしたりウォーキングしている地元の方が大勢いらっしゃいました。
車が入れない広い歩道で近くにトイレもあり、1周1キロ弱の手ごろな距離とあって、散歩やトレーニングに適していそうです。
朝食は2階のレストランで、500円でいただけます。
パンやお惣菜など、バランスのよさそうなメニューを食べられました。
西宮ガーデンズも近い
神戸には阪急線で訪れたため、西宮北口~今津~甲子園と2回電車を乗り換える必要がありました。
時間に余裕があったので、ためしに阪急西宮北口駅から、歩いて甲子園に向かってみました。
4駅分の距離で3キロ以上あるため、ふつうの人にはおすすめしません。
わざわざ歩いた理由は、阪急西宮ガーデンズというモールを見学してみたかったからです。
西宮ガーデンズがすごいのは、全国どこにでもあるシネコン付きのモールに加えて、阪急百貨店というデパートまでくっついている点です。
モール自体も中央に配置された立体駐車場を囲んで回廊状にフロアが5層あり、相当巨大です。
屋上には噴水付きの庭園やステージもそなわっています。
売場面積は10万平米を超えていて、西日本最大級だそうです。
ハワイのアラモアナセンターを彷彿させるようなスケールの大きさで、駆け足で全体を見てまわっても1時間くらいかかりました。
西宮は高級住宅街というイメージがありますが、西宮ガーデンズの徒歩圏内というだけでも価値はありますね。
大阪や三宮~神戸に出なくても、ガーデンズだけでたいていの日用品やブランド品は手に入りそうです。
飲食店もたくさんあるので、雨の日の外出先として、一日中楽しめると思います。
なんばパークスも球場跡地
ところで西宮ガーデンズはもともと阪急西宮スタジアムの跡地だったようです。
球場跡地の再開発といえば、大阪の「なんばパークス」も大阪球場の跡地に建てられています。
ガーデンズとパークス、名前も少し似ていますね。
後日なんばパークスを歩いていたら、最上階の庭園にひっそり「南海ホークスメモリアルギャラリー」という展示コーナーがあるのを発見しました。
甲子園歴史館と同様に、こちらも大阪球場をホームグラウンドとしていた南海ホークスの歴史が解説されています。
タイガースに比べるとギャラリーの規模は小さいですが、長い時間ずっとテレビ画面を見られている熱心な方がいました。
長年応援しているプロ野球のチームがあれば、こういうコンテンツもじっくり楽しめるんだろうなとうらやましく思います。
阪神タイガース優勝
たまたま甲子園球場を訪れた今年、阪神タイガースが18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしたそうです。
10月末から11月にかけての日本シリーズは、甲子園もおおいに盛り上がると期待されます。
先日、大阪のタグボート大正という施設を見学した際、近くにある京セラドーム大阪で試合が行われていました。
大正駅からものすごい数の観客が出てくるので何ごとかと思ったら、オリックスとロッテの試合だったようです。
ぜんぜん野球に興味がなくて知らなかったのですが、今はセ/パ両リーグの優勝チームが日本シリーズで戦うのではなく、その前にクライマックスシリーズというのがあるんですね。
タイガースはこちらのシリーズも勝利したので、日本一をかけてバファローズと戦うことになります。
甲子園を見学したおかげで、最近のプロ野球事情にも少しキャッチアップできました。
野球の知識があると、ファンの方と話をあわせるのに便利だったりします。
日常会話やビジネスでも、プロ野球のネタは意外と役立つ機会が多いといえます。
とくに年配の方との雑談では、プロ野球の動向がよく話題になります。
地方に住んでいても、甲子園のシーズンは地元の高校野球がよくニュースに出ます。
阪神&高校野球を同時に学べる甲子園歴史館は、タイガースファンでない方でも訪れる価値があると思います。